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2005-12

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髪長姫は最後に笑う。第二章(12)

第二章 「荒野と香也」(12)

 このように荒野は、表面的な愛想の良さとは対照的に、内面では様々な葛藤や鬱屈を抱えている。ころころとよく表情を変える、狩野家の人々と戯れているときの茅は、そんな荒野にしてみれば、まぶしく見えた。
 マンションの部屋で荒野と一緒の時は茅は、感情の起伏をみせることが極端に少ない。最近では、会話もしないような状態だったので、ここでみた茅の溌剌とした様子は荒野を驚かせ、面食らわせもした。

 荒野は、茅が新しい表情を見せる都度にいちいち驚き、身にしみついた偽装の笑顔ではなく、ごく自然に自分の頬が緩んでいくのを感じた。
 こんな開放感を感じたことは、荒野が子供の時分以来、絶えてなかったことで、その日、狩野家の今にいた人々の馬鹿騒ぎに便乗しながら、荒野自身も、実は非常に楽しんでいた、ということを、痛感した。
 その解放感は同時に、荒野が、普段から、「いかに自分の見せかけを取り繕い、周囲の視線を意識して、『加納荒野』という役を意図的に演じてきていたのか」ということを、荒野に意識させる契機となる。
 今まで「一族の一員なら、そうするのが当然」と思い、あまり意識していなかったが、こうして自分の感情を素直に解放できる機会に恵まれると、常時他人の目を意識して振る舞い方を決定している従来の荒野のあり方は、やはり、不自然で窮屈に思えた。
 荒野は、そうした「自分の在り方」を、ここにきて、考え直す必要があるのではないか、と、思い始めている。
 それまでの荒野は、一族の、六主家の跡継ぎとして育てられることに、なんの疑問も持たずに、上からの指示を忠実に遂行する存在だった。言いつけられた任務を遂行するための能力もあったし、唯々諾々と従う自分についても、今まではなんの疑念も抱いていなかった。場合によっては、自分の手も、かなり汚してきた。

『……だが、別の生き方も、世の中にはあるのではないだろうか?』

 この土地に来て、狩野家の人々をはじめとする様々な人と触れ、初めて荒野は、これからの自分の人生について「別の選択枝」も視野に入れはじめた。

 茅とこの土地で平凡な学生として暮らし、茅の笑顔を取り戻す。それが荒野の当面の仕事だと、聞かされている。なんのつもりでそんな、どうとでも解釈できる抽象的な仕事……クリアすべき最終目標が、明示されていない仕事を、涼治と一族の上層部が荒野に申しつけたのか……。
 その真意も、未だ見えない。
 しかし、この土地に長期間滞在することになる、ということは確かだった。
 この猶予期間は、茅の件に取り組むのと同時に、自分の事を見つめ直すのにも、いい機会だろう……。
 荒野は、そう思った。
 荒野がそう思うことも、涼治の予測の範囲内のかも知れなかったが。

 三島百合香が再三指摘するように、茅の発見時の状況は、あまりにも「不自然」だった。荒野の父親に当たる、狩野仁明とともに、何者かが大がかりな仕掛けを施した、ということは、推測できる。が、その意図や目的とするところは、やはりわからない。
 この時点で荒野は、「茅を隔離された状況で育てたのが、一族上層部の意志に従ったものである可能性がある」と思い始めている。「右手がやっていることを左手が知らされていない」ということは、内部に様々な対立を抱える一族の中では、よくあることだった。
 ただ、肝心の「何故、わざわざそんなことをしたのか?」という部分の推測もつかない状態なので、今は、そうと断定すべきではないのだろうが……。

 いずれにせよ荒野は、自分が本当の意味で笑いはじめているのを、感じていた。

『……そばに茅がいて、その茅が笑っていると、おれも楽しい……』

 荒野は、そうしたシンプルな因果関係を、自覚せざるを得ない状況にある。
 今の荒野には、その認識さえあれば、充分なような気がした。

 そんなことを考えながら、荒野がだらしなく頬をゆるめていると、

「ああ、それでな、カッコいいほうの荒野君。君にもやってもらうから。
 髪の色に合わせて、茅ちゃんが黒猫耳で、君が白猫耳。
 美男美女の猫耳カップルのお澄まし顔が、ケーキを食った途端、にやーっ、て、なる。うん。絵になる。猫耳サンタ服バージョンの他に、新年向けに羽織袴と振り袖ヴァージョンも撮っておこうか」
 などというとんでもないことを、羽生譲が言いだす。

 押し掛けてきた地元商店街の皆さんは、荒野がケーキを食べた時の顔をあらかじめ見ていたので、いっせいに「いいですなー」みたいなことを言い出す。追従でもお世辞でもなく、羽生譲のアイデアに本気で感嘆している。
「ま、これでお前ら、あと一年はマンドゴドラのケーキには不自由しないぞ。よかったな? ん?」
 三島百合香も、明らかに面白がっている様子で、ぽんぽん荒野の肩を叩く。
「はい。たった今、マンドゴドラのマスターからOK貰いました。
『そんなに旨そうに食べる奴なら、顔を拝みたいから明日にでも連れてこい』っていってます」
「おし。
 荒野と茅。明日もどうせ暇だな。
 マスター直々のお呼びだ。マンドゴドラには喫茶コーナーもあったはずだから、顔見せついでに存分にご馳走になってこい!」

 なんだか当事者に意志を確認する前に、いや、確認する気もさらさらなく、どんどん周囲の者の手はずでまとまっていく……。
『……うわぁ……』
 だが、横の茅の表情をみた途端、荒野は、絶句し、次いで、抵抗を完全に諦めた。
『……茅……やる気満々だよ!』
 茅は頬を薔薇色に輝かせていた。目の輝きからして、普段とは、全然違う。

 ここで荒野が断ったりごねたせいで話しがポシャッたら、茅との関係修復は絶望的になるような気がした。
 内心で嘆息しつつも、荒野は茅の頭に手を置いて、
「……茅……一緒に、やろうな……」
 と、いった。
 茅は、ぶんぶん、と、頭を縦に振る。

 その夜、何日かぶりで、全裸の茅が、荒野のベッドに忍び込んできた。

   [第二章・了]

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彼女はくノ一! 第三話 (4)

第三話 激闘! 年末年始!!(4)

 その年の年末、羽生譲は例年以上に多忙だった。
 通常のバイト。突発的に発生した、商店街関係のお仕事のマネジメント。それに、この時期恒例の……。
「ういっす。おひさしぶりっす。羽生っす。どうっすっか、今年は? もうそろそろ修羅場ちっく天国の時期なんすが……。ああ? 男が出来たから足を洗うと? ……しゃあーねーなー。あー。はいはい。おしあわせに。いいよ気にしなくて。別口当たります。
 次。ちづさんか……。はい。どうも譲先輩です。そろそろ年末恒例の例の季節ですが、予定的にどないなもんでしょうか? はあ? あ、妹さんもコミで参加してくださる、と。そりゃよかった。ええ。今年のも萌え萌えっすよ。原稿の量も当社比五割り増しでさー。聞いてくださいよちづちゃん。さっき電話したらさくらのヤツ男に走ってこれないとか……」
 とにかく、その年の年末、羽生譲は例年以上に多忙だった。

 きっかけは迷子をみつけたことだった。
 商店街の隅で泣き喚く四、五歳くらいの女の子を見つけた着ぐるみ姿の松島楓は、さっそく駆け寄ってとりあえず、宥めようとした。どうやら、一緒に来た保護者とはぐれたらしい。精神的にかなり不安定になっていたらしく、楓が声をかけても首を振って泣き喚くだけで、一向に気を静めようとしなかった。
 しっしょになっておろおろしかけた楓は、「あ。そうだ」といい、
「これ、みてください」
 と、その場でトンボを切った。
 泣き続ける女の子あの子よりも、たまたま周囲にいた通行人が、突如始まったパフォーマンスに、まず足をとめた。
「ハイ、ハイ、ハイ。こっちみてください」
 相変わらず泣くばかりで楓のほうに注意を向けようとしない女の子の気を引こうと、楓の動きは徐々に派手なものになっていく。女の子と楓を中心に、小さな人の輪ができはじめる。楓の技が高度なものになっていくにつれて、奇妙なざわめきが周囲に起こり始める。
 周囲の雰囲気が少し変わりはじめたことを察知した女の子が顔を上げると、
「あ。ようやくみてくれた」
 と、「頭上から」声がして、その声の主が、すとん、と女の子の直前に降り立った。
 顔の真ん中に、テニスボール大の赤鼻をつけた、トナカイ。
 トナカイは、「はやく泣きやんでくださいね」と、唖然としている女の子の目の前で、連続して三度トンボを切り、そのうち、最後のは、空中で軽くひねりをいれていた。
 楓が着地すると、周囲か拍手が起こり、泣くのも忘れた女の子が、半ばあっけにとられて楓の演技をみているうちに、人垣をみつけた女の子の母親が、向こうから声をかけてきた。
 こんな事があってから、楓が配るチラシは、俄然、受け取って貰えるようになった。

 楓のチラシがそれまでにない勢いで受け取られはじめると、才賀孫子も「負けてはいられない」とばかりに、対抗意識を燃やし始める。
『なるほど。ああやって人目をひけばいいのね……』
 孫子は、人の注目を浴びるのは、嫌いな方ではない。
 容姿に恵まれた孫子が普通に立ってチラシを配っているだけでも、実は通常のバイトよりはよっぽど効率よくチラシを受け取らせていたのだが、こんな仕事をした経験のない孫子には、そのあたりの基準値が分かっていない。
 効率、ということ以外に、衣装のせいもあってか、時折、男性のねっとりした視線を浴びることもあり、そのあたりの状況も改善したかった。
『ただ受け取ってください、よりも、付加価値をつけた方が、気もち良く受け取って貰えるのは、道理ですわよね……』
 才賀の家系は、商人の家系でもある。
 基本方針を決めると、孫子は、自分に可能な「今すぐ、自分が何の準備もなしにできることで、人の足を止めることができる技能」を脳内で検索。この場に相応しいもの、として、「賛美歌」を選択した。孫子は、ミッション系のお嬢様学校に通っていた関係で、かなり本格的な物が歌える。なにより、もうすぐクリスマス、というこの時期に、相応しい。

 孫子は、やや広めの面積のある駅前広場へと足をむけ、そこで、朗々とした美声で五分ほど賛美歌を歌い始めた。
 プラカードを持ったミニスカ・サンタの美少女が、突如、その場にそぐわない荘厳な歌声で主を讃える歌を歌い始めると、何事かと足を止める者が続出する。
 もちろん、宗教的な、敬虔な気持ちから、というよりは単純な好奇心、あるいは、孫子の歌の、商店街の猥雑な雰囲気にそぐわない見事さに聞き惚れているだけなわけだが、孫子にしてみれば、集客効果さえあれば、それでいい。
 五分ほどして、歌い終わった孫子が、足を止めた聴衆に向かって優雅に一礼をすると、割れんばかりの喝采があった。
 孫子がチラシを配りはじめると、少なくとも足を止めた人たちは、競うように受け取りはじめる。こういうサービスを初めて以来、孫子をいやらしい目でジロジロと見ていく者の数も、めっきり減った。

 二人のチラシ配りが始まって数日するもと、二人が商店街にたつのを目当てに人がくるようになった。先週末のショッピング・センターでワイヤーワークみたいな立ち回りを演じたのが彼女らだ、という噂が、どこからか流れたためだった。
 その後、たまたま二人の姿を撮影した写真や動画がネット上にも流れ、直接の目撃者以外からは、半ば「ネタ?」扱いされながらも、一部で話題になり、その直後に、才賀と加納の合法非合法の干渉により、ネットから二人のデータが一斉に削除される、という顛末があった。
 たった一晩、ネット上にあっただけの二人の決闘は、一斉にデータが削除されたことによりかえって信憑性を強め、ある種の都市伝説のように口伝により、ネット上を広まっていった。
 そこに、「某所商店街に、夕方になると出没するチラシ配りがいて、それがどうもあの二人らしい」という噂が、どこからか、流れはじめる。

 真偽のほどはいつまでたっても明らかにされなかったが、確かにその商店街と、例の騒動があったショッピング・センターは距離的にさして離れていなかったし、商店街に立つミニスカ・サンタの娘とショッピング・センターのゴスロリ・ファッションの娘の顔つきは、記憶を辿ってみても、よく似ているように思えた……。
 途中から半裸になったくノ一のほうは、終始覆面姿だったので、体つきは記憶されていても顔を覚えている者はいなかった。ので、今やアクロバッティックな動作以外にも、どこからか調達してきたバトンでジャグリングの真似事までして通行人を楽しませるようになっていた「赤鼻のトナカイ」と「くノ一」が同一人物かどうか、確認できる者は皆無だった。
 そんなわけで、知らない間にネット上で口伝てに存在が知られていった松島楓と才賀孫子は、県外からも好奇心旺盛な暇人たちを呼び寄せ、商店街に数年ぶりの活況をもたらした。彼女らを目当てに出向いてきた人々は、彼女らの手からチラシを積極的に受け取ろうとしたし、それなりに商店街の店舗にも金を落としたので、地元からも喜ばれ、歓迎された。チラシを配っただけ賃金が支払われる、という契約だった二人も、当然、喜んだ。
 そんなわけで、二人が商店街でバイトをすることは、大概の人間に喜ばれた。
 たまに公道を座り込んで長時間占有したりゴミを捨て散らかしたりする、最低限のマナーさえわきまえない者がいたりもしたが、そうした者たちはミニスカ・サンタと赤鼻のトナカイに容赦なく叱責された。ミニスカ・サンタと赤鼻のトナカイの二人は所詮臨時雇いのバイトであり、したがって、単なる通行人を「お客」として丁重に扱う必要もない。
 そうした光景をみた見物人や商店街の人々は、溜飲の下がる思いがしたし、また、叱られた者自身がかえって商店街のリピーターになる、というような奇怪な現象も、何度か目撃された。

 じわじわとテンションを上げつつあった商店街のそこここに、ある日、駅前広場で「クリスマス・ショー」を開催、うんぬんというポスターが、張られはじめる。
「これ、あんたたちが出るのかね?」
「はい。みなさんお誘い合わせの上、きてくださいね」
 相手は子供だったり老人だったり男性だったり女性だったりする大きなお友達風だったりするが、二人がそういう問答をする回数が、日を追うごとに増えた。

 そんな中、才賀孫子は、商店街の裏町に夜出没する、もう一人のサンタクロースと知り合うことになる。もちろん、サンタクロースの恰好をしたサンドイッチマンと、ということなのだが。

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髪長姫は最後に笑う。第二章(11)

第二章 「荒野と香也」(11)

 才賀の当主との連絡を終えると、何故かたまたま近くにいた加納涼治から電話がはいり、「これからこちらに向かう」と、問答無用で宣言される。「そちらの家にも一度ご挨拶に伺いたいと思っていたところだ」といった後、涼治は荒野に向かって「逃げるなよ」と釘を刺すのも、忘れなかった。

 荒野が大規模な企業グループの会長と忍者集団の首領との連絡を終えるのを見計らったように、朝から連れ立って買い物に出ていた楓が、狩野家の居間に入ってきた。荒野が捕らえた才賀孫子の正体について誰何し、彼女が「狩野香也を狙撃しようとしていた」とわかると、荒野が気圧されるほどの怒りをみせ、身柄の引き渡しを要求した。荒野は、
『……なんでこいつ、こんなにムキになっているんだ?』
 と、不審に思いつつも、「くれぐれも傷つけるな」と念を押し、さらに、香也を監督に指定して、楓に孫子の身柄を引き渡した。
 この時点で荒野は、狩野香也が狩野家の養子である、という事実を知らなかったし、同じような生い立ちを持つ楓が、香也に過剰に感情移入をしている、という事実を、認識していない。
 たしかに一般人を狙撃しようとする、というのはいかにも穏やかではないが、仮にも相手は財閥の跡取りと目される人物である。現当主の鋼蔵は、その社会的地位に似合わず、割合、豪放磊落な性格で話しの分かるおっさんではあるが、可愛がっている年少の親族が傷つけられて黙っているほど「おとなしい」人物ではない……はず、だった。
 こんなことで、膨大な資産とそれなりの軍事力を保持する才賀を敵に回すのも馬鹿馬鹿しい、と、そう思った。
『……まさかそんな、大それた事もしないだろう……』
 荒野はそう思っていたのだが、相次いで狩野家に加納涼治と才賀鋼蔵が来訪した後、庭にある香也のプレハブに踏み込んでみると……半裸の松島楓が、才賀孫子の服に手をかけているところだった。
 ……あと数十分、荒野が来るのが遅れていたら、才賀孫子は、楓の暴走のとばちりを受け、純潔を汚されている所だったわけで……。

『…………なんで、こうなる……』
 才賀孫子が怒るのも当然だ、と、荒野も思う。
 しかし同時に、身体の自由を取り戻すと同時に楓に「決闘」を申し込む孫子の血気の多さも、どうかと思う。
 この辺はやはり、才賀の血なのだろうか?

『……こりゃ、おれくらいじゃあ仲裁勤まらねぇなぁ……』
 と、判断した荒野は、たまたま同じ家にいた年長の重鎮二人に、孫子と楓を諫めることを暗に期待して相談してみたところ……こいつらはこいつらで、ごく軽い調子で、
「やらしてみればいいじゃないか」
 などというとんでもないことを言いだすし……。

 内心で冷や汗を掻きつつ荒野が問いただしても、大人たちは若い者の暴走を無責任に面白がっているばかりで、一向に鎮めようとしない。

『……町中でこいつらが暴れると、いい見物になるぞ……』
 荒野は、そう思った。「忍」の一字を胸に秘め、人目に立たず、という一族の基本理念は、いったいどこにいったのだろう……。

「彼女らにはデコイになってもらう」
 涼治は、そうした疑問をもつ荒野に、事なげにそう言い放った。

 デコイ……おとり……。
 孫子は、いざとなれば才賀の力でどうにでも自分の身を守れる。
 楓は、もとより、いつ切り捨てても惜しくない存在だった。
 だから、これから長期間に渡ってこの土地に滞在する荒野が、なにかの拍子に一族としての能力や正体が露見しそうになった際、彼女らの情報をわざと流布して、荒野の存在をくらますための布石にする、と、涼治は、そういっている。
 もちろん、「彼女らの身を守りたかったら、そんなへまはするなよ」という荒野への警告も、兼ねているわけだが……。

 加納荒野にとって、加納涼治は、やはりどうにもいけ好かない、薄汚いじじいだった。直系の親族だろうと、一族の長老であろうとも、関係ない。
 好きになれない存在は、やはり好きになれないのだ。

 松島楓と才賀孫子の対決劇は、あらかじめ「過度の傷害はさけること」という条件を、半ば無理矢理両者に呑み込ませていたた。
 そのため、二人とも、相手に決定的な致命傷を与える機会と実力に目前としながらも、寸前でとどめを刺すのを思いとどまり、「決闘」と称するのには不似合いな泥仕合の様相をみせた。つまり、せいぜいどつき合う程度の衝突に止まり、じりじりと体力を削りあった結果、はきりとした勝敗をつけないまま、二人とも動けなくなって終わった。痛み分け、というところだろうか。
 制限をつけずにぶつかりあえば、どちらか、あつるいは両者ともに再起不能になるか、最悪、死亡することさえ十分に予想できたので、多少の遺恨は残るにせよ、こうした結果になって良かった、と、荒野は思っている。
 だが……。
「くノ一ちゃんもゴスロリ子ちゃんもよく動くなぁ!」
「楓はあれで、うちの秘蔵っ子ですから」
「才賀の者ならこの程度は当然だ」
 荒野が撮ってきたビデオを鑑賞しながら、こうまで無邪気にはしゃぐことができる大人たちの態度は、いったいどうしたものだろう?
 部外者の狩野真理、三島百合香、羽生譲は、の三人は、まだいい。
 だが、加納涼治と才賀鋼蔵は、それぞれの組織を代表する責任者的な立場にある、重鎮たちだった。
 時間にしてせいぜい三十分とはいえ、白昼堂々、衆人監視の中でど派手に行われた二人の喧嘩沙汰を、無邪気に喜んでいられる立場ではないはずだ……と、それまで、荒野はそう思っていた。
 それでも、実際は、加納涼治と才賀鋼蔵の二人は、楓と孫子の活躍を見て……ちょうど、運動会で子供や孫の活躍をみている親族のような顔をして、喜んでいる。
 その得意げな顔には、見事なまでに「影」がない。

 荒野の何倍もの時間を生き、何倍も、時には自分の手を汚してきた筈の男たちの、この、屈託のなさは、いったいどういうことなのだろう?

 荒野が生まれてから、せいぜい十余年。
 それでも、今まで自分がしてきたことを思い返して、時折、ふと陰鬱な気分に襲われることがある。涼治や鋼蔵は、その数倍の時間を、時として、荒野よりも過酷な環境に身を置いて過ごしてきたはずだった……。
 荒野も、涼治や鋼蔵のように年齢を重ねれば、そうしたことも吹っ切れる強さを、得られるのだろうか?

 若い荒野には、よく分からない。

 彼ら、責任のある立場にたち続ける男たちの無邪気な笑顔をみて、荒野は、かつて樋口未樹に「寂しそうに笑う」と指摘されたこと、それに、「茅を笑わせてみろ」と涼治にいわれたことを、思い起こす。

 そして、
『……本当に、心から笑ったことなのないおれに、茅を、心から笑わせる、などということがで、本当にきるのだろうか……』
 と、ほとんど絶望的な気分に襲われた。

 そして、そんな気分になった時でも、荒野は、普段からの習性によって、人好きのする笑顔を顔面に張り付かせているのだ。

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彼女はくノ一! 第三話 (3)

第三話 激闘! 年末年始!!(3)

 狩野香也がせっせと期末試験の日程と「冬のお仕事」を消化しつつあった、ある日……。

「わたしがこのおうちの居候第一号の羽生譲であーる」
 羽生譲は、松島楓と才賀孫子の前で無意味に胸をはった。
「居候二号、三号。
 わたしはいわば、居候の先輩。分からないことがあればなんでも聞き給え。わたしの事は以後、『居候の師匠』と呼ぶよーに」
「はい、師匠!」と元気よく返事をする楓と、「なんなの、この女」と、感じた胡散臭さを隠しもせず顔を出す才賀孫子。
 基本的に「長いものには巻かれろ」的な因習が身に染みついている楓と、何者にもおもねることなく育ってきた孫子の育ちの差が、こんな所にも端的に表れている。
「本日集まって貰ったのは、他でもない。これから、数日後に控えた商店街イベントの衣装合わせと、現場でお世話になる商店街の方々にご挨拶にいくのだ」
 愛車のスーパーカブに跨り、スターターをキックする。
「では、ついてきたまえ、居候二号と三号の諸君」

「ちわーっす。サンタとトナカイお届けにまいりました!」
 譲のスーパーカブは、徒歩で遅れもせずについてきた居候二号と三号を引き連れて駅前商店街のはずれにある町内会の集会場に到着。そこには譲との交渉役を引き受けてくれた居酒屋の大将がすでに待っていた。
「お。来たか、お嬢さん方」
 昼間の時間は仕込みと掃除くらいしかすることがなく、比較的時間がとれた、ということもあるし、もともと、この大将はお祭り騒ぎが大好きな男なのである。
「貸し衣装はそっちな。たぶん、大丈夫だと思うが、着てみてサイズが合わなかったら、早くいってくれな。
 で、だな。羽生さんとやら。とりあえず、会場は町内会の備品を借りて駅前広場に簡単な舞台をしつらえることにした……」
 貸衣装を渡され、早々に打ち合わせに走る大将。結構せっかちで、かつ、実務的な人らしい、と、羽生譲は思った。
「なんですの! このいかがわしい衣装は!」
「えー! 才賀さんなんかまだいいじゃないですか。可愛いサンタさんで。
 ……わたしなんか、着ぐるみのトナカイさんなんですよ……」
 向こうの部屋で、賑やかな話し声が聞こえる。

「いやー。似合う似合う。二人とも可愛いよ。すっごくいい」
 衣装を着てでてきた二人の姿をみて、大将はうんうんと頷いた。
「それじゃあ、これ、今日の分のチラシと看板な。詳しいことは、そこの羽生くん話してある。今日はこれから仕込みがあるから、おれはこれで」
 さわやかな笑顔を残して去っていく。
 渡された梱包を解かれていないチラシの塊と看板を手に、羽生譲に視線をあわせる二人。
「……いやー、なんか、話しの流れでそういうことになっちまってさ……」
 羽生譲は、二人の視線から目を反らして、ぽりぽりとこめかみを掻く。
「最初は、クリスマスのイベントをどう盛り上げてくのか、という話しだったんだが、どうせなら、数日前からお二人の顔を売っていこう、ということになって、……で、こういうことになった。このチラシ配りの分は、別にバイト代出してくださるそうだし……。
 な。二人とも、これからの生活で、お小遣いくらい欲しいだろ? そこまで狩野の家にお世話になるのもなんだし……」

 才賀孫子の叔父、鋼蔵は、『一般庶民の生活をこの機会に学ばせる』ということを徹底し、孫子の口座やクレジットカードの凍結まで行った。小遣いは、孫子と同年齢の女の子の小遣いの平均的な金額を、毎月現金書留で狩野真理に送り、そこから手渡される事になっている。その具体的な金額を知って、孫子は愕然とし、次いで、鋼蔵に猛然と食ってかかった。
「そんなはした金でいったいなにができるというのです! 叔父様!」
「その『はした金』とやらが世間一般の基準なんだ。よそ様にできてお前にやりくりできない、とはいわせんぞ」
 鋼蔵は諄々と孫子を説得しだした。才賀の企業に勤める社員や中間管理職の平均年収までデータとして並べ立て、孫子が今まで過度に優遇されていたのかを説明する。
「叔父様!」
 それらの具体的な金額を初めて知った孫子は、衝撃を受けたようだった。
「……それは……経営者として、あまりにも搾取しすぎではありませんこと?」
「……お前なあ……」
 鋼蔵は、深々とため息をついた。『孫子の世間知らず』の一端を、改めて思い知らされた形だ。
「……うちの系列は、総じて、同業他社より待遇がいいと思うんだが……。
 嘘だと思うのなら、そこいらの求人雑誌、立ち読みしてみろ。それでだな、今まで自分が湯水のように蕩尽してきた金、今の自分で稼げるかどうか計算してみろ……」
 それ以上、孫子の抗議には耳を貸そうとせず、一方的に通話を切った。

 こうして、孫子は「パンがなければお菓子を食べればいいのよ」と、いってもいられない身の上となった。

「チラシ配りは人が多くなる夕方四時から。その日のチラシがなくなった時点で終了。チラシ、残してもいいけど、その分バイト代差し引きになるから」
 そういって羽生譲は、国道沿いにあるファミレスの、自分自身のバイトにでかけていった。
 必要以上に短く、どうにも男にこびているようで気にくわない衣装だが、背に腹は変えられない。それに……と、孫子は、傍らでトナカイの着ぐるみに身を包んだ松島楓をみた。こちらは、不平たらたらの孫子と違って、このような屈辱的な装束を纏うことにあまり抵抗がないらしい……コイツにできて、わたくしにできない、というのも癪ですし……。

 その日のうちに開始された松島楓と孫子のバイトは、なんだか分からないうちに「客寄せパフォーマンス合戦」に突入し、着ぐるみの楓がアクロバティックな動作で人ごみの中を飛び跳ねて、子供連れの人気者になったかと思うと、孫子はミニスカの利点を活用して男性客に有無をいわさずチラシを渡す、などの作戦にでて、競うようにしてチラシを配布し終えた。
 予想以上に、ごく短時間のうちに用意されたチラシを全て手渡し終えた彼女らのめざましい働きぶりを実地にみていた商店街の人々は、「これなら、明日からは、もっと大量のチラシを用意しても良さそうだ」と判断し、ご用達しの小さな印刷屋に増刷の連絡をした。

 本番のクリスマスまで数日の余裕があるこの日、彼女たちの闘いの火蓋は、ごく地味に切って落とされた。

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髪長姫は最後に笑う。第二章(10)

第二章 「荒野と香也」(10)

 普段は締め切っている屋上に不法侵入者を発見し、駆けつけた荒野は、その後ろ姿をみて、絶句した。モノトーンで統一された、フリルとリボンがふんだんに使用されたスカート姿の侵入者は、かなーり物騒な得物を構えて、眼下に狙いをつけているところだった。
『……楓といい、こいつといい……』
 荒野は思った。
『……突発的に、ハロウィーン並の仮装をするのが、最近の日本では流行っているのか……』
 ひっそりと気配を殺して背後に近寄り、脊椎に針を突き立てて侵入者の抵抗を封じる。随意筋の大半を麻痺するツボを突いたわけだが、ミクロン単位の精度で針を使うことさえできれば、割と使い勝手がいい技術なので、こうした針の使い方は、一族の中ではかなりポピュラーな技術なのである。
「ここ、加納所有のマンションなんだよね。当然、それなりのセキュリティがあるって、少しでも考えなかった?」
 実際には、茅の徘徊癖が発現した時、「せめてマンションの周辺くらいは」、と、多数設置しておいた対人センサーに引っかかっただけなのだが、その辺の事情をいちいち説明するつもりもなかった。巫山戯た恰好はともかく、なにより侵入者はマンションの隣の一軒家……狩野家に狙いをつけていたので、看過できるものではない。
 身動きできない侵入者の手から、彼女の物騒な得物……ライフル、だった。それも、かなり特殊な……をもぎ取り、弾倉の中身を全て抜いてから、少しバラして調べてみる。見慣れないシュルエットだったので改造銃だと最初は思ったのだが、どうも、根本的な設計思想からして、既存の物とは違った、かなり独特な、銃だった。バラすときの感覚から、構成部品の精度が、現在普及している物とは桁違いに精巧であるように思えたし、標準器のディスプレイにも、なにやら目新しい数字が幾つも表示されている。「なんだこれは?」と、数秒考えて、どうやら、気圧や湿度、それに、現在地の緯度経度まで表示しているらしい、と気づいた。この調子だと、GPS搭載とかコリオリの力を自動計算して補正するような機能も装備されているのではないか、とさえ、思った。
 そのライフルは、要するに、「出来るだけ遠くに、出来るだけ確実に弾丸をたたき込む」という機能を金に糸目をつけず実現した、ちょー豪華な武器だった。
 兵器とは量産のしやすさコストの低廉さ、運用のしやすさ……までを含めて「トータルな性能」として評価されるわけで、その意味では、このライフルは、単体でどんなに高性能であろうとも、非実用的な武器といえた。
 たかだかライフルにここまで技巧を凝らし、コストをかけるのは、普通に考えれば割にあわない、も、いいところだ。それ以外にも、こんな扱いが難しそうな代物を易々と使用できるものは、かなり限られてくるだろう。
 ようするに、そのライフルの精巧さは、「精密機械」を通り越して「芸術品」といってもいいほどで……そんなものを造り、扱える連中は、世界広しといえど、荒野が知る限り、才賀の連中しかいなかった。

 才賀の「鉄砲衆」としてのはじまりは、戦国時代だと記録されている。それまでの才賀衆は、普段は通常の海運を生業としながら、ある時は金で戦に荷担し、また、条件が許せば略奪も行った。いわゆる「海賊衆」で、まだまだ日本が統一されていない当事、同じような海賊衆は、結構、普遍的な存在だった。
 ある時より、才賀の名は、「海賊衆」というよりも「鉄砲衆」として知られるようになる。金で動く兵として戦に加わる、ということは従来から行われていたが、当事の先端技術であった「鉄砲」の上手を幾人も輩出し、次第に「鉄砲衆」としての名が高まるようになっていった。
 それから四百年の年月を経て、才賀は時代時代に適応して、現在まで続いている。現在の才賀は、海運、流通、人材派遣、警備など、幅広い業種をカバーする、歴とした複合企業グループである。「財閥」と形容する者も少なくはない。海外展開も明治の頃から積極的に手がけ、資本を世界中に分散させ、独自の流通ネットワークを展開している。また、場合によっては、武力でそのネットワークを防衛するための「警備会社」も、分社として保持している。
「警備会社」という名ではあるが、下手な小国の軍事力よりはよっぽどしっかりとした兵器と鍛度の高い「社員」を抱えた、実質上、立派な「戦力」である。こうした「武装した警備会社」は日本ではあまりなじがみないが、世界的にみると、地域によっては必要とされる。
 要するに「才賀」とは、「海賊衆」と称された祖先がやっていたことを、ひきつぎ、しかし、現代的に洗練された「企業」としてスケールアップして継承している、保守的なのか急進的なのかよく分からない連中だった。
 同じように早くから「海外展開」している一族とは、仕事柄取引も頻繁にあり、現在の当主(表向きには、「才賀グループの会長」と呼ばれている)、才賀鋼蔵とも、荒野は、幼少時から何度か顔を合わせている。
 その才賀鋼蔵に、電話で「不審な侵入者」について問い合わせてみると、
『あ。それ、うちの姪だわ』
 と、即答された。それどころか、
『聞いてくれよ、荒野。それ、おれの末の弟の娘なんだけどな。そのおれの弟ってのが、おれら一族の中では例外的に頭が切れるやつでよ。一年中部屋に閉じこもってなんか難しい研究やっているようなインテリだったわけだ。でもな、そういうヤツにありがちなんだが、生まれつき体が弱くてよ。そんで、姪の孫子が。あ? ああ。そう。ソ、ン、シ。その、うちの姪の名だわ。知っているだろ? 中国のカビの生えたような兵法書。おれの弟の専攻がそっち方面だとかでな、そんな変な名前つけやがった。姪本人は気に入っているようだけどな。で、その孫子がまだ小さいときに、夫婦ともども、前後してあっけなくくたばっちまってな。それ以来、おれが引き取って育てて居るんだが、どうにも育て方まちがっちまったみたいでなぁ。いや、頭の切れぐあいは親父譲りだし、体術や銃のほうも実に立派なもんで、病弱だった親父よりはよっぽど才賀らしいといやぁ才賀らしいんだが……あの性格は、なぁ……それ以上に、けったいな恰好は、なぁ……』
 などと、生い立ちを長々と聞かされた上、愚痴までこぼされる始末。
 不審者の身元を確認しようとして、突然、「子育ての失敗が」うんぬんいわれた荒野は、黙って拝聴するより他なかった。

 その後、どうした加減か、その才賀鋼蔵と一族の長老、加納涼治が前後して狩野家に来訪することになる。
 その前後の馬鹿騒ぎも含めて、
『…………なんで、こうなる?』
 と、荒野は、そう、思い続けた。

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彼女はくノ一! 第三話 (2)

第三話 激闘! 年末年始!!(2)

 翌日は日曜日だった。
 なんだか外が騒がしいようだったが、基本的に朝寝が好きな香也はそれには構わず、昼前にようやくのそのそと起き出した。軽く朝食を食べた後、さっさとプレハブに籠もる。昨日になってイレギュラーな作業が発生したので、この日のうちに、前々から羽生譲に頼まれていた同人誌の原稿を、仕上げてしまうつもりだった。
 明日の月曜から金曜までは期末試験があり、その後、試験休みと終業式を挟んで、冬休みに入る。試験の成績に関して、最初から諦めている香也は、「いつもより余分に自分の創作時間がとれる期間」としか認識していない。
 それでも、つい半年前まではほとんど登校していなかったことを考えれば、毎日学校にいくようになっただけ、それなりに進歩……社会適応してきた方、なのだろう。
 この変化については、毎朝のように香也を迎えに来る樋口明日樹の存在が、やはり大きい。彼女が香也に興味を示さなかったら、多分、香也は、未だにまともに学校に通っていなかった筈だ。
 その樋口明日樹は、定期試験の前後は自分の勉強に専念するため、香也の家に迎えにくるのをやめる。学年も違うし、試験期間中は部活も全面的に禁止されるため、明日からしばらくは、香也も樋口明日樹とは、顔を会わさないはずだった。
 ふと、
『……樋口先輩に才賀さんのこと紹介するの、遅れるなあ……』
 とかいう思いが頭をかすめたが、すぐに脳裏から追い払って、目の前の作業に没頭する。
 狩野家に、また、新しい住人……それも、楓とは違うタイプの、かなりの美少女が増えたと知ったら……樋口明日樹は、やはり大騒ぎするだろう。少なくとも、楓が来た時くらいには……。
 ということは、容易に想像できたが、基本的に人間関係の構築とか調整に関してとことん不器用で、かつ、根が面倒くさがりな香也は、あまり深く考えず、とりあえず問題を棚上げにして、なるべく先送りにすることを選択した。

 香也は、羽生譲が用意した見本の絵をタッチを極力真似て、絵コンテ(ネーム、という場合もあるらしいが、その辺の用語の使い分けについて、マンガにあまり興味のない香也は、よく理解できていない)の指示通りに作画をしていく。それらの原稿は、男性向けも女性向けもあったが、ほとんどはいわゆる「エロマンガ」であって、羽生譲によれば、この手のものを割り切ってうまく作れば、飛ぶように売れる、という。そこ言葉に違わず、年に二回、羽生譲は作った同人誌をほとんど完売させて、分け前としてちょいとしたボーナスを香也をはじめとする協力者各位に支給する。
 特に今回は「今年の冬はコミケに当選したぞー」と張り切っていて、いつもの五割り増しにあたる分量の仕事を用意していた。香也にとっても、盆暮れの時期にくるこの仕事は、貴重な現金収入を得る機会でもあったので、出来る限り積極的に協力するようにしている。絵の具などの画材は、これでなかなか高価なのだ。
 香也が関わるのは鉛筆描きの下書きまで。前にペン入れもやってみたことがあるのだが、紙にガリガリペン先が引っかかる感触がどうしても好きになれなくて、今では、「不慣れな作業に時間をとられるよりは」、と、下書き専門になっている。
 ペン入れやベタ塗り、トーン貼りなどは、羽生譲の学生時代のつてとかで、何人かの女性がこの家に泊まり込んで短期決戦で行うのが常だった。その、半年に一度の修羅場な数日間だけ、狩野家はどことなく華やかになる。今回、羽生譲は、最近増えた同居人も「戦力」として計算に入れて、いつもより多くの原稿を指定してきたのだろう。昨夜、三島百合香といっしょに商店街関係の仕事を采配していたように、あれで、プロデューサー的な資質も十分もっている人だから、その辺の見極めは結構正確である。こなしきれない仕事は誰にもやらせないし、採算のとれない仕事は、もっとやらない。
 香也は羽生謙は、クリエイターというよりも、仕切屋体質を活かしたプロジュース系の……例えば広告業界とか……の業種に行く方が、資質的にむいているのではないか、と、思っている。香也の養父、順也などは、「譲のスピリットと香也のテクが合体すれば、ほぼ無敵」などという言い方をする。が、今のところ、羽生譲と狩野香也の合作例は、コミケ向けの売らんかな意識満載のエロ同人誌だけである。

 黙々と作業を続け、日が暮れる時間になって、
「おー、こーちゃん。やっとるかー」
 と、羽生譲が入ってきた。
「庭にベニヤ持って来ておいたから、時間がある時、昨日いってたの、やっといて……」
「んー。……やっとくー……」
 香也は、手も休めずに生返事をする。
「それからさあ、これもやっといて。ポスター、一応、構図とか、アタリをつけておいたんだけど、仕上げはこーちゃんのが確かだし綺麗だから」
 と、ラフスケッチを渡される。
 そこには、

『聖夜の対決! サンタVSトナカイ
 生き残るのはどっちだ!』

 という、おどろおどろしい字体のレンタリングが、浮き上がっていた。
『……これで本当に人集めになるんだろうか?』
 と、思わないでもなかったが、例によって深く追求はせず、香也は、
「んー。……そっちもやっとくー……」
 と、やる気があるのかないのかよく分からない返事を、しておいた。

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髪長姫は最後に笑う。第二章(9)

第二章 「荒野と香也」(9)

 その夜、荒野はひどく夢見が悪かった。
 昼間にふて寝をしたのがいけなかったのかも知れないし、ここ数年、荒事ばかりをやって殺伐とした環境下にあった荒野が、急に、現代の日本の地方都市、という、刺激が少なすぎる、平和な環境へと移行してきたことに、精神面での順応が完全でなかったからかも、知れない。

 夢の中で荒野は、全裸で寝ていて、息苦しくなって、目を覚ます。
 目を覚ますと、荒野の体の上に全裸の茅が横たわっていて、肌をなすりつけるように蠢き、「こうや、こうや」と囁きながら、上目遣いに荒野の目を見上げている。茅の肌は、白くて、とても冷たくて、冷たさに耐え切れられなくなった荒野が、茅の体を振り払おうとすると、茅は荒野の腕にしがみつき、下腹部を荒野の腕に密着させる。茅の女陰は濡れていて、湿った蛞蝓のような感触を、腕に感じる。悲鳴を上げて、茅の体ごと腕をぶんぶんと振り回すと、茅の体は急激に重くなり、荒野の腕は下に引っ張られて、ついには身動きが取れなくなる。なんとか茅から逃れようと足掻くのだが、茅の腕は重くて硬く、どうにもならない。ついには、全身に汗をかき、息を切らして、足掻くのを諦める。すると、どこからか現れた全裸の樋口未樹が、身動きできない荒野の上にのしかかり、起立した荒野の男根を自ら導いて馬乗りになり、腰を振り始める。荒野の直ぐ横では、茅が瞬きもせず、じっと荒野の顔を見続けている。樋口未樹のあそこは、熱くて、蕩けで、ぎゅっと荒野の男根を締め付けている。とても気持ちがいい。茅が見えている手前、反応すまい反応すまい、と、頭の中でいいつづけるのだが、息を切らして荒野の上を跳ね回る樋口未樹の姿態、息づかいや、あそこの締め付け具合など、どれをとっても蠱惑的にすぎてとても我慢ができず、射精感がどんどん高まっていく。やめろ駄目やめてくれ茅がみている、などと叫び声を上げるが、荒野に絡まる全裸の樋口未樹は行為を中断してくれず、茅もまた黒目がちの大きな目を見開いて、荒野の目をじっと見続ける。ついに、荒野が射精すると、その瞬間、樋口未樹と茅の姿は消え去り、椅子に座った白衣を着た三島百合香が蔑みの籠もった目で、荒野を見下している。そして、思いっきり冷淡な声で、
「自業自得だ馬鹿」
 と、いう。

 目が醒めると、当たり前のように夢精していて、荒野は、重篤な自己嫌悪に駆られた。たしかに、茅と住みはじめてから、自慰もしていない。射精したのは、樋口未樹と寝た時と、この悪夢、いや、淫夢を見て、の都合、二回。若い男としての生理的な反応だから、恥じ入るようなことではないと理解してはいても、どうにも、情けない気分に襲われた。
 汚れた下着を替える気にもなれず、ベッドに寝そべったまま、明かりもつけず、しばらく天井を見つめる。

『……おれは、こんなところで、一体なにをやっているんだろう?』

 そう思う。
 荒野は、本来、たった一人の女の子に振り回されながら、一喜一憂するような、軟弱な男ではないのだ。一族の大人と比較しても見劣りしないだけの、剽悍さと戦闘能力を持っている。ハリウッド映画並のアクションも、スタントもCGもなしに、生身のままでやることさえ、できる。そんな荒野が、なぜ、たった一人の女の子の顔色をうかがい、びくびくとしながら生活しなければならないのだ……。
 荒野は、現在の自分の境遇を、理不尽だ、と思った。
 なぜならば、「茅を、心の底から笑わせること」という今回のミッションに関しては、荒野が誇る数々の突出した能力は、どれもこれも、見事になんの役にも立たないからだ。

『……おれは、無力だ……』

 そうも、思った。

 翌日の夜も、香也が夕食を終え、プレハブに籠もる時間を見計らって、荒野は隣家に忍び込んだ。正面から訪問しても良いようなもんだったが、夜分に真理に余計な気を遣わせたくないので、香也以外の住人には気づかれないように忍んでいく。荒野が観察するところ、香也は、荒野の訪問を、さほど気にかけていない。歓迎してもいないし、疎んでもいない。ただ、言葉をかければ、それなりの返答はしてくれる。
「なんだかんだいって……」
 荒野はいった。
「……君は凄いと思うよ。おれとたいして違わない年齢なのに、こんなにいっぱいの絵を描いている」
『おれは、壊したり、殺したりするばかりだった……』
「……なにか描いてないと……」
 香也はいった。
「自分が、どんどん薄くなって、なくなっていくように感じるんだ。だから、ぼくの絵は、一種の気休めというか、精神安定剤みたいなものだね。量がおおいばかりで、独創性もない。自慢できる出来でもない」
「それでも……」
 荒野はいった。
「なんにもしないよりは、よっぽどマシなんじゃないかな? 少なくともこの部屋には、君が生み出した絵で溢れている。出来とか独創性とかのことは、おれ、正直よく分からないけど、ここにある絵の枚数分、君は、世界を豊かにしたんだよ」
『おれがやってきたことは、世界からなにかを差し引くことばかり……』
「そんな大仰なもんじゃないさ」
 香也はいった。
「所詮、自己満足の域をでていないよ。ぼくのは」

 プレハブをでると、入り口の横で、松島楓が平伏して控えていた。
「……楓か……」
 たぶん、この辺りに何者かの気配を感じて出向いてきて、荒野がいると気づき、邪魔をしないようにここに控えていたのだろう。
「……お前、ここの人たち、好きか?」
 何故そんなことを言い出したのか、荒野自身にも、実はよく分からない。
「……はっ!」
「……そうか……。
 よかったな。おれも、好きだ。
 だから、あえて、加納の名においてお前に命じよう」
 一族の、特に、六主家の間で、家名において命じる、ということは、かなり重要な意味を持つ。
「おれがいいというまで、お前、全身全霊、全能力をかけて、この家の人たちを守ってみろよ。どうせ、当面お互い暇な身だし……。
 常識的に考えて、ここの人たちが、命を狙われる、なんてことは、まずないとは思うけど……」

 ところが週末になって、狩野家の息子、狩野香也が、狙撃されそうになる、という事態が起こる。よりによって、才賀鉄砲衆当主の跡継ぎ、と、目される人物によって……。

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彼女はくノ一! 第三話 (1)

第三話 激闘! 年末年始!!(1)

「わたくしがこの家に住む、って……いったいどういうことですの!
 叔父様!」
 背後で加納荒野と下層民どもがなんのかんのと騒いでいるようだが、この時の才賀孫子は、そんなことに構っている精神的余裕を欠いていた。
 そんなことよりも、湯当たりして寝ている間に勝手に決められてしまったらしい、不本意な境遇を修正させるのが先決だった。
『そうはいうがな、孫子……』
 電話の向こうの孫子の叔父、鋼蔵の声は、意外に真剣なものだった。
『……おれは、お前を少し甘やかしすぎたと思っておる。これはそれを是正する、いい機会だ。
 お前もいずれおれの後を継いで才賀の頂点に立つ身。
 今のうちに下々の生活を実地に体験するのも、いい経験になるだろう。
 それに、な……。
 あの一族の女の子……楓ちゃん、といったかな……あの娘さんとの勝負、まだ決着がついていないんだろ?』
 鋼蔵は生まれてたときから孫子とつき合っているわけで、当然、その性格も、熟知していた。
『今の時点で引き上げたら、お前とあの娘の接点は、消える。勝負は棚上げのまま、お前が逃げ出した恰好になり、あの娘さんの不戦勝、ということになるなあ……。
 ……それでいいのか? お前?』
 孫子が絶句している間に鋼蔵は『転校の手続きとお前の荷物を送る手配は、もう済ませている』と事務的に告げて、すぐに通話を切った。

 孫子は自分の携帯電話をしばらくまじまじと見つめ、次いで、怒りで肩を震わせながら携帯電話をしまい、それから深呼吸をして気を落ち着かせて、意を決したように、炬燵を囲んで騒いでいる「下々の者」たちに向き直り、高らかに宣言した。
「わたくし、この家に住んでやることにいたしました!」
 胸を反らせ、突然、そんなことを口走りはじめた才賀孫子を、事情を知らない地元商店街の皆さんは、目をぱちくりして見上げていた。
 が、すぐに三島百合香が、
「ちょうどいい。才賀のお嬢様。
 で、だな。
 お前の配役なんだが、やっぱお嬢様は主役だろう。サンタでいいな、サンタで」
 と、被せるように、孫子の言葉を引き取る。
『……サンタ……聖誕祭のチャリティ・ショウかなにかの話かしら?』
 鋼蔵との通話に夢中になって、今までの下々の者どもの話しをまるで聞いていなかった孫子は、勝手にそう誤解する。
 基本的に彼女は、その奇抜なファッション・センスにも関わらず、深窓の令嬢として育てられている。セレブだセレブ。
 当然、世事にも疎い。
「このわたくしをさしおいて、他に、主役を張れる者がおりまして?」
 基本的方針として、孫子は、状況がよく理解できない場合、とりあえず威張ってみせることにしている。
 ……数日後、自分のために用意されたサンタのコスチュームのスカート丈の短さを実地にみて、絶句する……などということは、この時の才賀孫子は、夢にも思わなかった。
「んじゃ、楓はトナカイな。赤鼻のトナカイ。
 どうせ実際に始まれば勝手に跳んだり跳ねたり、になるんだろうけど、会場のほうはどうするね?」
「駅前広場に簡単な舞台しつらえます。オープニングとエンディングくらいそっちでやってもらえないと、人が集めにくいですし……」
「まあ、どうせ人集めが目的のチープなイベントだしな。
 その辺はスポンサーに判断して貰うとして……」
 誤解や思い違いも含めながらも、三島百合香の仕切で、着々と打ち合わせが進行していく。

「そんでだな、カッコいいほうの荒野君と茅ちゃんはもともと黙ってても絵になるルックスなんだから、下手な小細工しない。
 あの『ケーキ食って、てにまー』の顔で、十分。
 ただ、短いスポット映像だからな。サンタと、こーゆー恰好で、とか、幾つかヴァージョンか作って、だな……入れ替えながら順番に流す、っと……。
 で、うちのこーちゃんにはマットアートでこういうの描いてもらって……」
 即席の絵コンテを示しながら、羽生譲も加納荒野、加納茅、加納香也に指示を出している。
「おう、そうだ。そっちの、『うちのこーちゃん』とやら。
 こっちの舞台美術も頼む。なに、こっちはそんな凝ったことしないから、ベニヤにペンキでさっさとそれらしい風景を殴り描いて貰えばいい。
 おっと、それから、ポスターもな。タイトルも決まってないから、詳細は後で……」

 この夜が、これから年始にかけての、怒濤のイベント攻勢の、いわば前哨戦になっていたということに気づいた者は、誰もいなかった。

 翌日は日曜日だった。
 にもかかわらず、狩野家の玄関先には朝早くから四トントラックが数台乗り付け、狩野家の人々を驚かせた。
「すいませーん。
 才賀総合運輸の者ですが、才賀マゴコ様のお荷物をお届けにあがりましたー」
「わたくしの名前は、マゴコではくって、ソンシと呼びますの。
 古代中国の兵法書にちなんで、軍事史の研究者だったお父様がつけてくださった、由書のある名前です」
 朝食を中断して玄関先に出ようとする狩野真理を手で制し、才賀孫子が直接対応した。
「それになに? この大荷物。まさか、わたくしの私物、片っ端から持ってきたんじゃないでしょうね? わたくし、この家に長居するつもりはありませんの」
 孫子の「つもり」では、早々に楓との決着をつけ、実家に凱旋できる筈……と、見積もっていた。
 実際には、孫子の見積り通りに事は運ばず、かなりの長期戦になるのだが……。
「第一、この狭い家に全部入りきるわけないでしょ? もういいわ。開けて頂戴。わたくし自ら、当座、必要な物だけを選別します」

 才賀総合運輸のドライバーたちをせっつきながらの孫子の引っ越し作業は、日が暮れるまで続いた。

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GLAMOUR LEGS ::: LEG FETISH AT SEX

ほとんど英語表示だからってビビる必要はなし。

基本的に、写真をクリック、で、サムネイルページ。
写真の右側の文中にあるリンクをクリック、で、写真を置いてあるサイトのメインページへ飛ぶ、というごくシンプルな構造。

写真は、見てのと通り、白人モデル系。
ぼん、きゅっ、ぼーん体型のキレイドコロです。

絡みも若干あるようですけど、基本的にはヌードが多いですねえ。
ちょっと昔風のピンナップ・ガールといったところでしょうか?

海外サーバへのリンク集ですから、もちろんモロなわけですが、「エロいかな?」といったら、ちょっと首を捻る。
でも、単純に綺麗で、見ていて気持ちのいいセレクトだと思います。


髪長姫は最後に笑う。第二章(8)

第二章 「荒野と香也」(8)

 謎のくノ一、松島楓の正体と来歴の裏をとった加納荒野は、そのまま加納涼治に連絡をとることにした。
『ああ。わたしが手配した。
 お前も、使える女手があれば、今後、なにかと便利だろう?』
 荒野の問いかけに対して、涼治はあっさりと自分の手配であることを認めた。
「だからって、あんなの半端なのを押しつけるなよ……」
『そういうな、荒野。あの娘は、あれでなかなか優秀だぞ。
 それともなにか、お前は、あの可愛い娘を……意志を持たない、殺人機械にしたいのか?』
 つまり、今回の任務が来なければ、あの松島楓は洗脳に近い処理をされて自分の意志を奪われ、たんたんと一族のいうままに任務をこなすだけの人形にされていた、というのだ。
 長い歴史があるだけあって、そのての洗脳プログラムやノウハウについて、一族にはかなり確かな技術が伝えられていた。「もはやそういう時代ではない」ということと、判断能力を奪う技術は、かえって被験者の性能を損なう、というデメリット面が重視され、ここ数十年はほとんど封印に近い扱いだったはずの技術だが……。
「……あの娘……そこまでの逸材なのか?」
『考え方によるな。養成所のスタッフの中には、使いものにならないのなら、処分した方が安全、と主張する者も多かった』
 つまり、あの娘が、まかり間違って一族に本気で刃向かってくるような事態が発生すれば、かなりの損害をもたらすことが可能だ、と、いうわけだ。
『それよりはいっそ、多少性能が落ちても、いうことを聞くだけの人形にしてしまえ、という意見は、もっと多かった』
「……じじい……」
 加納荒野は苦々しく思いで、吐き捨てるようにいった。
「このマンションには、これ以上人は住めないぞ」
 そういうのが、その時の荒野にできるせいぜいの反抗だった。
『構わなんよ。それで。
 お隣りの狩野家が、楓を下宿させてくださるそうだ』
 荒野が楓の身元を洗っている間に、早々にそういう風に話がついてしまったらしい。通話を切る前に、涼治は、
「お隣りに菓子折でももって挨拶しておけ」
 と、荒野に言付けた。
『……そこまでお膳立てが整っているのなら、もはやどうこういってもはじまらないか……。』
 そう思った荒野は、朝食をとってからまだいくらもたっていないというのにベッドに横になり、すぐに寝息を立てはじめる。
 自分が自覚していた以上にストレスを溜め込んでいたことがはっきりしたし、楓の出現により、今後、荒野の「苛立つ機会」は、さらに増えることが容易に予測できた。なにせ、彼女は養成所が太鼓判を押す「ドジっ娘」なのだ。ただ、そこにいるだけでも、なにかしら騒動を起こすに違いない。そして、その後始末をして廻るのは、どう考えても身近にいる関係者である自分であるような気が、ひしひしと、した……。
 茅も、表面上はかなり落ち着いてきたものの、荒野との関係は相変わらずの冷戦状態だし……。

 ようするに荒野は、「今のうちにできるだけ休養をとる必要性」を、ひしひしと感じていた。
 どうせ、夕方まで茅は帰ってこないし、今の時点で荒野に狩野なストレス発散法は、きわめて限定されている。
 すなわち、寝る。ふて寝。
 体力を温存することにもなるし、荒野は寝貯め、食貯めも、しようと思えばできる体質だった。
 そして、意識を失うように、即座に荒野は深い眠りに落ちる。

 体内時計の命ずるままに、夕刻にむっくり起きあがった荒野は、茅と自分の分の夕食を買い置きの食材で造り、それを食べてから外出し、ひさしぶりに自分の体を使いたかったので、ママチャリを使わずに近所の和菓子屋までひとっ走りして菓子折りを調達する。
 すでに日が落ちていたこともあり、荒野が全力で走っても、誰にも気づかれずに済んだ。
 そして、狩野家の門前にたち、
「夜分おそれいりまーす!」
 と挨拶すると、玄関から狩野真理が顔をだした。
「いやなんか、うちのじじ……祖父から言付かりまして、本日からうちの手の者がこちらでお世話になるそうで、その、ご挨拶です」

 居間に招き入れられた荒野はいった。
「……ってえか、おれ、今、手の掛かるお子さま一人抱えているから、正直そっちの面倒までみてらんねーや。
 じじいが金だしてお膳立てしくれる、っていうんなら、素直にそれにのっちまえば。
 あ。でも、茅と同じ年頃の女の子の助けは、やはり借りたいときあるから、そういうときだけは手を貸してくれ。そんときは、声かけるから」
 紛れもない、荒野の本音だ。
 もしこの場に荒野の事情を知る三島百合香がいたら、うんうんと大仰に頷いて、「お前も苦労しているなあ」と、荒野の肩のぽんぽんと叩いたに違いない。だが、この場にいる狩野家の人々は、荒野側の事情など、知っている筈もない。
 せいぜいがとこ、「そんなもんか」と思う程度だったろう。

 荒野は、居間にいるのにも関わらず、炬燵にも関わらず、恐縮して縮こまっている松島楓をみる。
 さっそく、例の「ここ一番という時にポカをする」通称「ドジっ娘属性」を発動させ、荒野と音だけは同じ名前のこの家の一人息子とを取り違えて、何事かやらかしたらしい……様子がしたが、あえて追求しなかった。いや、追求したくなかった。
 荒野は、これ以上やっかいな事に関わり合いたくはなかった。だから、潜在的なトラブル・メーカーである松島楓とは、できるだけ距離を置こう、と、そう決めていた。

「ああ。そうね。そういえば楓ちゃん、着替えももっていないのなら、お洋服買いにいかなければね。
 二、三日は香也のお下がりでもいいかもしれないけど……」
 そんな荒野の思惑には関係なく、狩野真理はにこやかに、誰にともなくそう言いはじめる。
 荒野は、真理の些末事に拘らない大らかな性格と、その笑顔に、いたく感銘を受け、救われたような気分になる。
「あ。それなら、ついでにその時、茅も連れていってくれませんか?
 おれ、女の子の服なんてわからないし、適当に選んでもらえると……」
 かかった費用は必要経費、ということで、涼治に払わせるつもりだった。
「じゃんじゃん、買っちゃってください。多少、お金がかかってもいいですから……」

 数日後、どさりと宅配便で送られてきた衣料品の「量」に悲鳴を上げることになる、とは、この時の荒野に予想できるはずもなかった。

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彼女はくノ一! 第三話 (0)

第三話 激闘! 年末年始!!(0)

 場所、狩野家の居間。
 登場人物、狩野香也、狩野真理、松島楓、才賀孫子、加納荒野、加納茅、羽生譲、三島百合香、地元駅前商店街の皆さん。
 つまり、時間的にも空間的に前回終わったところから、直接続いていると思ってください。

「……ケーキ、ケーキ……ケーキといえば……」
 視線を上に向けて、何事か思案していた羽生譲は、
「あれだぁ!」
 と叫んで、ごにょごよと傍らにいた三島百合香の耳元に囁く。
『……厭な組み合わせだ……』
 と、加納荒野は、この日何度目かの不吉な予感を覚えた。

「おーおーおー。そだな、アレを使わない手はないわな。
 なにせケーキを欲しがっている当人のだ……」
 三島百合香はハンディビデオと居間のテレビをケーブルで繋ぎ、ビデオカメラの液晶画面でこれから再生しようかとしている動画をサーチ、「これこれ。ほい、ぽちっとな」と再生ボタンを押すと、テレビの大画面に猫耳装備の茅が大口開けてケーキにパクつき、にまーっとご満悦になる様子がドアップで表示される。
「おおー」
 と、感嘆の声をあげる地元駅前商店街の皆さん。
「こんだけうまそうに食べて貰えれば、マンドゴドラのマスターも本望だろうなあ」とかなんとか、口々に言いはじめている。
 当惑し、慌てて三島百合香に取り付こうとした茅の体を、羽生譲が抱きとめて阻止していた。暴れようとする茅の体を三島百合香に渡した羽生譲は、居間の隅に放置してあったスケッチブックをとってきて、その場でさらさらと絵コンテみたいなものを描いて商店街の方々に示す。本職の順也以外にも、羽生譲と香也という二人の絵描きが居る狩野家は、普段からスケッチブックが家のそこここに平然と放置されている。
「で、な。クリスマスといえばケーキ関係かき入れ時っしょ? だからね、この子の子の顔を、こーゆー恰好、こーゆー構図でだな、プロモーションビデオ作って、商店街の街頭で流す、と……電気屋さんかなんかに、液晶のハイビジョンかなんか貸して貰ってさ……なに、そちらさんさえよければ、この羽生譲、格安でプロモビデオの作成まで請負いますぜ」
「……そのていどなら話しを通せば……」
「はー。絵、描くのうまいな、ねえさん。
 あ、あんた、ファミレスでウェイトレスやってる人でしょ?」
 三島百合香は、茅の体を抱き留めながら、耳元で「ケーキのため、ケーキのため」と『悪魔の囁き』を呟いている。そのせいか、茅の体からあっという間に力が抜けていく。
 もう束縛を解いても大丈夫だろう、と、判断した三島百合香は、
「ほんでな、この子以外にも、うちにはこーんな顔して実にうまそーにケーキ食うやついてな……」
 と、先ほどと同じようにサーチして、加納荒野がショートケーキにかぶりついて、にまー、と蕩けるような笑顔になる様子をテレビに映す。
「先生!」
 ……いつの間に撮ったんだ、そんなもん! イヤその前に……などと、荒野が抗議しようするのを、三島百合香はあっけなく制した。
「お前な、楓や才賀のお嬢さんにだけ泥被らせといて、自分は安全なところでのうのうとしていていても、いいと思っているのか?
 ケーキ一年間食べ放題だぞ。お前がごねたせいでこの話しがぽしゃったら、茅、へたすると一生お前と口くいてくれないかも知れないぞ。ん?」
 最後のが、効いた。
 この時、荒野は思った。
『……どんどん平穏な一般人としての生活が遠のいていくような気がする……』
 羽生譲は、寿司桶に残っていた残り物をもぐもぐと食べていた狩野香也に、「こーちゃんもビデオの美術関係、ちゃんと協力するように」とかいって、肩を叩いている。
「んー。絵を描くだけだったら、別にいいけど……」

 こうして、なし崩し的に一同は、地元商店街の年末商戦に参加することになる。
 全ては、一年間ケーキ食べ放題のために。

[つづき]
目次

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髪長姫は最後に笑う。第二章(7)

第二章 「荒野と香也」(7)

 その日の朝、松島楓の姿を視界の隅にとらえた途端、加納荒野が反射的に感じた苛立ちに任せてボールペンを投げつけて松島楓を転倒、落下させた経緯については前述した。だが、この時に荒野が感じた「苛立ち」が、単純に勝島楓に由来するものだったのか、というと、正直これは、かなりあやしい。

 まず、荒野には「ごく普通の一般人として、平穏に暮らす」ということに慣れていなかった。同時に、「若い女性と二人きりで生活する」のも初めてだったし、その女性、加納茅は、よりによって「訳あり」であり、その扱いは、普通の女性以上に困難を極めた。
「加納茅」という存在の不可解さが、そうでなくとも「若い男性」として「若い女性」に苦手意識を持っていた荒野を、さらに困惑させた。ことに、その朝の前後の数日は、茅の機嫌を損ねてとりつく島もない状態で、口さえきいて貰えなかった。

 そんなわけで、一言でいうと、加納荒野は、この時点で周囲や本人が自覚する以上にストレスを溜め込んで、精神的に疲弊していた。
「見る者に安心感を与え、警戒心を希薄にすさる笑顔」を顔にはりつけるのが半ば習性と化しているため、本人も周囲のものも、荒野の精神的な疲弊について極めて無自覚であっただけだ。
 が、松島楓が不意に荒野の目の前に現れ、ほぼ反射的に彼女に嫌がらせのような行動をとったことで、荒野は、自分の神経がかなりささくれ立っていることを自覚した。

 その日の朝、なにくわぬ顔をして三島百合香の部屋を辞した荒野は、自分たちの居住する部屋に戻ってすぐにノートパソコンを立ち上げ、一族の管理するサーバに接続して、この時点では名前も知らない「くノ一」の正体を検索してみた。
 一口に「一族」といっても、それはあくまで俗称であり、確固たる命令系統が確立されている組織でもないし、明確に「ここからここまでが構成員」と線引きできるような外郭をもっているわけでもない。
 中核には「六主家」と呼ばれる古い歴史を持つ血族集団が位置し、荒野が属する「加納」もその一つなわけだが、その他にも、孤児や行き場のないちんぴらみたいな連中の中から見こみのありそうな者を集めて修練を施し、新たな人員として接収する、というシステムも存在した。その他に、仕事のたびに必要なスタッフを外部から招聘したり雇用したりすることも普通にやるし、その中枢部はともかく、全体としてみれば、「一族」も他の企業や国家などと同じ、内部に様々な利害や矛盾や対立を抱える、「人間が作る組織」である。
 荒野が転倒させた「くノ一」は、たぶん、その「外部から、比較的最近取り込まれた新参者」だろう。
 そうあたりをつけた荒野は、全国に幾つかあるその手の養成所にアクセスし、公開されている情報を参照したり、場合によっては、養成所の職員に直にコンタクトをとることなどから、調査を開始した。多分、涼治に直接聞くのが一番てっとり早いのだが、あのくノ一が荒野の現在の任務を支援するために送られたのだとすれば、それは、今まで事態を静観していた涼治が、「今回の任務を荒野一人に任せるのは不安だ」と判断したことになり、それをすぐに認めることは、荒野にとってあまり「面白くない」事だった。

 そのくノ一の正体は、すぐに割れた。
 三件目に問い合わせた養成所で、「たしかにしかじかの者を派遣した」という確認がとれた。そこの職員は、すぐにそのくノ一……「松島楓」を派遣したいきさつを説明し、同時に、楓の養成所での成績などのデータをメールで送ってよこした。
 職員から経緯を聞き、松島楓の能力と為人をデータからある程度推察した加納荒野は、その場で頭を抱え込んだ。

 松島楓、という少女は、一言でいうと、「才能過多、適性皆無」という、とんでもなくいびつ、かつ、アンバランスな人材だった。

 一族は、孤児を収容する施設に資金を提供し、かわりに、監視員を送り込み、その中から「適性あり」と判断した者を選抜して、養成所に送り、育てる……という形で、新規の人材を登用していた。楓も、そうした、「新参者」の一人だった。
 こと、「身体能力」に関する限り、楓は、「六主家」の中でも突出した戦闘能力を持つとされる二宮家の者に匹敵する能力を発揮した。世代を重ねて血を交配させ、能力を特化してきた六主家に匹敵する能力をもった新参者……例えれば「サラブレッド並に早く走る駄馬」、みたいなもので、もちろん、存在自体からして稀少だ。
 身体能力しか測りようのない幼少時には、養成所は、かなり松島楓に期待をしていた……という。
 だが、長じるにしたがって、養成所内での楓への評価は、微妙なものに変化してくる。能力が減じたわけでも、伸び悩んだわけでもない。
 身体能力以外の、他のパラメータが、著しく「悪かった」のだ。

 例えば、「その場その場で、的確な状況判断ができない」(……まあ、あんな恰好で白昼堂々こっちに来るようなヤツだしな、と、荒野は納得した)
 それ以外に、「ここ一番というときに、致命的なミスをする」、「他人の話を最後まで聞かないで行動を開始することが多い」、「嘘がつけない。他人の嘘が見抜けず、言われたことをなんでも鵜呑みにしてしまう傾向がある」、「時に、感情におぼれる」などの「短所」が次々と報告される。
 それでいて、体を使うことに関しては、抜群の成績を示す……。

 いいかえれば、「人がよく、正直者で、情に厚く、さらに、ちょっとドジ」ということなのだが……こういう人材が、少なくとも「忍」には、まるで向いていない……ということは、あまりにも、明々白々だった。

「有り余るほどの能力を持ちながらも、性格的適性的に問題が多くて、実際の任務にはとても出せない。でも、むざむざ手放すのは、惜しい」……養成所のスタッフにとって、「松島楓」という人材は、そういうかなり「困った」人材だった。

 そこに、現在の一族の長老である「加納涼治」から、直々に、「これくらいの年格好の女の子で、適当なのはいないか?」と、かなり異例な打診があった。
 謎の少女、「茅」の友人、兼、監視役、兼、護衛役。
 任務としては、かなり異質で、楓の「適性皆無」という欠点が問題にならない任務に思えた。なにより、「茅」にはすでに荒野がついており、その荒野の補佐役、という性格が強いことは、容易に想像できる。
 つまり、楓自身は、荒野の判断に従うだけで、自分でなはにも判断しなくて、いい……。

 楓の扱いに頭を悩ませていた養成所スタッフたちは、「渡りに船」とばかりに、楓を呼び出し、その任務について楓に説明し、そして、楓は……。

 その説明を最後まで聞かずに、着の身着のままで養成所を飛び出し、夜通し、自分の足で、数十キロの距離を移動して……この朝、荒野に見つかって、転倒させられ、気を失った。
 荒野が事情をしった今現在は、狩野家で介抱されている……という、次第である。

 荒野でなくとも、頭を抱えたくもなるだろう。

[つづき]
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「脳内彼女出品中! eBay」

もう一つ、「脳内彼女」ネタ。

脳内彼女出品中! eBay

(前略)いずれにせよこれはほとんど女に縁がない、あなたの為のオークションです!その通り、私はあなたの”想像上の”彼女になります!落札者には、一ヶ月間に渡って、一週間に一度写真入りの手紙、葉書を書きます。これでまず、しつこい友達やら親に手紙をさりげなく見せつけて、「ああ、今、俺、遠恋中だから。」なんて言えますね。(中略)


ということで、「脳内彼女」というよりは「遠距離恋人の偽装」なんだじゃないかな、これ?

(中略)このアイデアは夜中にふと考え付いたんですが、どんな反応があるか今からとても楽しみにしています!

注意:繰り返し強調しますが、決してこのオークションの落札者と実際に付き合う訳ではありません。
全てのやりとりはオンライン、もしくは手紙を通じて行われます。決して直接会ったりする事はしませんのでそこだけは誤解なきようお願いします(^^)


で、実際に落札した人はいたのだろうか?

ソース: 「x51.org


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紹介 「脳内彼女」 blog

blog 「脳内彼女」さん。

blogのタイトルの付け方もあれですが、写真(拾い物だと思われる)のチョイスとかデザインとかのセンスがいい感じかと。

写真、数が少なくてソフト路線ですが、それを押しても、かなり「いい」です。

写真毎に、「萌えたら萌プチ」のボタンがあるのも楽しいし。




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☆思わず笑ってしまうエロス☆by「ノン・モザイク」

今日はお休みだったんで、久々に無目的にネットを徘徊してみたました。

そこで見つけたのが、
ノン・モザイク」さんのところの、
☆思わず笑ってしまうエロス☆」というエントリー。

モロ動画です。
でも、それ以上にツッコミみたくなります。
いろいろと。

でもまあ、「エロ」というよりはネタ系だよなあ、これ……。




CGと小説によって描かれた、天使達が快楽と苦痛に狭間に揺れる姿
【仮想少女愛玩録】 堕天使達の憂鬱

TOKYO セレブ・エクスタシー

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彼女はくノ一! 第二話 登場人物紹介

第二話  ライバルはゴスロリ・スナイパー!?
 登場人物紹介

狩野香也
 「存在感のなさ」が売り、の主人公というのもどうかと思う……。

松島楓
 ようやくキャラが立ってきた。

才賀孫子
 目指せツンデレ。
 彼女とか「才賀」関連の設定は山ほどあるのだが、テンポを重視して今回はあんま詳しく説明しなかった。
 そのうち、フォローします……。

加納荒野
 なにかと便利なヤツ。
 心配性。

加納茅
 猫耳。

狩野真理
 エロゲだったら絶対攻略対象キャラだよなぁ……。

羽生譲
 もはや三島先生の相方である。

三島百合香
 同時進行の作品と合わせて、割と便利な解説キャラになりつつある。

加納涼治
 チョイ役。

才賀鋼蔵
 スポンサーその2。
 今後出番があるかどうかは微妙。

県警所属某交通機動隊員(白バイ警官)
 その後、自主的に精神科に通うようになった。

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彼女はくノ一! 第二話 (11)

第二話 ライバルはゴスロリ・スナイパー!?(11)

 加納荒野が息も絶え絶えになった松島楓と才賀孫子を担いで狩野家に戻ると、何故か、才賀剛蔵が、狩野真理に向かって畳に額を擦り付けるようにして、頭を下げている最中だった。
「奥さん! そこをなんとか!」
「……ええ……でも……すでにうち、くノ一ちゃんも預かっていますしぃ……」
「いや、そこをなんとか。おれは弟の忘れ形見だと思って、孫子の奴を甘やかしすぎた。今回のことで、それを痛感した! あいつには今、対等にわたりあえる同年輩の人間が必要なんだ!」
 ……なにをいっておるのか、このおっさん……。
 ひしひしといやな予感に襲われながら、荒野は狩野真理に声をかけ、
「こいつら、どこに転がしておきます?」
 と、肩に担いでいる二人をしめす。
「あら、荒野君。ご苦労様。そうね。そもままお風呂にもっていってくれると助かるわ。こっち。今案内するから……」

 二人を担いだ荒野と狩野真理が居間から姿を消すと、三島百合香が才賀鋼蔵に近づいて、耳元に囁いた。
「ずいぶんと苦戦しているじゃないか、おっさん。どれ、一つ策を授けてしんぜよう。
 あの奥さんはな……」
 ……現ナマに、弱い。
 三島百合香の悪魔の囁きを耳にすると、才賀鋼蔵は目を輝かせた。鋼蔵は、才賀グループの会長である。すぐに動かせる現金には、事欠かなかった。

「はい。ここまででいいわ。あとはわたしがなんとかします。
 荒野君は居間にいってお寿司でも食べてね」
 と、浴室を追い出されて、荒野が居間に戻ってくると、才賀鋼蔵と三島百合香が顔を寄せて、ごしょごしょ何事か話し合っていた。
 ……イヤな組み合わせだ……。
 と、荒野は、悪寒にもにた感慨を覚えた。

「奥さん!」
 しばらくして、居間に戻ってきた狩野真理に、才賀鋼蔵は懐中から取り出した電卓にかなり大きい桁数を打ち込み、
「孫子のやつを預かってくだされば、一月当たりこれくらいの謝礼を考えておるのですが!」
 途端に、狩野真理の顔が輝いた。
「えええ。こ、こんなに! ええ。だいじょうぶですわよ。そりゃあ、もう。古い家ですけど、部屋だけは余っていますから! 可愛い女の子は、そりゃあもう、大歓迎ですわよ!」
狩野真理は、さっきの見解とは百八十度違うことを口走りはじめた。
 加納荒野は、その場で頭を抱えた。
 ……新年から始まるはずの学生生活が、どんどん不穏なものになりはじめている気が、ひしひしと、する……。

 加納荒野は、現実逃避するように炬燵の脇にのけてあった洋菓子屋「マンドゴドラ」の箱を引き寄せ、茅が食べきれなかった分のショートケーキを中から出して、手づかみで、それを食べる。
 甘い。そして、うまい。

 気づくと、周囲の大人たちが目を丸くして、荒野の顔をまじまじとみていた。
「…………荒野、今、お前、茅とまったく同じ顔をしていたぞ……」
 一同を代表して、三島百合香が、告げた。

 その頃、狩野真理のいうところの「可愛い女の子たち」は、狩野家の浴槽に仲良く使っていた。向かい合って、苦虫をかみつぶしたような顔をして向き合っている状態を「仲良く」と形容するのもなんだが、敵意を露わにしているだけで、先ほどのように行動に移していないだけ、まだしも「まし」、ではあったろう。
 バブル時に羽振りが良かった某経営者が建てた、とかいう狩野家は、平屋だが部屋数が多く、浴室も浴槽も、一戸建ての住宅のものとしてはか、かなり広い。浴槽は、二人同時に入っても余裕があるくらいの容積があった。
 狩野真理に服を剥かれ、浴槽に放り込まれた二人は、そこで睨み合いながら、出るに出られなくなり……結局、その、即席我慢大会は、二人の長風呂を不審に思った狩野真理が様子を見に来るまで、続いた。

 当然、二人は湯当たりしていた。

 介抱された二人は、居間に隣接した部屋に、ケーキの食べ過ぎで先に横になっていた加納茅のとなりに、川の字になるように寝かされることになる。

「動きが速すぎて酔いそうな画面ばかりだな」
「そ、そうか?」
 ハンディカムを持っていた荒野がこういうことには不慣れなこともあって、せっかく収録した映像も、実際に再生してみると、ほとんどまともに見れる部分がなかった。
 荒野が収録したのは三十分ほどの動画だったが、どのうち、まともに鑑賞できたのは、十数分くらいだろうか? カットとしては、
「駆け比べをしている二人を背後から追尾した部分」
「ショッピングセンターの立体駐車場で行われた空中戦」
「最後の、河原で行われた、夕日をバックにした決闘」
 などの部分は、荒野と対象者の相対速度が少なかったり、荒野自身が静止した位置から撮っていたため、画像が過度に流れたりすることなく、じっくりと鑑賞をするに値する部分となった。

 それらを居間のテレビで再生しながら、
「くノ一ちゃんはともかく、才賀のお嬢さんもよく動くな」
「忍も兵隊も動いてなんぼのものものでしね。走り込みは基本でしょう」
「そっれとなあ、ちっこいねーさん。忍とスナイパーも、自身の所在地を秘匿しながら打撃を与える、という部分は変わらねーんだ。そのために迅速な移動は必須でなぁ、おれらは『よく走る兵隊はいい兵隊』と昔から言い習わしてるよ」
「……それにしては、今回は随分派手に暴れたじゃないか?」
「その辺は、まあ、子供のやるこったからなぁ……あれだ。
 手加減抜きでやり合える相手見つけて、嬉しがってたんじゃねーか、お互い」
「それとあれだな、二人とも結構目立ちたがりな。後半、ギャラリーが増えるに従って、隙の多い大技の応酬になってくる……
 なんだよ、飯綱落しとか空蝉って!
 昔のニンジャ漫画かよ!
 そんなもん、あえてやる必然性がどこにあるよ!」
 二人が寝ているうちに、再生した映像を鑑賞しながら、そんなことを言い合っているうちに、「そろそろいい時間だから」と、加納涼治と才賀鋼蔵が腰をあげて狩野家を辞した。

 しばらくして、再び人の声が聞こえるようになって、居間の隣の部屋に川の字になって寝かされていた三人の少女は、目を醒ますことになる。
 そろそろ夜中だというのに、居間に急な来客があったらしい。
 少女たちは、黙ったままお互いに顔を見合わせて、薄く障子を開け、居間の様子をうかがった。

「そこを奥さん、なんとか!」
 炬燵の上に菓子折を置き、五、六名ほどの見慣れない中年男たちが、狩野真理に頭を下げていた。
「たっだいまーっす……あれ? お客さん? どうしたの?」
 バイト先から羽生譲が帰ってきた気配がした。
「おお。のっぽのねーちゃん。あれだ。今日の二人の騒ぎを知った商店街の人たちがな、地域活性化のために、ショッピングセンターだけではなく駅前のほうでもアレやってくれ、って頼みにきてたところでな……」
「……なるほどー……もうすぐクリスマスとか年末商戦だもんな。人寄せにはなるか、あれも……」
 羽生譲と三島百合香が、意味ありげに視線をあわせる。そして、どちらからともなく、にやり、と、笑った。
「えー。あのゴスロリ子ちゃんはぁ、くノ一ちゃんに対抗意識を持っています。くノ一ちゃんを引っぱり出せれば、もれなくあの子もついてきます」
「で、くノ一ちゃんを引っぱり出すには、この荒野君に命令させれば一発です。彼女は、この少年の命令には絶対服従です」
「さらに、この少年を動かすのには……茅ちゃんという女の子を籠絡するのが、一番です」
「茅ちゃんを動かすのには、甘いものが、もう、効果的!
 この中にマンドゴドラの方、いますか? 例えば、『マンドゴドラのケーキ一年間食べ放題』、なんて条件つけちゃたりしたら、茅ちゃん、無条件に荒野くんを動かしちゃうと思います!」
 その言葉を聞いた途端、がらりと障子を開けて居間に入った茅は、荒野の胸ぐらを掴み、
「荒野! なんだかよくわからないけど、楓に『それ』やらせるの!」
 と、荒野の首ががくがく前後に振れるのにも構わず、揺さぶりはじめた。

「お。お。お。茅! 何日かぶりで口きいてくれた! ……って、それよりも……」
 揺さぶられた荒野は、何故か頬を染めて、つい、と視線をそらし、
「…………楓、協力してやれ……。

 おれ、茅がこんなに興奮しているの、初めてみたよ……」
 などと言い出す。

「ちょっと待ってくださる!」
 それまで黙っていた才賀孫子が進み出るが、羽生譲のジャージを着せられていたのであまり絵になっていなかった。
「なんでわたくしがいっしょくたに扱われていますの!」

「ああ。それな」
 三島百合香は、平然と告げた。
「お前さんが風呂は入ったり寝てたりしている間に、お前の叔父さんがここの奥さんに頼み込んでな、お前さん、しばらくこの家に居着くことになったから。居候だいそーろー」

「ななな……」
 才賀孫子の絶叫が夜のしじまに谺する。
「……なんですってー!」

「……ねー。なんか食べるもの、ない?」
 一人、プレハブに籠もって我関せず、とマイペースで自分の創作活動に勤しんでいた狩野香也は、居間に入るなり、不自然な人の多さに驚いて目をパチクリさせている。

 こうして、狩野家の住人が、また一人増えた。

   [第二話・完]

[つづき]
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髪長姫は最後に笑う。第二章(6)

第二章 「荒野と香也」(6)

 茅は、自分で出歩くようになり、現金も持ち歩くようになると、一日に一つづつ、自分で使う小物を買ってくるようになった。
 初日がスニーカー。その次の日が、マフラー。さらに次の日は、皮の手袋……、といった具合に、日を追うにつれ、部屋の中に茅のささやかな私物が増えていく。もちろん、それらは荒野が茅に渡した小遣いで充分に買える程度の値段なわけで、一つ一つはせいぜい数千円くらいの、さほど高価ではない物品だったわけだが、それでも、茅は、持ち帰った小物類を、かなり慎重に、大事そうに扱っているのが分かった。茅は、「自分でなにかを選んで買い物をする」という経験を、今までしたことがなかったはずで、そうした茅の様子をみながら、荒野は、適度な金額だけをわたしてあとは茅自身にやらせる、という方法を選択した自分の判断が間違っていなかったことを確信した。
 茅は相変わらず荒野とは会話をしようとしなかったが、三島百合香や狩野家の人々は普通に話しているそうなので、その辺の心配をするのは止めることにした。
 ……時間がたてば、そのうち、なるようになるさ……。
 荒野は、そう、自分にいい聞かせた。

「この間ちょいと計算してみたんだがな……」
 茅の状態がだいたい落ち着いた時点で、三島百合香との毎朝の会見は「相談」というよりも、「今までおさらい」といった様相を帯び始めていた。三島と荒野が持っている茅に対する情報を振り返り、不審な点や不明確な部分を指摘し合い、考察する……そういう作業をする日が、多くなった。
「茅は、毎週放映される子供向けの番組を、数日遅れでビデオを鑑賞していた。
 ……これが、あの、電気もきていないような廃村で、どれほど大変なことかわかるか? お前」
 三島百合香は、廃村に残されていた発電機を使って、毎週三十分、テレビとビデオを使用した際の電気使用量をまかなう、という前提にたって計算した燃料の消費量を、途中の計算式を示しながら、荒野に説明した。
「もちろん、あの村まで車で乗りつけられたら、どうってことない量だ、ともいえる。でもな、あそこ、一番近い村までも二十キロちょいで、しかもその村には、ここ数年、不審者は目撃されていないって話しだろ……。
 山中の、道もろくにないようなあの場所では、だな、燃料入れたポリタンク担いで何十往復しなけりゃ、毎週一本の三十分番組を子供にみせることも不可能なんだよ……。

 ……それとも、お前ら一族の者なら、それくらい朝飯前なのか?」
 三島百合香の質問に、荒野は、当然、首を振った。
 必要な燃料の確保、のみを専門に行うのなら、なんとかなったのかもしれない。が……自分自身と、幼い子供を養い、なおかつ、必要な食料を確保しながら……ということになると、いくら一族の者の身体能力が常人離れしているとはいっても、出来ることには限りがある。
「そうそう。もっと肝心なこと、その食料のことな。
 二人分、まあ、大人と子どもでもいいや、その二人に必要な食いもんをな、十年以上食いつないでいかせるためには、どれほどの労力と耕作面積が必要か、お前、計算できるか?」
 そういって、三島百合香は、荒野に、やはり簡単な計算式を示してくれた。
 必要とされる栄養素から割り出した、最低限必要される食料の量と、その食料を確保するために使用しなければならないマンパワーは、荒野の予想をはるかに上回るものだった……。
 少なくとも、たった一人で、それも、育児という時間を取られる仕事を平行して行いながらできる仕事量ではなかった。
「おまけに、だ。
 茅は、カレーを知っていた。肉の味も、知っていた。つまり……」
 ……茅の前に姿を出していたのは加納仁明だけだったが、それ以外にも、必要な食料や物資をこっそり運び込んでいたやつらがいたんだよ……。
 三島百合香は、そう断定した。
 一人二人の人間が、閉鎖的な環境で長期間に渡って自給自足を行う、などということは、原理的にみて、とうてい無理なのだ、と。
 茅をあの廃村に閉じこめていたのは、加納仁明個人の仕業ではなく、加納仁明を含めた複数の人間である、と……。
 ……だが、一体、なんのためにそんなことを?

 狩野香也はつい数ヶ月前までは気が向いたときにしか学校に行かなかったそうだが、ここ数ヶ月は、ある女生徒にせっつかれるようになり、なんとなく真面目に通い始めた、という話しで、平日は夜遅くまで帰ってこなかった。
 必然的に、プレハブにいるのは週末や祭日などの学校がない日、または、夕食を済ませてから寝るまでの短い時間に限定され、荒野が香也と話そうと思うと、そうした時間にプレハブを訪れなければならなかった。
 もっとも、荒野が香也と会話することを目的としてプレハブを訪れる、ということはなく、香也は荒野がいようがいまいが淡々と絵を描き続け、荒野も、なにもいいたいことや聞きたいことがなければ、いつまでも、黙って、その背中をみている。
 香也も荒野も、そうした沈黙は、あまり苦にならない性質だった。
 ごくたまに、荒野が声をかけることもあったが、香也は作業の手をとめることなく、ひっそりと簡単に答えるだけだった。
「茅という妹がいてね」
「この間、みかけたよ」
「このところ、機嫌を損ねて、口をきいてくれないんだ」
「そのうち、機嫌を直すよ」
「ちょっと前までは、すっごく表情の読みにくい子だったんだけどね。
 最近は、なんとなく思っていることがわかるような気がするんだ」
「なんか、自分の肉親じゃないみたいにいうね」
「……んー……いろいろ事情があってね。最近まで離れて暮らしていたから……」
「なるほど」
「……で、その妹と初めてあったときにね、『すごく空っぽだな、この子』、と、そう思ったんだ……。
 …………あの、大きくて黒い瞳が、すっごく深くて、みていると吸い込まれそうで……」
「……うん……」
「……おれ、君の絵を初めてみたときも、似たようなこと、感じたんだ……」
 香也は初めて手を止めて、振り返って荒野の顔を見つめた。

「……君が感じたことは、たぶん、正しい……」
 ……ぼくも、ぼくの絵も、空っぽだよ……。

 再び描きかけの絵に向き直った香也の背中が、荒野にそういった。

 その数日間は、なんだかなんだいって、加納荒野の生涯の中でも一番穏やかな日々だったのかも知れない。
 しかし、その平穏な日々も、すぐに終わりを告げることになる。

 数日後の朝、狩野家の門前に、松島楓が落下してきたのだ。

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彼女はくノ一! 第二話 (10)

第二話 ライバルはゴスロリ・スナイパー!?(10)

 案の定、二人の非常識な存在は、その交通機動隊員の誘導などには耳を貸さず、飛び跳ねながら、あっという間に彼の視界から消えた。

 サイレンを止め、白バイを路肩に寄せ、サングラスを押し上げて、軽く目の間を揉む。ひどく、疲れているような気がした。
「……なあ、君?」
 たまたまそばに歩道にたっていた少年に、その交通機動隊員は、声をかけてしまった。
「つかぬ事を尋ねるが、たった今……その、あっちから、こっちのほうに……ぴょんぴょん飛び跳ねながら、向こう側に消えていった……人……人間が、いなかったか?」
「人間が、ですか?」
 幸い、たまたま声をかけられた、ニット帽をかぶった少年は、にこやかに対応してくれた。
「こう、ぴょーんぴょーんと飛んで跳ねて……」
 と、ご丁寧に、白バイ警官が指でしめした軌跡をたどってくれる、
「……向こうに、消えた、ですか?
 さて、おれ、ずっとここにいたけど、そんなのちっともみえませんでしたねぇ……」
 少年はあくまでにこやかで、とても嘘をいっているようには思えない。
「……そうだよな。うん。そうだそうだ! 全て夢、白昼夢なんだ!」
 夢でござる夢でござる、人生五十年、過ぎれば夢まぼろしのごときー……とか、わけのわからないことをぶつぶつ呟きながら、白バイは加納荒野の前から走り去っていった。

「……やべぇやべぇ」
『どした、荒野?』
 ヘッドセットのイヤホンから、三島百合香の声が聞こえた。
「いつだったか、おれが自転車でスピード違反して捕まったことあったでしょ? その時の白バイさんがいたんですよ。
 なんかひどくお疲れのようだったんで、
『あなたはなにもモノみてません』って保証してさしあげたら、無理に自分を納得させて逃げていきました……」
『あー。わたしがさんざんごねて困らせてやったあの警官かぁ……。
 賢明ではあるが、哀れでもあるな……。
 公職にあるものが、お前らみたいな非常識なのに関わるとろくなことがないしな……』
 いいたい放題である。
『……しかし、よくお前だとばれなかったな……』
「帽子かぶって髪かくして、必死で好青年演じましたよ。追跡、続けます」
 ブレーキ音とか人の声が騒がしくなるほうを追いかければ良かったので、追跡自体は楽だった。

「あー。ショッピングセンターの立体駐車場で発見。なんか、空中戦になっている模様。才賀が楓の体に組み付いて、飯綱落としを仕掛けました。楓、空蝉で服だけ残して離脱。鎖帷子だけになった楓をみて、ギャラリーから歓声があがっています」
『両方とも女かよ!』
 とか、
『胸、でけぇ!』
 とかいう声が、荒野の実況中継の背後から聞こえる。半裸になった楓の姿をみた人々の、率直な感想だろう。
「二人、そのまま買い物客でごったがえすショッピングセンター内部に入りました。
 ……あーあー。もう知りませんよ、おれは。ここまできたら、もう隠しようがない……」
 ぶつくさいいながらも、荒野は、追跡を継続している。
 荒野の歩法かなり特殊な、手足のモーションを最小限に押さえたり、錯覚や心理的な効果を考慮して練り込まれた一族独特の歩法で、実際にはかなりの速度なのだが、近くに居る人には普通の、少し早足の通行人、くらいにしか認識されない。だから、二人に匹敵する速度で追跡をする荒野のほうは、さほど目立たない。

 買い物客でごったがえすショッピング・センターの中を、二人は、文字通り「駆け抜けた」。
 決闘の条件に「第三者に被害を与えない」という項目があったことをかろうじて覚えていたとみえて、これだけ人の多い場所ではあまり派手なドツキ合いをすることもなく、ただ迅速に移動していった。
 二人が通った後には、動転した人々の金切り声や悲鳴が残された。

「今、ショッピングセンターを抜けました。相変わらず、混乱はありますが、奇跡的に具体的被害はなし。
 えーと……このままいくと……橋、の方ですね。
 ……川、越えちゃうかな?」
 中継しながら、『まあ、人出のないほうに向かうのは、いい傾向だ』と、荒野は思った。今さら、ではあるが……。

 その頃、羽生譲は愛車のスーパーカブに跨って、バイト先である、国道沿いにあるファミレスに向かっている最中だった。その羽生譲の頭上を、柿色と黒の影が飛び去っていく。その正体に気づいた羽生譲は、
『……そっか。そういや、くノ一ちゃん、ザ・ニンジャだったんだっけか……』
 とか、間抜けなことを考えている。
 一緒に寝起きをしていると、松島楓は、ごく普通の可愛らしい少女、にしかみえなかった……。
「ども!」
 いつの間にか、羽生譲のスーパーカブに、狩野荒野が併走していた。
「おお。カッコいいほうのこーや君じゃないか。お勤めご苦労」
 ビデオカメラを構え、スーパーカブと併走しながらも、狩野荒野は平然とした顔をしている。
「いや、ぼちぼち、二人とも体力切れだと思うんですけどね……」
「ここいらで決着つきそう? んだったら、まだちょっと時間があるから、最後のシーンだけは見届けていくかな……。
 あ。進路変えた」

 松島楓と才賀孫子は橋を渡りきらずに右に折れ、土手の上をしばらく駆けていったかと思うと、そこで立ち止まって対峙した。
「お。やはりここで決着か?」
 羽生譲がスーパーカブを路肩に止める。
 奇しくも夕方。二人の背景には、沈みかけた夕日が周囲の空を真っ赤に染めていた。

 二人同時に、動く。
 そして、相手の顔にお互いの拳をめり込ませたまま、静止し、しばらくしてから、その場に崩れ落ちた。

 ……夕日をバックにダブル・ノックアウト……。
『どこまでもお約束に忠実なやつらだ』
 とか思いつつ、羽生譲は、
「……そっかぁ……ゴスロリ子ちゃんは、ケムマキ君だったのかぁ……」
 口に出しては、そういった。

 それから、バイト先に急いだ。これから夜までは、ウェイトレスさんの時間である。

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髪長姫は最後に笑う。第二章(5)

第二章 「荒野と香也」(5)

 プレハブの棚に放置されていた香也の絵は膨大かつ多彩……というよりは、バラバラで統一性がなく、タッチも画風もモチーフも一定していなかった。香也は、なんでも描いた。静物、人物、風景など、モチーフも問わなかった。しかし、同じ対象を同じような構図で、タッチのみで描く、ということも何度かやっている。
 例えば、卓上に置いたリンゴ一つを描いただけの絵を、鉛筆画のデッサンが数種類、色鉛筆を使用したものが数種類、水彩で描いたもの数種類、油彩で仕上げたもの数種類残されており、それぞれの画材に対して、印象派風のゴテゴテとした塗りのモノや浮世絵風のディフォルメしたモノ、かなり線を整理したイラスト風のあっさりとしたモノ、写実的なもの、子供の落書き風に荒々しく殴り描いたモノと、数種類描いている。
 荒野は美術作品にまともな鑑賞眼あるとはいえなかったが、それでも香也が、収束的な「完成作品」を目標にして描いているとは、どうしても思えなかった。残された絵を見る限り、荒野の目には、香也は、描くことで自分以外の誰かになりたいという願望を充足させているようにみえた。自分の作風を決めかねている、というよりは、様々な作風を擬態することで、絵に自分の精神を刻印することを恐れているようにも、思えた。
 その癖、このプレハブに膨大な量の作例が残されていることからもわかるように、絵を描くこと、に対しては、偏執的、ともいえる執着をみせている……。

 荒野の、香也の絵に対する鑑賞法はだいたいこのような感じで、プロファイリングか精神分析をしているような見方を、いつしかするようになっていた。

 数日、空いた時間をプレハブで過ごすうちに、二十前後の女性ががらりといきなりプレハブの引き戸を開けて、顔を覗かせた。
「あれ? お客さん? 珍しい。こんなところに」
 ジーンズにセーター、その上にどてらを着込んでサンダル履きの女性は、荒野に向かってそういった。それが、加納荒野と羽生譲の最初の出会いだった。

 平日は夕方遅くまで部活をしている、という狩野香也とは、直接顔を会わせる機会は少なかった。だから、昔から香也を知っているという羽生譲に、荒野は、香也の絵をみて自分が感じたことを説明し、自分の印象がどの程度的を射ているのか意見を聞いてみた。
 たまたまその日は暇だったのか、羽生譲は初対面の荒野の言葉を辛抱強く聞いてくれ、聞き終わった後、「あはは」と笑い出した。
「あー。そーかー。荒野君……カッコいいほうの荒野君には、うちのこーちゃんの絵はそーみえるのかー……」
 羽生譲は、ポリポリと頭を掻きながら、しばらく言葉を捜すように、上空に視線を合わせて沈黙してから、
「まあ、あながち、間違いではないかも知れない」
 と前置きして、ぽつりぽつりと狩野香也について知っていることを話してくれた。

 羽生譲が狩野香也と出会ったのは、羽生譲がたまたま足を向けた、狩野順也の展覧会の会場で、だった。地元の小さな画廊で行われた個展は、順也の絵の販売を目的としたもので、入場料は取られなかった。当時学生だった羽生譲は、順也が父の知人であったことから、その、ひっそりと開催された、あまり注目を浴びていない個展に足を運んだ。
 人の少ない会場で、ある絵の前に陣取り、まるでパントマイムでもしているかのように、熱心になにもない空中で手を動かし、なにかを描いている「振り」をしている子供がいた。
 それが、順也に引き取られたばかりの、子供の頃の香也だった。

 子供の頃の香也は、何十分もそうしているらしく、汗をかきながらも、絵にじっと目を凝らして逸らさず、必死になってなにかを描く真似をしていた。
 子供のすることとはいえ、なにかただならぬ気配を感じた羽生譲は、受付に座っていた女性に、その奇妙な子供のことを問い合わせてみた。
 受付にいた女性、順也の妻である狩野真理は、「その子、わたしたちの子供です」といった後、「あの子はいつもあんな感じですから、ご心配なさらないでも大丈夫ですよ」と請け負ってくれた。
 その子……香也は、事故で両親を亡くしたばかりであり、まだ新婚である狩野夫妻が引き取って育てていること。
 香也は、事故以前のことはほとんど覚えておらず、絵をみると、いつもああして「その絵が描かれた時のこと」を、絵に残された筆の後から想像しながら、延々と何時間も「再現」しつづけるのだという。

「事故にあうまでは、普通の子供だったという話しなんですけどね……」
 今では、香也はほとんど誰とも口をきかず、極端に無表情な、自分の感情を表現しない無口な子供となった。
 ただ、絵に関する執着だけは幼いながらも凄まじいばかりで、手元になにか画材と紙があれば、とりあえず、目前にそのあるなにかを、手当たり次第に描くようになった。
 画材が手元になにもない場合は、ああして、えんえんと「描いた振り」をし続ける……。
 そういう、変わった子供になっていた、と、羽生譲とはその時が初対面になる、狩野真理は説明した。

「お医者さんは、特に異常はみられないし、一過性の執着だというのですけれどもね……」
 その頃の順也は、アウトサイダーアートに興味をもっており、なにか面白そうな創作をしている人がいる、と聞けば、全国各地の精神病院や施設に飛んでいって、実地に作品や描いた者を観に行くような、酔狂な新進画家だった。
 その縁で順也は、香也と、香也が収容されていた施設の職員をしていた真理に巡りあい、しばらくして、順也は、真理にプロポーズした。「香也込み」で。
「あの人、度胸がないもんだから、香也君のことだしにしてわたしを口説いたんですよ」
 と、羽生譲に向かって真理はころころと笑ってみせた。
 香也と養子縁組をするには、ちゃんとした夫婦でなくてはならない。だから結婚して欲しい。順也が真理に行ったプロポーズを要約すると、そういう趣旨になったらしい。当時、狩野夫婦はまだまだ新婚だった。

先生とわたしの親父が結構親しくてさ、それから家族ぐるみの付き合いてのが始まったんだけど、なんだかんだ色々あって、わたしがこっちに押し掛け弟子みたいな感じに居着いちゃったんだけどさ……」
 羽生譲の話しは続く。
「言われてみれば、うちのこーちゃん、今ではかなりましになってきたほうだよなぁ……。
 最初の何年かは、本当、香也君、ぜんぜんなにもしゃべらなかったもんな。
 しゃべらないし、遊ばないし、笑わない。そんな子供だった。
 わたしが話しかけたりしても全然駄目でね。絵に関することにしか、興味を示さない。
 あー。なんてったっけ、天才白痴……さ、サヴァンだったっけ? とにかく、そのナントカ症候群っていったかな、ああいうのじゃないか、って、最初の頃は思ってた」
 実際、ほんの子供の頃から、香也の絵は、技術的にみて「大した物」だったらしい。正確なパース。正確なデッサン。そして、さまざまな画風を模倣する器用さ……。
「で、それも、うちの先生にいわせると、『器用なだけで魂がはいっとらん』ということになるんだけどさ……」
 たしかに、香也の絵には、香也自身の個性というものが、徹底的に欠如しているような印象は、荒野も持っていた。
「出来の良い、既成作品や技法のフェイク」というのが、荒野の、香也の絵への、率直な感想だ。
 でも何故、その「フェイク」に自分が惹かれているのか……それが、荒野自身にも、まるでわからなかった……。

「そうだねえ。わたしもこーちゃんの絵、結構好きだから、そう思うの、よくわかるよ……」
 でもね、と、羽生譲は、荒野の疑問に、そう答えた。
「そういうのは、自分で考えて、自分で答えをみつけないと、意味がないんじゃないかな……。
 たぶん、うちのこーちゃんも答えを捜しているんだと思うよ。
 あれは、あれで……」

『……足掻いて足掻いて、足掻いて見せなさい、若者!』
 と、羽生謙は、力強く、狩野荒野の背中を平手で叩いた。

 ……わたしだって、必死になって足掻いている最中なんだから……。

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彼女はくノ一! 第二話 (9)

第二話 ライバルはゴスロリ・スナイパー!?(9)

「甘い!」
 跳躍して楓に躍りかかってきた孫子に向かって、楓は一気に距離を詰めた。
 地から足を離しては、姿勢が変えられない。
 そこを狙って、楓は掌底をたたき込む。
「読んでるって!」
 コンバットナイフをあっさり手放し、自分の水月に向かって繰り出される打撃を、孫子は掴む。楓の利き腕に、長い手足を絡め、ホールドしようとする。
「こんなの!」
 肘を極めようと自分の腕にとりついた孫子の体ごと、楓は片腕を大きく振りかぶり、勢いをつけて何度も地面に打ちつける。
 楓が五度か六度ほど、地面に孫子の背中を叩きつけたところで、孫子は、ようやく手足を解いた。

 再び後ずさって、五歩ほどの距離を開ける二人。
 しばらく睨み合って……。

 跳んだ。

 庭の生け垣を飛び越え、公道を凄まじい勢いで走り去っていく。
 荒野も、その後を追っていく。

「さて、後は若い者に任せて、我々は中で決着がつくのを待ってましょう」
「そうだ、奥さん。急なことでなにも用意できなかったんで、これで寿司でもとってください」
「え? あ、あの、こんなに多くは……」
「いやいや。寿司以外にもお頼みしたいことがありまして……」
「ほー。おっさん、才賀ってあの才賀か? そんな大物がこんな所で油売ってていいのか?」

 取り残された大人たちはがやがやと家の中に入っていく。
 家の中には、食べ過ぎで気分の悪くなった茅が、胃薬を飲んで寝かされていた。

「あー。よりによって、なんで、人通りの多い方へといくかなー……」
 荒野は、ビデオカメラを構え、走り出した二人を追っている。荒野自身は人目を避け、なるべく目立たない場所を走るようにしているが、荒野が追跡している二人は、今はお互いのことしか眼中にないらしく、ギャラリーが騒ぎ出したことにも気づいていないようだった。
 荒野が住むマンション前で学生のカップル(よりによって、新学期から荒野たちが通うことになっている学校の制服を着ていた)に指さされたのを皮切りに、たまたま路上にいた人々が、二人の存在に気づき、指さしたり携帯とりだして写真を撮ったり、誰かに連絡をしはじめたりしていた。

 ……なにしろ、「ゴスロリとニンジャが喧嘩しながらもの凄い勢いでドツキ合いながら走り去っていく」という光景な訳で、目立たないほうが、おかしい。

 二人は今、庭先でお互いの格闘戦の技能を推し量ったように、「駆け比べ」のモードに移行していた。故に、速度に制限は付けられていない。
 歩道、車道、反対車線を問わず、びゅんびゅん飛び跳ねて、どんどん人通りの多い方へと向かっている。平行して走りながら、時折、相手に組み付いたり、くないを投げ合ったりしている。
 歩行者や車両を直接傷つける行為はさすがに避けているようだが、交通ルールやマナーには目をくれていないので、あちこちでクラクションや急ブレーキをかける音が響き、それに罵声が続く。
 歩道から跳躍して電信柱を蹴り、車道の、車と車の隙間を縫うように飛び跳ねて、反対側の歩道にでる、などという過激な「鬼ごっこ」を続けていれば怒鳴られる程度ですんでいるのが、奇跡のようなもんだ、と、荒野は思った。
『……よく、事故が起きてねぇなあ……』
 と。

「駆け比べ」でも決着がつかないとなると、今度は、「駆け比べをしながらの実戦モード」へと移行した。楓は、躊躇することなく、手持ちの、刃を引いたくないを容赦なく孫子に投げつける。刃を引いてある、とはいえ、しかるべき質量を持つ投擲用武器は鈍器であり、立派な凶器である。防刃素材の衣服越しにでも打撃を与えることを目的として設計されたもので、まともに当たれば骨や内臓に甚大な被害を与える。
 だが、次々と、間髪入れず投げつけられたくないのほとんどを、孫子は自分の手で受け止めた。それどころか、すかさず、楓に向かって投げ返した。このあたりのセンスは、「流石は才賀」と讃えるべきだろう。
 荒野がヘッドセット越しにそう報告すると、
『そうだろそうだろ』
 という、孫子の叔父、才賀鋼蔵の満足げな声が聞こえた。

『……いい気なもんだ……』
 と、荒野は思う。
 よりによってこの日は週末であり、二人は、まるでワイヤーワークでも使用しているのではないかという非常識な身のこなしで飛び跳ねながら、この界隈では駅前と並んで人の集まる、大型ショッピングセンターへと、向かっていた。
「……本当に止めなくていいんだな、じじい……」
 今ならまだごまかせる、という焦りを滲ませて荒野が聞くと、
『構わん。彼女らにはデコイになってもらう』
 平然とした涼治の声が聞こえた。

『……そういう腹か……』
 と、荒野は納得した。苦々しい、納得の仕方だったが。

『楓、走りながらくないを投げる。六本。才賀、それを即座に掴んで投げ返す。二人、南北の方に移動中。……』
 携帯電話越しになされる荒野の実況中継は、だいだいそんな感じだった。
『人、どんどん増えてます。指、さされてます。写真、撮られてます……』
 よほど気になるのか、荒野は合間に何度もそんな報告もしてきた。
『……あ。やべっ!』
「どうした?」
 涼治が尋ねると、
『いや、こっちの話し……でも、ないか。今、白バイに見つかった』

 公道上で制限速度を遵守していなかった二人組を見つけた県警所属の交通機動隊員は、当然自分の目と精神の正常さを疑った。
 そして、目を落とし、スピードメータを確認する。メーターは、時速六十キロ前後を指していた。
 黒いフレアスカートの少女と忍者の恰好をしたのが、バイクに乗る自分よりも早い速度で、前方を走っている。
 それも、ただ走っているのではなく、時折相手に組み付いたり、何か投げる動作をしたり、なにかを避けるように跳躍したりしながら、走っている。

……目の前に展開されている光景をみて、その交通機動隊員はげたげた笑いたい衝動をを堪えるのに苦労した。
 その交通機動隊員は、少し前にも、時速八十キロオーバーでチャリンコを転がしていた少年を「補導」したことがあった。相手が未成年で、かつ、自転車には免許というものがなく、事故をおこしたわけでもないので、保護者を呼び出して説教するのっが精一杯だった。一応、自転車も「車両」に分類されるので、その程度は、できた。
 ……制限速度を守ろうとしない「歩行者」に対して、自分はなにをできるのだろう……。
 が、それ以来の、いや、それ以上の、「悪夢」といっていい。

 二人が通った後に、急ブレーキをかける音が追いかけるように聞こえてくる。そのことから考えてみても、その二人が見えるのは、自分だけではない……。
 ということを認識したその交通機動隊員は、サイレンを鳴らして、その二人を追跡しはじめた。
『そこの二人。とまりなさーい。他の車両の邪魔でーす』
 しかし、凡庸な白バイ乗りに過ぎない自分が、そんな非常識な相手を捕まえられるとも、本気では思いってはいなかった。

『……できれば、このまま自分の目の届く範囲から、さっさと消えて欲しい……』
 切実に、そう思っていた。
『……この件、どう報告書に書けばいんだ……』

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髪長姫は最後に笑う。第二章(4)

第二章 「荒野と香也」(4)

 樋口未樹に髪を切ってもらい、狩野真理から普段服をいただいたことで、茅の行動範囲は飛躍的に伸張した。
 おかげで茅は、現金を渡していなかったにもかかわらず、朝食が終わるとそそくさと着替えて外出しそのまま夕方まで帰宅しないようになった、。夕食の時間には必ずかえってくるのだが、どうも昼食は食べていないらしい。
「どこにいて、なにをしていたのか」と荒野が尋ねても、茅は、荒野の目をじっとみつめるだけで、なにも言おうとしなかった。
 放置しておいても問題はないはずだったが、なんとなく落ち着かない気持ちになってきた荒野は、翌日、茅の後をこっそりつけていくことにした。

 その翌日も、茅は、朝食が済むと普段通り香也の古着に着替えて家を出た。荒野が後をつけていることに気づいているのかどうか、までは、わからない。
 とことこと二十分以上の道のりをひたすら歩いてようやく市立図書館へと入り、書架から数册の分厚いハードカバーを無造作に抜き出して、閲覧室に座り込んだ。それから夕方、日が落ちる時刻まで居座り、凄い速度で書物のページをめくり続けては本を取り替える、という作業を繰り返した。
 茅が書架から抜き出した本は、技術書だったり恋愛小説だったり郷土史だったり、と、ジャンル的にもまとまりがなく、また、ページをめくる速度も、あまりにも速すぎたため、本当に茅がそれらの書物を読んでいるか、仮に読んでいたとしても、内容を理解しているのかどうか、荒野には、疑問に思えた。
 疑問に思ったからといって、茅の行動を阻止するつもりも、荒野にはなかったが。

 翌日の茅の行動も同じパターンだった。
 茅が最初に持ち出した数冊の本のページを全てめくり終え、書架に返すために立ち上がったのを機に、荒野は茅の前に姿を現し、半ば強引に茅の手を引いて、受付まで連れていく。茅は、突如現れた荒野を特に不審がる様子もなく、手を引かれるままに、諾々と荒野についていく。
 受付で保険証を差し出し、「この子の図書カードを作ってください」と依頼する。
 茅の身分証明証は、荒野が保管していた。荒野には日本国籍も戸籍もあったが、荒野の妹として追記された茅の分のデータは、一族の手配による「本物以上に本物として通用する」偽造である。
 二、三分ほどで、通常の手続きを経て、出来上がったカードを茅に渡し、
「これがあれば、図書館から本を借り出せる。
 使い方はわかるな?」
 と、聞く。
 茅が、こくん、と頷くと、財布から現金三万円を抜き出して、それも茅に渡し、
「それから、これ、お金。本や、食べ物や、服が買える。
 使い方はわかるな?」
 同じように茅が頷くと、荒野はその場で背を向けて、図書館の外に出た。

 その日も、茅は、荒野が夕食を準備し終える時間までには帰宅した。
 図書館から借りてきた本を貸し出し限度ぎりぎりまで借りだし、抱えて帰ったことと、新しいスニーカーを履いていたことだけが、それまでと違っていた。

 緊急連絡用に携帯くらい持たせるべきかもしれなかったが、今現在、茅が荒野との会話を拒んでいるこの状況で電話を買う、というのもなにかおかしいような気がしたので、もう少し様子をみることにする。
 茅が自分で動き始めた以上、今、荒野が茅にできることは、あまりないように思えた。

 茅が外界に興味を示し、自発的に動き始めると、荒野は、途端にやることがなくなった。
 もちろん、生活をしている以上、炊事洗濯などのルーチンな作業は発生するし、それには相応の時間がとられはする。が、逆にいうと、それ以外の時間は、荒野が自由に使っても構わない、ということであり、それは、今までの荒野の生涯で初めて発生した、「自由時間」だった。
 ある日、朝食を終え、洗濯機を回しながら掃除機をかけ、洗濯物をベランダに干してから、荒野は、ふと、「今日はなにをしようかな?」と思い、自分がそう思った、という事実に対して、愕然とした。
 今まで、当然のように一族の仕事に関わってきた荒野は、物心ついてからこのかた、「上の者の指示を仰いでその通りにする」、という環境を自明のものだと思っていた。
 だが、現在の荒野には、「なにをどうしろ」と命令する者は、いない。
「茅を笑顔にさせる」ことが今回の荒野の目的であり、「その目的ためになにをするのか」という方針や細部の作業の作成までが、一切、荒野に一任されている。
 だが、荒野がこの環境下で、どのように振る舞い、どのような態度で茅に接するのか、という点については未定の部分が多く、これから、荒野が自身で判断し、決定しなければない。
 加えて、……目下の所、茅は、荒野とのコミュニケーションを半ば拒否しており、その状況が変わらない限り、荒野には実質上、やるべきことがない……。

 ……茅が、荒野に対する態度を変更しない限り、荒野には、これ以上他に、やるべきことが、ないのである……。

「全ては、茅次第」という、現在、自分の置かれているた状況の脆さを、再確認した、と、いってもいい……。

 そうした、茅が荒野の助けをあまり必要としていない現在の状況下では、荒野は、自分は暇を持て余すより他、ない……ということに、初めて、気づいた。
 いいかえれば、茅が荒野とまともな会話をするようになるまでは、余した時間に関しては、「なにをやってもいい」……。

 このように「荒野が自分の判断でなにをしてもいい時間」を、荒野はもった経験がない。
 この事に気づいて、荒野は愕然とし、途方にくれた。

 加納荒野という少年は、大抵のことはそこいらの大人よりも巧くできる能力ももつ。その割には、無趣味で……荒野は、「自分のやりたいこと」さえ持たない自分自身の希薄さを、この時、初めて痛感した。

 このようなわけで、いきなり暇になった加納荒野は、昼間、茅が留守にする間、とりあえず興味を覚えた狩野香也の絵を鑑賞するために、狩野家のプレハブに日参するようになる。
 プレハブには、香也が今まで描いた夥しい絵が無造作に棚の上に放置されており、荒野は、それらを手近な位置にあるものから順番に、一枚一枚とりだして眺める、という行為を、とりあえず、行うことにした。

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彼女はくノ一! 第二話 (8)

第二話 ライバルはゴスロリ・スナイパー!?(8)

「……なんでおれが……」
 加納涼治からハンズフリーがうたい文句の携帯電話オプションのヘッドセットを、三島百合香からデジタルハンディカムを手渡された加納香也は、ぶつくさと文句をいいはじめた。三島百合香は、「しっかり撮れよ」とかいいながら、そんな荒野にデジタルハンディカムの詳細な機能を伝授しようと横合いからなにかと話しかけている。
「この二人が本気で動き始めたら、追跡可能なのは、お前かわしくらいしかいないだろう。この中では」
 涼治は、にべもなくそう答える。
「お、おれは? おれじゃあ駄目か?」
 才賀孫子の叔父だという才賀剛蔵が、自分を指さして訊ねる。
「その腹をみてみろ。すっかり貫禄をつけやがって。経営者でございと後方にふんぞり返っているからそういう様になる。
 この手の遊びに参加するのは、二十年ばかし遅すぎたな」
 涼治の才賀剛蔵のあしらい方は、荒野に対するもの以上に厳しかった。
「大体、表にでることにこだわりすぎるからそういうことになる」
「だから、才賀はお前たち忍じゃねーってぇの! 元より表の存在だってよぉ!」

 やがて、準備を終えた松島楓との才賀孫子とが、出てきた。狩野家の狭い庭に出てた柿色の忍装束とゴシックロリータ・ファッションがメラメラと闘志を燃やして対峙している光景は、どう考えても、やはりヘンである。
「なあ。特にじじい。本当にいいんだな。この二人が暴れ出すと、かなり面倒っつうか、目立つことになるぞ……」
「ここまで敵意が高まったら、止めても止まるものか。
 ガス抜きさせておやりなさい」
 加納荒野が、最後の最後、という感じで念を入れて、加納涼治があっさり認める。
「……おれは知らねーからな……どうなっても」
 荒野は、ブツクサ言いながらもにらみ合う楓と孫子に、基本的なルールを説明しはじめる。
「出来るだけ物を壊すな。無関係な第三者を巻き込むな。刃物と銃は禁止。相手の命までは取るな。相手が動けなくなるか、ギブアップするか、おれが勝負あったと判断したら、その時点で止め。時間は無制限。ま、体力的に、そんなに長くは保たない、と思うけどな……。
 ……そういうルール、ということで……」
 荒野は、デジタルハンディカムを構えて、叫んだ。
「はじめ!」

 最初に動いたのは、才賀孫子だった。
 さて、どんな華麗な技の応酬が繰り広げられるのか、と、固唾を呑んで見守っていた一同の期待を裏切り、最初の一撃は、平々凡々たる「平手打ち」だった。

「あんたね!」
 その時、才賀孫子は叫んでいた。
「純真な乙女にあんな破廉恥なもの見せるなよ!」

 何故か、松島楓は避けなかった。
 バチン!
 というかなり痛そうな音をたて、はたかれた松島楓の上体が一瞬、ゆらぎ、すぐに姿勢を持ち直す。

「人の真剣な行為を、破廉恥とはなんですか!」
 松島楓も、叫びながらの反撃だった。
「あなたみたいな恵まれた人には、下積みの苦労はわからないでしょう!」
 バチン!
 という激しい打撃音とともに、才賀孫子は顔ごと吹っ飛びそうになるところを、慌てて足腰に力を入れて持ち直す。

 後はもう、しばらく平手打ちの応報である。どちらも簡単に相手の攻撃を見切ることができるはずなのに、何故か、避けようとはしない。
「下積みとか、わけわかんないこといわないでよ!」
 バチン!
「あなたは、わたしと違ってなんでも持ってるじゃないですか!」
 バチン!
「それ嫌味? あんないやらしいコトする相手なんかいないわよわたし!」
 バチン!
「そういうこといっているんじゃありません!」

 バチン! バチン! バチン! ……。

 延々tと叫び合い、平手打ちを続ける二人とそれを見守る人々の横を、愛車のスーパーカブを引いた、どてらをダウンジャケットとマフラーに替えた羽生譲が通りかかる。
「なんだ。最後までみていかないのか?」
 三島百合香が声をかけると、
「見ていたいけど、わたし、これからバイト」
 スーパーカブに跨り、ヘルメットを装着しながら、羽生譲が答えた。
「カッコいいほうのこーや君がビデオ撮ってくれてるし、それで我慢しますです」
 エンジンをかけ、公道に出て、走り去った。

 しばらく平手打ちを続けていた才賀孫子と松島楓は、このままでは勝負はつかないとみたのか、数歩分後ずさって距離を取る。

 松島楓は、懐からくないを取り出した。
「……! 刃物は禁止って!」
「投擲用だから、刃は引いてあります!」
 いうが早いか、びゅん、と腕をひとふりし、同時に十本近くのくないが才賀孫子を襲う。
「……そうよね……」
 孫子は、大降りのコンバットナイフをとりだし、それで飛来するくないを打ちはらった。
「刃物として使わなければ、いいのよね……」
 コンバットナイフの背にねっとりと舌を這わせ、刃を返して持ち直し、構え直す。

 そして、予備動作なしで、松島楓に躍りかかった。

[つづき]
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髪長姫は最後に笑う。第二章(3)

第二章 「荒野と香也」(3)

 もう一つ、週末毎の三島百合香の料理教室が始まってから茅に起こった変化をあげるとすれば、徘徊行為の開始がある。

 同じマンション内にある三島百合香の住居まで一人で往復することによって勇気づけられたのか、茅は、この寒空の下、寝間着代わりの浴衣姿のまま、一人で出歩くようになった。つまり、それまでは茅は、マンションの室内から出る用事もこれといってなく、一歩も出ずに生活していた。茅が不満そうな様子を見せなかったので放置しておいたのだが、ここに来て急に、それも勝手に行方を告げずに出ていって、しばらく帰ってこない、ということが続いた。
 外出先から帰ってきた荒野が茅の不在に気づいて慌てて行方を捜し、マンションの屋上とか、近所の小さな児童公園とか、距離的にはたいして離れていないが、予想だにしない場所でぼんやりとひなたぼっこをしている茅を発見する、ということが立て続けに起こった。
 第一、普段は閉鎖されていて、通いの管理人と荒野しか合い鍵をもっていないはずの屋上や、暗証番号を入力しないと出られないマンションの外部へ、なにも知らないはずの茅が平然とでていることが不気味だった。マンションの共有部分出入り口の暗証番号はともかく、屋上の扉の合い鍵は、入手することは困難なはずであり、荒野の保管分を茅が持ち出した形跡もみられなかった。
 が、現に、茅は自由に屋上に出入りしているわけで……。

 やはり、茅という少女は、いろいろと得体の知れないところがある、と、荒野は認識を新たにした。

 茅の徘徊癖について、茅にGSP付きの携帯でも持たせようかと本気で検討しはじめた荒野に対して、三島百合香は「お前なあ、過保護過ぎるんだよ。茅、小学生以下の子供か?」と、この人物にしては珍しく正論を吐いた。

 そのように行方をくらました茅を探しに行ったある日、荒野は、隣家の狩野家へも探索に出かけ、その庭先にあるプレハブの存在に気づき、声をかけて返事がないことを確認してから、念のために中を改めさせてもらおうと入り口の引き戸を開けると(鍵はかかっていなかった)、そこでキャンパスに立てかけてあった、描きかけの絵を発見した。
 その絵は、何気なく見ただけだと、一面にブルー一色で塗りつぶしたようにしかみえないようなシンプルな絵だったが、よくよく目を凝らしてみると、その青も、白などを混ぜ、微妙に階調を調整して、一筆一筆丁寧に筆を積み重ねた末、組み上げられた「作品」であることが、わかった。
 構図もなにもない単純な構造がかえって、その絵を描いた者の偏執を物語っているようで、ふと目を留めた荒野は、そのままその絵から目を放すことができず、数十分、見入ってしまった。

 結局、その日の茅は、狩野家の庭に迷い込んだところを、狩野真理に呼び入れられ、お茶を振る舞われていたのを、荒野は後で知ることになる。
 この時は、松島楓が狩野家の住人になる数日前だったので、荒野とは面識があった真理も茅とは初対面であり、庭に迷い込んできた見知らぬ子供を家に入れてもてなすような鷹揚さが、狩野家の主婦、狩野真理にはあった。
 その日、荒野は、プレハブの絵にしばし見入った後、一応面識のあるこの家の住人に、茅らしき少女を見かけなかったか尋ねるついでに、この絵についてもそれとなく聞いてみよう思い立ち、玄関に回ることにした。玄関先で荒野を出迎えた真理に、「髪の長い浴衣の少女を知らないか」と尋ねてみたところ、「それなら今、炬燵にあたってお茶を飲んでいる」といわれ、居間に通された。
 狩野家の居間に入ると、茅が澄ました顔をしてお茶請けの煎餅をかじっており、荒野は、ほっとすると同時に著しい脱力感を覚えた。
「こいつ、おれの妹なんですよ」
 と荒野が後付け的な紹介をすると、真理は、
「荒野君とは似てないけど、可愛い子ねぇ」
 といった後、茅に向かって、
「いつでも遊び来ていいわよー」
 と微笑んだ。
 
 荒野は、ふと思いついて、真理に「実は、こいつ、もう何年も病院暮らしをしていまして……」などと、もっともらしい「茅の架空の境遇」をでっち上げ、「茅の服を用意したいのだが、この年頃の女の子の服はよく分からないので、適当に見繕ってくれないか?」と、打診してみた。
 狩野真理は、少し深く考えれば不自然な部分が多い荒野の作り話について、とりたてて疑問を口にすることもなく快諾してくれ、「じゃあ、今、茅ちゃん、当座の着替えにも不自由していますでしょう」と、息子の狩野香也が何年か前に着ていたお下がりの服を適当に探し出してきて、その日のうちに荒野に手渡してくれた。
 それらの服は当然男物だったわけだが、デザイン的にはともかく、サイズ的には茅にちょうどいいくらいで、少なくtも、それを着て往来を歩いても不自然ではなかった。
 荒野は、恐縮しながらも素直に感謝して受け取り、プレハブに置いてある絵についても尋ねて見たところ、それらは荒野の予想に反して、狩野真理の夫、順也の作品ではなく、息子の香也の手になるものだ、と、答えた。
 それまで荒野は、香也とは面識こそあったが、正直さほど、その存在を重要視していなかった。が、「香也がああいう絵を描く少年である」という情報がインプットされると、途端に、香也自身にも俄然興味を覚えはじめた。
 荒野にとって樋口未樹がそうであったように、狩野香也のような人間も、今まで身近に居なかったタイプの人間であり、さらにいえば、香也自身よりも、香也の描く絵に対して、荒野は、好奇心を刺激されていた。
 香也本人はまだ学校にいる時間だったので、「プレハブの絵を見せてもらっていいか」と真理に許可を求めたところ、「あの子は、描いている最中は夢中になるけど、描き上げたものには執着しないから」勝手に見ても大丈夫だ、と、保証してくれた。

 しばらく談笑して、茅を伴って帰宅した後、荒野は、日時を改め、今度は香也がいる時間を狙って訪問し、「絵を、できれば、描いているところも見せて欲しい」と、話してみた。
 辛うじて面識はあるとはいえ、さほど親しいというわけでもない荒野の要求を香也は快諾……というよりは、興味なさそうに受諾し、「でもぼく、絵を描いている最中は、ほかになにもできないから」と、断りを入れた。
 それ以来、荒野は、香也がプレハブで作業する時間に、自分の時間の都合がつきそうな時は、できるだけプレハブを訪問するようになった。とはいっても、香也は、絵を描きはじめると極端に精神を集中させるタイプであるらしく、荒野を客としてもてなすということもなく、ただ黙々と筆を走らせ続けるだけだった。
 荒野は、飽きもせず、自分の作品に集中する香也の背中と、香也の手によって瞬く間に形を整えていく画布の表面を見続けた。

 荒野と香也の奇妙な交友の始まりは、そんな感じだった。

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彼女はくノ一! 第二話 (7)

第二話 ライバルはゴスロリ・スナイパー!?(7)

 加納荒野に針を抜いてもらい、身体の自由を取り戻した才賀孫子がまずしたことは、身に纏っていたレースの手袋を脱いで、それを松島楓にたたきつけることだった。
 この日の孫子は、ノースリーブのドレスに、指先から膝までをカバーする黒いレースの手袋をはめていた。
「決闘ですわ! この女、わ、わたしくにあんないやらしい……をみせつけて……その上、あろうことか、わわわたしくの、そそそうていを……」
 興奮のため、呂律が回っていない。
「とにかく! 決闘ですわ!」
「あー。大体の状況は想像できたから、止めはしないけどさ……」
 加納荒野は、白けた表情をして、それに応じた。
「その前に、君、なんだって彼のようなパンピー、狙撃しようとしたわけ?」
 と、加納荒野は加納香也を指さす。
「それは!」
 才賀孫子は叫んだ。
「彼がカノウコウヤだからです! あのカノウコウヤやが何年かぶりで日本に戻ってきたのですよ!
 年少ながら、あまたの武勲をたて、次世代の一族の命運を担うと嘱望される者、カノウコウヤが!
 叔父様がなにかと引き合いに出して名をあげるカノウコウヤをこのわたしが仕留めれば……」
「……あー……。そこまで」
 こめかみのあたりをぽりぽり掻きながら、荒野は興奮して口泡をとばして喚き続ける才賀孫子を制止した。孫子の勘違いに気づいたこともあるし、自分自身が今まで顔も知らなかった人物によって称揚されることが、照れくさくあった。
「はいはい。大体、事情はわかった。

 ……よかったな、楓。この娘も、君のうっかりさん仲間だ……」
 ぽんぽん、と、楓の肩を叩く。
 荒野の登場でようやく正気を取り戻した楓が、面目なさそうな表情をして、顔を伏せる。
「いろいろと誤解があるようだから、ここで自己紹介しておこう。
 おれ、加納荒野。
 たぶん、君がいっているほうの、加納荒野。
 で、彼も……」
 と、もう一人の「かのうこうや」を、指さす。
「ぼくも、狩野香也」
 緊張感のない顔で、狩野香也が片手を上げた。

「おれ、かのうこうや」
「ぼく、かのうこうや」
 二人の「かのうこうや」を見比べて、才賀孫子の顎が、かくん、と、大きく開いたままになった。

「おれ、かのうこうや」
「ぼく、かのうこうや」
 二人の「かのうこうや」は、「前にもこんなことあったな」という既視感に包まれつつ、才賀孫子が二人の「かのうこうや」の顔を交互に見比べるのをやめるまで、辛抱強く名乗り続けた。

 ようやく「姓名の音だけは同じ、しかし、他人」という事実を受け入れた才賀孫子の自尊心は、よりによって、「たった今、決闘を申し込んだ女と同じ過ちを、自分が犯した」、という事実により、いたく傷つけられた。

「……まー、それはそれとして……」
 そんな孫子の内心のダメージは知るはずもなく、相変わらず軽い口調で、加納荒野は追い打ちをかけるように、孫子に告げる。
「今、君の大好きな叔父様が、この家にきているけど、どうする?
 決闘の前にあってく?
 それとも、本来の目的はおれらしいから、まずはおれとやりあってみる?
 おれのほうは全然構わないよ。っていうか、ここの生活、ストレスは溜まるけど、発散する場所がないんだよね、平和すぎて……。
 だから、君がちょいと遊びたいっていうんなら、大歓迎なんだけどね、むしろ」

 そういって、孫子の目を見据えて、笑う。

『……この子……危険……ばけもの……』
 その、一見いつもと変わらないような荒野の笑顔をみて、孫子は無意識に後ずさり、ぶんぶんと首を振ていた。
『……わたしくなどが、なかう相手では……とうてい……』
 孫子の本能が、荒野は自分とでは「格」が違う相手だと、告げていた。

「そ。ものわかりのいい子で良かったよ。
 で、その決闘とやらはいいけどさ、うちのじじいとそちらの叔父様の許可は、とっておいた方がいいかな?
 ああ、そうだ。肝心の楓はどうする? 受けるか? この決闘?」
「受けます!」
 松島楓は、即答した。
 楓にとって才賀孫子は、あくまで「香也様に危害を加えようとした存在」だった。

「って、いうことで、なんかしらんが、才賀のお嬢さんとうちの楓が、ちょっとやり合いたいってさ」
 加納家の居間にもどって炬燵に潜り込んだ加納荒野は、一族と才賀衆の長老二人に軽々しい口調で告げた。
「うん。いいんじゃないか。若いうちはそのくらいの元気があったほうが」
 やはり軽々しい口調で、蜜柑の皮を剥きながら即答したのは、この家では荒野の祖父と名乗っている、加納涼治だった。
「孫子がやりたがたっているんなら止めはしないけどよう……」
 孫子の叔父、才賀剛蔵も、決闘そのものには異存はないようだった。
「しかしまあ、加納の……。
 ここにいる子たちは……実に、その……面白いなぁ……」
 荒野と、荒野の後ろに雁首を並べていた香也、楓、孫子、と視線をやり、最後に、炬燵にあたっている猫耳装備の茅に目線を留め、目を細める。
「そうだろそうだろ」
 加納涼治は、我が意を得たり、という具合に頷いた。
「半分は偶然だがな。こういう子たちが一カ所に集うことは、滅多にないぞ」
「そう……だよなあ……うーん」
 才賀剛蔵は太い腕を組んで、何事か、考え込む。
「ああ。そこのお嬢さん。楓ちゃん、といったかな。
 見たところ、かなりやるようだが、できれば、うちの孫子を叩きのめしてくれんか? なに、あれもそこそこ鍛えておるので、お嬢さんが本気を出しても、滅多なことでは壊れやせんて……」
「はい。もとより、そのつもりです」
 松島楓は、躊躇なく答えた。
 楓の目が、闘志をたたえて輝いていた。

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髪長姫は最後に笑う。第二章(2)

第二章 「荒野と香也」(2)

 茅が自分専用のパソコンを入手するのと前後して、茅のテレビの鑑賞法に変化があった。
 前は、リモコンでランダムにザッピングして、一つの番組を長く見続ける、ということがほとんどなかったが、最近では、自分の好む番組を放映する曜日や時間帯を把握してきたようで、決まった曜日の決まった時間、テレビの前に座り込んで、じっくりと鑑賞することが多くなった。
 茅が好むのは、夕方に放映するニュースと、それに日曜日の朝に放映する、キッズ向けのプログラムだった。中でも、日曜日の七時半からの枠はお気に入りのようで、かなり熱心に、食い入るように見入っていた。

「そうそう。ちょうど、こういう感じのロボットのCGが出てくるようなプログラムを、かなり熱心に観てるんですよ」
 例によって朝の面会時間に、三島百合香の部屋で、荒野は、なぜかパソコンのディスプレイの上に乗っていた三体のプラスチック・モデルを指さして説明した。
 左右のロボットは毒々しい赤でカラーリングされていて、片方は鎧を着込んでいるようなデザイン、もう片方はずんぐりむっくりな体型で、手から、指ではなく三本の鈎爪が生えている。中央のロボットだけが人間型でも真っ赤でもなく、ラグビーボールからにょっきりと両足が生えているような異形のデザインだった。
「これはロボットではなく、モビルスーツという」
 三島百合香はいった。
「それから、茅が熱心に観ていたのは戦隊物だな。もう何十年も続いている、日本の伝統芸能みたいな番組だ。
 今年のは『奉仕戦隊メイドール3』といってな、マッドサイエンティストの爺さんから膨大な遺産を継いだイケ面二人兄弟と、彼らにご奉仕する三体のアンドロイドなメイドさん、それに、指令な立場の渋い執事さんが変身して侵略者と戦う、というストーリーだ。
 二月に新番組への入れ替えがあるから、これからぼちぼち最後の山場にさしかかる時期だな」
 と、荒野には意味不明な解説を丁寧に付け加えてくれた。
 ……「メイドさん」とは、メイド・サーバントの日本風の呼称なのだろうか? だとしたら、なぜ家政使用人に、敬称の「さん」をつけるのだろうか?

『……そういえば……』
 と、荒野は思い出した。
『茅のいた廃屋の遺留品にあった玩具、その手のものが多かったような……』
 帰ってから、保存して置いたファイルをパソコンで確認してみると、たしかに、その手の「なんたら合体ロボセット」みたいな玩具が、遺留品の中に多く残されていることが確認できた。
『……意外な趣味しているな、茅……それに、親父』
 こんな場面で、荒野は顔も知らない父親の存在を意識する。えしてこういう趣味は、親から子へと受け継がれるものである。

 それからついでにネットで「戦隊物」についても検索してみたところ、放映局や制作会社のオフィシャルサイトの他に、ぞろぞろと何千何万というファンサイトが引っかかって、歴代番組関する情報を熱く語っていた。
 荒野は、「戦隊物」がゴルゴ並の長寿を誇るプログラムであること、吹き替え版や再編集版が広く海外でも放映されていることなどを知った。
 毎年設定やシュチュエーションを微妙にアレンジして放映され続けていることからみても、「日本の伝統芸能」という三島百合香の表現は、今回に限り、あまり誇張ではないらしい……と、荒野は、思った。

『これで茅へのクリスマスプレゼントは決まったな』
 と、荒野は内心で呟いた。

 茅との会話が途絶えても、毎朝の三島百合香への訪問は続けられた。むしろ、三島百合香と茅について心配なことを相談をすることで、進展がほぼなくなったことにより発生した荒野の焦りを慰撫するような効果があり、荒野は、かなり救われた気分になった。三島百合香は決して寛容でも心優しくもなかったが、「茅」という関心事を共有する人間が身近にいることは、荒野にとって、心理的な負担をかなり軽減する効果があった。

 ある朝、三島百合香に「茅についての第一印象」を尋ねられた時、荒野は、窓の外の光景の中に、とんでもないものを発見してしまった。
 縦横に飛び回る、一族の者だった。それは、動きや体の捌き方、をみれば、荒野には、一目瞭然であった。体型から判断して、若い、というより、茅とほぼ同年代の少女だ、ということも、判別できた。荒野の目は、視力がいいだけではなく、動体視力にも優れ、パターン認識にも秀でている。
 多分、荒野と三島百合香の報告を受け止めた一族の中枢が、進捗具合に不足あり、と、判断して、増援の人員を送ってよこしたのだろう。それは、いい。
 でも、問題なのは、……。

 …………その増援が、早朝とはいえ、完全に日が昇っている時刻であるのにもかかわらず、なんであんな目立つ恰好をしているのか、という、ただその一点につきた。
 一族の技を、字義通り「忍」、つまり、「存在自体も秘匿する技」として認識している荒野にとって、白昼堂々、忍装束を纏って飛び回っている目立ちたがりのアホタレは、かなり、むかっ腹の立つ存在でしかなかった。
 荒野は、自分でも気づかないうちに体を動かしていた。
 一歩、三島百合香の座る机に踏みだし、「これ、もらうよ」と一声断ってから、卓上に転がっていたボールペンを取り上げる。そして、ベランダに出て、その一族の恥さらしの足下にくるように調整して、ボールペンを投擲する。
 高速で飛び回っている相手の行き先を予測し、その相手が近い将来足場にするであろう場所に、タイミングよくボールペンを放り込み、転倒を誘う、というのは、実はかなり難易度の高い技なのだが、荒野は、それを難なく実行し、
「あ。これ? 気にしなくていい。こっちには関係ないことだから。いや、目の隅を目障りなもんが横切ったんでね。ちょっとした悪戯。なんか騒ぎになっているみたいだけど、お隣りが絡んでくるとどうせエスカレートするだろうから、後でみにいってみるといいよ。興味があるなら。」
 うんぬんと断りをいれてから、先ほどの三島百合香の質問に答えはじめた。

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彼女はくノ一! 第二話 (6)

第二話 ライバルはゴスロリ・スナイパー!?(6)

「……あん……ふぁん……はん……」
 松島楓は寝そべった狩野香也の上にまたがって、ついに、才賀孫子の目前で本格的に交合を開始した。楓も香也も下半身は裸で、香也は、楓の服の中に手を入れて、下から楓の体を支えるようにして、胸を揉んでいる。楓は、接合部を擦りつけるよう感じで自分から腰を動かしながら、鼻にかかった声で嬌声をあげている。
 この体制だと、孫子からは結合部分の詳細が見えないことと、それに、孫子のほうに頭をむけて寝そべっている香也からも、孫子の存在が視界に入らない、という二点だけが救いだった。

 孫子は、今では屈辱や羞恥を通り越して、白々とした怒りの感情をもって、目前の痴態に相対している。孫子は男を知らないし、もちろん、他人の性交を間近に観るのも初めての経験だったが、好奇心などはもはや感じなくなっていた。
 この時の孫子の脳裏には、冷え冷えとした、冷静な怒りに支配されつつある。
 誇り高い彼女は、このような屈辱的な状況に彼女を置いた者たちを、決して許さないだろう。

「たのもー!」
 狩野家の玄関先で、時代がかった訪問者の声がした。野太い、声優の飯塚昭三のような声で、外見のほうも声に見合ったものだった。
 がっしりとした、厚みのある体躯の五十年輩の中年男で、昔のマフィア映画や宮本ひろ志の劇画にでもでてきそうな「濃い」顔をしている。
「やや。奥さん。こちらに加納の小倅がきておるはずですが」
「はあ。たしかにうちは狩野で、小倅に分類可能な人物は二名ほどおりますが……」
 訪問者と噛み合っているようないないような会話を交わしはじめた狩野真理の背後から、加納荒野がひょっこり顔を出す。
「お。やっぱり才賀のおっさんだ。真理さん、このおっさん、うちのほうの客。凶暴な顔してるけど害はないから、中にいれてあげて」
「おお。荒野か。しばらく観ないうちにずいぶん育ったなぁ。で、なんだ。うちの孫子がこちらに射かけたとかなんとか……」
「いや、射るところまではいってないけどね。標準つけてたのは確か。
 まったくなに考えているんだろうねぇ、堅気の衆に……っと。ちょっと待ってね。今、本人呼んでくるから、中に入っててよ。うちのじじいもいるから」

「……楓ちゃん……もう駄目……でちゃう……」
 楓が動き始めて五分ほどして、香也は情けない声を出し始めた。
「……いいですよ……香也様……ん……このまま……」
「駄目だって! このままじゃあ……んん……出そう……気持ち良すぎる……うわぁ!」
 結局、香也が自分の上にまたがった楓を押しのけるようにして抜き、直後、楓の腹の上に白濁した液体を発射した。
 むっ、と鼻をつく匂いが、孫子まで届いた。
「……あはは……」
 なにを考えているのか、楓は自分の腹部に吐き出された香也の精液を、愛おしそうに指先で弄んでいる。
「……香也様の……暖かい……それに、すごい匂い……」
 楓には、どうやらその排出物にたいする嫌悪感とかはないらしい。その感覚は、孫子には理解しがたかった。
「いいから……このティッシュで……」
 と、孫子の座っているほうに置いてある、ティッシュの箱に手を伸ばし、そこで微動もできない孫子の冷え冷えとした目と、目があった。
「はい。これで綺麗にして」
 孫子と目が合った瞬間、香也はばつが悪そうな顔をして目を伏せ、二、三枚自分でティッシュを抜いた後、残りの箱を楓のほうに押しやる。そして、孫子に背を向けて、ごそごそ自分のものを拭いはじめた。
「……で、この、座っている人が、どうしたって?」
「そうだ!」
 香也が問いかけると、楓は思い出したように大声をあげる。
「この女、香也様を害しようとした極悪人なんです! わたしと一緒に、お仕置きしましょう!」
「……お仕置き、ったって……」
 かちゃかちゃとベルトのバックルを締め直しながら、香也は迷いのにじみ出る口調でいった。
「なにやるの? いっておくけど、痛いのとかだめだからね」
「……そうですねー……」
 楓は上のほうに視線をやって、数秒、何事か考えているようだった。さすがにおなかの上にぶちまけられたものはきれいにしたが、下半身はまだ剥き出しのままで、ぺたんと座りこんだ姿勢でも、足の付け根の茂みが見える。
「痛いのは駄目だ、とは、加納様にもいわれてますし……そうだ!
 この女、わたしと香也様とで、犯しちゃいましょう!」

「……なに?」
 香也の目が、点になった。

「そうしましょうそうしましょう。
 痛いの駄目、暴力駄目、でお仕置き、というと、やっぱり陵辱ですよねー。
 不始末のつけは体で払ってもらいましょう!」
 平然と非常識なことをいって、下半身丸だしのまま、座っている孫子のほうににじり寄っていく。
「……ちょ、ちょっと待ってよ! 楓ちゃん! それ、やばいって!」
「……んふ。んっふっふっふ……。
 幸い、なんですかこの不届き者は、外見だけはまともなようですし、これなら香也様もご満足なさるでしょう。こんなチャラチャラした服着ちゃって、澄ました顔しちゃって。みてください、香也様! この女、こんないやらしい下着つけていますよ。今時ガーターベルトですって!」
 孫子のそばまでやってきた楓は、狂気の光さえ湛えた瞳で孫子目をのぞき込みながら、スカートを捲り上げて、ストッキングに包まれた太股を撫でさする。

 この時になって初めて、孫子は恐怖を感じた。
 ……そうだ。自分は今、抵抗さえできない、俘虜の身だったのだ……。
 楓が触った部分から、皮膚にぷつぷつと鳥肌がたっていく感覚。
「だから、駄目だって楓ちゃん! やめて! 正気に戻って!」
 制止しようとする香也には構わず、楓は、身動きできない孫子の下着に手をかけて、引きずり降ろそうとしている。
「……大丈夫ですよー。痛くないし、むしろ、気持ちいいし。ひょっとしてあなた、はじめてですか? 初めてだとちょっと痛いかも知れませんねー。でも大丈夫ですよー。わたし、痛覚だけを遮断するつぼ、ちゃんと知っていますから……」
 ぶつぶつと言いながら、楓は、半ば降ろした孫子の下着の中に指を入れ、そこの茂みをかき分ける。
「……んふふ。なんですか、この娘。はしたない。もう濡れているじゃないですか。見ているだけで濡れるなんて、いやらしい……。
 いいですかぁ……香也様のような方とできるなんて、とても光栄なことなんですよー……」
 孫子は、楓に指摘されるまで、自分のそこが反応しているとは自覚していなかった。濡れていたこと(そんなものは所詮、生物的な反応にすぎない、と孫子は思っている)よりも、自分でも気づかなかったその事実を、先に、楓に知られてしまったことに対して、羞恥を覚える。
 孫子の頬が、かっと熱くなる。

 その時、プレハブの引き戸ががらりと音をたてて開き、
「………………君たち、なにをやっているんだ?」
 という、加納荒野の声が聞こえた。

[つづき]
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髪長姫は最後に笑う。第二章(1)

第二章 「荒野と香也」(1)

 簡単な経緯を説明して、「茅が口をきいてくれない」と三島百合香に相談してみたら、心底軽蔑した目つきで睨まれ、「自業自得だ馬鹿」と吐き捨てるようにいわれた。
 よりによって、かの「三島百合香」にそのような態度をとられた、ということで、加納荒野の自己嫌悪がますます募っただけの結果に終わった。

 荒野が落ち込もうがどうしようが、容赦なく時間は過ぎ去っていく。
 荒野、黙々と二人分の食事を作り続け、荒野との会話も厳然と拒んでいる茅も、黙々と用意された食事を食べる。あれ以来、茅は荒野のベッドに忍んでくることも、髪を洗えと命ずることもなく、まるで荒野などいないように無視して生活をしていた。
 おかげで荒野は慢性の睡眠不足から解消されたわけだが、そのかわり、心にぽっかりと大穴が開いたような虚無感に常時捕らわれるようになった。

 そんな空しい生活が何日か続き、週末になると、茅は浴衣のままとことこと外出し、三島百合香の部屋に消えた。
「そういえば、前、料理を教えてもらうとかいっていたな」
 と、荒野は思い出した。
 それから、
「髪も切ったことだし、そろそろ茅の外出着も用意しなくてはな」
 ということに、思い当たる。
 時期的に中途半端だということと、茅の外界への馴致期間を見込んで、今は遊民生活を送っているが、新年の三学期から、茅と荒野は新しい学校に通う手筈になっていた。気づけば、「茅の外界への馴致」は一向に進んでおらず、日付だけが空しく経過していた。

「まあ、焦るな」
 ある朝、そうした不安を相談したら、三島百合香はこういった。
「茅、あれでなかなか頭がいい子だぞ。器用だし、飲み込みは早いし、一度教えたことは忘れない。
 それに最近は、なんにでも興味を示す。
 ……なんかきっかけがあれば、自分で外に出ていって、勝手に遊ぶようになるって」
 三島百合香は、茅に料理を教えた経験から、そう断言した。
 なんでも、「ここにもレピシがいっぱいのっているぞ」とネットに接続して見せたら、ブラウザの操作方法をあっという間に覚え、自分であちこち検索して見て回った、という。
 そういわれてみれば、三島百合香の料理教室から帰ってきてから、荒野の留守中、荒野のノートパソコンが使用されたような形跡も、確かにあった。置いた位置がわずかにずれていることを、それまではあまり不審に思わなかったのだが、試しに帰ってからブラウザの履歴を確認してみると、荒野がアクセスした記憶のないアドレスがずらずらと数百単位のオーダーでログに残されていた。

 茅がアクセスしたサイトは料理関係のものに限られたものではなく、それどころか、六割前後が英語や中国語などの、日本語以外で書かれたサイトだった。
 それら、ジャンルも言語も雑多な情報を、茅は自主的に検索し、片っ端から読み込んでいったことになる。これらの情報を、茅が完全に読み込み理解しているのだとすれば、茅は、一種の天才児だということになる。
 ……ありえないことではないな……。
 と、荒野は思う。
 茅がどのような教育を受けてきたのか、などの情報は荒野には伝えられておらず、依然として謎な部分が多い。
「外界から情報を遮断された環境で純粋培養された天才児」というのは、なるほどイメージとしては戯画的にすぎるかもしれないが、可能性としては、十分にありえる……。
 と、荒野は判断する。

 いずれにせよ、使用時間的にみても、荒野よりも茅のほうが長く使っているくらいで……。
 これでは、誰のパソコンか、わからない……そう思った荒野は、新しく茅専用のパソコンを買い与えることにした。
 荒野が持ち帰った新品のノートパソコンを立ち上げ、マンションの室内ならどこでもネット環境を使えるように無線LANをセットアップしてから、
「これ、茅の。自由に使っていいから」
 といって手渡すと、茅は、こくん、と頷いて、無言のまま、受け取った。

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彼女はくノ一! 第二話 (5)

第二話 ライバルはゴスロリ・スナイパー!?(5)

 加納涼治が狩野家の居間に入った時、猫耳装備の加納茅はいかにも幸福そうな、蕩けるような顔をして、この日、五個目か六個目のケーキをパクついている最中だった。三島百合香はデジカムハンディカムを片手に茅の撮影を行っており、どてら姿の羽生譲は、三島百合香の側でなぜか奇妙な踊り(らしきもの)を踊っていた。加納荒野は、それらの騒ぎには一切関知しないものと決意しているらしく、背を丸め、目を細めて炬燵に手足を突っ込んで、ひたすらぬくもりを堪能している。
「お楽しみのようですな。三島先生、おひさしぶりです。そちらの女性の方はお初にお目にかかります。荒野と茅の祖父、加納涼治です。松島楓の保護者でもあります」
 加納涼治は、そうした居間の風景を目の当たりにしても、片方の眉をぴくりと一回だけ動かしただけで、平然とそう挨拶をし、深々と頭を下げた。

『……流石だよ! 流石、謎のニンジャ集団の大首領だよ! こんな騒ぎに遭遇しても全然動じてないよ!』
 と、奇妙な踊り(らしきもの)のポーズを取ったまま凍り付いていたまま、羽生譲は、思った。
『……貫禄だなあ……』
 初めてみる加納涼治は、以前、三島百合香がいっていた通り「ダンディなじいさん」で、オートクチュールの三つ揃いを役者かなにかのようにぴっちりと着こなしている。顔つきと細身の体つきに、やはりなんとなく荒野との類似を感じさせた。
「おお。茅、髪を切ったのか。その髪型も似合っているな。しばらく見ないうちに少し背が伸びたんじゃないのか?」
 そういいながら目を細める加納涼治に、お客様用の座布団を持ってきた狩野真理は、炬燵に入るようにすすめた。

 椅子に座った姿勢のままピクリとも動けない才賀孫子の目前で、服をはだけた狩野香也と松島楓は、抱擁し合ったまま床に転がり、本格的に愛撫し合いはじめた。当所こそその辺を見るまい見るまいとしていた才賀孫子だが、松島楓が本格的に鼻にかかった嬌声を上げはじめるとついつい視線を下げてしまい、そして、視界に入ってきた二人の狂態にドギマギして、慌てて視線を上に外す、ということを繰り返している。時間が経過するにつれ、才賀孫子が視線を下げる頻度と、視線を二人に固定させている時間が徐々に長くなっていく。

 今まさに、松島楓は、いきり立った香也のものを掴み、自分の股間に押し当て、導こうとしている最中だった。見るまい、見るまい、と理性では思っていても、才賀孫子の視線は、吸い付けられるようにそこから外せなくなってしまった。
『……すご……こんな……』
 男性経験のない才賀孫子にとって、このシュチュエーションは刺激が強すぎた。もちろん才賀孫子は、このような性交の光景どころか、男性の性器自体、間近にみるのは初めてだった。
『……あ……あんな……大きいのが……入る、の?』
 そこから視線を外せないでいた才賀孫子のほうを、ふと、松島楓が見上げ……目が、合った。
 松島楓は、なにか得意げな、勝ち誇ったような笑みを薄く浮かべ、才賀孫子に見せつけるように大仰な動作で狩野香也の上に跨り、香也を自身の中に深く導き入て、「はぁ……ぁん」という悩ましげ吐息を、深くついた。

 性的な興奮よりも、屈辱感よりも、その時の松島楓の得意げな表情が目に焼きつき、才賀孫子の癪に障った。
 恥辱で、かっ、と全身が熱くなり、才賀孫子は、この瞬間、まだ名前も知らない松島楓という少女を、『敵』として認定する。
『……この体が自由になったら、……その時は、憶えていらっしゃい!……』
 身動きできないまま、メラメラと楓に対する敵意を燃やし始めた才賀孫子の心中などには構わず、楓と香也は本格的に動き出し、お互いの性感を高め合いはじめていた。
 淫らな、押し殺した声が、プレハブ内に響きはじめる。

「……これでっと……」
 三島百合香は、ハンディカムと今にあったテレビをケーブルに繋ぎ、今しがた撮影したばかりの加納茅の姿を、加納涼治に披露しようとしていた。当然、撮影された茅自身も、初めて「自分がケーキを食べる時の表情の変化」を、目にすることになる。
「……おし。れっつプレイ」
 テレビの画面に、猫耳黒髪ロング、おすまし顔の茅の顔が大写しになる。いきなり自分の顔がテレビに映り、びくん、と茅は体を震わせた。テレビの中の無表情な茅は、フォークでケーキの欠片を口に入れた途端、『にまー』っという擬音がしてきそうなほどに相好を崩し、目を細める。

 テレビを見ていた茅は、初めて自分の『その時の変化』を目の当たりにし、顔を真っ赤にしてぱたぱたと手と振り、きょときょとと首も振ってあたりを見回し、覿面に狼狽した。
 そして、ハンディカムを片手ににまにま笑っている三島百合香に飛びつき、ハンディカムとテレビを繋ぐケーブルを、力任せに引っこ抜く。
「おっ」
 三島百合香は、突進してきた茅から辛くも身をかわし、ハンディカム死守することに成功した。ひょい、と、ちょうどその場に立っていた狩野真理の背後へと、回る。
「茅ちゃーん」
 その狩野真理は、決して小さくはない箱を、持っていた。
「今ねー。茅ちゃんのおじいさまが、おいしーいケーキを買ってきてくださったのよう。
『マンドコドラ』っていうお店のケーキでねえ、この辺のお店の中では、いっちばん、おいしいの」
『いっちばん』の部分に、特に力を込める。
「どれくらいおいしいかっていうとねえ、ここのケーキ食べたら、もう、量産の、工場製のケーキでは満足できない、っていわれているほど、おいっしいの。
 茅ちゃん。、まだ、ケーキ欲しいわよねー」
 真理は、邪気のないにこにこ笑顔で、茅にそう諭した。今の茅にとっては、悪魔の囁きにも等しい。
「……うーっ……」
 茅は立ちすくみ、真っ赤な顔をして、内心のジレンマと闘いはじめる。

 さっき、テレビに映ったような自分の顔は、もう見せたくない。
 でも、「マンドゴドラ」のケーキは、是非、食べてみたい。

 真っ赤な顔をして立ちすくみ、うーうー唸って本気で悩みはじめた茅のそばで、荒野がぽつりといった。
「……おれ、茅が『恥ずかしがっている』ところ、初めてみた……」

 一連の茅の動きを見た羽生譲は、「死ぬ。もう、萌え死ぬる」とかなんとかいいながら、ごろごろ畳の上を転げ回っていた。

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髪長姫は最後に笑う。 「第一章」登場人物一覧

「第一章」登場人物一覧

加納荒野
 本編の主人公の一人。
 加納家の主夫。

加納茅
 本編の主人公の一人。
 加納家のペット兼マスコット。

三島百合香
 荒野の相談役。
 ただし、相談することでかえって事態が錯綜することも、ままあり。
 頼りになるのかならないのか、あいかわらずよく分からない存在。

樋口未樹
「わたし、バカだから」が口癖の、今風の女の子。
 実は、けっこう聡明?
 美容師の卵で、茅の髪を切る。

樋口大樹
 荒野に声をかけてきた、鼻ピアスの少年。
 未樹の弟。
 こいつは多分、本物のバカ。

狩野真理
 チョイ役。
 荒野たちが住むマンションのお隣りの一軒家の主婦。
 過去、荒野となんらかの因縁があったらしい。

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