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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(144)

第六章 「血と技」(144)

 一族とは、つまるところ、その内部に利害を異にする小団体が寄り合ってつくっているゆるやかな集合体である。その中の有力勢力を「六主家」と称しているに過ぎず……一族全体を覆う統一的な意志など、ないに等しい。
『……今まで、かろうじてまとまってこれたのは……』
 そうしなければ、あっという間に一般人社会に飲み込まれて、霧散していたからだろう……と、荒野は考える。
 例えば、佐久間と加納が自分たちの存続を賭けて遂行していた計画を、何者かが力づくで潰した……という例は、一族の内情の複雑さを照明するいい事例だ。
「……当時……研究所を破壊したやつらは……実行犯はともかく、その作戦を立案した連中は……いったい、何を考えていたのかな……」
 荒野は、呟く。
 荒野の父、仁明の不在時に、島を襲った者たち……その背後に、いた者……。
「あの悪餓鬼どもを作ったのも……そいつらではないと、いいけど……」
 研究所の襲撃にせよ、この間のガス弾の件にせよ……何故、そんなことをするのか……荒野には、正直、よく理解できない。
 六主家の一角を弱体化したところで、正直な所、一族全体からみれば、さして影響はない。もっとぶっちゃけたことをいえば……仮に、あの襲撃がもとで、加納と佐久間の後継者が将来、完全に死に絶えたとしても……空いた場所に他のものが居座るだけの話しだ。
 一族全体の勢力は、そんなに減じないだろう。
 遺伝子操作の研究、云々も……確かに、当時としては革新的なことをやっていたのかも知れないが……もう少し待っていれば、一般人も、似たような実験を、はじめたのではないだろうか? 遺伝子地図の解析など、理論的な解明がこれだけ進んでいる以上、結果や成果がでるのか早くなるか遅なるかの違いだけで……あれほど、正面切った攻撃をしかけてくる理由が、荒野には、想像できないのだ。
 第一、あの場所を知っていて、仁明の留守中を狙って……ということは、襲撃を計画した連中は、こちらの内情をよく理解していた、ということになる。
 だったら……実験そのものに反対だったのなら、抜き打ちで武力に訴える前に、公然と実験を非難したり、圧力をかけるなりするほうが……攻撃する側にとっても、安上がりにすむ筈で……
 つまり……加納なり、佐久間なりが何者かを知っていた上で、その二つの勢力を敵に回しても、その研究を潰したかった連中、というのは……いったい、何を狙い、何を考えていたのだろうか……。
『分からない、といえば……あの悪餓鬼どもも……』
 荒野の理解の外にある。
 この間の襲撃も……佐久間現象という駒を、あっという間に手放したこと、その意志さえあれば、荒野たちをもっと手ひどく痛めつけることも可能であったろうに……あえて、あそこで逃げたこと、など……不自然……というか、荒野が不審に思える点が、いくつもある。
 そんな内容のことを、荒野はポツポツとシルヴィに話した。
「……なんというか……とても計算高い部分と……気まぐれな部分……これが、不自然にごっちゃになっている、というか……」
 話しながら、荒野は、自分の考えをまとめていく。
「……そう……。
 計画自体は、それなりに綿密なのに……動機の部分が、妙に不自然というか、何故そんなことをするのか、予測も理解もできない、というか……まるで……」
「……狂信者か、子供のように?」
 シルヴィが、荒野の言葉を引き取る。
「その喩えが適切なのかどうか、よく分からないけど……理性的な部分とそうでない部分が、ごっちゃになっている……というのは、手口からは、感じる」
 荒野は、シルヴィの言葉に頷く。
「そうか……。
 カルトと、子供か……。
 別に、動機が……整然と理解できる動機がない……という場合も、あるか……」
 荒野は、さらに考え込む。
「……判断材料が揃わない今の時点でどうこういってもしょうがないけど……。
 ただ、おれは……そいつらのやり口から、とてつもない悪意を、感じているよ……」

 翌朝の早朝、シルヴィのベッドで目を醒ました荒野は、一人で起き出して持参したスポーツウェアに着替えた。
「……もう、行くの?」
 声がしたので振り向くと、シルヴィがベッドに寝そべったまま、じっとこちらを見ている。
「……ああ。行く」
 荒野は頷く。
「日課だし……みんなが、待っているし」
「……そう……」
 シルヴィは気怠そうに呟いて、目を閉じた。
「コウには、もう……待っている人たちが、いるのね……」
「うん。
 ここに来てからできた、仲間たちが……」
 荒野は、そう返した。
「ん……。
 じゃあ、いってらっしゃい……。
 また、そのうち……」
 シルヴィは目を閉じたまま、眠そうな声を出す。
「ああ。
 そのうち、折りをみて……」
 そういうと荒野は、シルヴィに背を向けた。
「今日の所は、おいとまするから……」

「……仲間たち……か……」
 荒野が部屋を出てから、シルヴィはベッドの上で大きく延びをする。
「コウは……もう、子供ではない……か……」

 着替えの入ったバックを肩にかけてシルヴィのマンションを出た荒野は、すぐに異変に気づいてその場から五メートルほど後方に飛び退いた。
 それまで荒野が立っていた場所に……アスファルトに、いくつかの穴が穿たれている。
『……あっぶねぇ……』
 荒野は精神を緊張させ、周囲の気配を探りながら、心中で冷や汗をかいている。
 荒野が直前まで気づかなかった……と、いうことは……。
『本物の、手練れ……だな』
 それも、油断していれば、荒野でも危ないかも知れない……というレベルの術者だ……。
 内心で緊張しながらも……荒野の顔に微笑が浮かんでいることに……荒野自身は、気づいていない。




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彼女はくノ一! 第五話 (227)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(227)

 最終下校時刻が近づいている、という校内放送があったので、パソコン実習室に居残っていた生徒たちも帰り支度をしはじめる。楓はその放送を聞いて、「あ。今日は、有働さんの声だ」と思った。何人かの放送部員と顔見知りになったおかげで、楓も校内放送の声の主を聞き分けられるようになっている。ぼんやりとそんなことを考えながら、楓も他の生徒たちと同様、手を動かして帰宅の準備をはじめる。支度、とはいっても、筆記用具類を鞄にしまい込み、学校指定のコートとマフラーを着用するだけだが。そうこうするうちに、有働に連れられて姿を消していた堺雅史と柏あんなが連れだって帰ってくる。パソコン部員全員で末端の電源を片っ端から落とし、戸締まりをしてから、実習室の前で解散、ということになる。ほぼ全員がそのまま玄関へと向かったが、楓一人が別の方向、美術室へと向かう。楓が帰りにそこに寄るのはデフォルトなので、会見知りの部員たも別れの挨拶こそすれ、「どこへ行くのか」とは聞かない。いつもと違うのは、今日だけはいつも行動を共にしている茅の姿がなく、楓一人きりだということだ。

 冬本番のこの時期、窓の外はすっかり暗くなっている。照明がついたまま、誰もいない廊下を歩いて、楓は美術室に向かう。
 美術室前で、中からでてくる香也と樋口明日樹と鉢合わせになった。明日樹はそのまま香也と楓を少し待たせ、美術室の鍵をかけ、その鍵を今度は三人で連れ立って職員室に返しに行く。いくら顧問が生徒を放任して、美術準備室内に香也が持ち込んだ私物の画材などが放置されていても、鍵の管理まで杜撰、というわけにはいかないのであった。
「……こうしてみんなで帰るのも、もう何回できるか……」
 職員室に向かう途中で、樋口明日樹はそんなことを呟く。
 明日樹は三年に進級したら、部活から引退する……と以前から公言している。三学期の実質的な授業日数も、残り少なくなっていた。
「でも……毎日、朝来る時とか、顔はあわせますし……」
 楓としては、そんな当たり障りのないことしか、いうことができない。
「そう……なんだけど……」
 明日樹は、ため息をつく。
「それだって、あと一年だし……。
 こっちは、先に卒業しちゃうから……」
 そういうと明日樹は、楓と香也を置いて、職員室に入っていった。

 明日樹が職員室から廊下に戻ってくると、楓が自分の携帯の液晶を覗きこんでいる。
「……メール?」
 楓が特に深刻そうな表情もしていなかったので、明日樹は、気軽に尋ねた。
「ええ」
 楓は、携帯をコートのポケットにしまい込みながら、答えた。
「ガクちゃんたちから。
 ちょうど買い物で商店街に出ているから、一緒に帰ろうって……」
「荷物持ちってこと?」
「いえ……。
 テンちゃんもガクちゃんも、最近では自転車で出回っているし……。
 いつも、荷台とか後ろの座席にめいっぱい荷物積んで、帰ってくるんですよ……」
 狩野家も今では住人の人数が多いので、食料品の消耗もペースが早い。真理がいる時も毎日のように車で買い物に出ていたし、真理不在の最近では、テンとガク、それに羽生が交代で買い物を受け持っている。羽生も、真理が留守の間は、バイトのシフトを、朝に出勤して夕方に帰ってくる昼勤に調整していくれていた。
 楓と孫子は、「学校があるから」という理由で、買い物を免除されている。そのかわり、掃除や洗濯はできるだけやるようにしているが……。
「……人数が多いと、いろいろと大変だ……」
 楓の説明を聞いても、明日樹は芸のないことしかいえなかった。明日樹が家事を行う時といえば、両親が旅行にいった時くらいなもので、それも、大半は姉の未樹がやってしまう。
 何となく想像できるけど、実感はできない……というのが、明日樹の実感だった。

「あっ……来た来た」
「こっちこっち……」
 商店街の外れで自転車を止めて待っていたテンとガクは、香也たち三人の姿を認めると、大きく手を振った。楓の話し通り、自転車の荷台と後部座席に荷物が山となって置かれている。
「……わぁ……本当だ……」
 その荷物が、予想よりも多かったので、明日樹は少し引き気味になる。
「いつも……こんなんなの?」
「何?
 ああ。荷物のこと?」
「今日は、いつもより少ないくらいかな……」
 明日樹の問いに答えながら、テンとガクは自転車のハンドルを持って手で押していく。
「二人とも、いつもお買い物に行っているの?」
 明日樹が、重ねて尋ねる。
「にゅうたんが仕事の帰りに買ってくる時もあるし、いつもってわけではないけど……。
 平日は、だいたいボクらの担当かな……」
 ガクが、頷く。
「朝、お掃除と洗濯やって家出て、たまに図書館によって本を返したり借りたりしながら徳川さんの工場に寄って、そこでいろいろやって晩ご飯の時間までに帰ってくる、というのが、最近のパターン……」
 テンが、淡々と説明する。
「……はぁー……なるほど……」
 明日樹としては、気の抜けた声を出して、頷くよりほかない。
 ……学校に行ってないとはいっても……思ったより、規則正しい生活をしているんだな、と、明日樹は思った。
「……偉いね……二人とも……」
 何となく目をそらして、そんなことをいう。
「徳川君の工場って……例の、撮影?
 あっ。ほら、あれの……」
 そういって明日樹は、ちょうど手近な液晶に映し出されたシルバーガールズのスポット映像を指さす。
「うん。それもあるけど……。
 他にも、いろいろと作っているものがあって……でも、詳しい内容は、まだ秘密」
 テンが、そう答える。
「……あら、今、帰り?」
 どこからか現れた才賀孫子が、帰路を歩きながら話している四人に合流してくる。
「あっ。どうも」
 孫子の出現に気づいた楓が、ちょこんと頭を下げた。
「……どこかに行ってたんですか?」
 明日樹は、制服姿の孫子に尋ねる。孫子と明日樹は同学年だが、孫子にはどうしても敬語を使ってしまう。
「行ってたっ、ていうか……営業回りを、ちょっとね」
 孫子は肩をすくめて答える。
「……登記とか書類上の手続きが済んだら、すぐに稼働できる状態に持って行いっておきたいので、色々と下準備を行っている所です……」
 ……こっちはこっちで……絶対、年齢不相応な発想と行動力だよな……と、明日樹は思う。




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(143)

第六章 「血と技」(143)

 シャワーを浴び、ベッドに場所を移してもう一度交わった後、そのまま眠りについた。茅の時とは違い、シルヴィが相手だと、乱雑な動きをすることになんの躊躇も感じない……という自分の心理を、荒野は「身勝手だな」と思い、行為が終わった後にシルヴィにもそう告げると、「利用しあっているのはお互い様じゃない」と、にべもなく返された。
「……コウは……あの子に預けておくわ。
 しばらくは……」
 シルヴィは、火照った体を冷ましながら、そう呟く。
「……しばらく?」
 その呟きを聞いた荒野は、眉を顰めた。
「コウの最初の子は……シルヴィが、産む。
 コウの子供なら、コウと同じよ……」
 そういって、シルヴィは、自分の腹部をいとおしそうに撫でさすった。
「殿方の愛情は気まぐれで、いつまでもつなぎ止めておけないけど……血の絆は、永遠だわ……」
「……今ので、できたのか?」
 荒野は、シルヴィが撫でている腹部をみながら、複雑な表情をする。そういう約束で同衾したわけだから、そのことについて今更どうこういうつもりはないのだが……心境としては、かなり複雑だった。
 さぁ、と、シルヴィはほほ笑む。
 荒野は、その笑みの中に底知れない深遠をみたような気がした。
「可能性は、ゼロではないけど……実際にどうなのかは、なんともいえないわね……」
 若い荒野には、その笑みの中にあるのは、姉崎の……というよりは、女性が先天的に持つ、深遠のように思えた。
「……正直、そういう実感は、ないんだけど……」
 シルヴィとこうしているのは、熟考して選択した結果だったが……荒野には、まだ、人の親になる、という覚悟も実感も、ありはしない。
「……それでいいのよ、コウは……。
 まだまだ、コウ自身が、子供なんだから……」
 そういうシルヴィの笑みは、ますます柔らかいものになる。
「子供ができたら……わたしが、責任を持って育てるし、姉崎にとっても、コウたちを積極的に支援する根拠ができたことになる……」
「……種馬扱い、というのも、なんだか味気無いもんだな……」
 荒野は、そうぼやいた。
「……あらぁ?
 わたし、相手がコウでなかったら、そもそも、こんな提案もしないけど……」
 シルヴィが、わざとらしい仕草で目を丸く見開いて見せる。
「……いや……。
 わかってる、つもりだけど……」
 荒野にしてもシルヴィにしても、相手の性格、その基本的な部分を熟知しあっている同士だ。
 以心伝心、とまではいかなくとも、お互いの思考法は、ある程度推測がつく。
「……それで……例の情報は、ちゃんと渡してくれるんだろうな……」
 気まずくなった荒野は、話題を変えた。
「もちろん。
 心当たりに、追跡調査を頼んでいるところよ……」
 この手の話題になると、シルヴィの目付きも、いつもより鋭いものになる。
「……手持ちの情報も、フィルタリングかけているところだけど……断片的なものばかりで、どれも確実性に欠けるわ……」
 シルヴィは、研究所を襲った連中の中で、身元が判明している者、その前後で姿を消した一族の関係者などを洗いだし、一人一人の痕跡をたどらせている、という。
「ただ……何分、十年以上前のことだし、生存者自体が極端に少ないから……」
 そちらの線は、望み薄だ、と答えた。
「……あと……肝心のBad kidsの方だけど……」
 茅が描いた似顔絵を元に、ここ数年の入出国のデータなども照合したが、芳しい結果は得られなかった、という。
「この国で生まれたか、それとも、うーんと小さい時に来て、育ったか……」
「……国内には、姉崎の手は届かない、か……」
 荒野は嘆息する。
「じじいとかロートル連中が、もう少し協力的ならなあ……」
「長老の反応は? 相変わらずなの?」
「ああ……。
 好きにしろって突き放されているよ、相変わらず……」
 荒野は、ゆっくり首を振る。
「あの悪餓鬼ども……おれたちだけではなく、一族全体にとって脅威だと思うんだが……」
「コウは……古株連中に、試されているのよ。
 やっかみ半分、かもしれない……」
 シルヴィは、そう指摘する。
「コウが、ここではじめたことは……その存在を秘匿することを、自らの存在理由とする、旧来の一族価値観とは、まっこうから対立する……」
「そのことは、おれも考えたこと、ある……」
 荒野も、頷く。
「じじいにしてみれば、そういううるさ型の手前、あんまり大っぴらにこっちの支援をするわけもいかないのかもな……。
 なんていったって、長老だし……」
 多分に名目上のこととはいえ、仮にも一族のトップが、今までの一族のあり方を否定しようとする荒野の活動を公然と支援することは……涼治の立場を考慮すれば、まずありえないことだった。
「……おれが勝手に動いている段階では、若い者の軽挙ですむ……って、こったろ?」
「……わかっているじゃない……」
 シルヴィも、頷く。
 理解はできるが……反面、若い荒野は、そうした古い因習やしがらみを、馬鹿馬鹿しく思う気持ちもある。
「ま、国内の捜査は……将来、こっちの手駒が、使えそうな人が確保できたら、自前でやるよ……」
 間に合えば、いいが……と思いながらも、現在の荒野には、それ以上の、現状で打つべき手がない。
「……やつらを育てたり、バックアップしたりした連中のあては?」
「……そちらも……」
 シルヴィは肩を竦めて、顔を左右に振った。
「……例の研究所の生き残りも……ほとんどが、早い時期に死亡しているし……数少ない生き残りは、佐久間が保護してたから……」
 それは……文字どおり、「保護」だったのだろう。
 あんな事件があった直後なら、佐久間が疑心暗鬼に駆られていてもおかしくはない。他の一族を完全に信用しきれなくて、情報を完全にシャットアウトした時期があっても……。
「……で、その佐久間のカーテンがなくなった頃には……数少ない生存者は散り散りになっていた……ということか……」
「……佐久間も……当時は、複雑だったようね。
 そのまま一族から分離して、一般人の中に姿をくらましてしまえ、という一派もいたそうだし……実際に脱落者も、相当数、でたようだし……」
 ようするに……事件の生存者どころではない、混乱期も存在した……ということらしい。
「そんなんじゃ……当時の記録をたどるのは、難しいか……」
 納得すると同時に……荒野は、ため息をつく。
「……この間、ガス弾に使用された容器を徳川が調べたんだが……あれも、なんの変哲もないプラスチック製で、材料と簡単な設備……小さな町工場程度の設備がありさえすれば、誰にでも容易できる代物だったって……」
 今度は荒野が、シルヴィに説明した。
「……中身は、いうまでもない……。
 やつら、どこででも手に入れられる、足のつかないものばかりを使って、最大限の効果をあげやがった……」
 あの時の襲撃で、代替の効かない要素は「佐久間現象」くらいなものだろう。その現象も、見事に一回利用したきりで「使い捨て」にしている。現象の能力とモチベーションを考えたら、もう少し扱いに注意して、長く使いそうなものだが……悪餓鬼どもは、あえてそれをしていない。
 荒野が今、こうしていられるのは……たまたま、理解者に恵まれただけだ。そうでなければ……荒野たちは、一般人に、追われてここから逃げ出している筈だった。
 現在の荒野たちににとって、損害、というのなら、これ以上大きな損害は、ない。
 場合によっては、かなり長期にわたって、方々を流れ歩かなければならないし、全員で固まって移動するのも目立つから、いくつかのグループに分離していた可能性もある。
 そうなれば……悪餓鬼どもにとっては、各個撃破の好機となる。
 そうならなかったのは、あくまで、荒野たちが「幸運」だったから、だ。
「……まったく……やっかいな連中を、作ってくれたもんだよ……」
 荒野はそう、ぼやいた。





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彼女はくノ一! 第五話 (226)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(226)

「……排除するも何も……」
 堺は肩を竦めた。
「もう、友だちですから……。
 それに、変わり者ということなら、うちの両親もそうですし……」
「……そういえば……」
 柏あんなも、堺の言葉に頷いている。
「おじさんたちとうちの両親も……おねーちゃんがしっかりしているのをいいことに、子供ほったらかしにして、あちこちほっつき歩いているし……そういう非常識な大人に比べれば、あの子たちのほうがいくらかましかも……」
「……そちらの家庭の事情はさておき……」
 ……子供にこれだけのことをいわせる両親、というのは、どういうもんなんだろうか……と、有働も思わないでもなかったが、他人の家庭の事情を詮索する趣味もなかったので、その部分へのコメントは差し控えた。
「お二人は、あの人たちに、特に悪感情はないっていうことですね?」
「……うん。そう」
 柏あんなは、頷く。
「……怖いか怖くないか、っていったら、怖いとは思うけど……。
 でも、あの人たち、加納先輩とか楓ちゃん、自分の能力をそんなことに使わないってわかってるし……」
「……それに……さっきあんなちゃんがいってた、危ないって話しも……そのへんに普通にある刃物だって、使いようによっては、武器になるわけで……。普通の自家用車だって、交通ルールを守らないだけで、凶器になるわけですし……。
 潜在的な殺傷能力がある、ということでいえば、あの人たちとぼくらと、もうあまり代わりませんよ……。
 昨日、徳川さんの工場にいた人たちが、どんなに強くても……ぼくには、不意に遭遇する交通事故とか……あと、道を歩いていて、刃物を持ったジャンキーと遭遇する可能性とか、そっちの方が恐いです……。
 加納先輩の関係者とはまだしも会話ができますが、そうした不意のアクシデントは、一方的に曝されるだけですから……」
「……堺君は……」
 堺雅史の言い分は、身も蓋もなかったが……理路整然としている……と、有働は思う。
「彼らが、対話可能な相手だから、あまり恐くはない、という意見なのですね?」
 そう、確認をした。
「……ええ。そうですね……」
 堺は頷く。
「例えばあんなちゃんとは、ぼく、やっても負けると分かっているんで、喧嘩をしようとは思いませんけど……」
 有働から見えない机の下で、柏あんなは堺の臑を蹴飛ばしている。
「……同時に、だからといって、あんなちゃんが空手の有段者だからといって、むやみに恐がることもありません……。
 あの人たちが、ぼくらを襲うとして集まってきているのならともかく……そうでないのなら、むやみに恐がる必要もないかと……。
 昨日の様子では……大半の人達は、他に行き場がなくて、しかたがなくここに来たって感じでしたけど……」
 堺雅史と柏あんなは、玉木やテン、ガクとともに、昨夜、大勢の「彼ら」とともに、長時間、歓談している……ということを、有働も知っている。
 そこでの感触も含めて、堺なりに出した結論らしかった。
「……柏さんも、同じ意見ですか?」
 有働は、今度は、柏あんなに水を向ける。
「……まったく、同じ……というわけではありませんけど……」
 柏あんなは、言葉を濁す。
「……ええっと……。
 楓ちゃんとか加納先輩、それに、才賀先輩なんかも……そうした知り合いについては、どんなに強大な力を持っていても、特に問題はないと思っています。
 そういった人たちが、無茶なことをするとは思えませんから……」
 考え考え、言葉を紡いでいた柏あんなは、そこで言葉を切った。
「……でも、他の人たちについては……一概には……」
 しばらく思案していた柏あんなは、「このことは誰にも、特に、楓ちゃんや才賀先輩の耳には、入らないようにしてくださいね」と前置きして、有働と堺に、昨日の「酒見姉妹が香也を人質にしようとして、失敗した件」について、一通り説明する。
 荒野に口止めはされていたが、興味本位で流布しているわけではないし、有働勇作の耳には、その一件を入れておいていいだろう……と、考えた末、柏あんなは結論した。

「……そんなことが、あったんですか……」
 柏あんなの話しを一通り聞き終えた有働は、そういってため息をついた。
「あったんです」
 柏あんなが、頷く。
「……確かに、まぁくん……堺君のいうとおり、昨日の人たちが、理由もなく他人を襲うとは思いません。
 けど……逆にいえば、その必要が生じれば、彼らは……躊躇せず、無関係の人を、利用したり傷つけたりするんじゃないでしょうか?」
 あんなのその指摘は、重かった。
「……そう、思います……」
 有働も、あんなの言葉を否定する材料を持っていない以上、頷かないわけにはいかない。
「今のところ、利害が対立していないから……それに、下手に目立って、自分たちの正体が露見する機会を作りたくないから……ぼくたち、地元住人にも、それなりに配慮しているわけで……。
 でも、加納君は……」
「そうしたこと……学校とか、この辺に住む人たちに、とばちりが行かないように、気をつけている……。
 それも、理解しています」
 昨日の、徳川の工場での荒野をみていれば、いやでも理解できる。荒野は、できるだけ、誰も傷つかない……という結果を得るために、必死になっている。
「でも……その、加納先輩の理屈って……。
 他の人たち……例えば、この間、学校に侵入して来た人たちにまでが……尊重してくれるもんなんでしょうか?」
 あんながそう続けると、重苦しい沈黙が訪れた。
「……そうか……」
 しばらくして、堺雅史が、その沈黙を破る。
「加納先輩にしてみれば……この町全体が、人質になっているようなものなんだ……。
 だから、昨日も……新しく来た人たちに、できるだけいい印象を持って貰おうと……」
 荒野は、自分の窮状を友人たちに懇切丁寧に説明したりしていない。
 しかし、荒野が達したのと同じ結論に、この三人も達していた。
「……加納君は、優しすぎるのです」
 有働も、頷く。
「彼の性格だと、不利だと分かっていながらも……そういう選択しか、できないのでしょう……」
「……有働先輩、最近、徳川さんの工場にいっています?」
 唐突に、柏あんなが、一見関係無さそうな話題を持ち出した。
「……いえ、ここ数日は……。
 向こうには、玉木さんたちが、詰めていますし……」
 有働は、戸惑いながら、首を左右に振る。
「……じゃあ、一度時間を作って、見にいってみるといいですよ……」
 柏あんなは、悪戯っ子めいた笑顔をみせた。
「……いろいろと……面白いことを、やっていますから。
 監視カメラとか、才賀先輩の会社とか……今の話し聞いて、わたし、初めてその意味が理解できました。
 特に才賀先輩の動きは……有働先輩なんかは、興味を持つと思いますし、わたしなんかよりも、しっかりとその意味を理解できると思いますけど……」




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(142)

第六章 「血と技」(142)

 下から乱雑に突き上げられ、シルヴィの胸が複雑に形を変えながら上下に揺れ弾んでいいる。
 それを見ながら、荒野は、
『……茅のは、こんなにはならないな……』
 とか、思ってしまっている。
 荒野を押し包むように締め付けてくるシルヴィから、確かに快楽を感じてはいたが……それ以上に冷静に醒めてしまっている自分を、荒野は感じていた。
「……コウ……」
 シルヴィが、前屈みになって、荒野の顔を覗き込む。
「……全然、んっ!
 気が、入っていない……」
 そう指摘するシルヴィ自身は、荒野の動きに合わせて、鼻息を荒くして、自分から腰を動かしはじめている。
 経験が浅い荒野とシルヴィとでは、同じ行為をしていても、受け止める快楽の質と量が違うということだろうか? と、荒野はふと疑問に思った。俗にいう、「開発されている」というやつで、茅の例から見ても、回数を重ねた方が、性感は深くなる……ような、気がする。
「……あっ! やっ!」
 荒野がそんなことを考えて入る間にも、シルヴィは次第に声を大きくして、荒野の上で跳びはねている。
「……シルヴィ、感じてすぎ……」
 シルヴィの乳房を鷲掴みにして下から体重を支えながら、荒野はそう指摘する。
「……やっ! だって、これは……。
 コウだからっ! コウは、他の人とは違うのっ!」
 シルヴィが跳ねる度に、シルヴィの突き当たりに荒野の先端ががんがんと追突する感触があった。
 荒野全体を押し包んでいるシルヴィの襞が、もぞもぞと蠢動している。
 荒野は上体を起こして両腕でシルヴィの尻を抱え、持ち上げて、激しく上下にシェイクした。
「……はぁ! あっ! あぁっ! あっ!」
 首をのけ反らせて、シルヴィが、短く鳴きはじめる。
 荒野が両腕に抱えたシルヴィをシェイクしはじめて、一分もたたないうちに、シルヴィは「……ぅぅぅっ……」という細い声を振り絞って、そのまま全身の力を抜き、荒野の腕のなかでぐったりとしてしまった。
 早々に、達してしまったらしい。
 置いて行かれた形の荒野は、力の抜けたシルヴィ体をそっと横たえた。
 そして、シルヴィから身を離そうとすると、
「……まだ、駄目ぇ……」
 シルヴィが、鼻声でいって、荒野の肩に手を添える。
「まだ……抜かないでぇ……。
 コウ、終わってないし……」
 シルヴィの、荒野を捕らえている部分がもぞもぞと蠢く。達していない荒野は、まだ硬いままだった。
「……もう少し……コウを感じるのぉ……」
 舌足らずの幼い口調でいって、シルヴィは手足を荒野の体に巻き付ける。
 シルヴィに引き寄せられた荒野は、そのまま、シルヴィと折り重なって、どちらからともなく、口唇を重ねる。
 シルヴィが荒野の存在を確認するように、手足を動かして、荒野の背中をまさぐる。
 長々とした口づけのあと、顔を離したシルヴィは、
「……このまま、続きを……んんっ!」
 と、いいかけ、言い終わる前に動きはじめた荒野に反応して、途中で言葉を切った。
 荒野が奥まで打ち付ける度に、シルヴィは全身を震わせて、
「……はぅうっ!」
 とか、
「……あぅっ!」
 とか、荒野には大袈裟に聞こえる泣き声をあげる。
 幼少時からあまり上品ではない大人たちに混って働いて来た荒野は、そうした柄のよくない大人たちによって、早くから洋物のポルノグラフィも見せられてきていたが……シルヴィの反応は、そこにでてくる整形美人たちがあげる、芝居ががった嬌声に、似ていないこともない。
 荒野がこれまでに抱いた女性たちとは違って、シルヴィは自分の反応を押し殺す、ということがなく、感じるままに反応しているように見えた。
 そこまで激しい反応をする女性と当たったのははじめてだったので、荒野は、もっとシルヴィを反応させたくなる。
 そこで、少し腰を浮かせて、シルヴィの尻を両腕で持ち上げてした。
 そうすると、挿送している部分の、角度が変化する。
 シルヴィの嬌声がさらに大きくなり、全身に赤みがさしてくる。
 シルヴィの腰を持ち上げたまま、挿送の速度を速めると、シルヴィはいやいやをするように首を振りながら絶叫し、全身を震わせはじめた。
 何度も、「……Oh my! Oh my!」とか喚き、結合部から生暖かい液体が噴出させる。量と、それに、間欠的に噴出されるところからみて、失禁……では、ないようだ。
 女性って……本当に感じると、こんな風になるんだ……と、荒野は思った。
 そう思った途端、尾てい骨のあたりが、かっと熱くなる。
 それまで醒めていた荒野の内圧が、急速に高まっていた。
「……ヴィ!」
 荒野は、それまで以上に激しくシルヴィを付きながら、叫ぶ。
「行くよ!
 今、ヴィの中に、行くよ!」
「……coming! i'm coming!」
 全身を床の上で震わせながら、シルヴィも荒野に応えて、叫ぶ。
 荒野が熱くなった分身をシルヴィの中で解放すると、シルヴィはガクガクと全身を波打たせた。
「……hot……very hot……」
 半眼になったシルヴィが、そう呟く。
 シルヴィの、荒野を加えた部位が複雑な動きを繰り返して、収縮する。
 シルヴィは、荒野の背中に腕を回そうとしたが……その腕には、ほとんど力がこもっていなかった。荒野の背中が汗まみれになっていたこともあって、背中にまわされたシルヴィの腕が、するりと脇に落ちる。
 シルヴィの心情を察した荒野は、落ちた腕を自分の背中に回し、シルヴィの体に寄り添うように、体を密着する。
 シルヴィは、もう一方の手で、弱々しく荒野の髪を梳いた。
「……コウ……。
 You are …… power fighter……」
 荒野は苦笑いをする。
「経験もテクもないから、力任せになるだけだよ……」
「でも……すごかった……」
 シルヴィは、一度、身を起こして、荒野の胸板の上に頬をつけて、体重を預ける。
 シルヴィも荒野も、汗まみれになっている。
「……コウの音が、聞こえる……」
 荒野の胸に耳を当てながら、シルヴィが、呟く。
 心音、あるいは、呼吸音まで、探れるのかもしれない……と、荒野は思う。
 茅たちの例もあるから、誰がどのような知覚、能力を隠し持っていても、もはや荒野は驚かない……と、そこまで考えて、荒野は、茅のことをシルヴィに相談して見よう、と、思った。
「……こんな時に、なんなんだけど……」
「何? あの子の話し?
 コウ、マナー違反よ……」
 荒野の口調から内容を察したシルヴィが、素早く顔をあげ、鋭い声を出す。
「……あっ……。
 そう、だな……」
 言われて、荒野も初めて気づく。
 裸で抱き合っている男女が、別の女性について真剣に話し込むのは……確かに、どこか、おかしい。
「……ま、いいわ……」
 シルヴィは軽くため息をついて、再び荒野の胸に耳をつける。
「……話してみなさい。
 場合によっては、相談に乗ってやらないこともない……。
 あの子には、ヴィも興味があるし……」
 荒野は、
「……まだ、はっきりと確認してはいないんだけど……」
 茅の知覚拡大化、高密度化が、進行しているらしい……ということを、シルヴィに告げる。
「多分……茅は、おれたちと一緒にいあても、おれたちよりも大量の情報を受け取って、処理している。
 一人で高密度な世界に、住んでいるんだ……」
 そう前置きして、荒野は、
「……あいつ……自分だけが、孤立している……という風に、感じはじめたらしい……。
 一族よりも、さらに特殊な存在だ……という意味を、過剰に意識しはじめた……というか……」
「……それは、また……」
 シルヴィは、荒野の上で、再度、ため息をつく。
「この国の言葉でいうと……アリガチで、青い悩みねぇ……」
 ……他人と自分が違っているのは、当たり前。
 そんなこと、放っておいても、すぐに理解するようになるわよ……と、シルヴィはいった。




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彼女はくノ一! 第五話 (225)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(225)

 堺雅史と柏あんなは、顔を見合わせ、頷き合う。
「……わかりました……」
 その後、柏あんなは、有働勇作に向き直った。
「それで……何から、話せばいいんでしょうか?」
「その前に……ちょっと失礼します……」
 有働がボイスレコーダーを取り出す。これは、有働の私物ではなく放送部の備品だった。
「録音を、させてください……」
「それ……まとめた終わったら、ぼくたちの分は、内容をチェックさせてもらえるんですよね?」
 堺が、すかさず確認する。
「もちろんです」
 有働も、即座に首肯した。
「それと、都合の悪い質問には、ノーコメントといってくれて構いません」
 有働の境や柏への接し方は、あくまで丁寧だった。
 柏あんなは、有働が何故放送部員たちに一目置かれているのか、わかったような気がした。
「……それでは、ここから、録音します……」
 有働はボイスレコーダーのスイッチを入れ、二人の話しを聞きはじめた。
「お二人が……あの人たちに会ったきっかけは? それに、初対面の時の印象なんかも……」
「ぼくは……あんなちゃん経由で紹介されて……」
「わたしは、おねーちゃん……姉に、冬休み限定のバイトがあるって聞いて、それは同人誌のお手伝いだったんですけど……」
 有働は、メモをとったり時折質問を差し挟みながら、二人の話しを興味深そうな顔付きで聞いていく。
「……最初、その家……狩野君、一年の方の狩野君、なんですけど、狩野君の家にいった時、きれいな女の人ばかりでびっくりしました。一人一人、名前を紹介されて……一緒にいた樋口先輩なんかもそうですが、なんか硬くなっちゃって……途中で、松島さんと才賀先輩が、商店街でクリスマスの時、サンタとトナカイをやっていた人たちだと気づいて……。
 あ。バイトというのは、学校には内緒で……」
 独演会になりかけた所で、柏あんなは有働の顔色を伺う。
「わかりました。その辺は、別に重要ではないので……ただ単に、羽生さんの同人誌を手伝いにいって、とか、ぼかしておくことにします」
 有働が、頷く。
「……確かに……彼女たちが、一カ所にまとまっていると……非現実的な雰囲気になりますからね……。そこだけ、ぼくたちとは、なんか別の世界というか……。あ。柏さんも、その一人なんですが……」
「……ええっと……。
 それで、ですね。その時は、きれいな人たちばかりがいるな、と思って終わりだったんですけど、その後、例の三人がいつの間にか、あの家に住み着いていて……」
「……あの三人の出現は、加納君にとってもイレギュラーな出来事だったようです。
 彼も、かなり焦ってましたから……」
「そうなんですか?
 加納先輩……表面にはあまり出ませんけど、よーくみてると、割りと動揺しすい所がありますよね……」
「はい。
 繊細な所があるのに、本人はあまり自覚していないというか……」
 有働は、玉木を巡って三人組と楓、孫子が争った時、なにかを達観したような荒野の表情を思い浮かべて、あんなの言葉に頷く。
 なんだかインタビューというよりは、情報交換になってきている。
「……話しを元に戻すと、その三人組も含めて、実際につきあってみると案外、普通の子だと思いました。外見以外に、時折、変なことに無知だったり、逆に、特定の分野にとっても詳しかったりして、違和感を感じることもありましたけど……」
「……楓ちゃんと茅ちゃんのアレのおかげで、パソコン部はかなり助かっています……」
 堺雅史が、口を挟む。
「はい。
 放送部も、助かっています」
 有働も、頷く。
「でも……そういうのって、この学校には徳川先輩みたいなのも、一年の狩野君もいるし……。偶然というにはアレですけど、まあ、アリかなって……納得していた矢先に、この間の週末の……」
「……加納君の、あれ、ですか……」
 パソコン実習室に侵入して来た部外者を、荒野が実力で排除する時の様子を、あんなと堺、それに、その場にいたパソコン部の生徒は実際に目撃している。
 なんの前触れもなく、いきなり起こったアクシデントだから、彼ら、目撃者たちも、かなり動揺した筈だ……と、有働は考える。
「やっぱり……驚きましたか?」
「驚いた、なんて半端なものではないです!」
 柏あんなが、声を高くする。
「あんなの……人間技ではないです!
 わたし、自分でも空手をやっているから、他の、何にもしていない人よりは、その、人間の限界っていうのを、理解しているつもりですけど……ああいうのは、その限界、軽く越えています……。
 それに……」
「……それに?」
 そこでいきなり言葉を噤んだあんなを、有働は、怪訝な表情で見返す。
「わたし……空手やってるから、想像つくんですけど……あれだけの素早さとか瞬発力が産むエネルギー……いえ、もっとはっきりいえば、破壊力は……相当な、ものです……。
 楓ちゃんや加納先輩のような人たちだから……それに、昨日、大勢来てた人たちも、感じが良さそうな人が多かったですけど……その、普通に考えれば、あの人たちは……そこいらにいる人が、常時、凶器を所持して、武装しているのと、変わらないです……」
「……なるほど……」
 有働勇作は、頷く。
 柏あんなの反応……「彼ら」という存在への、漠然とした不安……は、有働が何種類か予測していた反応パターンのひとつに合致する。
「それで……柏さんは、可能性の問題として、彼らが危険な存在になりうるから……という理由で、彼らを我々の生活圏から排除するべきだ、と……そう、思いますか?」
 有働はこの時、「彼ら」とか「我々」という語を、選択的に用いている。荒野がどんなに同化しようと努めても……違うものは、違うのだ。
 その異物同士が、どのような関係を築けるのか……築くことが、果たして可能なのか……。
 有働の興味は、実は、その一点になる。
「……有働先輩は……本当に、聞いてほしくないことを、ずばりと聞いて来ますね……」
 柏あんなは顔を伏せて、かなり長い間、沈黙した。
 そして、再び顔を上げた時、泣き顔と笑い顔が入り混ったような、かなり複雑な表情をしている。
「……わたし……飯島先輩ほど大物ではありませんから、全てをあるがままに受け入れる度量なんて、ありません。
 怖いものは怖いし……昨日の人たちだって……一年の狩野君を人質に取ろうとしたくらいだから、全員が善良な人たちだとも、思わない。
 でも……楓ちゃんとか加納先輩とかは、信用出来ます。それで……。
 加納先輩たちなら、昨日、工場にいた人たちも、いざとなれば実力を行使しても、静かにさせることができます。
 だから、わたしは……あの人たち、というよりも、加納先輩たちを、信用します……」
 長々と語った柏あんなの声は、震えていた。
「……わかりました」
 有働勇作は、そう答えて柏あんなへの質問を打ち切った。
 これが、今の時点での、柏あんなの本音だろう……と、有働勇作は、そう判断する。
「……それでは、今度は堺雅史君に同じことを聞きたいと思います。
 まず、堺君は、彼らとは、どういう出会い方をしましたか?」
「……ぼくの場合は、あんなちゃん経由で紹介されて……というか、遊びに行こうと誘われていったら、彼らもそこに混っていた、という形です。
 初詣やプールにもいっしょにいったし……」
 堺雅史は、有働の質問を半ば予期していたのか、すらすらと答える。
 一通りの経緯を聞いた後、有働は堺にも、あんなと同じ質問を繰り返した。
「堺君は……彼らは、危険な存在だと、排除すべきだと、思いますか?」




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(141)

第六章 「血と技」(141)

 ブラも外れ、布地が極端に小さい下着一枚の姿になると、シルヴィは荒野の膝の上から降りて、自分の体をあえて誇示するように少し後ずさり、荒野と距離を置いた。
 ……本当に、でかい……。
 と、荒野は思った。
 シルヴィの、つんと上を向いている乳首が、すぐ目の前にある。ただ無闇にでかい、というだけではなく、前の方に突き出ていて、尖った乳首が上に逸れている。
「……なに?
 女の体が、珍しいわけではないでしょ?」
 荒野の視線が固まっているのを確認して、シルヴィが満足そうな声でいう。
「……あ。いや……。
 きれいな形だな、と、思って……」
 荒野は、半ば呆然とした口調で、反射的にそんなことを答える。
 胸だけではなく……引き締まったウエストと、脂肪だけではなく、ほどよく筋肉がついていることがわかる、太股……。
『……見た目だけ、ではないな……』
 と、荒野は思う。
 ジムに通い、専任のインストラクターがついて作られた体、ではなく、どちらかというと、野生動物に似た精悍さを感じさせる……。
「……ヴィ……」
 荒野は、思わずそんなことを聞いている。
「その気になれば、荒事も……」
「……こら……」
 シルヴィは荒野の口唇を人差し指でふさぐ。
「裸の女を前にして、そんなことを……」
 ……しまった……と、荒野は思った。
「……ごめん。つい……」
 素直に、荒野は謝罪の言葉を口にした。
「……いいのよ。
 この国では……初っぱなに、用意した護衛をコウジンに潰されてるし……ここでの荒事は……正直、もうこりごりなの。損害が、大きすぎるし……。
 やっぱり発祥の地だけあって、この国の術者のレベルは高いわ……」
 ……荒神?
 荒野の知らないところで、なにかしらの暗闘があったのだろうか? ……という質問をする前に、シルヴィが荒野の膝の上に乗っかってきた。今度は、横座りで、そのまま荒野の首に腕を回してくる。
「コウは……裸の女を前にして、そんなことしか話さないの?」
 耳元に息を吹きかけるようにして、そんなことを囁く。
 荒野の手を自分の胸に導きながら、シルヴィはいった。
「……コウの……好きにして、いいのよ……」
 そのまま、荒野の耳を軽く噛む。
 続いて、尖らせた舌先で、荒野の耳を探り、耳の下から顎の線に沿って、舌をはわせた。
「……んっ……コウ……震えている……」
 シルヴィは、荒野の首に舌を這わせながら、荒野の服に手をかける。
 荒野の服を剥ぎながら、シルヴィは露出した荒野の肌に抱きつき、舌と手でまさぐった。
 服を脱がされながら、荒野は、全身で、シルヴィの掌を、胸を、肌を、舌を、体温を、感じる。ある時は、背中に乳房を押しつけながら、うなじに頬ずりをし、そうかと思えば前に回って、荒野の股間に手を入れながら、荒野の乳首に吸い付いている。
 荒野が一糸も纏わない状態になる頃には、全身くまなく刺激され、荒野の息もかなり荒くなっていた。その割には、射精感があまり高まっていない。シルヴィが、あまり荒野がヒートアップしすぎないように調整しながら、これまでの愛撫を行っていたのだろう……と、荒野は気づいた。
 ……やはり、姉崎は……この手の技術に熟練している。経験の浅い自分では、いいように翻弄されるばかりだ、と……。
 性行為で主導権を握られることに対し、荒野はさほどこだわりはないが……シルヴィが提供する快楽に、溺れるわけにはいかない、と、荒野は自分に言い聞かせる。
 なにしろ相手は、何百年にもわたって、房事で男を操る技を磨いてきた血統だ……。
「……そんなに難しい顔、しない……」
 シルヴィは拗ねたような声をだして、荒野をソファの上に押し倒し、自分もその上に倒れ込む。
「……今は……ヴィだけのことを……考えて……」
 そういいながら、荒野の分身を手で掴み、先端を自分の秘処にあてがった。荒野の服を脱がせながら、全身を使って愛撫する課程で、シルヴィが身につけていた最後の一枚も、脱げ落ちている。
 すでにそこは、黄色に光る陰毛も含めて、十分に濡れている。処理しているからか、シルヴィのソコは、局部にだけヘアが密集している形だった。
 金色のくさむらにあてがわれた荒野の先端が、にゅり、という感じで飲み込まれていく。
 シルヴィのソコは、荒野がそれまでに経験した「女性」とは、まるで感触が違った。吸い付いてくる……というよりは、襞全体が、荒野の物を、奥の方に吸い込んでいくような錯覚を覚える。実際には、吸い込む、というよりはは、奥に送るような顫動を行っている、といういことなのだろうが……。
 荒野が、シルヴィの中に入っていく……というよりも、荒野が、シルヴィに吸い込まれていく……という感じだった。
 なんの抵抗もなく、起立した荒野をシルヴィが飲み込んだ。シルヴィの荒野を飲み込んだ部分が、複雑な身震いをして、荒野に絡みつく。
 冷静な熱狂。という語が、唐突に、荒野の脳裏に浮かぶ。
「……ようやく……」
 荒野の上で、シルヴィが打ち震える。
「……コウと、一つに……んんっ!」
 言葉の途中で、荒野は、力任せにシルヴィを突き上げた。
 急激に奥まで届けといわんばかりに下から突き上げられたシルヴィは、呻いて首を仰け反らせる。
 ……シルヴィを、冷静にさせては、いけない……と、荒野の本能が、荒野に告げている。だから、荒野は、乱雑な動きでシルヴィの中を小突き、かき回す。下から突き上げられたシルヴィの体が踊る。あやうく結合が解けそうな位に体を浮かせ、荒野の腕で乱暴に下ろされて、再び突き上げられる……という繰り返し、だった。
「……そんな……乱暴に……いきなり……」
 シルヴィは荒野に抗議しようとするが、舌を噛みそうになるので切れ切れにしか言葉を紡げない。
 それでも、結合部が収縮して荒野を締め上げ、シルヴィの奥からとどめなく生暖かい液体が流れはじめている。
 乱暴きわまる荒野の動きでも、シルヴィは感じはじめているようだった。




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彼女はくノ一! 第五話 (224)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(224)

 荒野たちのことを聞きたい、というこなら……と、まず楓が立ち上がって有働の前にでかけたが、これは他の部員が慌てて制止した。早々に茅帰宅した今、楓にまで抜けられると、全体の作業進行全体が遅くなる。
 それに、「……松島さんは、当事者ですから……」と、有働勇作もやんわりと断ってきた。
 今回、有働が集めたいのは、「彼ら」を迎えた周囲の、普通の生徒の談話なのである。
 パソコン部員たちがその場でごそごそと話し合いを行った上、加納兄弟と早くから付き合いのあった堺雅史が、皆に小突かれるようして有働勇作の前に引っ張り出された。楓や孫子も含めた「加納兄弟の一党」に縁が深いのは、実は堺雅史というよりは柏あんななのだが、そのあんな経由で、堺雅史が早い時期からそうした面子と関わりを持ってきたことは事実だ。それに、堺雅史はパソコン部員だが、柏あんなはそうではない。
 堺雅史が、
「……じゃあ、ここでは落ちきませんから、放送室の方へ……」
 と先導する有働の後についていくと、柏あんなも当然のようにその横に並んで歩いていく。

「……なんにもありませんが……」
 といって、有働は紙コップにいれたインスタント・コーヒーをすすめてくれた。
「……火、使えるんですか、ここ?」
 差し出された紙コップの中身をみて、柏あんなが疑問を口にする。
「まさか」
 有働は首を振った。
「……玉木さんがね、いろいろと持ち込んでくるんですよ……。
 ここ、放送中っていうことにすれば、よっぽどのことがなくては、先生も立ち入りませんし……」
 そういって、部屋の隅に置いてある電気ポットを指さす。
 この放送室には、昼休みや放課後も、放送部の生徒が常駐して校内放送を行っている。ほとんどありものの音楽を流しっぱなししているだけだが、それでも玉木のような目端の利く生徒がいれば、あっという間に不審物の倉庫になるのだった。
「……あ。砂糖とミルクは、これ使ってください……」
 有働は、下級生である柏や堺に対しても、あくまで腰が低かった。
「……それで、取材って……」
 そんな有働に対して、柏あんなが本題を切り出す。
「ああ。はい……」
 有働は、背筋を伸ばした。
「例の、加納君たちのことなんですが……周囲の反応の変化を、ぼく個人の興味で追っています。これは、以前から……しかるべき時が来るまで、公表はしない、という条件付きで、加納君自身からも許可を得た上での取材です……」
 有働が口調を改めて、淀みなく説明する。
「ぼくは……ぼくや玉木さんは、ひょんなことで、他の生徒たちよりほんの少し……とはいっても、わずか数日の差、なんですが……加納君たちの正体について、知ることができました。
 その時に、彼らがここで平穏に暮らせるよう、協力する、という条件で、彼らの取材を行うことを、許可して貰ったわけです……」
 そうして整然と話しはじめると、普段は穏和な印象が強い有働の目線が、いきなり力強くなったように感じる。
 柏あんなは、隣に座る堺雅史の腕を肘で小突いた。
「……あっ……と。
 あの……お話し……有働さんの趣旨と立場は、わかりました……」
 あんなに即された堺は、おずおずと話しはじめた。柏あんなは、そんな堺雅史の腕を、さらに肘でつつく。
「もっとちゃんとしたことを話せ」、という意味らしい。
 ……こういうややこしいことになると、こっちに廻してくるんだから……と、思いながら堺雅史は言葉を続けた。
「……それで……どういうことが聞きたいんですか?」
「……あ。はい。
 今の時点では……彼らの正体を知った時、どういうことを思ったのか。
 それに、知る前と、知った後と……彼らに対する考え方や接し方が、変わったかどうか……ですね……」
「……随分と……」
 柏あんなが、有働を軽く睨む。
「……聞きにくいことを、平気で聞くんですね……」
 あんなは、その「前後」とやらで、少なからぬ動揺を経験している。
「……はい……」
 と、有働は真顔で頷いた。
「基本的に、ジャーナリズムというのは……いろいろ難しいことをいう人もいますが、その基本的な機能は、野次馬の代行者です。野次馬というのは、他人の事情にまで鼻を突っ込みたがる悪趣味な代物なのです……」
「……有働先輩が真面目な人だということは、わかっています」
 堺雅史が、静かに告げる。雅史は、有働の偽悪的な韜晦を意に介さない。
 ボランティア関係で、不法投棄ゴミ問題を追いかけている放送部員たちの、中心になってのが有働だった。日々ネット上にアップされているテキストの半分以上を、この有働がまとめている。最近ではそれに加えて、取材やレポートだけではなく、ゴミを投棄された場所の地主にまでかけあって、具体的なゴミ処理の計画まで進行させている。今ではパソコン部には多くの放送部員が出入りしているし、ネットにアップする情報の整形などは、パソコン部員と放送部の共同作業といっていもいい。だから、有働がどれほどの労力を傾けているのか、嫌でも目に入ってくる。
「何故、そんな取材をするのか……もう少しちゃんと、聞かせてください。
 でないと……ぼくは、構いませんけど……あんなちゃんが、納得しません……」
 そんな有働が……軽はずみな興味本位で、このようなことを聞いてくる筈がないのだ。
「彼女……これで、怒らせると、怖いですよ。空手の有段しゃ……」
 堺は言葉を言い終えられなかったのは、柏あんなが有働の目が届かない机の下で、堺の足をいやというほど踏んづけたから、だった。
「……ああ。はい。わかりました。
 では、柏さんにも納得できるような言い方をすると、ですね……。
 ぼくは、彼らが、この学校で、町で、見事に受け入れられるのか、あるいは、受け入れられずに終わるのか……それを、見届けたいんです。
 それも……受け入れられるとすれば、あるいは、排除されるとすれば、どのような経過と段階を経て、そうなるのか……できるだけ、詳細にわたって知り尽くし、それを、公表できるようにまとめたいんです……」
 有働は、相変わらず穏やかな物腰でそういった。
「なんでそんなことをしたいのかというと、これはもう、個人的な興味に属することで……だから、野次馬根性というのは、決して間違ってはいないと思いますが……」
 そういう有働の目は、笑っていなかった。




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(140)

第六章 「血と技」(140)

 シルヴィは男物のコットン・シャツを着ていた。そして、胸元にぎゅっと首を抱え込まれている荒野は、その胸元から匂い立ってくるシルヴィの体臭を否応なくかいでいる。明らかに、茅や日本人の、淡泊な汗の匂いではない。
 そして、海外生活の長い荒野には、むしろ、そうした濃厚な匂いのであるほうが、「ヒト」を実感できる。それに、顔を埋めつくさんとしている弾力のある感触……。
「……ヴィ……。
 大きい……」
 くぐもった声で、荒野がいった。口も鼻も、シルヴィのバストが押しつけられているので、発音が不明瞭になる。
 荒野が話すと、「……ふっ、んっ……」とか、鼻から息を吐いて、シルヴィの体がぶるんと震えた。
「コウ……服、脱がせて……」
 熱のこもった声で、シルヴィが荒野を即す。
 その間にも、シルヴィは自分の膝頭で荒野の股間を撫でさすっている。荒野を刺激している、というよりは、荒野の感触を楽しんでいる風であった。
「……こんなに密着していたら、無理だよ……」
 依然として荒野の頭をしっかりと抱きかかえているシルヴィに、荒野はささやかな抵抗の声をあげる。すると、またシルヴィの体全体が震えた。
 あっ。
 これだけぴったりくっついていると、荒野の吐息が肌にあたるのか……と、今わらながらに荒野も気づく。
「……やって、そのまま……」
 シルヴィの声には震えが混じりはじめている。
「手が使えなかったら、口で……」
「……涎で、服がよごれるよ……」
 荒野が抗議すると、また、シルヴィの体が震える。
 間違いない。シルヴィは、もう感じはじめている……と、荒野は思った。
 一種の自己暗示、みたいなこともやっているのだろうか? と、荒野は推測する。
 こうして抱き合っているだけで、自然に性感が高まる……という例を、経験の浅い荒野は、想像も想定もできない。
 しかし、シルヴィが一向に腕の力を緩めようとしないので、しかたなく比較的隙間の空いているシルヴィのおなかのあたりに強引に手を潜りこませて、シルヴィのベルトをゆるめた。その際、シャツ越しにシルヴィの腹部をまさぐるような形になり、荒野はシルヴィの腹部がよく引き締まっていることを確認する。
『……胸は、こんなに大きいのに……』
 と、荒野は顔に押しつけられている物体と比較して、シルヴィの裸体を想像した。こうして押しつけられてみると否が応でも実感するが……シルヴィの胸は、大きい。荒野の頭部よりは流石に小さい筈だ……と、思うが……。油断していると、乳房に鼻と口を塞がれて、呼吸が困難になる。大きいだけでなく、押し戻すような張りのある弾力も、持っている。この分だと、ブラを外しても形が崩れることはないだろう……。
 引き締まった腹部と併せて想像すると……普段は、体の線が出にくいスーツ姿であることが多いが……ヴィは、着痩せして見えるタイプだな……と、荒野は思った。
 そんなことを考えながら、ようやくベルトを緩め終わる。
 するとシルヴィはすぐに器用に腰をゆすって、スラックスを落とした。
「抱いて……抱き寄せて、コウ……」
 シルヴィが、囁く。
「……嫌だといったら?」
「押し倒して、裸にひん剥いて、泣かす。一晩中、泣かす」
 即答、だった。
 仕方なく荒野は、シルヴィが荒野にそうしているように、腕をシルヴィの腰に廻し、しっかりと抱き寄せ、密着させる。
 ソファに座っている荒野の上に、膝立ちになっているシルヴィが正面から密着している、という形になった。
 相変わらずシルヴィの豊かなバストが荒野の顔をむぎゅっと覆っているので、呼吸が苦しい。
「……少しは動いてよ、コウ……」
 注文が多いなぁ……と思いながら、荒野は背中に廻した手を、背骨に沿って上下に動かし、シルヴィの背中から臀部にかけてをまさぐる。
 また、シルヴィが身じろぎした。
「……あっ……」
 手が下がりきった時、荒野は感触にある違和感を感じ、思わず声をあげる。
「紐みたいな……。
 ……随分……小さな、パンツ……」
 いわゆるTバッグというやつだったが、荒野は、その手の下着の名称や分類には……まるで詳しくなかった。
「これだと、下着の線が出にくいの……」
 シルヴィが、「姉」の口調になって説明する。
「別に……コウのために、これを履いていた訳では、ないんだから……」
 ……どうかな? と、荒野は思った。
 そんなこと、わざわざ、いう必要もないと思うけど……。
 荒野は、シルヴィのヒップの形を確かめるように、掌でそこを包み込み、なでてみる。弾むような弾力の臀部が、ほとんどむき出しになって手に吸い付くような肌の感触を伝えていた。
 バストと同じく、ヒップから腿にかけても、大きく張り出している形だな……と、その感触から荒野は想像した。
 これだけ見栄えのする体型なら、いつでもピンナップガールに転職できるのではないか、と。
「……ほらぁ……」
 シルヴィが拗ねたような声を出して、荒野の顔に押しつけている胸を揺さぶる。
「早く……脱がして……」
 そういいながらも腕に力を込めて、ぐいぐいと荒野の顔を自分の胸に押しつ続ける。
 他に方法がなかったので、荒野はシルヴィの胸の谷間に顔を埋め、まさぐり、口と歯で、一つ一つシルヴィの前ボタンを外していく。荒野は、この時初めて、時間をかけて慎重に行えば、口と歯でも服のボタンを外せるのだ、ということを自身に証明した。
 シルヴィはといえば、荒野が顔を動かすたびに、「んっ」とか「ふっ」とかいいながら、背を軽くのけぞらせている。
 上から順番にボタンを外していき、前の開いたシャツから、ブラに包まれたシルヴィのバストが完全に姿を現す頃には、シルヴィも腕の力を抜いたので、荒野も息をつくことが可能となった。下着に包まれていてさえも、シルヴィのバストは半ば開いたシャツを左右に押し広げている。
 シルヴィが腕の力を緩めたことで少し隙間が空いたので、荒野は下のボタンは手で外すことにした。口で外す時よりはよっぽど早く確実に外すことができたので、おかげで時間の節約になった。




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彼女はくノ一! 第五話 (223)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(223)

 茅と楓が来ると……室内の時間が加速する……ような感覚を、堺雅史は覚えている。二人とも、タイピングが早く、この二人が作業を開始すると、打鍵音につられて、その場にいた生徒たちの作業効率も倍増する、という事実に、堺雅史は気づいていた。
 特に茅は、両手で一つづつキーボードを操作し、二つの作業を同時に行う、などという器用な真似を平気でやる。やはり同じことができる佐久間沙織がふと立ち寄ってネットで調べ物をしたり勉強会に使用する資料を自分で作成したりする時もあって、このような時は四本の腕と二十本の指が縦横に踊り、カスタネットか機関銃を連想させる打鍵音が響き渡ると、その音が聞こえてくる範囲内の生徒たちは何か急かされているような気分になり、通常よりも早く手を動かしはじめるのだった。
 しっかりとしたプログラムの知識があり、自分でかなり複雑なシステムを作成する能力がある、ということでは、楓も茅と同等だったが、楓は茅とは違い、二つの末端を同時に操作しながら、その上、時折不意に訪れては質問をしにきたり、意見を聞きに来たりする。それは、学校の勉強のことだったり、システムやプログラム周りのことだったりするのだが、茅を頼りにする人数はこの数日で俄に膨れあがっていて、五分と間をかけずに次々と来訪する。また、茅の方も顔を上げもせず、手を動かしたまま、淡々とした口調で即答する。そのおかげで、質問を持ってきた側にしてみても、「茅に負担をかけている」という意識はきわめて希薄で、軽い気持ちで聞きにくるようになっていた。そうした風潮が生徒の間で広まってきているのは、他の仕事で茅の意見が必要となり、数分、意見交換などをしていると、そうした質問者たちが何人か順番待ちの列を作ってしまうことからも明らかで……知識面では完璧に近い……少なくとも、生徒たちが持ちようるような質問であるならば、かなり高い確率で、その場で即答してしまう茅は、「便利な存在」として認知されつつある……という感触を、堺は感じている。そして、そうした風潮に対して、
『これは……いいこと、なのだろうか?』
 と思ってしまうのも、事実だった。
 茅自身に問題があるのではない。
 自分で物事を解決しようとする努力をせず、安易に茅に頼ろうとする生徒たちと、そうした依存を容易に認めてしまえる包容力を持つ、茅……という関係は……ある意味で病的だし、こうした関係が長期化、固定化した場合……関係する者すべてにとって、いい結果を残さないのではないか……と、堺は思いはじめている。
 もちろん、その危惧は、自分自身に向けられたものでもある。
 なるべく、早く……茅の手を借りなくてもやっていけるところまで、自分たちを育てること……が、最近、堺がパソコン部に求めている「目標」だった。
 現在立ち上げているシステムも、簡単な保守作業程度なら、パソコン部員だけでもなんとかできるようになっている。まだまだシステムの詳細まで踏み込んで把握しているわけではないが、大まかな挙動は、堺たちパソコン部員たちもかなり飲み込んでいた。
 これまでの経過で判断する限り、あと数ヶ月程度の時間があれば、マニュアルの整備や下級生への申し送り事項のとりまとめなども、なんとか自分たちだけで行えるだろう……と、堺は見積もっている。

 そんな感じで茅は、知っていることであれば、その場で即答するし、知らないことを聞かれた、簡単に「知らない」と答える。もっとも、後者のパターンは、ほとんど皆無に近かったが。
 そうした茅とは対照的に、楓の方は、他の生徒に何か聞かれると、とたんにあたふたと慌ててしてしまう。楓は、プログラム関係と理数系に明るく、少なくともこの学校で習うレベルの数学とか物理の知識なら確実に自分のものにしているし、それ以外にも、茅と並んで「他の生徒が安心して質問できる」レベルのプログラマだったが……そうした、「明らかに楓が答えを知っている質問」を向けても、楓は、まずもって「……えっと、あの、その……」とか口ごもりながらせわしなくあたりを見渡し、それから観念したかのような上目遣いで質問者をみて、
「ええっと……あの、これは、ですねぇ……」
 と前置きしてから、懇切丁寧に教えてくれる。
 謙遜とかいうことでもなく、どうやら、とことん、自信というものが持てない性質らしい。
 パソコン部員たちも、楓のそうした気質や態度、それに相反するが、その実、しっかりとした知識を持っている……ということをすでに知っているので、楓が落ち着くのを待つのは、あまり気にならないようになっていた。
 この時点で、楓の、見方によっては異常、ともいえる自信のなさ……については、一緒に作業し、かなり長い時間、ともに過ごすようになっているパソコン部員たちには、周知の事実となっている。そして、そうした事情に通じているパソコン部員たちは、何か分からないことがあったら、万事ソツがない茅よりも、人間味のある反応を示す楓に質問を寄せるようになっていった。
 前述のように、茅に質問が集中しはじめている……という傾向があって、それ以上茅の負担を増やすわけにもいかず、楓の方にお鉢を廻す……ということもあったが、受け答えが平坦すひぎる茅を相手にするよりは、同じパソコン部員でありながら、他の部員たちよりは格段に多くの知識と経験を持ち、あたふたしながらも懇切丁寧に対応する楓の方を、パソコン部員たちは好んだ。

 そしてその日の放課後、ここ数日の慣例がいくつか、破られることになった。
 まず、いつもは時間ぎりぎりまで校内にいて、パソコン実習室に居座るか、あちこちの教室を巡回して自習の手助けをしている茅が、小一時間ほど座っていただけで、帰り支度をしはじめた。
 茅は、普段なら下校時まで茅に付き従っている「今日は用事があるから、早めに帰る」と告げている。わざわざそう告げている……ということは、楓と茅は、今日に限って別行動をとる、ということだった。
 楓は、心持ち白い顔をしながらも、こくりと頷く。
 すると……ある程度事情を知っているパソコン部員たちが、ざわめきはじめた。
 ……楓が茅の側から離れようとしないのは……護衛、という意味もあったのではないのか?
 茅は、少しざわついた室内を見渡し、
「……大丈夫。今、別の迎えを呼んだから……。
 それに、楓と喧嘩をしたわけでもないの……」
 と、小さな、しかり、よく通る声で、誰にともなく、話し出す。
「ただ……楓には、もっと自由に……自分の意志で、動いてほしいの……」
 そう聞かされた堺は、あくまで、なんとなく……では、あるが……茅が意図していることがわかるような気がした。
「……今の……どういうこと?」
 茅がパソコン実習室を出て行くと、柏あんなが堺の耳元で、小声で囁く。
「……たぶん、だけど……」
 堺雅史は、ゆっくりとした小声で、柏あんなの耳元にささやき返す。
「楓ちゃんが、昨日のようにならないように……ということ、なんじゃないかな?」
 堺雅史のいうことが納得できなかった柏あんなは、首をかしげて「……いっている意味が、よく分からない……」という意図を伝えた。
 実は、そういう堺雅史にも、茅の意図がはっきりと推測できているわけではなく、なんとなく……そう思う、というレベルで話しているのに過ぎないのだが……。
 それでも、頭の中で、もやもやっとしている「感じ」をあんなに伝えようと口を開くと……。

「……あの、すいません……」
 大きな体を遠慮がちにかがめて小さくした有働勇作が、パソコン実習室に入ってきた。
「……ちょっと、放送部の取材に、協力してほしいんですけど……。
 加納兄弟について、お話してもらえるパソコン部の方、誰か、いませんか?」




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(139)

第六章 「血と技」(139)

 口唇を重ねながら、シルヴィはゆっくりと荒野に体重を預けてきた。
 重ねた口唇も、そうだが……服越しに感じる体温も、ねっとりと荒野の口腔内に押し入ってきた硬い舌も……熱い……。
 シルヴィは、ゆっくりと時間をかけて荒野の口を蹂躙した後、ようやく顔を離す。
「……ワインが零れるよ、ヴィ……」
 シルヴィが荒野の中に大量の唾液を送り込んできていたので、声が掠れるということはなかったが……それでも荒野は、かなり動揺している。その動揺を見透かされないように、できるだけ平静な態度を保とうとしたつもりだが……シルヴィが相手だと、その手の芝居がどこまで通用するのか、甚だ心もとない。
「……コウ……」
 シルヴィは、肉食獣を連想させる笑みを浮かべる。
 荒野が良く知る……子供の、一緒に生活していた頃、シルヴィが、荒野をいたぶる時に、良く浮かべていた笑み……だった。
『……こういうところばかり変わらない、というのもな……』
 と、荒野は思った。
 いじめとか、そういう陰湿なものとは少し違うのだが……子供の頃、シルヴィは、体格的にも体力的にも劣る荒野を組み伏せ、呼吸困難になるまでくすぐる遊びが好きだった。
 過日のシルヴィ曰く、
「……コウの表情を変えるのが、楽しい……」
 とのことだったが……そういう「荒野いじり」をこの場で再現しなくてもいいだろう……と、専ら、いじられる側だった荒野は思う。
「ちゃんと……excitement?」
 突然、シルヴィにとって使い慣れた言語が交じる。
 そういうシルヴィは、今ので、かなり興奮してきているようだ。
 目が爛々と輝き、頬が紅潮している。
 もっとも……その興奮が性的なものなのか、それとも、他の……例えば、これから、荒野を一晩中いじることができる、という期待感からくるものなのかは、この時点では判別し難い。それ以外に、性交時に主導権を取って異性をいたぶる……という性癖を、シルヴィがもっている……という可能性も、あったが……その線については、荒野はあまり想像したくはなかった。
『……そんなんだったら……』
 どうあがいても、自分は、太刀打ち出来ないぞ……というかなり嫌な予感が、ある。
 相手は、かつて家族同然に暮らしたことがあるとはいえ……寝技を得意とする、姉崎の一員だ。たいして荒野の方は、性体験自体が、あまり豊富とはいえない。
 経験値も知識も、十分に蓄積してきたシルヴィとは、比較にならなかった。
『……もっと茅と励んでおけばよかったかな?』
 この期に及んで、そんなことを考えはじめる荒野である。
「……あっ……」
 その荒野の微細な表情の変化を、シルヴィは敏感に察知し、その場で指摘する。
「今……。
 他の女のこと、考えたででしょ?」
「……そ、そんなことは、ないぞ……」
 荒野は辛うじて声が上ずるのを、抑制した。
「……んっ」
 シルヴィはグラスに残っていたワインを一息に空け、荒野の膝の上に乗りはじめる。
「……んっふっふっふっぅ……。
 ほ、ん、と、う、か、なぁ……」
 シルヴィは一音節づつ区切りながら、再度荒野に顔を近づけてきた。
 ……子供の頃は、あれだけソバカスだらけだった顔が、今ではシミひとつない。
 これは、成長するにしたがって、自然に消えたのか、それとも、メイクのテクの賜物か……。
 などと埒のあかない考えを荒野が弄んでいるうちに、シルヴィは完全に、ソファに座る荒野の膝の上に馬乗りになった。
 荒野は中身がまだ半分ほど残っているワイングラスを高く掲げ、中身が零れないように注意する。
「……こんなもの……」
 シルヴィは荒野の手からグラスを取り上げ、自分で口をつけて一気に傾けた。
 そして、空になったグラスを床に放り、荒野の上に覆いかぶさる。
 とろり、と、荒野の口に、シルヴィの匂いが少し映った生暖かい液体が注がれた。無理に口移しになれたため、かなり大量に荒野の口からあふれて、荒野の首筋にいくつかの赤い筋を作る。
 口の中のワインをすべて荒野の口に注ぎ終わると、シルヴィは含み笑いをしながら、荒野の首に伝い落ちた赤い液体に口と舌を這わせはじめる。
 同時に、荒野の服に手をかけていた。
「……ヴィ……」
 ようやくのことで、荒野は呟く。
 別に、あの程度のワインで酔いがまわったわけでもなく……単純に、抵抗をするのが馬鹿らしくなってきている。
 シルヴィの手際の良さに、内心であきれている……というのが、実態に近い。
「……なに? やめないわよ。ここまできて……」
 慣れた手際で荒野の服を脱がしにかかりながら、シルヴィは、はだけた荒野の胸に手を這わせる。空調が効いているので、半裸にされても特に寒いとは感じない。下着越しに荒野の胸板をさすりながら、シルヴィはぴちゃぴちゃと音をたてて、荒野の肌に舌を這わせている。
 顔を下に向けているので表情の確認はできないが……体臭が、少し強くなっているような気がした。
「……んっ……。
 コウの……匂い……」
 シルヴィがそんなことをいって、荒野の脇の下に鼻を突っ込む。
「……やめろよ、ヴィ……。
 くすぐったい……」
 今しがたシルヴィの体臭について考えていたことを言い当てられたような気がして、どことなく照れくさくなった荒野は、身をよじって弱弱しい抵抗を試みる。
 しかし、もちろん、シルヴィは荒野を逃さない。
 それどころか、自分の服に皺がよるのもかかわらず、ますます体を荒野に密着させる。火照った弾力のある感触に、改めて、荒野はシルヴィの存在を感じた。
「……ほらぁ……」
 完全に荒野の首を抱きしめたシルヴィは、鼻にかかったような声をあげる。
「コウも……触っていいのよ……。
 どこでも……コウ、の……こんなになっている、癖に……」
 シルヴィは荒野の首をがっしりと抱きしめて、荒野の顔を自分の乳房にうずめながら、自分の膝頭で荒野の股間をまさぐる。
 確かめるまでもなく、荒野の男性は、ジーンズの中ですっかり怒張していた。




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彼女はくノ一! 第五話 (222)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(222)

 昼休み、柏あんなは茅や楓とともにパソコン実習室に向かう。もともとは、そこに入り浸っている堺雅史目当てに足を運びはじめたのだが、今ではそこの常連ともすっかり顔見知りになり、半ば日課となっていた。柏あんなはパソコンとかプログラムなどにはどちらかというと疎い方だが、プリントアウトしたものをページ順にまとめてホッチキスで止めたり、単純な入力作業など、それなりに手伝えることも多く、出入りするうちに知り合った先輩から半ば無理無理、勉強を教えられることもある。
 パソコン自習室は、今や、ボランティア活動と自主勉強会の中心拠点と化しており、全学年の生徒はおろか、先生方までもが頻繁に出入りするようになっていた。
 一部の勉強熱心な……というより、受験に備えることに熱心な生徒は利己的な利用のし方をしていたし、大部分のそうでない生徒も、部活や同じクラスの友人に連れられて顔を出し、それがきっかけで通うようになる……というパターンができつつある。
 社会の役にたちたいとか、勉強が好きだから……という正当派な動機はどちらかというと少数派で、多くは「他のみんなもやっているから」とか「なんだか分からないけど、面白そうだから」という浅薄な動機で集まってきているような気がする……と、あんなはみている。
 例えば、ここ数日、茅や楓は携帯でも表示できる単語帳を開発し、試験がてらに公開しているのだが……これについての生徒の食いつきは、かなり良好だった。
 というのは、この電子単語帳、正解率や回答を打ち込んだ時間で点数を出し、ランキングを表示する仕様になっていたのだが……定額制でパケット代に不安のない生徒たちは、こぞってハイスコアを出そうとやっきになっり、寸暇を惜しんでこのシステムを利用するのが軽い流行になっている。多くの生徒は、単語を覚えるのが目的なのではなく、友人たちよりにせんじて高いスコアを出すのが目的、なのである。事実、関係の無い教科の授業中にまで、目立たないように携帯を取り出し、この「ゲーム」に勤しんでいるのを教師に見つかった……などという笑えない話しも、ぼちぼち出始めている。
 まだ試用段階であるのにもかかわらず、口コミで他校の生徒にまでユーザー層が広がっていた。このシステムは無償で公開しているので、アドレスさえ知っていれば、誰でもエントリーできるのだった。
 また、このシステムは問題さえ用意すれば、暗記が必要となる科目には大体転用できる。現在、茅と佐久間沙織を中心とした有志生徒達と先生方が共同で数科目分の「問題」を作成し、順次公開している段階である。目下のところ、さほど火急の問題でもないのだが、もう少し時間が経つと、新しいゲームを待ち構えているユーザーもぼちぼちではじめることが予想されている。
 旧来からのパソコン部の生徒たちは、次々と楓や茅が立ち上げるシステムのサポートとデバック、それに改良などを主に担当していたのだが、堺雅史によると、わずか数日前と比較しても、飛躍的に知識が充実してきている……という。
 必要に迫られて、既存のコードを目で追う機会が格段に増えたこと、それに、際限なく寄せられる「初歩的な質問」に答えるためにはシステム全般についてについてそれなりに理解していなければならず、手を加えるにしても、無知なままでは手のつけようがない。加えて、参考書類も数多く寄贈されたばかりだし、調べても分からなければ、茅や楓に直接聞くことも可能……と、短期間で知識を身につけ、実践的な技能を習得するのに最適に近い環境が整備されていた。
 モチベーションを保つ、という意味では、「不特定多数に感謝され、頼りにされる」という実感は、何物にも代え難い。
「この学校発」のシステムにアクセスし、使用する者たちは、そうした電子的な情報支援がどんなに便利なものであるのか、実感しはじめている。
「……もし、同じくらいの規模と機能を持つシステムを、外部の業者に発注して作らせようとしたら……」
 少し前、堺雅史は、柏あんなにそう説明した。
「……軽く数千万円とか億単位の予算が、必要になっちゃうだろうね……」
 それだけのシステムの中枢部分を、楓と茅は、ほぼ二人だけで、ごく短期間のうちに構築してしまった……と、堺はいう。
「……実際のはなし……規模が大きすぎて、多人数でコードをおっていても、未だに全体像を把握できないくらいなんだけれども……」
 茅と楓は、昼休みや放課後に顔を見せるたびに、パソコン部員たちが処理し切れなかった部分にパッチをあてたり、何かしら新機能を実装させたりしていく。
 楓もたいがいに凄いと思うのだが……茅は、システム回りに加えて、学習に必要な資料の整理なども、平行して行っている。それも、全学年、全教科分を、だ。
 システムが大体安定してきた最近では、沙織と並んで放課後に居残っている生徒たちの指導に当たっている。一年生の茅が上級生の勉強をみるのも、不思議といえば不思議な光景だったが……特に最初のうち、沙織と一緒に行動することが多かったのと、それに、「茅だから」という理由で、なんとなく納得されてしまっていた。
 実際……茅が、全学年、全教科の教科書の内容を丸暗記していることは、すぐに全校生徒に知れ渡っていた。
 そうした「特別製」を、自分たち「普通の生徒」と引き比べることは、あまり意味があるとも思えない……という空気が、校内には、あった。
 あるいは……茅が単独でこの学校に転校してきていたのなら、いじめにあったり、誰にも相手にされず孤立する、という可能性も、十分にありえただろう……と、あんなは思う。
 異質な存在は、抑制し、排除する……という「空気」は、残念ながら、この学校にも存在する。有働裕作か大清水先生なら、
「……学校とは社会の縮図であり、もし学校にもそのような空気が存在するとするなら、それは、この世間全般が、もともとそういう性質を持ったものなのだ……」
 程度の「理屈」を捏ねてくれるのかも知れないが、あいにくとあんな自身は、そこまで屁理屈が好きではない。
 ただ……現在、茅や楓たちが孤立していないのは、自分や飯島舞花など、校内でそれなりに好意的なポジションについている生徒達と転校する前から知り合っていた……ということが、大きいのではないか……とは、直観的に、感じてはいた。
「友達の友達」は、多少、風変わりであっても、「変わった友達」として受け入れられることが可能かもしれない。
 しかし、突然やてきた未知の転校生が、茅や楓くらい風変わりだったとしたら……。
『……かなり、きついだろうな……』
 と、あんなは、なんとなく、そう思う。
 学校に溶け込むまでに……かなりの時間が、必要となるのではないか……。
 だが、現実には……茅も楓も、三学期も半ばにさしかかった今の時点で、多くの生徒と接し、知り合いが増えつづけている。顔見知りの人数、ということでいえば、例えば、美術室に引きこもりがちな香也よりは、よっぽど多くの友人知人を校内に作っている筈だ。
 それでも……。
『……綱渡り、だよな……』
 と、柏あんなは、楓と茅を取り巻く現状を、そう認識する。
 今のところ、かなりうまくいっているけど……何かの拍子にバランスが崩れれば……あっという間に、全てがおじゃんになりそうな……危うい均衡の上に、現在の状況は、ある……と。
 そして……その程度のことは……。
『……加納先輩も……』
 あんななどより、よっぽど強烈に感じてはいるのだろう……と、あんなは確信していた。




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(138)

第六章 「血と技」(138)

「……それじゃあ、行ってくるから……」
 玄関先で茅にそう告げて、荒野はマンションを出た。今夜は、シルヴィと一夜をともに過ごす約束をしている。茅のわざわざそう告げてから別の女と寝るために家を出る……というのも、おかしなシュチュエーションではあったが……茅も承知してのことだし、誰もが満足する結果をもたらす取引なのだから、しかたがない。
『……しかし、まぁ……』
 あのヴィとね……という思いが、荒野にはある。
 客観的にみれば、シルヴィ・姉崎の容姿は間違いなく整っている方だろう。女性として、シルヴィから誘われて靡かないような男は、インポかゲイだ……と、荒野も思う。
 しかし……。
『……よりにもよって……ヴィ、だからなぁ……』
 荒野の煩悶は、そこに起因する。
 幼少時、家族同然、兄弟同然に育った相手だ。肝心な時に、荒野の男性が、うまく機能するかどうか……は、少々心配なところがある。
 ……汝、姦淫する事なかれ……などという文句を教えて、荒野には刷り込んでくれたのも、敬虔な信徒でもあるヴィなのだ。現在、荒野が持っている、比較的保守的な道徳観念も、その頃の「家庭教育」によって刷り込まれている。
 シルヴィが、宗教的な戒律やモラルと一族の仕事との矛盾をどのように回避しているのか……荒野は、まだ確認する機会を持っていない。
『……ま、今夜は……』
 たっぷり、時間がある。
 寝物語に、ゆっくりと聞くことにしよう……と、荒野は思った。

「……ご飯は?」
 あらかじめ教えられていたマンションに赴くと、荒野を出迎えたシルヴィは、開口一番にそう確認してきた。
「食べてきた」
 荒野も、端的に答える。
 この辺りの呼吸は昔のままで……今更、遠慮しあう間柄でもない。
「じゃあ、お酒の方がいいわね。
 ……飲めるんでしょ?」
「ま。人並みには」
 荒野は、肩をすくめる。
 隠し立てをする理由もない。それに、素面で対面するよりは、よほど気が楽になる。
 それから、ふと気が付いて、
「……なんか変な薬、盛るなよ……」
 と付け加える。
 ヴィは……かつて、荒野の姉代りであるのと同時に、姉崎の一員でもある。
「盛らないわよ。
 なんなら、姉崎の名に誓う?」
 ヴィは、そういって婀娜っぽく笑った。
「……どちらかというと……洗脳とかそういうのを止めてほしい……」
 ヴィのそうした「女性」を感じさせる表情に慣れていない荒野は、自分の鼓動が早くなるのを感じ、そのことをごまかすように、早口でしゃべりはじめる。
「……あら、失礼ね……」
 ヴィ、拗ねたように口唇尖らせて見せる。
「……姉崎の手練手管は、殿方を喜ばせるためのものであって、人格の根底から書き換える佐久間の無粋な方法とは、まるで違うわ……」
 その「姉崎の手練手管」に骨抜きにされた男たちが、いかに多いのかよく知っている荒野は、その件については慎重を期してコメントしなかった。

 そんな会話をしながら、荒野は、ヴィに案内されて、マンションの奥へと進む。
 駅前、という立地条件の外に、荒野たちが住むマンションよりは、部屋数が多い。これから、今以上にここでの事態が交錯することがあれば、もっと人員が増えて、ここが姉崎の支部みたいな形になるのだろうな……と、荒野は思った。
 どうみても、女の一人暮らしには、広すぎる物件だった。
 加えて、家具が少なく、全体にガランとしていて、生活感がない。
「……ヴィらしくない部屋だね……」
 シルヴィに勧められたソファに腰掛けながら、荒野は、そう声に出す。
 荒野に炊事洗濯、などの家事の手ほどきをしたのは、他ならぬシルヴィである。
 そのシルヴィに対して、荒野は、「家庭的」というイメージを持っている。
「……んー……。
 ここ、半分、仕事場だからね……」
 ワインのボトルと、それにグラス、チーズとクラッカーを乗せた皿を持って、シルヴィがすぐに戻ってくる。
「……これでも、忙しいのよ……。
 十分に自分のケアをする時間も、ないくらいに……」
 シルヴィは、そんなことをいいながら、ボトルと盆をテーブルの上に置き、肩を竦める。
 荒野は、少し考えて見る。
 ここでの出来事を……できるだけ詳細にわたっって情報収集し、レポートして姉崎の中枢に伝える……という仕事を、シルヴィはほとんど一人でやっているらしい……。
「……ヴィだけしか派遣されていないの?」
 念のため確認してみると、シルヴィは再度肩をすくめた。
「一応、応援は要請しているんだけどね……。シスターズもここまで急速に進展があるとは思っていなかったみたいで……。
 それに、今の状況だと、ある程度腕が立つ人材でないと、悪ふざけで損耗するだけでしょ? 姉崎は、その手の仕事に使える人材は、常に不足しているのよ……」
 ……なるほど……。
 と、荒野は納得する。
 シルヴィのいう「Bad Kids」の件を除外しても、現在この土地に続々と集まってくる人材の性質を考えると……最低限、自分の身を守れる人材でなければ、あっという間に病院送りになるだろう。
 最低限、昨日の六人とか酒見姉妹と対等以上に渡り合える人材でなければ……来るだけ、無駄かもしれない。
「……そっちも、いろいろ難しいんだな……」
 短い時間でそこまで思考を巡らし、荒野は、結局当たり障りのないことをいった。
「……そっちほどややこしい訳でもないけどね……」
 シルヴィはそういって、ちろりと舌を出す。
「でも……これだけ難しい局面で、コウは、かなり頑張っていると思うよ……」
 そういいながら、シルヴィはワインの栓を開けて、グラスに注ぐ。
「……はい。
 わたしたちの故郷のワインよ……」
 そういって、シルヴィは荒野にグラスを差し出す。
 ラベルをみると……確かに、荒野とシルヴィが一緒に暮らしていた国のワインだったが……二人が、その土地を「故郷」と認識しているかというと……これは、かなり、あやしい。
 ただ……二人にとって、思い出深い土地であることだけは、確かだ。
 シルヴィは荒野の隣に座り、「乾杯」といいあって、グラスを触れ合わせた。
 荒野は、赤い液体を一口、口に含んでみる。
「……おいしい?」
「……ワイン……だな……」
 荒野の言いようがおかしかったのか、シルヴィが静かに笑った。
「だって……良し悪しがわかるほど、飲み慣れてないし……」
 荒野が、言い訳をする口調で、そんなことをいう。
「一応、かなり高級な品なんだけど……」
 一転して子供じみた口調になった荒野がおかしかったのか、シルヴィはにやにやと笑って荒野にしなだれかかってきた。
「……コウ……。
 そうしていると、昔と、そんなに変わってない……」
 シルヴィが話すと、その吐息が、荒野の頬にかかるほど、密着している。
 シルヴィの……息も、体も……熱い……と、荒野は感じた。
「……一緒に暮らしていたあの頃は……まさか、数年後にこんなことになるなんて……思ってもいなかったな……」
 荒野は、自分の心を静めるためにも、意識して平静な声を出した。
「……そう……」
 シルヴィは、荒野の首に回した腕に、やんわりと力を込める。
「……ヴィも、コウも……。
 もう、子供ではない……」
 そして、至近距離から、まともに荒野の目を覗き込んだ。
「コウ……キスして……」




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彼女はくノ一! 第五話 (221)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(221)

「……ねー。
 楓ちゃん……」
 登校し、教室に入って自分の席についた途端、柏あんなが楓に話しかけてきた。
「あれから、大丈夫だった?」
 どうやら……いきなり取り乱して帰って行った楓を、彼女なりに心配していたらしい。
「……ええ……。
 一応……」
 楓は、恐縮しながら答える。
「……帰ると……なんとか、落ち着きました……」
「……よかった……」
 と、柏あんなは嘆息した。
 それは……虚飾のない、素直な、あんなの本心からでた言葉であり……それ故、楓はますます恐縮する。
「……あの、白髪の方の加納さんがまた偉そうに何かいったんだと思うけど……あまり、気にしない方がいいよ……」
 とか続けられると、楓としては苦笑いが漏れる。
 そうか。
 荒野と楓の関係は……柏あんなから見ると、そういう風に見えるのか……。
「加納様は……」
 楓は、ゆっくりと言葉を選んで、いった。
「あれで……他人に、気を使い過ぎるくらいの、人です……」
 少なくとも、後方にふんぞりかえって命令だけをするタイプではない。むしろ、逆に……自分自身ででていけばもっと手っ取り早く片付くことも……あえて、楓たちにやらせているような節もある。
 荒野と楓では、現場経験の量が雲泥の差であり……そのため、楓は咄嗟の時の状況判断が遅れたり、的確ではなかったりすることが多い。
「……わたしに何かさせようとする時も……その方が、わたしのためになると判断するからで……」
 事実……楓自身の評価よりも……荒野たちは、楓を過大に評価している……ように、楓には思えた。
「……加納先輩が、楓ちゃんを頼りにするのも当然だと思うけど……」
 柏あんなは、まじまじと楓をみつめた。
 どうやら……楓は、謙遜などではなく、本当に、自分を過小評価しているらしい……と、柏あんなは気づいた。
 昨夜の楓の動きを見ていたあんなには、信じられないことだったが……。
「……あの、楓ちゃん……」
 念のため、あんなは楓に確認してみた。
「昨日、徳川さんの工場に大勢いた、加納先輩の関係者の中で……楓ちゃんが、かなわないなぁ……とか思った人って……何人くらい、いる?」
「……えっとぉ……」
 楓は、真剣に考える。
「加納様は、論外にしても……後は、武装した才賀さんも強敵ですし……んー……それから、テンちゃんやガクちゃんが相手をしていた六人の方なんかも、本気でかかってこられたら、かなり危ないと思いますけど……」
「……つまり……」
 柏あんなは、かぶりをふって結論を下した。
「……あれだけ大勢の……何十人って人がいて、楓ちゃんが警戒する必要を感じるのって……数えるほどしかいなかったって……そういうことでしょ?」
「……えっ?
 ……ええ。
 そういうことに、なりますね……」
 楓は、何故ここであんなが苛ついた声を出すのか理解できないまま、あんなの気迫に押されながら、頷く。
 一向に、あんながいいたことを察しようとしない楓の態度を見て、あんなは確信した。
 楓の、自己認識の在り方は……やはり、どうみても不自然だ……。
『……だから、か……』
 と、柏あんなは、これまで不審に思っていた、楓に対する、才賀孫子と加納荒野の態度……その、不自然に感じていた部分に、はじめて納得する。
 この子は……楓は、自分の持つ力の大きさに関して……とことん、無自覚なのだ。
「……あれだけ大勢の人がいて……あの中には、すでに仕事をはじめているプロも大勢の混ざっているんでしょ?
 その中に入っても、決して引けをとらない楓ちゃんって……実は、凄いんじゃない?」
 あんなは、噛んで含めるように、楓に説明する。
 あんなは幼少時から空手の道場に通っている。だから、鍛え上げた人体が、時にか「凶器」として機能することも、実感として弁えている。事実、武道の有段者が傷害や喧嘩沙汰を起こした場合、刑法上は、素手でも「武器を所持していたのと同等」と判断されることが多い。
 ましてや……楓の場合、単純に破壊力だけを比較したら、「武道の有段者」どころの話しではない。
 しかも……。
『……そのことを……その、危険性について……』
 楓自身は……あまりにも、無自覚だった。
 無自覚……と、いうよりも……。
『わざと……目を逸らして、いる?』
「……凄い……ん、でしょうか?」
 楓は、いかにも自信が無さそうな様子で、おずおずと答える。
「わたしよりずっとずっと凄い人が……加納様とか師匠とかが、身近にいるので……そういう実感は、正直……持てないんですけど……」
 今現在の楓の反応をみて……あんなはそう判断する。
 自信が無さそう……というよりも、そのような事実を、わざわざ楓に指摘するあんなを、非難する目付きだった。
 これでは……孫子が、楓に一目置くのも、荒野が、楓の精神的自立を優先的に考えるのも……。
『……当然、か……』
 あんなは、そう思う。
「そ……。
 わかった……」
 柏あんなはそういいて、楓から離れた。
 何故だか、理由は分からないけど……楓は、自分の能力から、懸命に目を逸らそうとしている。
 あんなは、ごく最近になって、荒野たちの事情を知りはじめたばかりだが……。
『……加納先輩……』
 これは……苦労するわ……と、思わず納得してしまう。
 楓だけではなく……茅や、テン、ガク、ノリの三人もいるし……それ以外に、新たに大勢の人達も……。
『……昨日、あれだけ工場にいて……』
 さらに、まだまだ人数が増える……とかいうことも、いっていた……。
 そのすべての面倒を荒野がみなければならない訳ではないだろうが……関係者がなにか問題を起こせば、その累は、荒野にも確実に及んでくるわけで……。
『そりゃぁ……心配性にも……』
 なるわけだよな……と、あんなは納得する。
 荒野がやろうとしていることは……とんでもなくあぶなっかしい……綱渡りだ。
 そういえば、昨夜も……工場で、荒野は、「問題だけは起こすな」と何度も力説していた。
 しかも、続々と集まってくる人達も、全部が全部、おとなしく言うことを聞く人ばかりではなくて……。
『……昨日、双子みたいなのも混じっているわけだし……』
 柏あんなは、気づくと、茅の顔をみていた。
 あんなは、つかつかと、茅のそばに近づく。
「……茅ちゃん……」
 あんなは、茅にそう言葉をかけた。
「たいしたことができるとも思わないけど……。
 なにか手伝えることがあったら、遠慮なくいってね……」
 あんなとしては……そういう程度のことしか、できない。
「……わかったの」
 茅は、頷いた。
「だけど……もう……お世話になっているし……」
 確かに、昨日……美術室での一件で、茅はあんなや飯島舞花の存在を「利用」している。
 たとえ策を弄し、罠を張っていたとしても、一人であの二人を取り押さえることは不可能……と判断し、手近にいて確実に利用できる自分たちを呼び寄せた……ということ、なのだろう。
「……昨日の、みたいな、急な時はしょうがないといえばしょうがないけど……」
 あんなは、茅に、そういう。
「できれば、事前に説明とかしてもらった方が、こっちも動きやすいんだけど……」
 あんながそういうと、茅はしばらく瞬きを繰り返す。
「でも……それだと、今度は、あんなたちが……」
 しばらく間を置いて、茅が答える。
 事情をしらないまま、茅に利用されているだけなら、まだいい。
 しかし、事情を弁えた上で、自発的に協力しているとなると……昨日、香也が人質になりかかったように、今後、どのような累が及ぶのか、予測できなくなる。
 おそらく……茅は、自分たちを深入りさせたくはないのだろう……と、あんなは茅の態度から、察した。
「……それでも……」
 あんなは、ゆっくりと茅に語りかける。
「何にも知らされないでいるよりは、はるかにまし……。
 それに……加納先輩の関係者はともかく……ガス弾の人達は……無関係だからって、遠慮してくれるような人達ではないんでしょ?」
 茅は、無言で頷く。
 学校ごと、町ごと、人質になっているようなものなのだ。
「……わけもわからず、利用されるの、好きではないの……」
 あんながそういうと、茅は、
「……わかったの」
 と、声に出して、頷いた。
「これからは、あんなも……あてにさせて貰うの」
「……そう。
 あてにして貰って、いいよ……」
 あんなは答えた。
「……わたしたち、友達じゃない……」




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(137)

第六章 「血と技」(137)

 マンションに戻ると、早速茅がメイド服に着替えてお茶の準備をはじめる。酒見姉妹、ことに妹の方がケーキを食べたがったが、「夕食前だから」という理由で荒野はそれを控えさせた。
 時刻的に、夕食にはまだ少し早く、しかし、おやつには遅すぎる微妙な時間帯である。
「……それでは!」
 と、酒見姉妹は無意味に力む。
「晩御飯の準備を、手伝いますから!」
 ……どうあっても、ケーキを口にしたいらしい。
「……いや……」
 荒野は力の篭っていない口調で、双子に告げる。
「茅はもう帰宅しているわけだから……お前ら、自分たちのケーキ持って、帰っていいよ……」
 この二人と話していると、妙に脱力することがあるのは……何故だろう?
「でも……せっかく、茅様が、お茶を入れてくれださっているのに……」
「それに……学校の話しも、もっと聞きたいです!」
 双子の口調は、それなりに熱を帯びている。
 ケーキだけが目当て、ということでもないらしい。物心ついた時から仕事一筋、という境遇は、この双子も荒野も、大して違いはないわけで……。
「……よし、分かった……」
 少し考えてから、荒野は頷いた。
「とりあえず、お茶だな……。
 お茶を飲みながら、今後のこと、学校のこと……少し、話しをしておこう……」
 そういってから、荒野はあることに気づき、二人に問いただす。
「……そういや……。
 晩飯の準備、っていっても……お前ら、料理できるのか?」
 酒見姉妹は、揃って首を横に振った。
「そんなんで……いつもは、メシ、どうしているんだ?」
 荒野は、重ねて尋ねる。
「……外食とか、コンビニとか」
「チンするだけのとか……」
「……お前ら、なあ……」
 荒野は軽くため息をついた。
「おれたち、体が資本だろう……」
 お茶をいれ終えた茅と相談し、二人に家事を手伝ってもらう代わりに、料理の初歩を教える、という取り決めを納得させる。
「……うまくいけば、これから学校を卒業するまでの三年間、お前らだけで生活するわけだから……」
 荒野はそういって双子に納得させた。
「……その程度のことは、早めに憶えて置け……」
 そういいながら荒野は、「……なんでおれがこいつらの生活能力のことまで心配しなければならないのだ……」という理不尽な想いにもかられている。
 酒見姉妹は、意外と素直に頷いた。

 その後は、単なるお茶会になった。
 というか、このメンバーだとどうしても「女の子同士の会話」になって、荒野の出番はあまりなくなってくる。
 茅が説明役で、酒見姉妹の質問に次々に答えていく、という形になった。
 酒見姉妹が学校生活……というより、自分たちと同じ年頃の一般人の生活全般に興味を抱いているのは本当のことのようで、二人は、茅の説明を真剣な表情で聞いていた。
 ……こうしている所だけをみると、こいつらも普通の女の子なんだがな……。
 と、荒野も思う。
 幸い、酒見姉妹と茅の折り合いも、昨日、茅に屈辱的な負け方をしたとはいえ、そんなに悪くはなさそうだったので、荒野は安心した。
 酒見姉妹は、少なくとも、逆恨みをしたり過去のことをいつまでも根に持つ性格ではないらしい。
 荒野は、会話に夢中になっている三人を置いて、洗濯や細々とした掃除をはじめる。いつまた、突発的に忙しくなるか分からない身なので、こうした隙間の時間を活用しないと、あっというまに室内の空気が埃っぽくなるのだった。
 荒野がパタパタと立ち働きはじめると、酒見姉妹は会話を止め、珍獣をみる目つきで荒野に注目しはじめた。
「……茅と話していていいよ。
 こっちに注目されると、やりにくい……」
 酒見姉妹の視線に気づいた荒野は、真面目な顔をしてそういった。
「あの……加納様……」
「さっきから……何を、なさっているのですか?」
「何って……洗濯とか掃除とか……。
 ようするに、家事、だけど……」
 最近はこうした家事は茅が一手に引き受けて荒野に手出しをさせないようにしているのだが……その前までは、荒野自身が行っていた。
 自分の住居を快適に保つための努力は、荒野は苦にならない性質だった。
「……ひょっとして、お前ら……。
 料理だけではなく、こういう家事も……やったこと、ないのか?」
 双子は答えなかった。
 しかし、押し黙ったその表情が、何よりも雄弁に語っている。
「……一度、お前らの今の住居を、点検しておいた方がいいかな?」
 ピクン、と片方の眉をあげて、荒野はそういった。
「……い、いえっ!」
「か、加納様に、そこまで心配していただくわけには……」
 覿面に、双子はうろたえはじめた。
 なるほど……。
 と、荒野は思った。荒野はやすやすと、ゴミ溜めになった二人の寝床を想像することが出来た。
「質問」
 荒野は、その想像を確認するために、双子に質問をする。
「……お前らが、今、住んでいる地区の……生ゴミの回収日は?
 何曜日と何曜日だ?」
「……それは……その……」
「マ、マンションの共同ゴミ置き場に出しておくから……そういうのは、あんまり関係ないです!」
「……そうか。
 それじゃあ……今使っている、掃除機と洗濯機の色は?
 まさか、どっちも使ってない……とか、言わないよな?」
 今度は……双子からの回答は、なかった。
「……よし。わかった……」
 荒野は、頷いた。
「一休みしたら……お前らに、家事の初歩を手ほどきしてやる。
 別に難しいことではないし……それに、自分の身の回りの整理くらい、できるようになっておけ……」

 酒見姉妹は、それから三時間ほどマンションに滞在し、多くのことを学び、自分たちも準備を手伝った夕食とケーキを食べてから帰っていった。




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彼女はくノ一! 第五話 (220)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(220)

 翌朝、羽生がいつもの時間に起きて顔を洗い、朝食の支度をしていると、楓と孫子、テン、ガクの四人ががやがやと帰ってくる。四人は、ランニングから帰ってくると手早く順番にシャワーを浴び、着替えて朝食の支度を手伝うのが常だった。
 この日もいつものごとくそうした過程をたどり、四人が合流してくると、台所は手狭になるので羽生は居間の方に移動し、郵便受けから新聞を取り出してきてから炬燵に入り、四人のおしゃべりや包丁を使う音などを聞き流しつつ、テレビの電源を入れて煙草に火をつけた。
 なんだか……こうしていつもの日課をこなしていると……昨日の出来事が、まるっきり嘘だったように思えてくる……の、だが……。
『……現実……』
 なんだよなぁ……と、羽生は思う。
 羽生は炬燵の上に新聞を広げたまま、それには目を落とさず、ぼーっと煙草の火を見つめる。
 いつの間にか……どんどん凄いことになっていくなぁ、この家……とか、今更ながらに、思っていた。
 救いなのは……香也にしろ楓にしろ孫子にしろ、軽はずみな好奇心とかで昨日のような行いをするほど愚かな子たちではない……それぞれ、奇妙な歪みを抱えているものの、お互いに関する感情は、むしろ、真剣すぎるほとに真剣だということで……その、若さゆえの愚直さが、羽生にはむしろ怖かったりする……。
 羽生は咥えているだけでろくに吸わないまま大部分を灰にした煙草を灰皿に押しつけ、天井を仰いだ。
『……こーちゃんだって……不器用な分、結論を出すまでに時間がかかるかも知れないが……そのうち本気で考えて、自分なりの結論を出すだろうし……』
 羽生が知る限り、香也は、人付き合いを避ける傾向はあるが、それはむしろ真面目すぎる性格の反映で「適当に人に合わせる」ということを苦手とするだけで……だから、たまたま居合わせただけのクラスメイトなどと調子を合わせるのは苦手だが、自分に向かって本気で接してくる人物を粗略に扱ったりすることは、ない。
 例えば……樋口明日樹が、そうであったように。
 だから……香也が答えをだせば……選ばれなかった方は……かなり残念なことになる。
 それでも……そうとわかっていても、香也は、いずれ本気で選択をするだろう。
 現在の宙ぶらりんな状態は、誰も傷つかず、楽しいといえば楽しいのだが……昨夜、三島が指摘した通り……やはり、不自然で不安定な状態でも、ある……。
 羽生は「香也がその選択を行うのが、なるべく遅くなればいいな」と考えている自分に気づき、ひっそりと苦笑いを漏らした。
 なんか、すっかり……みんなのおねーさんになっているなぁ……気分的に。
 羽生は心中で、そう、自嘲した。
「……なに笑っているんですか?」
 食器を運んできた制服にエプロン姿の楓が、そう声をかけてきた。
「いや。別に、なんでもない」
 羽生は、反射的にそう答えている。
 この先どう決着がつくにせよ……これは、彼らが自分たちで解決しなければ意味のない問題だ、と、羽生は思う。
「それよりも、そろそろいい時間でしょ?
 こーちゃん起こしてきたら?」
「あっ。はい」
 楓が、ぴょこんと姿勢を正す。
「そうですね。行ってきます」
「わたしも、一緒に行きます」
 台所にいた孫子も、楓と競うようにして、香也の部屋に向かう。
「……にゅうたん、にゅうたん」
 楓と孫子の姿が消えると、すかさずガクが台所から出てきて、小声で羽生に囁く。
「……昨日、おねーちゃんたちとおにーちゃん……」
「……いろいろ、あったんだ……」
 羽生は、軽くため息をついてから、いった。
「……いや、それは、分かっているけど……孫子おねーちゃんにも、そのことは人前ではしゃべるなって真っ先に釘さされたし……」
「大人は……大人になりかけの人たちは、いろいろあるんだよ……」
「それ……ボクたちでは、まだ早い?」
 ガクは、澄んだ瞳でまっすぐ羽生を見つめる。
「……そういうのに、早いも遅いもないけど……」
 羽生は、ゆっくりと首を横に振った。
「でも……最低限、真剣になれる相手にしか、しちゃ駄目だぞ……」
「……おねーちゃんたち……真剣、なのか……」
「そうだな……。
 それで、おにーちゃんの方が……まだ、真剣になる準備ができていなかったんで……みんな、困っているところだ……。
 おねーちゃんたち、せっかちでな……」
 こんな説明で理解できるだろうか? とか疑問に思いつつ、それでも羽生は茶化したりせず、せいぜい誠実に、ガクに説明してみせる。
「……そっか……」
 それでも、ガクは頷いてみせた。
「今は徹夜明けで頭、まわらないけど……一眠りしてから、もう一度考えて見る……」
「……その前に、朝ごはんだね……」
 テンが、出来たての味噌汁が入った鍋を抱えて、居間に入ってきた。
「……んー……。
 おはよう……」
 前後して、制服姿の香也が、楓と孫子を従え、眠そうな顔をして入ってくる。

 普段通りの、朝食になった。

 香也と楓、孫子の三人を見送ってから、羽生とテン、ガクは、昨夜の出来事について手早く情報交換をする。
 ガクは、今朝、楓や孫子と顔を合わせた時に、体臭をかぐことで昨夜、なにがあったのか、大体のことは想像できた、といった。
『……そういうことで、嘘がつけない、というのも……』
 不便なのか便利なのか、良く分からないな……と、羽生は思う。
 それでも、下手な隠し立てをする必要がない、ということは、それなりにありがたくもあった。テンもガクも、子供といえば子供だが、少なくとも知識面ではそこいらの大人顔負け、なのである。
 羽生が、順を追って話していくと、時折質問を挟みながらも、テンとガクは大人しく聞いていた。
「……出遅れちゃったかぁ……」
 一通り、話しを聞いた後、テンは腕組をして、そんなことを呟く。
「いや……まだ、間に合う……か……」
「……な、な、な……」
 羽生は、理由も分からずに動揺した。
「テンちゃん!
 ……何を、考えている?」
「おにーちゃん争奪戦に、どうやってエントリーするか……ということを、考えている……」
 テンは、実際に思案顔をしてぶつくさと呟き続ける。
「この体では……どの道、不利だから……もう少し、成長しないことには、どうしようもないな……」
 半ば、独り言くさい。
「……あっ!」
 テンの呟きを聞いて、ガクも顔をあげ、ぱっと明るい表情になった。
「そっか……。
 別に、これからでも、間に合うことも……」
「あくまで、場合によっては……ということだけど」
 テンは、真面目な顔をして、ガクに頷いて見せた。
「おにーちゃんが、誰かに決定していないのなら……まだ、入り込む余地は、あるよ……」






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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(136)

第六章 「血と技」(136)

「……ああ。あれ……」
 買い物の最後に立ち寄ったマンドゴドラで、マスターは事無げにいってのけた。
「ま。玉木ちゃんがやることだしな。
 今まで大きくコケたこともないし……」
 商店街の人々は、静観している、ということだった。
 確かに……と、ショーウィンドウ越しに目の前の光景を目でみながら、荒野は思う。
 シャッターを閉じたままの店が多い眠ったような駅前が、それでもなんとか人を集めている……というのは事実であり、必要経費は別として、イベントを企画した側は、一切の手数料を徴収していないのだから……積極的に反対する理由はない……というのは、納得できる。
 言わば、今まで商店街の売上に貢献して来たことに対する、見返りみたいなもの……ということで、ある程度、自由にさせて貰っているのだろう。
「……あの……銀ピカがこれからどういう風に役に立つのかは、わからないけど……最悪、たいした儲けが期待できないとしても……」
 別に、構わない……。
 どうせ、マスコットだから……ということらしい。
「……思うに、だな……。
 ああいう無駄というのは、案外大事なんじゃないかな?
 例えば、うちのケーキなんでのは、生活必需品というわけではない。
 でも、工夫を凝らして長年作り続ければ、味のわかるお客さんはちゃんとついてくれる……そういうもんだろう?」
 シルバーガールズが受けるか受けないかは、製作者たちの腕や気概次第だ……といっているようにも、聞こえた。
 荒野としては……頷くより、他、ない。
 多分……商店街の人達にとっては、直接自分の商売にかかわってこない玉木たちに動きには、あまり関心がなく……よくて、放任、といった感じなのだろう。

 マンドゴドラでケーキを食べ終えた荒野は、買い物袋とケーキの入った箱をぶら下げてマンションに戻る。その途中で、後ろから声をかけられた。
「荒野」
「……加納様!」
 振り返ると、制服姿の茅と姉妹が立っていた。
「……ああ、茅か……今日は早いな……」
 と、一瞬、納得しかけ、それからふと違和感を感じなのだろう、酒見姉妹の姿をつくづくと眺める。
「……お前ら……。
 なんでその制服、着ているんだ?」
 まさか、転入してきた、ということもあるまい。
 二人のネクタイは、実年齢に合わせてちゃんと三年生の色になっていた。三年生が、三学期の……卒業の差し迫ってきた時期に転入してくる……というのは、以下にも不自然だった。
「……転入は、してませんけど……」
「せっかく用意したものを、着ないで済ませるのももったいないですし……」
「それに、わたしたち、学校に通ったことがないから……」
「こうして雰囲気だけでも慣れておこうと……」
 まったく区別のつかない双子は、交互にそう答えた。
「……あっ、そ……」
 双子の返答を聞いた荒野は、軽い脱力感を感じた。
 誰かに迷惑をかけている訳ではないから、咎める理由もないのだが……。
 それから、あることを思いついて、マンドゴドラでゲットしたばかりのケーキの箱を差し出す。
「……これ、お前らにも食わそうと思って貰ってきたケーキなんだけど……」
「……わっ。はい! 持ちます持ちます!」
 双子のうち片方が、慌てて荒野が差し出したケーキの箱を抱える。酒見姉妹は制服さえ着用していたものの、鞄もなにも持たない手ぶら状態だった。
「……今、ケーキを持った方が、妹の粋だな……」
 荒野は、断定する。
「……え?」
 相変わらず手ぶらの方の酒見が、目を丸くする。
「……妹の方が、ケーキに対する執着が強い……」
 荒野が解説すると、酒見純は「なるほど……」と頷いた。
「ご慧眼、感服いたします……」
 そういって酒見姉に頭を下げられたが……荒野は、ちっとも嬉しくなかった。
 第一……こんな見分け方……いざという時、咄嗟の時に、まるで役に立たないのであった。
「……そーかそーか……」
 荒野はそういって、食材の入ったビニール袋を姉の方に差し出す。
「それでは、酒見純には、これを持たせてやろう……」
「……ははっ……」
 酒見純は、芝居がかった動作でそのビニール袋を受け取る。
 酒見姉妹も出自が出自であるから、華奢な外見に似合わず、そこいらの成人男子などは及ばない程の身体能力を持つ。だから、荒野も荷物持ちをさせるのに遠慮はしない。
「そういや、茅は……今日は、久々に早かったな……」
 四人揃ってマンションに向かって歩きながら、荒野は茅に話しかける。
 通常なら茅は、何だかんだで下校時刻ギリギリまで学校にいる。
「……楓が、遠慮してなかなか自由に動こうとしないから……」
 茅は、短めに答える。
「……そっか……」
 荒野は納得した。
 楓は……自分の都合と意志で動く、ということに慣れていない。今までの経験からいっても、「自分の好きに動け」というと、途端に動きが鈍くなる傾向があった。誰かの命令に従って動く、ということが、習性として骨の髄まで染み付いている。そして、その習性が、自分の能力を十全に発揮するための障害になっていることを、自覚していない……。
「……まあ、いきなり、は無理だろうけど……じきに、慣れるさ……」
 荒野は、誰にともなくそう呟く。半ば、自分に言い聞かせるような口調だった。
「……同年配で、あんな術者がいるなんて……思いませんでした……」
「……昨日……一歩も、動けなかった……」
 話題が楓のことになった、ということを察知した酒見姉妹は、顔を強ばらせてそう語る。
「……どこかに、使えない逸材がいるというのは聞いてましたが……」
「……そういう噂は、たいていおおげさに伝わるものですし……」
「……でも……実際には……」
「……あれは……何者なんですか?」
 微かに、二人の声に震えが混じる。
「……松島楓。
 出自は、知らない。少なくとも、一族がチェックしている家系の出ではない。
 孤児。その素質を見いだされて、幼少時から一族の養成所で育てられ、現在に至る……」
 荒野は、自分が知る限りの、楓のプロフィールを淡々と語る。
「……おれも、知っているのは、せいぜいその程度だな……」
 酒見姉妹とて、性格に問題はあるものの、その能力に関していうのなら、決して凡庸な術者ではない。むしろ、同年配の中ではそれなりの実績を作り、かなり頭角を表しているグループに入る。
 その酒見姉妹とて……楓には、一目を置いている。いや、畏怖している、といってもよい。
 その感情は……昨夜、楓の能力を垣間見た、他の一族にしても同様に抱いたことだろう……。
『……でも……』
 荒野は、心中でため息をついた。
『楓自身は……』
 自分の卓越した能力を……そうとは、自覚していない。いや、うすうす気づいてはいるのだろうが……そのことを、直視しようとしない……。
 おそらく……無意識裡に、自分が強大な力を持つ存在である……という自覚を持つことを……恐れているのだ。
 その能力とは裏腹に……楓は、精神面では明らかに、術者には向いていない……。
 楓は、荒野自身を除けば、現状で荒野が利用できる最大の戦力なのだが……。
『……あの、脆さ、は……』
 使い方、使い所が、難しいな……と、荒野はそう思う。




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彼女はくノ一! 第五話 (219)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(219)

「……おう、来た来た……」
 湯上がりの三人がパジャマに着替えて帰ってくると、三島はそういって出迎えた。
「もう遅いし、何にもないから茶漬けでいいな……」
 そういいながら、返事を待たずにいそいそと立ち上がり、台所に向かう。
「それで、だな。
 お前ら……結局の所……これから、どうするつもりなんだ……」
 余り物の冷凍ご飯をレンジにほうり込んだ三島は、首だけを出して三人に尋ねた。
「当人が納得しているんなら、文句をいう筋合いじゃないんだが……。
 お前ら、本当に納得しているのか?
 そこの糸目は同時に複数と付き合えるほど器用なたちにも見えないし……三人、というのは、何かと不安定だぞ……」
 ……この人も……なかなか、食えない人だな……と、羽生は思った。
 変に寛容な所を見せるかと思えば、こうして不意にずばりと本質を突いてくる……。
 面と向かってそういわれた香也、楓、孫子は、微妙に三島から視線をそらせてしばらくもじもじと居心地が悪そうに身じろぎしていた。
 が、結局、年長者である孫子が、
「それは……香也様に、聞いてくださらないと……」
 と、曖昧に語尾を濁した。
 自分の気持ちは変わらないけど……あとは、香也次第……というわけだ。楓も、孫子の言葉に頷いている。
「……と、女子の方はそういっているが……どうする?
 糸目の色男は?」
 三島は、今度は面白がるような視線を香也に向ける。
 話しを振られた香也は、いつものように「……んー……」とうなって間を持たそうとしたが、楓と孫子に左右から見つめられて流石に居心地が悪くなったのか、語尾を延ばすのを急にやめ、ぼそぼそと語り出した。
「……ぼ、ぼくは……」
 性急に言葉を出そうとして呂律が回り切らず、一旦言葉をきり、深呼吸をする。
「ぼくは……その、ようやく……二人と、他の人と、まともに向き合うこと、はじめたばかりだから……」
 結論を出すのは、もう少し、待ってほしい……と、香也はぼそぼそと不明瞭な口ぶりで断言した。
 そもそも、香也は……意識的に二股をかける、とかいう器用なことができる性格であるわけもなく……不器用なりに、真剣に考えていることが伝わってくる口調だった。
 楓や孫子も、香也の言葉に頷いている。
「……ま、当事者が納得しているんなら、それでいいがな……」
 三島も、そういいながらも、満足そうに目を細めている。
「どういう結論を出すにせよ……。
 後で後悔するような真似だけは、するなよ……」
 そう、念を押した。
「さ。
 そんじゃあ後は、食うもの食ってさっさと寝ちまえ!
 重労働の後だし、明日も学校はあるんだし、休養と栄養はしっかりとっとけってぇの!」
 そういって、レンジで暖めた冷凍ご飯の上に、お茶をかけはじめた。
 重労働の後だったからか、三人の食欲は普段よりも増しており、三人の食っぷりを確認した羽生と三島は、すぐに立ち上がってありあわせの食材で適当な総菜をでっちあげなければならなかった。

 食べるだけ食べると、香也はすぐに立ち上がり、自分の部屋に向かう。足元がふらついていたが、楓と孫子が自然に左右から支えてそのまま一緒に居間を出て行く。
「……明日も学校があるんだから、それ以上やりすぎないようにしろよ!」
 と、三島は三人の背中に声をかけた。
 三人の足音が完全に遠ざかったのを確認して、三島がいった。
「……あの分だと……風呂場でもいちゃついていたな、あれは……。
 男の願望を具現化したようなシュチュエーションではあるが、糸目の体力が心配だ……」
「……いや……」
 なんとコメントしていいの判断に迷い、羽生は視線を空中にさ迷わせ、こめかみをこりこりと指で掻いた。
「……とりあえずは……あれがデフォにはならないかと……。
 今日はたまたまチビちゃんたちがいなかったし……それに、真理さんが帰ってくれば、あそこまで大っぴらには……」
「……そうかぁ?
 真理さんも、変に寛大な所があるからなぁ……」
 三島が、羽生の予測に意義を挟む。
「あの人……にこにこしながら、妊娠だけは気をつけてね。まだおばあちゃんにはなりたくないからっていって……後は放置とか、平気でしそうじゃないか?」
 三島がいう通りの光景が、羽生にもありありと想像できた。
「……確かに……」
 羽生はため息をついた。
「真理さんも……興味本位とか、そういう軽い気持ちなら、確実に反対するだろうけど……楓ちゃんも孫子ちゃんも、真剣だからなぁ……」
「まあ……避妊に関しては、流石にやばいから、周りの大人がしっかり手綱をとらなけりゃならないけど……。
 後は、当人同士の問題だからなぁ……」
 三島は、澄ました顔をしてお茶を啜った。
「……まあ、あの糸目も……。
 ようやく逃げ腰でなくなったのは、いい変化だ……」
「……へ?」
 羽生の目が、点になる。
「そうなんすか?」
「……なんだ? お前さん、気づかなかったのか?」
 三島はまじまじと羽生の顔をみつめた。
「途中から、あの糸目……自分から腰、振ってたろ?
 それまでは、される一方の受け身だったのに……」
「……え? あっ……。
 そう……でしたっけ?」
 同じ光景を見ていたはずなのに……羽生は、自分の観測に自信が持てなくなって来た。
「お前さんには刺激が強すぎたのか……すっかり見入っていたからな……」
 三島は苦笑いをした。
「……まあ……あの糸目が……あの二人とちゃんと向き合う覚悟を決めたのは、いい傾向なんだろうが……。
 ……んー……。
 あの糸目、トロそうだからなぁ……。
 これから真剣に考えはじめたとして……ちゃんとした結論がでるまでには、かなり時間がかかりそうだし……」
 いいたい放題、であった。
「……真理さんは、ともかく……」
 羽生は、何度目かのため息をついた。
「……テンちゃんやガクちゃん、ノリちゃんも……まだまだ波乱を起こしそうだし……」
「まあ……生身の人間がやることだから……」
 あっけらかんとした口調で、三島が断言する。
「現実に、家庭内ハーレムなんてものがあったら……よっぽどうまくやらない限り、どうしたって、ギスギスした所はでるだろう……。
 ましてや……あの糸目は、どっからどうみても、器用に立ち回れる性格にはみえないし……」
「……そうっすねぇ……」
 羽生も、その意見には素直に頷く。
「本当に……こーちゃんは、不器用だから……」

 二人で食器を片付けてから三島も帰って行き、羽生はそっと香也の部屋を覗いた。
 二組の布団が敷かれ、その中で、三人が一塊になって静かに寝息をたてている。
 布団が乱れていないし、それらしい物音もしなかったから、あれからすぐに寝たのだろう。香也はこの間風を引いたばかりだし、楓と孫子が添い寝をするといってどちらも譲らず、香也が押し切られたのだろう……。
 羽生は、その時を容易に想像することができた。
 ……素直な、いい子たちなんだがなぁ……とか思いながら、音を立てないように静かに襖を閉じ、風呂に向かう。
 そこで服を脱いで確認すると……案の定、下着がぐっしょりと濡れていた。



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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(135)

第六章 「血と技」(135)

『……まいったなぁ……』
 と、荒野は思った。
 相手のチームだけではなく、荒野のチームもメンバーをチェンジした。
 こっちは、荒野と、野球部レギュラーの嘉島、それに、バスケ部員だという女生徒の三人。相手は、孫子と舞花、それにやはりバスケ部の男子、という組み合わせで……。
 どちらにも一人づつバスケ部が入っていて、かつ、誰もが、体を動かすことに慣れている構成だった。男女比も、完全に同じとはいえなかったが……それなりに、考慮されている。
『……図られたかな……』
 と、荒野は思った。
 この場の偶然、にしては、どうもマッチメイクの手際が良すぎる。
「……それじゃあ、基本的に、ボールを加納君に回すということで……」
 バスケ部の女子が当然のようにいう。
 行きがかり上、ゲームについてよくしっている者がリーダーシップを取るのは構わないのだが……。
「なんでおれが……」
 荒野としては、反駁して見たくもなる。
「……だって、向こう、飯島さんがいるし……」
 バスケ部女子の返答は明確だった。
「守りに入りはじめたら……かなり危ないと思う……。
 女子でダンク決められるの、この学校ではあの子くらいなもので……」
 荒野は、背後を振り返って飯島舞花の様子をみる。
 周囲にいるどの生徒よりも、背が高い。加えて、運動神経もいいし、バネもある……ということを、荒野は知っている。
 確かに……舞花は、バスケという競技には、有利な体格と能力を兼ね備えている。
『……それに、才賀とバスケ部か……』
 孫子の身体能力については、今更いまでもない。また、残の一人も、二年のバスケ部員である、ということで、競技の駆け引きには慣れている筈であり……。
『……確かに……』
 攻めていかないと、やばいかも知れない……と、荒野も納得する。
「……じゃあ、ボールは極力加納君に回すから……」
 嘉島がいった。
「おれはディフェンス重点で、なるべくゴールの近くにいるようにする……」
「それがいいと思う……」
 バスケ部女子が頷く。
 この三人の中では、嘉島が一番背が高い。野球部で普段、動いているだけあって、体の方も、生徒の中では動く方だった。
「じゃあ……行こうか……」
 荒野がそう告げると、嘉島とバスケ部女子が頷く。
 昼休みは短い。打ち合わせばかりに時間をかけていられないのだ。

 審判役の生徒がボールを真上に投げる。
 舞花と荒野が同時にジャンプし、上背のある舞花が、荒野よりも僅かに早くボールを叩いた。
 その動きをあらかじめ読んでいたように、ボールがくる位置に孫子が待ち構えている。
「……やべっ!」
 嘉島が慌てて孫子の前に体を滑り込ませた。
 同時に、孫子が足を止めてボールを男子生徒にパスする。
「……任せました!」
 孫子からボールを回された生徒は、慣れた手つきでドリブルをしながら荒野たちのゴール前までひた走る。
 荒野と嘉島がそれに追いすがろうとし、少し遅れてバスケ部女子も続いている。
「……飯島!」
 荒野と嘉島が追いついたところで、その男子はボールを、いつの間にかゴール前まで移動していた舞花に投げた。
「……はい……よっ! とっ!」
 すでに制服のスカートが翻るのにも構わず跳躍していた舞花は、空中で受け止めたボールをすぐにゴールに向かって投げる。
 舞花が着地する前に、ボールがゴールを潜った。
 ギャラリーが歓声をあげる。
「……セーブしている余裕はなくてよ!」
 孫子が、もうゴール下の移動している。
 落ちてきたボールを拾ってすぐにバスケ部男子にパスした。
 バスケ部男子はドリブルして……。
「……はい!」
 嘉島、そのボールを起用にカットし、荒野にパスをした。
「……ほい……」
 呟いて、荒野は、ドリブルしながら敵のゴールに向けて走る。
「……才賀さんが!」
 バスケ部女子の声が聞こえたのと同時に、荒野はその声のした方向にボールをパス。
 一瞬、荒野のボールをカットしそこねた孫子の横顔が、確認できた。
 それまで他人の位置関係をあまり意識していなかった荒野は、慌てて全員の配置を確認する。
 孫子は荒野をマークしており、嘉島は舞花をマークしている……らしい。敵味方に一人づついるバスケ部は、状況をみて自由に動いているようだ。
「……加納君!」
 男子バスケ部員に纏わり付かれていた女子が、荒野にボールをパスする。荒野は、慌てて孫子が邪魔をする前にボールをとり、その場で跳躍しながら、ボールをゴールに向かって放り投げた。
 山なりの放物線を描いて、ボールがゴールに突き刺さる。
「……すげぇ……」
「五メートル以上あったぞ、今の……」
 ギャラリーの中から、そんな声が上がる。

 結局、ゲームは予鈴が鳴るまで続いた。途中から勝敗はどうでもよくなったが、それなりにいい勝負だったと思う。
 予鈴が鳴ってぞろぞろとそれぞれの教室に帰る時、舞花が、
「面白かったな、おにーさん。またやろうな……」
 といって荒野の背中を叩き、孫子は、かすかに鼻に皺を寄せて、
「汗……拭いてから教室に入った方が、よろしくてよ……」
 といってきた。
 荒野は、あわててハンカチを取り出して、顔を適当に拭う。
 確かに……気づかないうちに、予想よりも大量の汗をかいていた。
「……悩んでもしょうがいないことを悩んでしまう時は、とりあえず、体を動かしてみるといいよ……」
 教室に入る間際に、嘉島がぽつりとそういった。

 荒野は、クラスメイトの厚意に心中で感謝した。
 しかし、おかげで……午後の授業は、眠気を堪えるのに苦労することになったが。

 放課後、部活も掃除当番でもなかった荒野は、そのまま真っすぐに帰宅するつもりで教室を出た。
「……旦那旦那……」
「誰が旦那だ……」
 だが、校門前で玉木に捕まった。
「それはともかく……聞きましたぜ、旦那。
 昼休みはご活躍だったとか……」
「……友達とバスケごっこで遊んだだけだ。
 それより今日は、これから徳川の所か?」
「へい。
 お陰様で、使えそうな素材がどっさりと撮れましたので……。
 校門前で徳川君と待ち合わせて、タクシーに便乗して行きます」
 どうやらそれが、ここ数日の玉木のパターンらしい。
「なにげに仲がいいよな、お前ら……」
「徳川君とは小学校からの付き合いですから……。
 あの子も友達少ないんで、おねーさんから仲良くするように頼まれておりますし……」
「……なるほど……」
 そういえば、どちらも昔からここに住んでいるのだった。
「……っと、待てよ。
 そういや、徳川って……どこに住んでいるんだ?」
 工場へは何度か行っているが、住居の場所は知らない。
「あっ。御存じない……」
 玉木は大仰に驚いて見せた。
「いや、なに……。
 町外れにある、なかなか立派なお屋敷ですぜ……」
 そういって玉木は、にやにやと意味ありげに笑って見せる。
「お屋敷、なのか……。
 そういや、あいつのじいさんは羽振りよかったとかいってたな……」
 この近辺の土地柄と「お屋敷」という語感に違和感を感じながらも、荒野はそういって頷く。
「まあ、機会があれば……お邪魔することもあるだろう……」
 荒野としては、わざわざ訪ねて行くほど好奇心を刺激される事物でもないのだった。
 徳川を待つ、という玉木と校門前で別れ、商店街に向かう。
 食材の買い出しに行くためだが、小腹が空いていたので、マンドゴドラに寄っていってもいいな……とも、思っていた。
 昨夜の様子では……酒見姉妹が茅を送ってくれば、ケーキをねだられる……のは、目にみえるように予測できる……。
 そんなことを思いながらぶらぶらと商店街に足を踏み入れた荒野は、その場で硬直した。
 商店街のあちこちに設置された液晶ディスプレイの中で、コスチュームをまとったテンとガクの勇姿がリピートされていた。
 シルバーガールズの予告編とやらの放映が、本格的にはじまっていた。




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彼女はくノ一! 第五話 (218)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(218)

 香也が楓の上で動き続けているうちに、いつしか楓を横臥させていた。横向きになった臀部の中心に香也が突き刺さって前後に動いている。楓もその態勢だと従来とは違った刺激を受けるのか、喘ぎ声がいっそう高くなっていた。楓は今や、
「……いやぁ。こうやさぁまぁ。いく。いく。いっちゃうのこわいの……」
 などとあられのない嬌声をはりあげている。
 おそらく、もはや本人にも何を口走っている、という意識さえなく、本能の赴くままに思いついたことを声に出して張り上げている、としか思えない。
 忘我というか狂態に近い楓の上で、これまた本能に突き動かされるままに汗まみれの香也が黙々と蠢いている。

「……うわぁ……」
 羽生が呟いた。
「……AVみたいだ……」
「すっかり気が入っているな、二人とも……」
 三島も呟く。
「もはや、無我夢中って、やつだ。
 周りが見えていないし、二人の世界に入っている……」
 ……なんだかんだいって、身体の相性はいいようだな……と、三島は思った。
 一体となって蠢いている二人の横で、孫子がぽつねんと座り込んでいる。
 少なくとも邪魔をするつもりは、ないらしい。
「……あっ……」
 羽生が、何かに気づいたような声をあげ、立ち上がった。
「……ちょっと風呂に火を入れて来ます」
 そうした日常的な用事に退避することで、この場の性的な空気から一時逃れようとする意識が働いていたのだが、羽生自身はそのことを自覚していない。
「……そだな」
 三島も頷く。
「この状態がいつまで続くかわからんが……そういう準備はしておいた方がいいか……。
 わたしゃあ、冷蔵庫にあるもんで適当に食い物作っておこう……。
 こいつら、たしか、ろくに食っていなかったしな……」
 主婦である真理の留守中、ということもあるが、頻繁にこの家の台所を利用していることもあって、三島には遠慮というものがなくなっている。
 あれだけ激しい運動をすれば、汗もかくし腹も減るのが道理だ。
「……あと、三人とも汗をかいているから、タオルとかを用意しておいた方が……このままだと、風邪をひくぞ……」

 羽生が何枚かのタオルを持って戻ってくると、ちょうど香也が楓の上で背をそらして硬直し、痙攣しているところだった。
「……はい。ごくろーさん……」
 羽生はそういって、香也の肩と楓の胸のあたりに、に持って来たタオルをかける。目のやり場に困った。
 それから、二人に近寄って来た孫子には手渡しをした。裸体の孫子は、羽生の視線を避ける事なく見返したので、一瞬、まともに視線が絡み合った。
『……あっ……』
 羽生は、孫子の目が強い力を持っていることに、今更ながらに気づき、少し怯んだ。
『……この子は……』
 自分のやっていること……このような香也との関係が一般的なモラルからは逸脱している……ということを承知した上で……そのことを、まるで後悔していない……。
 それどころか、矜持らしきものさえ、持っているらしい……。
 そんな表情をできる孫子を、
『……強いな……』
 と、羽生は思った。
 この子は……世界中を敵に回しても、自分がやりたいことを貫こうとするのだろう、と……その目線をみたら、自然に納得ができた。
 孫子は、羽生の脇を通り抜けて、ぐったりとして折り重なっている香也と楓に近寄り、香也の体に手をかけて、楓の体から引きはがす。
 自分でも気づかないうちに、羽生の視線は二人の股間に吸い寄せられている。楓から抜けたばかりの香也の分身は、少ししんなりしているものの、まだ完全に力が抜け切っておらず……全長の半分ほどを避妊具に包まれたまま、二人の体液にぬれぼそっててらてらと濡れていた。香也の股間は、陰毛までがぐっしょりと濡れている。
 孫子が屈み込んで、ぐったりとしている楓の腰にタオルをかけて局部を隠し、香也の股間を優しい手つきで拭う。一通りタオルで水気を取ると、孫子は香也の股間に手を延ばし、下にタオルを敷いた上で、慎重な手つきで避妊具を外し……その中身の、どろりとした液体を、自分の口に入れはじめた。
 一般的に考えれば、それは「汚物」とされるものだったが……香也が射出した液体を自分の口で受け止める孫子は、恍惚とした表情をしている。
『……こーちゃんのは……』
 何一つ、逃したくないのか……と、孫子の表情を目の当たりにした羽生は理解した。
 本当は……香也が、楓に触れるのも、嫌なのだろうが……香也自身が進んでそうしている以上、邪魔はできない……。
 しかし、二度もたて続けにやられたのはくやしいから、ああして埋め合わせを図っている。
 あんなことでもしなくては……どんどん、楓との格差が広がってしまう気がして……。
 と、そこまで想像して、羽生は首を横に振って我に帰った。
 孫子は……おそらく、香也も楓も、好きなのだ。
 そして、二人に置いて行かれることを、恐れている……。
『……なんだかなぁ……』
 と、羽生は思った。
 みんな……可愛いじゃないか、と。

「……何、にやにやしているんだ?」
 お盆を抱えて台所から戻って来た三島にそう声をかけられて、羽生は我に帰った。
 盆の上には、焼魚の切り身や香の物などが乗っている。
「いや……みんな……三人とも、可愛いいなぁ、と……」
「何を今さら……ほれ、これ、炬燵の上に乗せとかけ……」
 そういって三島は、手にした盆を羽生に押し付けた。
「……どうせ、残り物料理だし、すぐ寝るだろうから、お茶漬けでいいな?
 ご飯は人数分、順番にチンするから……とりあえずは、お前さんとわたしの二人分だな……。
 後の三人はどうする?」
「……先にお風呂をいただいてきます……」
「後の三人」を代表して、孫子が答えた。
「……そっか。
 まあ、汗をかいたしな……。
 じゃあ、そっちは任せるわ……」
 そういって三島は再び台所に姿を消した。
「……風呂場でも本番するのなら、ゴム、忘れるなよ……」
「……いいえ。
 しばらくは休憩しないと……無理だと思います……」
 孫子は、ぐったりとしている香也と楓に、均等に視線をはわせながらそういった。
 二人ともぐったりとしているのは同じだが……香也のは、純粋に体力を使い果たして憔悴した感じであり、楓の方は満足そうな笑みを浮かべている。
 確かに、これでは……特に、こーちゃんは……。
 しばらく休憩しないと、使いものにならないだろうな……と、羽生は納得した。




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(134)

第六章 「血と技」(134)

 昼休みを除いて、授業の合間の休み時間は短い。たった十分しかない。
 三島との会談を手早く切り上げて保健室から教室に戻ると、教室につく前にチャイムが鳴った。
『……やべぇ!』
 荒野はそう思いながら、周囲を見渡して誰もいないことを確認し、「気配を断って」教室に戻ろうとする。楓たちに「目立つことをするな」といっている手前、普段ならこんな真似は絶対にしないのだが、次の授業には、何が何でも遅れるわけにはいかないのだった。
 何故なら……。
「……こぉぉおやぁくぅん……」
 いきなり、襟首を掴まれて引き戻され、荒野はあやうくむちうちになりかける。
「……荒神!」
「ここでは、二宮先生。
 それに、廊下を走ったら駄目。
 さらにいうと、始業のチャイムがなっているのにこんな場所にいるのも、関心できない……」
 ネクタイと首の隙間に指を入れて気道を確保しながら荒野が背後を振り返ると、二宮浩司先生その正体は二宮荒神がにやにや笑いを浮かべながら、荒野の襟首を凄い力で握り締めて持ち上げていた。
 荒野は反論する余裕もなく、爪先立ちになったまま、ずるずると教室まで引きずられていく。

 その直後の二宮浩司先生の授業を、荒野は教室の後ろで立ったまま受ける羽目になった。

「……おい。どこいってたんだよ……」
「授業に遅れるなんて、珍しいな……」
 その授業が終わって二宮先生が教室を出て行くと、案の定わらわらとクラスメイトたちが荒野の周囲に群がってくる。
「……ああっ……うん。
 ちょっと、その……保健室に用事があって……」
「……体調が悪いのか?」
 そういって軽く眉を顰めたのは、嘉島だった。
 クラス委員を勤めているだけあって、荒野だけではなく、クラス全体に気を配っている生徒で、荒野も何度か細かいことを相談したこともある。
「……あ、いや……。
 体調は、なんでもないんだが、別の相談ごとがあって……」
「ミニラ……いや、三島先生にか?
 それは……奇特というか、物好きというか……」
「かなり同意できる見解だが、あの先生も、分野を限定すればそれなりに頼りにはなる……」
「……じゃあ、その相談事は解決したのか?」
「いや……。
 そう簡単に解決はしないだろうけど、気を長く持っていこう、ということになった……」
「……そうか。
 加納君はいろいろ抱えこんでいるようだが、あまり深刻になるな……」
「……あ、ああ……」
 嘉島に神妙な顔をして頷かれ、荒野はかなり複雑な心境になった。
『……おれ、そんなに悩んでいるようにみえるのかな……』
 と、そう思った。

「……加納君、ちょっといいか?」
 そんな嘉島が、昼休み、給食が終わると同時に声をかけてくる。
「……いいか、って……」
 荒野は嘉島の意図を計りかねて、首を傾げて見せた。
「時間、あるかな?
 今日、土井君が休みでな、面子が足らないんだ……」
「……面子って……何の?」
「バスケ」

 荒野は嘉島といつの間にか集まったクラスメイトに取り囲まれて、半ば無理やり体育館まで引っ張られていった。
「……昼休みに、スリー・オン・スリーをしているんだけど……」
「いや……それは、いいんだけど……」
 荒野は口ごもった。
「おれは……その、本気、だせないし……」
「そのあたりは、適当で……。
 どうせ欠員埋めだし、ほら、体育の授業をやっている時のような感じでやってくれれば……」
 そういわれても……荒野と嘉島の後ろについてくる人数をみてみると、どうみても「荒野が目当て」にしか、見えない。クラスのほとんど全員が、ぞろぞろとついて来ている。
「……これだけの人数いれば、おれを誘う必要ないじゃん……」
「そういうなよ。みんな加納君目当てで来ているんだから……」
 ……やっぱり、それか……と、荒野は思った。
「……才賀もいるし……」
「わたくしも、誘われましたの……」
 体育館につくと、他のクラスや学年の生徒も大勢集まっていた。
「……なんだよ、この人数……」
「たまたま、みんな、遊びに来ていたんだろ……」
 嘉島が目をそらす。
 荒野は軽くため息をついて追求するのをあきらめ、ゲームを開始することにした。嘉島が荒野を含めた三人ともう三人の二チームを適当に指名する。
 嘉島自身は入っていなかったが、全員運動部に所属している生徒たちばかりだった。
 荒野もスリー・オン・スリーのルールくらい知っているが、一般人相手にまさか本気を出すわけにもいかず、適当に手を抜いた。
 具体的にいうと、ボールに触ろうとせず、積極的にカッティングを行うわけでもなく、適当にボールを追って走り回っていた……というわけだが……こうした態度は、大いに不評だった。
 すぐに観客からブーイングや野次が飛ぶ。
「もう少し、本気でいってもいいよ……」
 嘉島も、荒野にそういい、荒野の相手チームのうち二人を、交代させた。
「……おいおい……」
 荒野はぼやいた。
「まあ、こういうのも面白いじゃないか、おにーさん……」
「頼まれたら、いやとはいえませんから……」
 新しく相手チームに入ったのは、飯島舞花と才賀孫子だった。




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彼女はくノ一! 第五話 (217)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(217)

 楓は香也に身を任せながら、香也が出入りしている部分の感覚に意識を集中している。香也が奥にまで入ってくれば安堵をし、引き抜かれれば寂しくなって自分でも気づかないうちに香也を受け入れている部分を収縮させる。結果、引き抜くたびに香也自身に楓の襞が絡みつくような具合になっているのだが、楓自身はそのような細かい部分のことまでは意識していない。ただ、今現在、香也が自分と一体となっている、という高揚だけは感じている。香也が動く度にソコに感じる摩擦が、楓を陶酔させている。
 楓は、時間も、香也が触れている部分意外の外界も、もはや意識する余裕はなく、忘我の状態にある。
「あっ。あっ。あっ」と小さく叫んだり、「こうやさま。こうやさま。こうやさま」と連呼して下から廻した腕で香也を引き寄せて口付けしたり、といったことを繰り返している。性的な興奮、という感覚さえもはやなく、香也が自分を抱いているという事実にゆるやかな恍惚を感じ、満足している。
 したがって急激な上昇、を感じることもなく、楓を貫いていた香也が、楓の中でふるんと震えて不意に停止し、ゴムの中に暖かいものを吐き出すのを感じたときも、満足感や不足感よりも、
『……あっ……』
 自分で、感じて最後までいってくれたのだ……という穏やかな満足感を感じ、香也の体を抱き寄せて手足を絡ませ、ぎゅうっと密着した。
 楓の中で、香也は震えながらどくどくといつまでも射精し続けている。
 楓は最初のうち、香也から放たれたものについて、ぼんやりと暖かく感じていたのだが、香也の体を抱きしめて中で震えながらいつまでも吐き出し続けつ感触を楽しむうちに、それら放たれたものが徐々にぼんやりと熱を帯びていくような錯覚を感じた。
「……こうやさまぁ……」
 楓は、ようやく香也の耳元にそう囁いた。
「……あつい……ですぅ……。
 いっぱい、出ましたねぇ……」
 楓の中の香也が、再び、大きく震える。
 楓に耳元でそう囁かされたことでそれまで張り詰めていたものが緩んだのか、香也は楓の上でぐったりと体の力を抜いた。香也の息はかなり荒く、全身汗まみれだった。
 楓は、香也の重みを感じながら、香也の髪を指で漉いたり、手で肩を撫でたりしている。楓の中に入ったままの香也は、まだ力を失っていない。
「……気持ち良かった……ですか?」
 恐る恐る、といった様子で、楓が尋ねる。
「……んー……」
 楓の上でぐったりとしながら、香也が答えた。
「すっごい……気持ち良かった……」
 その時の香也の本心、だった。
 孫子の中の狭さは、まだほぐれていないきつさを感じるのだが……楓の中は、やんわりと包み込んで、その上で、抜く時に吸い付いてくるような感触がある……。
 下手に気を抜くと……ずぶずぶと溺れてしまいそうになるくらい、楓の中は、居心地が良かった……。
「……良かった、よ……」
 口べたな香也は、短くそう繰り返す。
 表現的は不器用で稚拙だったが、本心からそういっているのがありありと伝わる口調だった。
「そう……。
 良かった、です……」
 楓も、香也が満足したことを知って、満たされた笑顔を浮かべる。
 楓にとっては、香也が第一の基準である。
「……その……楓ちゃんの方は……」
 香也が、ぼそぼそと楓の耳元で囁いた。
「……すっごい、良かったです……」
 楓も、頬を赤らめながら、香也にだけ聞こえる小さな声で、香也の耳元に囁き返す。先程の香也の口調を真似ていた。
 これも……楓の本心だった。何度か香也と体を重ねていた楓は、かなり性感が開発されて来ている。他の人にならいざ知らず、香也に対してそのことを隠す必要も感じなかった。むしろ、香也が自分のことを気遣ってくれた……というのが、嬉しい。
 楓は、香也の肩に回した腕に、力を込める。
 また、楓の中に入ったままの香也が、びくんと震え、その動きによって刺激された楓が、思わず、「……んんっ!」という鼻にかかった声を上げてしまう。
「……だ……ま、た……」
 楓は、小さな声でうめいた。
「あの……んんっ!
 あ、あんなに出したのに……こんなに……元気で……んっ!」
 そういう楓の声は、戸惑いを含みながらも嬉しさを隠しれない。
 香也が、少し身を起こして楓の胸を軽く掴み、乳首を口に含んだ。
「……そんっ……んっ! くすぐったいですぅ……」
 楓が、媚を含んだ声をだしはじる。
「……あっ!
 そんな。歯が……。
 んっ!
 あっ! あっ!
 そんな……痛いのに、じんと来て……んん!」
 楓の呼吸が荒くなりはじめる。
「……はっ! んっ!
 そんな、香也様……なんで、今日は、積極的……んんっ! はぁっ!
 硬い。また、そんな硬く……んんっ!」
 香也は、楓の胸に顔を埋めながら、再び動き出した。
「……そんな、んんっ!
 抜かないで、そのまま……はぁあぁっ!」
「……き、気持ち、いいから……。
 楓ちゃんの中、気持ち良すぎるから……」
「そんなことされちゃうと……あふぁっ!
 駄目ですっ!
 駄目ですぅ……」
 とかいいながら、楓も香也の動きに合わせて腰を動かしはじめている。
「……楓ちゃん、気持ちよすぎるよ!」
 香也は、楓の上に覆いかぶさったまま、以前とは比較にならないほど激しい動きをみせていた。動くたびに、じゃぴじゃぴという水音が響き、「んんんんんっ」とかいう楓の喘ぎが起こる。
「やっ! 駄目っ! そんなにされたらっ! んふっ!」
 香也の激しく突かれている楓は、そんな叫び声をあげながら、顔を左右に振っている。
 香也は、はぁはぁ荒い息をつきながらも、楓の腿を両腕で持ち上げて腰を浮かし、結合部に向けてパンパンと音を立てながら、さらに激しく腰をうちつけた。
「……やぁっ! いやぁ! いやぁあっ!」
 楓の声は、もはや絶叫に近いものになっていた。




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(133)

第六章 「血と技」(133)

「……という感じだったわけです……」
 休み時間、荒野は早速保健室に駆けつけ、三島百合香に昨夜の茅の様子を報告しておいた。三島は性格と挙動に問題があるとはいえ、料理のことと人間関係については「それなりに」頼りに「なることもある」大人である。
 荒野としては、正直な所、あまり当てにはしていなかったが、一応念のために話しだけはしておく……という程度の心積もりだった。
「……隣の三人といい、お前さんたちといい……」
 荒野の話しを一通り聞いた三島は、にやにやと笑っていた。
「これで、それぞれなにくれと問題を抱え込んでいるんだな……」
「……そう。
 それだ……」
 三島の言葉に、荒野は頷いた。
「楓のことも、ある。
 楓、今朝はだいぶ落ち着いていましたけど……昨日、帰ってからどうでした?」
「……ああ。
 才賀とあの家の糸目と三人でしばらくファックりこんでいたら、じきにおとなしくなったぞ……。
 やっぱ、あの手のヒステリーに効果があるのは、ファックだな……」
「……ええっと……」
 それを聞いた荒野の目が、点になった。
「まるで、その……見てきたように、断言されても……」
 荒野は所在なげに視線をさまよわせる。
「いや、見てきたように、ではなく、実際に見てたんだけど……」
 三島が、荒野の言葉を訂正する。
「見てた……って、楓が落ち着く様子を、って……」
「ああ。だから、才賀と楓が、だな。
 どさぐさにまぎれてその場であの糸目を押し倒してしばらくいちゃいちゃする所を、だな、一部始終じっくりと堪能させていただいたんだ……」
 しばしの間。
「あいつら……まだ初心者で動きはぎこちなかったけど、ぼちぼちコツを呑み込んできた時期で、やりはじめると夢中になって、周囲に人がいても気にする余裕がないのな。
 特に糸目は一人で二人を相手にしなくてはならなかったから、わたしらのことなんか気にする余裕はなかったな……」
 荒野がしばらく何もいわないので、三島が平然と説明を続ける。
「……ちょ……ちょっと待て!
 先生!」
 荒野は、三島に掌をかざして、説明を中断させた。
「あの三人がそういう風な関係になった……というのは、まあ、いいとして……。
 先生。
 あんた、三人がやっているところ、ぽかんと口を開けて見てたのか?」
「ぽかんと口を開けて、ではなく、炬燵に入ってお茶を啜りながら、だけどな。
 正確には……」
 三島が荒野の言葉を訂正すると、荒野は落ち着かない様子でぼりぼりと頭を掻きはじめる。
「……えーと、その……」
 荒野はしばらく三島に言うべきを言葉を捜した。
「三人がそうしている所を、わざわざ見ていたのは……何故?」
「わたしがわざわざみてた、というより、あの三人が人前であるにもかかわらず、いきなりおっぱじめたんだ。おかげでこっちは寒い中、一旦マンションに帰ってゴム取ってこなけりゃならなかったんだぞ。
 これでも保健室の先生とやらだからな。最低限、生ハメ禁止令くらいは徹底させて置かないと……」
 その返答を聞いた荒野は、軽いめまいを感じた。
 ということは、つまり……三島は、マンションに一旦帰るほど冷静だったわけで……だったら、何故……三人を止めなかったのだろう?
「ゴム取りにいく前に、三人を止めようと思わなかったんですか?」
 深呼吸して息を整えてから、荒野が三島に聞いた。
「あのな。無茶いうなよ。
 相手は楓と才賀だぞ。
 その気になったあいつらを止められるのは、お前くらいなもんだろうが……」
 三島の返答は、極めて明瞭だった。
 確かに……あの二人が暴走しはじめたら……一般人では、手に余るだろう……。
 しかし、三島の方も……それをいいことに、面白がって、あえて傍観していたに違いない……と、荒野は予測した。
「……ま。
 なんだな。
 ヒステリーには、場合によりファックが効果的、ってのは、部分的に本当のことなんだが、昨日の茅の話しでは、楓のアレは、自分の居場所がないって脅迫観念が元だってこったろ?
 だからな、無理やりにでも、あの糸目が楓の存在理由になっちまえば、そのヒステリーも治るんじゃないかと思って放って置いたんだがな……。
 いきなりおぱじめたのには実を言うとこっちも驚いたんだが、まあ、実際にアレしちまえば、否が応でも、自分のことを必要とする……自分がいることで、誰かが喜んでくれる……という実感が得られるわけだから、楓のパターンにはそれなりに効果があると踏んで放置していたんだけど……」
 三島は、少し表情を引き締めて説明を続ける。
「……楓の方は、アレだ。
 少し時間をかけて楓の居場所を確固としてものにしていけば、いずれ完全に落ち着く日もくる。そういう問題だから、いいとして……。
 この先、問題になるのは……茅の方だな。
 こっちは、楓とは逆に、時間が経てば経つほど、問題が深刻化する。その上、あの三人とかにも波及する可能性があり……さらに、現在の所、この問題に関する専門家は、世界中探してもどこにも存在しない……。
 まあ、ぶっちゃけ、お前さんがしっかりなけりゃどうにもならない類の問題なんだわ……」
 三島は、一番の問題点を的確に指摘してきた。
 何より、茅たちには、「前例」が存在しない。
 だから、エキスパートなども、どこにもいない。
 この先、茅たちが身体心理両面において、どんな風に変化していくのか、まるで予測がつかない。
 つまり……将来、茅たちの体質が原因となって何か問題が発生したとしても……荒野たちが、自分の手で、解決策を模索し、見出さなくてはならない……。
「ま……なんとかしますよ……」
 荒野としては、そう答えるよりほか、なかった。
「……荒野……」
 三島は、そう答えた荒野をみて、ひっそりと笑った。
「茅も楓も、才賀もお前さんも、糸目も……。
 わたしに言わせりゃ、みんな一律、どこか足元があぶなっかしい問題児の集まりなんだがな……」
 ……あまり深刻に思いつめるな……ということを、いいたいらしかった。






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彼女はくノ一! 第五話 (216)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(216)

「……んっ……ふっふっふぅ……」
 孫子と一緒にすっかり香也の分身を舌で清め終えた楓は、いつもとは違う淫蕩な笑みを浮かべて香也を見上げた。
「元気……ですねえ……。
 これならすぐにでも、続けられますねぇ……」
 そういって、唾液でぬるぬるになった香也の肉棒を軽く掴んでしごきあげる。
「……ほい、楓……」
 タイミングをみはからった三島が、新しい避妊具の包みを投げる。
 それを受け取った楓は、手早く封を切り、香也にかぶせた。
「……さっき……才賀さんとしてた時……んんっ!」
 楓は、香也の物を掴んで自分の中に導きながら、その上にまたがる。香也の先が自分の中に沈んでいくと、軽く呻き声をあげた。
「すっごく……ふっ。
 悔しかったんですから……んっ……」
 腰をしっかりと沈めて香也を完全に呑み込んだ楓は、そのまま上体を倒して香也に抱きついた。
「……才賀さんに負けないくらい……いっぱい、愛してください……」
 楓はそういってから長々と香也と口唇を重ね合わせ、香也の首に両腕をまわす。香也の胴体とぴったりと密着しながら、楓は、小刻みに体を揺すりはじめる。腰だけを激しく動かして無理に快楽を引き出す、というよりも、もっと自然な動きで、体全体を香也に擦り付けているような動きだった。楓に抱きつかれている方の香也も、自然に自分で体を揺すりはじめている。
 静かな交合が何分も続いた後、二人の動きは徐々に激しくなり、体を全体をぴったりと貼り付けたまま横に転がって体の位置を入れ替え、香也が上になった。
 香也は、畳の上に手をついて、楓の上に覆いかぶさり、ゆっくりと自分で動き出す。香也の下になった楓は、香也の胴体に腕と足をまわしてしっかりと体を密着させる。
 ふっ。ふっ。ふっ。
 と息を吐きながら、自分の呼吸に合わせるように体を前後上下に揺さぶる香也。その香也の動きに、徐々に満たされていくのか、次第に呼吸が荒くなっていく楓。
 派手な動きや嬌声こそないものの、時間をかけてゆっくりと二人が快楽を編み上げていくのが、傍目にも感じ取れた。

「……おっ……」
「傍目」の一人、三島が軽く感嘆の声を漏らす。
「ここに来て……オーソドックスなファックになるか……」
「……オーソドックス、って……」
 羽生が、苦笑いをしながら、三島に答える。
「でも、あれは……なんか……」
 気持ちよさそうだな……という言葉は、羽生は口には出さなかった。
 羽生の目には、そうして行為にいそしんでいる香也も楓も、なんか自然で……リラックスしているように、見える。
 安心して、お互いの体をまかせあっているような……。

 もともと、普段、運動らしい運動をしたことがない香也のことだから、自分から動き出しても、それほど大仰な、激しい動きにはならない。ゆるゆると体を動かす程度が関の山、なのだが、そうした静かな動きでも楓は確かに感じるところがあるらしく、香也の体にまわした腕を所在なげに動かしたり、首を左右に振って唇を硬く結んだりしはじめる。香也の背中は、徐々に汗が浮かびはじめる。
 ふっ。ふっ。ふっ。
 という香也の呼吸音だけが響く中、突然、楓が香也の下で首を仰け反らせて、
「……あっ!」
 という小さな叫びを発した。
 香也は、すかさず覆いかぶさって、楓の口唇を自分の口で塞ぐ。
 そうして楓の口を塞ぎながら、香也の動きの振幅が、少し、激しくなった。
 香也の背中にまわした腕に力を込めながら、楓は、眉間に皺を寄せ、何かに耐えるような表情をして、香也の口付けを受け止めている。
 またしばらく、そうした密着体勢のまま香也がもぞもぞと蠢き続けているうちに、またもや、楓が香也から口を離して、
「……ふぁ……」
 と、不明瞭な吐息を漏らした。
 香也の背中が、そのまま大きく波打ちはじめると、楓の不明瞭な吐息は、そのまま、
「……ふぁ……ああっ!
 あ。ああぁ……あぁぁぁっ……」
 という断続的な鳴き声に移行し、その声を聞いた香也が、全身汗だくになりながら楓の上で不器用に体をくねらせる。

 それまで受身だった香也がいきなり積極的になったのは、別にやけになったからではない。
 どうあがいても……もはや、それまでのように最小限の人間関係の中に孤立して過ごすことは、出来ない……と言うことを、骨身に染みて感じていたからだ。香也がそう望んだとしても、楓や孫子が、もうそれを許してくれない。
 それに……。
『……楓、ちゃんも……』
 香也は、徳川の工場で楓が撹乱した時のことを思い返す。
 香也自身とは現れ方が違うのだが……表層的には一見、人当たりが良い楓にしてみても、ほんの少し深層をみてみれば、様々な傷を負っている。
 今日の楓の様子を見て、香也は、そう実感した。
 孫子も、また……顔見知りの自分たちにこそ優しいが、それ以外の見知らぬ人間に対しては、実に冷淡で厳しい態度を取ることがある……という事実を、香也は知っている。
 歪んでいるのは、自分だけではない……と、香也は思うようになっている。
 対人関係、という点でいえば、自分たち三人は、それぞれに、いびつな部分を持ち合わせている……と。
 で、なければ……。
『……ぼくなんかに……』
 自嘲混じりに、ではなく、真剣に、香也はそう思う。
 そうした欠陥がなければ……自分のような者に、楓や孫子のような「良く出来た子」が、ここまで執着し、好意を抱くわけがないのだ……と。
 この時点で、香也は……楓と孫子の自分への好意を、いわば「同病相憐れむ」的な憐憫である……と、結論している。それが正しいかどうかはわからないが、香也自身は、そう信じている。
 で、あれば……。
 ……そんな三人がひっそりと寄り添いあって、何が悪い……。
 というのが、香也の心境だった。
 そして、香也が、自分と同じような孫子や楓に出来ることといえば……こうして、望まれれば体を交えることくらい……のように、思えた。
 少なくとも香也には、それ以外に二人に対してできることを、思いつかなかった。

 香也のそんな心境を知れば、楓や孫子は、まず確実に、憤るか哀しむかする筈だったが……この時点で、三人は、お互いの感情を確認していない。
 だから楓は、香也の愛情を疑わずに身を任せ、徐々に満ちてくる快楽を受け入れている。






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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(132)

第六章 「血と技」(132)

 結局、テンとガクが合流してきたのは、河川敷に出てからだった。昨日と同じ服を着ていたから、外泊していたことは確かなのだが、予定通り玉木の家に泊まっていたら、商店街の周辺で合流してくる筈であり……。
「……お前ら、ゆうべはどこに泊まったんだ?」
 不審に思った荒野が、尋ねる。
「それが、あのまま工場で盛りあがちゃってさぁ……」
「にゅうたんや先生がいった通り、ピンクレディーって受けがいね。ストリップは途中で止められたけど……」
 テンとガクが順番に答えた。
 ……どうやら、あのまま一晩宴会を続けていたらしい……。
「……学校の連中は、無理に引き留めなかったろうな……」
「……うん。
 それは大丈夫。お酒飲んでいない人が、サングラスのおねーさんと一緒に、早めに送っていった……」
 これは、ガク。
「徳川は、何もいわなかったのか?」
「少し呆れ気味だったけど、別にいやがってはいなかったな……。
 はやり早め時間に、事務所の方に引っ込んでったけど……今朝も顔を出した時、徹夜で仕事をするのはいつものことなのだ、とかいってたし……」
 テンが、そう答えた。
 一応、徳川の意向も気にしてはいたらしい。
 それならば、まあ……さして、迷惑はかけていないのだろう……と、荒野は無理に思うことにした。
 テンは、顔色が少し悪い程度で、外見上は普段とあまり変わりがないが、ガクの方は、実に眠そうな顔をしていた。
「……お前ら……徹夜は慣れているのか?」
 重ねて、荒野が尋ねる。
「ぜんぜん」
 テンが首を振る。
「一晩中起きてたのなんて、はじめてだよ……」
 その横では、ガクが目を閉じてゆらゆらと揺れている。
「その……ようだな……」
 荒野は少し考えて、二人に「今日は組み手はやらないように」と伝えた。
「お前らのパワーとスピードだと、ちょいとした不注意でこけても大怪我になるからな……」
 そう、理由を伝えると、テンは素直に、「……そうだね」と、頷いた。それから、立ったまま半ば寝入りはじめているガクを肘でつつき、「今日は危ないから見学しとけって」と耳打ちする。
「……んー……。
 わかった……」
 ガクは目を閉じたまま頷いて、その場にどっかり腰を降ろした。
「……この場で、休んでるぅ……」
「……ガクが本格的に寝入ったら、テンがかついで行けよ……」
 荒野はそういい捨てて、残りの連中に向き直る。
「……っと、そうだな……楓!」
 荒野は、孫子と組み手をしていた楓を手招きした。
 昨夜の別れ方もあるし、一度きちんと話しをしておく必要を感じた。
 近づいてきた楓に、まずは、昨日、うやむやのうちに中断していた話し、「茅の護衛を、しばらく酒見姉妹と分担してやってくれ」と切り出す。それからすぐに、「これは、楓の負担を少なくするための処置である」という事も、しっかりと伝える。
 茅やテンとガクに体術を仕込むこと、などの例をあげ、
「……なんだかんだと、お前の仕事、増えて来ているし……」
 という理由をあげ、そのためにも、楓の余裕がある時間を、多くしておきたい……と、荒野は説明した。
「……お前だって、放課後に遊ぶ友達の一人や二人、できている頃だろう……」
 とも、付け加えた。
 荒野が知るかぎり、放置しておくと孤立しがちな孫子とは違い、人当たりのいい楓は、もうかなりの友人ができている……ということだった。
「……ええ、まあ……」
 楓は、あいまいに頷く。
 その表情をみて、荒野は、
『……楓の好きにさせておいたら……友人と遊ぶ、どころではなく、時間が許す限り香也に付きまとうのではないか……』
 と、予感した。
 それで、荒野は、
「……これは、加納としてではなく、友人としていうんだが……」
 と前置きして、こうも付け加える。
「……まあ……香也君もいいけどな……。
 楓、お前……もう少し、自分のことを考えた方が、いいと思うぞ……」
 香也がこれから誰と付き合うのか、あるいは、誰とも付き合うつもりはないのか……という進展には、荒野はあまり興味がない。他人の色恋沙汰がどうこう、という部分に、荒野はあまり興味を持てないのだ。
 ただ……。
「……例えば、昨日の件でも、な……。
 楓。
 お前、体術だけをみてみれば、術者として一流……もう少し、経験を積めば、超一流に届く腕を持ちながら……それを、全然実感できてないだろ?」
 荒野が尋ねると、楓は即座に首を縦に振った。
 ただ……楓の、厭味なまでの自信のなさ……。
 これだけは、そろそろどうにか矯正しておかないと、行き先が不安でもある。
 何だかんだいって、こちらがあ使える戦力の中で、楓は、荒野に次ぐ存在なのだ。その第二位が、いつまでも病的な不安を抱えている、という状態は……荒野にしてみれば、非常に心もとない。
「……荒神の……最強に見込まれた弟子なんだぞ、お前は……」
 荒野は、ため息をつく。
「……それは、わかっていますけど……」
 実際に対峙してみれば、相手と自分の実力差は、身のこなしなどから自然と悟れる。
 だから、楓とて、理性では、自分が無力な存在だとは、思っていない。
 だが……その理性的な判断をぐらつかせるほどの大きな不安を、楓は抱えている……。
 いつか、誰にも必要とされなくなるのではないか……という妄想を、後生大事に抱え、脅えている……。
 荒野は、ひそかにため息をついた。
『これは……もはや、カウンセラーの領分だよな……』
 実際の話し……楓ほど、他人に好印象を残す人間も珍しいのだが……。
『……それでも……本人は……』
 あまり納得してはいないようだ……と、荒野は、これまでの楓の挙動と今の会話を思い返して、そう、判断する。
 昨夜、茅に説明されて、それまで漠然と不審に思っていた部分に、ぴったりと嵌まる形状を与えられた……という感じなのだが……。
『……茅は、白紙に近い状態でここに来たけど……』
 楓は……マイナスだ、と本人が思い込んでいる地点から出発して……そこから、人一倍努力して、現在の能力を獲得するにいたった。
 昨夜、荒野は、柏あんなに「数十年の逸材」と楓の評価を伝えたが……そう評価されるまでに、楓は……徹底的に自分を痛め付け、潜在的な能力をすべて引き出せるように、それこそ、血の滲むような努力をしてきたのだろう。
 それは、楓の、ほとんど強迫観念に近い情熱が発露した結果であって……。
『……難しいよな……』
 楓が現在の「楓」になるまでの過程を想像して、荒野は心中でそっとため息をつく。
 この時の荒野の想像は、昨夜、狩野家の居間で羽生相手に三島がいった、「涙ぐましいまでの努力をして、いい子でいようとする」という楓への評言と一致する。もちろん、その場にいなかった荒野は三島がそんなことをいった、などということは知る由もなかったわけだが……。
『……後で先生にでも、相談してみるか……』
 その場では、荒野はそう結論を下した。
 正直……この手の問題は、自分には、荷が勝ちすぎる……と、荒野は思った。
 昨夜、狩野家でなにがあり、楓をどう説得しなだめたのか、荒野は知らなかったが……そのお陰かどうか、今、目の前にいる楓は、以前と同じように落ち着いているように見える。
 楓が抱える不安、という根本的な問題は解決していないので、また何かの拍子に昨夜と同じような錯乱状態に陥るのかもしれないが……そっちは、様子をみながら長期的に対策を講じて行くよりほか、方法がなさそうだった。
「……後、だな……」
 そう結論した荒野は、話題を変えた。
「茅を鍛える、という件な……お前が直接見る前に、何日か、酒見姉妹に見てもらおうとと思うんだが……。
 茅は、基礎の基礎も知らない状態だし、最初の身体の作り方、お前が教えてもあの双子が教えても、たいして変わらないだろうし……」




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彼女はくノ一! 第五話 (215)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(215)

「……はぁ……いっぱい……」
 香也の正面に座った孫子が、半眼になってつぶやく。
「……熱いのが……ドクドクって……脈打って……」
 孫子は、避妊具のゴムを経由しても香也が出したものの感触を感じている。先日、やはり楓も交えて三人で行った性行為以来、香也は自慰も夢精もしていない。そのせいで、数日分溜まっていた濃い精液が大量に出た訳だが、男性の生理についてあまり詳細な知識を持たない孫子は、そのへんの事情までは推察できない。
 ただ、香也が自分に満足して射精した、という事実に感動し、その証拠となる感触にうち震えて放心している。孫子の、香也を受け入れている部分が、孫子自身の意志に関係なく何度か収縮する。その刺激を受けて、孫子を貫いたままの部分も何度か大きく脈動し、そのたびに孫子は、「……んんっ……」とか「……はぁっ……」と、息を吐いた。
 孫子は、ぼおっとした表情で放心している。
 次第に力が抜けて来た孫子の体を支えるのも難儀になってきたので、香也は孫子を横たえようとした。
 が、香也が体を離そうとすると、孫子が、
「……だめぇ……」
 と鼻にかかった甘えた声でいって手足を絡ませてくるので、香也は仕方がなしに、繋がったままで、孫子と一緒に横たわる。
 必然的に、孫子の上に、香也が乗るような形になる。
 孫子が下から手足を絡ませてくるので、香也は孫子と至近距離で向き合っている。
「……お、重くない?」
 照れ隠し半分に、香也が孫子に囁く。
「……んっ……この重さが……幸せ、です……」
 そういって、孫子は、香也の体に回した腕に力を込める。香也の分身を咥えた部分が、また痙攣に似た収縮をした。
 孫子は香也に顔を近づけ、口を求め、香也はそれに応じて口唇を合わせた。

 数十秒か数分か……とにかく二人は、一塊になって長々と口付けを交わしていた。
 その硬直を解いたのは、楓である。
「……いつまで二人の世界に入っているですか……」
 そうつぶやいて、香也の股間に手をいれ、二人が結合している部分から肛門にかけて、指で、すぅっと一なでする。香也のその箇所は、楓と孫子が分泌した透明な液体で濡れぼそっている。
 そんな部分を他人に触られた経験がない香也は、不意の刺激に「……うわぁっ!」と声を上げて跳ね起きた。当然、孫子からも体を離すことになり、それまで香也の体を離そうとしなかった孫子は、当然のことながら不満顔になる。
 尻餅をついてへたりこんだ香也の股間に、楓は顔を近づけた。
「……まだまだ、元気ですねー。
 はい。今、きれいにしますからねー……」
 幼児にでも話しかけるような口調で楓は香也の股間に話しかけ、香也の半立ちなっているものを手でつかみながら、その根元に舌を這わせはじめる。睾丸や陰毛などについた液体を、ぴちゃぴちゃと音をたてながら丁寧に舌で清めて行くうちに、一度力を失いかけていた香也の分身が再び硬くなっていく。
 香也の男性の半分ほどを覆っている避妊具をそろそろと上にずらしながら、
「……んっ……香也様の……」
 とかいいながら、そこから漏れ出てくる白い粘液も、楓は舐めあげていく。
 楓の表情は、恍惚としており、楓の太股にも、透明な液体が伝い降りはじめている。
 楓が……香也の出した精を舐め取っている……気づいた孫子は、楓の横に無理に割り込むようにして香也の股間に顔を密着させ、楓と同じ行為を開始する。
「……駄目……香也の……」
「……独り占めは……」
 楓と孫子は、並んで四つん這いになりながら、左右から香也のあそこを舐め、精液を取り合いはじめる。

「……え……えろえろだぁ……」
 羽生は呆然とした口調で口にした。
 羽生の目の間では、へたりこんだ香也の股間に、楓と孫子が顔を突っ込んで、ぴちゃぴちゃと盛大に音を立てて舌を使っている。一列にならんだ楓と孫子の白い臀部が、時折、何かを希求するようにもぞもぞと蠢く。
 実体験のない羽生にとっては、目に毒というか、それ以上に淫靡な光景だった。
「……おうおう。
 盛っている、盛っている……」
 一方、三島の口調は羽生よりも余裕があった。
「……男の方も、まだ一回しか出してないし、全員やりたい盛りの年頃だから、ここまで火がつくと、いくところまでいかないと鎮火しないぞ……。
 楓か才賀のどちらかがへばったら、代りに入るし……」
「……先生……その、本気でいっているのか?」
 羽生は、無理に三人の痴態から目をそらして、三島に確認する。
「……ま、あの少年がそれまでに収まれば、話しは別だけどな……」
 三島は、羽生に向かって頷いて見せる。
「才賀のあの薬がどれほど効果を持続するのかわからんけど……本人のせいではないのに悶々とするのも、わかいそうだろ……」
 一瞬、羽生も納得しかけてしまったが……。
「……ちょっとまて!
 だからって、先生が体をはる必要はないだろ?
 どうしてもうちのこーちゃんを楽にさせたいってんなら……その、手とか口とかで、出させればいい筈で……」
「……硬いこというなよ、お前……」
 三島は羽生の詰問に、明確には反論しなかった。
「わたしも溜まってた所だから、ギブ・アンド・テイクというか、利害の一致というか……」
 それどころか、訳の分からない理由を並べて、羽生から目を逸らす。
「……よーするに……自分がやりたいだけっすか……」
 羽生は、三島をジト目で見つめた。
「……い……いいじゃないか。
 ど、どうせ、向こうも収まりがつかない訳だし……」
 三島はどもりながらも反論にならない反論をする。
「……資源とチンポの有効活用っていうか……。
 それにだな、いっとくけど、わたしのテクと締まりは半端じゃないぞ……。
 若いうちにそれを経験できると思えば、金くらい貰ってもいいくらいなもんで……」
「……今度は、売春ですか……」

 羽生と三島が睨み合いをはじめても、三人はそれに関心を持つ余裕はなかった。それぞれ、自分の快楽を追求するのに余念がなかったためだ。
 香也の避妊具を完全に外すと、今度は、楓と孫子がその中に残っていた香也の精液を奪い合いはじめた。
 二人が顔を向き合わせて小さなゴムの液体を口でもって奪い合う、わけだから、当然、楓と孫子の舌同士も触れ合う……どころではんく、指で吊るしたゴムの舌で、舌を同士をぶつけ合う、といった感じになる。
『……うわぁぁ……』
 香也は、すぐ目の前でそんなに扇情的な光景を見せつけられ、目を話せないでいる。楓も孫子もとも美少女であり、その二人が恍惚と頬を赤らめ、顔をつけるようにして自分が射精したばかりのザーメンを奪い合っている、という図は、絵的にもいかにも淫靡だったし、シュチュエーション的にも、香也には刺激的にすぎる。
『……あんなもの……』
 うまかったり甘かったりするわけが、ないのだ。
 二人が奪い合っているのは、それが「香也のものだから」という、ただそれだけの理由で……。
『……ぼくに……』
 そこまで求められる資格が、あるのだろうか……と、思わずには、いられない。
 そう思うのは、別に今回がはじめてというわけではない。
 二人の……あるいは、樋口明日樹も含めて、明確に香也を異性として意識している少女たちに、確としたリアクションを返さなかったのは……そうした、香也が根源的な部分に抱えている、「自信のなさ」も、大きな原因になっている。
 香也という少年は、根深い部分に、「自分が、今ここに生きていること」への罪悪感を抱えており、本人も意識していないその罪悪感が、必要以上に人付き合いを避ける、という香也の行動パターンを決定づけているのだが……。
 目の前の光景は、香也が長年抱えてきた、そうした「根拠のない不安」を、何にも増して雄弁に否定している。
 それ以上に……香也自身も意識していない「不安」など吹き飛ばすくらい、強烈に……香也の、「牡としての欲望」を刺激する……。

 コンドームの中の精液をすっかり舐め終えると、楓と孫子は、再び香也の股間に顔をつけ、肉棒に付着している白濁液を舐めはじめた。





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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(131)

第六章 「血と技」(131)

 ランニングに出掛けるにはまだ間があったので、荒野はいそいそと勉強道具を取り出して、宿題のプリントをやりはじめた。よき生徒を目指している荒野としては、そうした雑事も時間がある限りは怠る事なく自分の手でやるようにしている。最近、話題にあがることが多い受験のこともあったし、茅やテンとは違い、完璧な記憶力など持たない荒野は、自分の手で苦労して知識を身につけなければならない。
 茅は、そんな荒野にはコーヒーを、自分用には紅茶をいれ、荒野の手元をみつめ、適宜助言をあたえていく。自主勉強会の関係で、茅は全学年、全教科の内容を丸暗記しており、試験対策に必要な捻った応用問題の解法なども熟知している。荒野の方も、下の学年に所属する茅に勉強を教えてもらう事に、特に抵抗はなかった。それまでのキャリアから、年齢や学年の上下、よりも、適所適材、という思考法にはなれている。
 荒野がそれまで属してきた社会は、権威や年齢よりも実力がものをいう世界であり、荒野としては逆に、そうした上下関係が揺るぎないものとして存在する日本型の社会の方に違和感を感じる。例えば、知り合いの柏あんななどに「先輩」呼ばわりされると、妙な気恥ずかしさを感じる時があったりするのだが……これについては、「ここではそういう慣習なのだ」と、自分を納得させることにしている。
 小一時間ほどかけて宿題のプリントを一枚片付けると、ちょうど目覚ましが鳴って、起床時間であることを告げた。
 荒野と茅は手早くスポーツウェアに着替えて、マンションの前に出る。すでに目を覚ましていたので、いつもよりも五分ほど前にマンション前に着いたのだが、そこにはすでに酒見姉妹が待ち受けていた。
 二人とも、同じメーカー、同じデザイン、同じグリーンのスポーツウェアを着ていた。この姉妹は、二人でいる時は、同じ服装をして、わざと周囲の者を混乱させているのかもしれない……と、荒野は推測する。
「……また、増えてるし……」
 だが、挨拶をする前にそういう言葉が口をでていた。
「……わたしたちは……」
「……茅様の護衛ですから……」
 双子がそういって胸を張る。
 昨夜、荒野が思いつきで命じた役割を、二人はかなり重く受け止めているようだった。
「それ……放課後だけで、学校から帰る時だけで、いいんだけど……」
「……それでも……」
「……わたしたちが、自主的にすることですから……」
 荒野に文句をつける筋合いはない、ということらしい。
『……歓迎すべきことなのか、どうか……』
 荒野は一瞬、判断に迷ったが、すぐに、「問題児を目の届く範囲に置く」と、前向きに考えることにした。
「……げっ!」
「酒見だ! 酒見!」
「なんで、あんな危ないやつらが!」
 いつものように合流して来た佐藤、田中、鈴木、高橋の四名が、双子に気づいて早速騒ぎはじめる。
 四人とも、何か聞きたそうに荒野を見つめたので、荒野は肩を竦めて、いった。
「……茅の護衛を、してくれるそうだ……」
 四人は肩を寄せ合ってしばらくごそごそ内緒話しをしていたが、やがて、佐藤君が代表で荒野の前に出て来て、
「……や! ども!
 ぼくら、これから急用があったことを思い出したんで……」
 などとうそぶく。
 その佐藤君の肩に、背後から忍び寄った酒見姉妹が、左右から、手を置いた。
「……人の顔を見た途端に逃げ腰とは……」
「……上等な真似をしてくれるじゃないか……」
 荒野に話しかける時とは、声の調子も表情も、まるで違う。
『……ようやく見つけた、自分より格下の人員を……』
 みすみす、逃したくはないのだろうな……と、荒野は双子の心理を推測した。
 思い返せば、この二、三日、双子は「負け」がこんでいる。
 それに……。
『……四人にとっても、いい練習相手には、なるか……』
 と、荒野は思う。
 四人のレベルだと、楓やテン、ガクとは実力差がありすぎて、組み手の相手にならないのだった。楓たちは「他人に教える」ということを目的として適当に実力をセーブする、といった器用な真似は、できない。
 その点、双子なら……。
『……まあ、順当といえば、順当か……』
 しごきすぎないように見張っている必要はあったが、どうせ四人は、酒見姉妹とはあまり接触したがらないだろう……と、荒野は思う。
 そこで、佐藤君の両脇を押さえて、ちくちくと言葉責めを行っている酒見姉妹に、荒野は声をかけた。
「……おい、双子!
 お前ら、茅に体術、教えてみる気はないか? ついでに、その四人にも……」
 楓の負担を軽減する、というのが、酒見姉妹に協力を要請したそもそもの動機である。だから、茅の訓練に関しても、任せてしまって構わない……というのが、荒野の思考だった。そもそもの基本からみっちりと教え込む、ということになると、相応に時間がかかるし、双子は、来春、学校に通いはじまるまでは、時間を持て余している身だ。
 佐藤君、田中君、鈴木君、高橋君は荒野の言葉を耳にするとその場に立ちすくんで固まってしまったが、酒見姉妹には好評だった。
 ……やはり、酒見姉妹は、「自分たち以下の下っ端」が、よほど欲しかったとみえる。

 そんなやり取りをしているうちに、マンションから飯島舞花が出て来て、酒見姉妹の顔をみるなり、二人の方を指さし、
「ああ。やっぱり来てる!」
 と叫んだ。
 酒見姉妹のうち、向かって右側の方が、舞花に指さされた途端、ビクリと震えた。
 ……どうやら、こっちの方が、昨日、舞花に散々プロレス技をかけられた、妹の粋らしい……と、荒野は悟った。が、どうせすぐに見分けが着かなくなるので、この場だけで区別がついたとしても、あまり意味がないのであった。
『……茅とかテンなら、楽勝で見分けられるのかな?』
 ふとそんなことを、荒野は思った。
 いつもより数分遅れて、狩野家から楓と孫子がでてくる。
 楓に関しては、昨夜、あのような別れ方をしたので、荒野もそれなりに心配していたのだが……見た感じでは、かなり、元気そうに見えたので、かえって拍子抜けした。いつもより顔色がいいくらいで……と、そこまで観察し、荒野は、楓の隣にいる孫子の肌も、なんとなく色艶がいいことに気づいた。
「才賀……昨日、あれから楓に……」
「その件については、片付きましたわ……」
 荒野の問いかけを途中で遮って、孫子がまくしたてる。
「あれから、全員総出で楓と話し合いをしまして……」
 孫子は、実ににこやかで……その不自然な上機嫌さが、荒野は少し怖くなった。
「……ええ……。
 もう、大丈夫です……」
 楓の方も、昨夜とは打って変わって、晴れ晴れとした笑顔を見せ、荒野に頭を下げる。
「ご心配をおかけしました……」
「……い……いや……落ち着いたのなら、いいけど……」
 荒野は、何故だか分からないけど決まりの悪さを感じて、楓から視線をそらせる。
 なんで、こんなに……居心地の悪い思いをするのだろう……と、思い、少し考えて、「楓と孫子の二人が、揃って不自然に上機嫌であること」が原因だと、思い当たる。
 そして、そのことに思い当たった時点で、荒野は、その場で追求することはきっぱりと断念した。
 楓と孫子……の二人に共通すること、それも、二人を同時に上機嫌にさせることといえば……。
『……香也が係わっている……に、決まっている……』
 だとすれば……早朝から、みんなの前で話題にしていいことではない……という予感が、ひしひしと、する。
 幸い、楓にも孫子にも、いい影響さえあるものの、悪い影響はなさそうだし……。
『……しばらく、静観しておこう……』
 と、荒野は考える。
 香也に何かあれば、話しは別だが……この二人が何も言わない……ということは、おそらく香也も息災である筈なのだった。
「……テンとガクは途中で合流するだろうから……とりあえず、出発しよう……」
 荒野は、全員にそう告げた。




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彼女はくノ一! 第五話 (214)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(214)

 香也は物事を深く考えることが苦手だった。それに、人付き合いも。今までは、それらの繁雑な要素を自分の生活から極力排除することで、安楽を得て来たわけだが……。
『……それも……』
 もう、完全に終わり……のようだ……と、香也は思う。思わないわけには、いかない。
 何故ならば……現在自分と交合中の孫子と、ついさきっまで自分と交わっていた楓が、今現在、自分の上で睨み合っているからで……これは……。
『……ぼくが、どうにかしないと……』
 どうにもらならないどろう……と、「鈍い」香也にしても、流石にそう結論づけないわけにはいかない状況で……。
『……だけど……』
 気が重い、ことであるには違いな。香也自身が望んでこのような結果を作り出した訳ではないのだが、どちらの肩を持つにせよ……丸くは収まらない状態ではわけで……。
『……なら……』
 香也は、普段は使ったことのない頭脳を、フル回転させる。
『できるだけ、角が立たない方向で……』
 ゴクリ、と固唾を呑み、覚悟を決めた香也は、意を決して、自分の上で睨み合っている二人の首を両腕で抱き寄せる。
「……え?」
「……はえ?」
 最終目的である筈の香也の存在を失念し、牽制しあうことに夢中になっていた孫子と楓は、急に香也に抱き寄せられて、戸惑い……ついで、「香也の方から抱き寄せた」という前代未聞の事態が起こっていることに気づき……恥ずかしさのあまり、硬直した。
「……んー……」
 この期に及んでも、香也はそう前置きをした。
「……あの、うまくいえないけど……二人とも、す、すすす、好き、だから……。
 と、とりあえず、もう、いがみ合うの、やめて……」
 慣れない台詞をいうのと、気恥ずかしさとで、香也の呂律もかなり怪しくなている。
 いわれた孫子と楓の方は、ぼおっと頬を赤らめて、香也の次の言葉を待っている。
「あんまり、喧嘩ばかりしていると……嫌いになるから……これからも、喧嘩は、しないで……」
 喧嘩だけは避けてほしい……というのは、香也の本音だったので、このあたりの台詞は、思ったよりもすらすらと口から出た。
 二人は、その前の「好きだから」という台詞に思考停止しいていて……二人して、何度もこくこくと頷いている。
 ……よし。上等……と、香也は心中で叫んだ。
 一番肝心な「ここ」さえ押さえておけば……と、香也が安心しかけた時……。
「では……」
 香也と繋がったままの孫子が、香也と繋がっている部分を、蠱惑的に蠢かせた。
「……ふっ。
 つ、続きを……」
 きゅ、と、ただせさえきつい孫子のアソコが、香也自身を締め上げている。
 楓のは、やんわりと包みこんで抜く時に吸い付いてくるような感触があったが、孫子のは、まだ経験回数が浅いからか、むやみに肉が堅くて……などと、香也が頭の中で思わず二人の「感触」の違いを比較しているうちに、孫子は「あっ」とか「はっ」とか鼻で抜けるような吐息をつきながら、腰を上下に振り動かしている。
 そうすると、最初はぎっちりと香也を締め付けて来るだけだった孫子のアソコが徐々にほぐれて来て、おまけに孫子の奥からどんどん生暖かい液体も香也の股にまで降りて来て……。
『……ああ……』
 と、その変化を体感した香也は、思う。
『才賀さん……どんどん……』
 感じて来ている……と。
 もちろん、香也も、気持ちが、いい。
 前の時は、香也も孫子も、訳がわからないうちにはじまって盛大に性交してしまった、という感じで、情緒もなにもなかったが、今回は……。
『……顔を、見合わせている……』
 と。
 香也に上乗りになって上下に動いている孫子と、目があった。すると、孫子がなんとも柔らかな……見るものを安堵させるような微笑みを、浮かべる。
 普段、きつい表情をみせることが多く、笑うにしても、社交辞令的な作り笑いか、冷笑的な表情しかみせない孫子が……今、この瞬間には、本心から、笑っている……。
 香也がそんなことを考えていると、孫子が、「……はぅんっ……」という声をあげる。
「今……香也様、が……中で、大きく……」
 そういいながらも、孫子は動くのを止めなかった。
「……香也様……」
 不意に、耳元で、楓の声がした。
「……そっちばっかり……見ないで……」
 楓は手で香也の顔を自分の方に向ける。
 紅潮した楓の顔がどアップになり、さらに近づいて来て……。
 熱くて固い楓の舌が、香也の口内に侵入してきた。
 香也の口の中に入って来た楓の舌は、優しく静かに香也の口内を、歯茎を、舌の裏を、奥歯を、唾液を撫で、這いずる。
「……あはぁっ……。
 香也様、ま、また……大きく……」
 下の口で香也をくわえ込んでいる孫子が、妙に熱っぽい声で、うめく。
 自分たちの結合部から、孫子の動きに合わせて、じゅっ、じゅっ、じゅっ……というリズミカルな水音が聞こえる。
 楓は、舌で香也の口内を撹拌しながら、香也の右手をとって、自分の胸に導いた。
「……ここも……他のところも、すべて……わたしの体は……香也様のものです……」
 耳元に、楓の熱い吐息がかかる。
「……わ、わたくしも……」
 中腰になった孫子が、香也の左手をとって、自分の胸の上に押し付ける。
「……好きにしてくださって……んんっ!」
 そういいながらも、孫子は、徐々に自分が受けている快楽の中に埋没して行く。瞳が濡れていて、霞がかったように焦点があっていなっかった。
 香也は掌を圧し戻しくてくる、二人の感触を、我知らずのうちに比べている。
 楓のは、たわわで、柔らかい。
 孫子のは、楓のよりも小さいが、張りがあって、押し戻す感触が強い。
 孫子が息を荒くしながら、徐々に腰の動きを早くする。
 楓は、香也の手を自分の乳房に押し付けながら、再び香也の口を吸いはじめる。
 香也は、自分でも下から孫子を突き上げながら、比較的自由になる左手を動かし、孫子の乳房をいじりだした。
 揉む……というのなら、掌をかぶせても余りある楓の胸の方が、揉む甲斐がある。
 そこで、香也は、下から孫子の上体を支えるように押しているだけだった左手を動かし、孫子の乳首の周囲に、指を這わせた。
 香也が下から突き上げはじめたこともあって、孫子が、香也の指の動きを敏感に察知して、のけぞる。
『……あっ……』
 才賀さんも……自分の愛撫で、感じるんだ……と、当たり前のことに、香也は気づいた。
 香也が自分の上体を起こそうともぞもぞすると、楓がその動きを察知して、香也の肩に手を置いて助け起こす。
 楓の助けも合って半身を起こした香也は、孫子と正面から向き合った座位に姿勢を直し、孫子の腰の両脇に手を置いた。
 孫子は、香也にされるるままに姿勢を変え、その拍子に「……うっ!」と、うめく。
 そうして起き上がった格好になると……より深く、香也が入ってくるように思えた。孫子に侵入する角度も、それまでとは違ってくるし……。
 香也が、孫子の腰に置いた手を、動かしはじめる。
 楓も、香也の背後から腕を回して、香也の動きを助ける。もちろん、香也の背中には、楓の乳房が密着してはりついている。
「……うっ! あっ! あっ!」
 と、孫子が声をあげた。
 孫子は、意識しないうちに、香也の腕の動きに合わせて、香也の股の上で自分の体を上下に揺すっている。
 孫子の奥深くに入ってくる香也が……孫子の陶酔をさらに高める……。

 香也が孫子の乳首を口に含み、少しきつく噛んだ時……孫子が、首を後ろに倒して「……んっ。んっ。んっ……」とうめき、硬直した。
 香也の分身を捕らえている孫子の部分が、きゅっと収縮する。
 硬直した孫子に数秒遅れて……香也も、孫子の中に入ったまま、避妊具越しに長々と射精した。
 香也が放った感触がわかるのか、硬直した孫子の体もびくびくと震える。




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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(130)

第六章 「血と技」(130)

「……加納様……。
 今日は、ケーキの方は……」
「……さもしいこと、言わない!」
 内容のある話し合いは一段落した、と判断したのか、ジャージ姿の酒見がいいかけて、制服姿の酒見がその後頭部をはたく。
「悪いが……今日は、ケーキの用意はない。
 今度来る時は……いや、それよりも、お前らをマスターに紹介して、売り子でもやってもらった方がいいか……」
 苦笑いをしながら荒野がいいかけ、そして不意に思案顔になった。
「……マスターって……マンドゴドラのですか?」
 ジャージ姿の方がテーブルの上に身を乗り出し、勢い込んで荒野に尋ねる。
「ああ……その、マンドゴドラの、なんだが……」
 こいつらも……顔が知られたほうが、この周囲で悪さがしやすいだろうし……売り上げに貢献することを、マスターが喜ばない筈はない……。
 いや……場合によっては、才賀が立ちあげるとかいう会社を介して派遣、という形にした方が、いいかも……。とか、そんなことをつらつら考えながら、荒野は、
「ちょっと確かめてみないことにはわからないけど……」
 と前置きした上で、
「マンドゴドラで働けるように、口を利いてやってもいい」
 と双子に告げた。
「お前ら、ここに来たということは、それなりに蓄えもあるだろうし……。
 現金ではなく、ケーキの現物支給でよければ……マスターも、否とは言わないと思う……」
 荒野の言葉を聞くと、酒見姉妹は手を取り合って、「キャッー!」っと歓声をあげた。

 肝心の茅がシルヴィの薬で眠らされたこともあり、その後、特に内容のある会話は成立せずに解散、ということになった。全員しばらくこの土地に逗留することは確かであり、明日以降も簡単な打ち合わせをして日時を指定すればいつでも集合できる。
 三人を玄関先で送り出した後、荒野は、ベッドに寝ている茅を制服からパジャマに着替えさせ、シャワーを浴び、茅の隣に潜り込む。
 今日は……今日も、いろいろなことがあったな、と思いながら、目を閉じた。

「……むぅ……」
 翌朝、荒野は窒息しかけて目を醒ました。
 何事かと思えば、不満顔の茅が荒野の鼻を指で摘んで鼻腔を塞いでいる。それで、息苦しくなって目を醒ましたのだった。
 跳ね起きて時計を見ると、いつも起きる時刻よりも、一時間以上も早い。
「……どうしたんだ、茅……こんな時間に……」
 荒野は、明らかに不機嫌な顔をしている茅に、尋ねる。
「昨日……シルヴィに、細工されたの……」
 どうやら茅は、薬をかがされて無理に眠らされたことが気に食わないようだった。
「……しょうがないだろ、それぐらい……。
 茅、珍しく取り乱していたし……」
 荒野としては、そう答えるより他、ない。
「で……そのヴィが、今度、茅と二人っきりで、じっくりといろいろなことを話したい、とかいってたぞ……」
 子供時代の荒野を知るシルヴィと、現在、生活を共にしている茅との関係が深まるのは、荒野にとっていいことばかりとは思えないのだが……だからといって、シルヴィからの伝言を故意に伏せて置くのも、意味がない。
「シルヴィもお前のことを心配しているし……おれも、心配している。
 どうして、その……不安のことを、おれに言わなかったんだ?
 茅……」
 真剣な口調になって、荒野は聞いた。
「……怖かったの」
 茅は、荒野から目をそらして俯き、数十秒沈黙した後、ようやくそう答える。
「自分が……どんどん、変わっていくのが……」
「馬鹿……。
 茅は、馬鹿だ……」
 荒野は、静かにいった。
「茅がこの先どうなろうと……おれが、茅のことを簡単に嫌いになるわけ、ないじゃないか……」
「それは……わかっているけど……。
 でも! それでも……怖いの……」
 茅の声は、震えている。
「あのな……茅は、もう一人ではない……」
 荒野は、そういって茅の頭に掌を乗せる。
「おれや楓たちもいるし……それに、茅がそんなに怖がったら……後に続くテンやガク、ノリは、どうする……」
 荒野がそう指摘すると、茅ははっと顔をあげる。
 茅の生誕時期と三人のそれとでは、推定で、一年前後……あるいは、それ以上の差がある。茅が経験することは、三人も経験する可能性が高い、ということで……。
「茅は……もう、お姉さんなんだ。
 三人に笑われないように、しっかりしないとな……」
 荒野は、そのようないい方をした。茅の理解力や推論能力を考えると、その程度のことを伝えれば、十分に通じる……と、荒野は判断した。
「茅……お姉さん……」
 茅は、珍しいことに、不意をつかれた顔をする。
「そうだ。
 あの三人のことだけではないぞ。
 その……茅や、あの三人が子供を生んだとして……。その子供たちにも、茅たちの体質は、それなりに受け継がれる訳だから……」
「……怖がってばかりは、いられない……」
 茅が、荒野の言葉を引き告ぐ。
「……そうだ。
 茅たちは、望んでそうなったわけではないだろうが……先駆者、なんだ。
 後に続く者たちのためにも、しっかりとしないといけない……」
 荒野が頷く。
「……茅の……子供たち……」
 茅が、遠くを見る顔になった。
「……わかったの。
 茅……自分に起こった……これから、起こる変化を……克明に記録していくの……」
 茅、記憶力はいい方だから……と、茅は、笑った。




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彼女はくノ一! 第五話 (213)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(213)

「……おー……」
 三島は、あの状態でも一応、孫子のことを思いやることができた香也に、感嘆の声をあげている。
「あそこで、遠慮するとは……とことん鈍いのか、無欲なのか……。
 どちらにせよ、思ったよりも面白い男だな、あの糸目……」
「……あ……。
 ははっ。ははは、はぁ……」
 以前、香也に同じようなことを言われたことがある羽生は、力なく笑ってごまかす。
「……こーちゃんは、その……優しい子だから……」
「優しさとか決断力のなさがかえって他人を傷つけることもあるんだがな……。
 お。
 才賀、泣いた。
 あれも、計算高いようでいて、自分の感情をコントロールしきれていないところがあるから……」
「……先生……本当、楽しそうですね……」
「当然だろ。目の前でこんなエロコメ実演されてみろ、面白くってしょうがないじゃないか……」
 三島は羽生に向かって、にしし、と笑って見せた。

 外野二人がそんなやり取りをする間にも香也の抜き差しならない状態は依然、改善されていない。というか、見事に悪化している。
 (裸の)孫子が泣きながら(裸の)香也の腰に抱きついたのと前後して、それまでいった後の余韻に浸っていた(裸の)楓も起きだして(裸の)香也に抱きつく。
 (裸の)孫子と(裸の)楓に抱きつかれた(裸の)香也は体勢を崩して尻餅をつき、その上に(裸の)孫子と(裸の)楓が乗りかかり、接吻の雨を降らせる。
 (裸の)孫子は素早く先ほど三島が放ってよこした避妊具の封を切り、素早く(裸の)香也の男根にかぶさる。
 (裸の)香也の上に馬乗りになった(裸の)孫子は、避妊具をあてた香也の肉棒を自分の入り口にあてがい、「いいですわね」と一言確認しただけで、香也の返答も待たずに、ゆっくりと腰を沈めはじめた。孫子とて、本心ではこんな強引な関係の持ち方はしたくないのだが、楓が復活したとあっては、否も応もない。香也の下半身の反応は相変わらずであり、孫子が愚図愚図していたとしたら、二回目以降も楓がはじめてしまう。孫子としては、それだけは避けたかった。
 正直、手で持った香也のそこの部分は香也の一部ではないみたいに硬く、異物、という感じがして、その感触が孫子には、あまり好きにはなれなかった。それに、大きさも、大きすぎるように感じる。前の時は無我夢中になって、さんざん、恥ずかしいことをいいながら、コレに中を引っ掻き回されていたわけだ……そもそも、前回は、孫子自身も、シルヴィから貰った薬を少なからず服用しており、強制的に欲情のスイッチが入った状態にあったのだ。現在も興奮してはいるのだが、以前の時とは違い、純粋に自然な高揚であり、従って、羞恥心や恐怖心を無条件に排斥するほどに欲情しているわけではない。
 多少、自分で周辺知識を仕入れたとはいっても、孫子は、まだまだ性体験が乏しく、このような際の心構えを自然に行えるような人格でもなかった。また、自分から香也の上にまたがっている、という羞恥心や慣れていない性行為に対する不安などよりも、楓に香也を取られることへの不安の方が、孫子にとっては大きい。
 いきりたった香也の先端を自分の要り口にあてた孫子は、不安半分期待半分で、ゆっくりと腰を沈めていく。
「……んっ……」
 孫子は、軽く呻きながら、自分の体を割って中に進入してくる異物の上に体重をかける。孫子のその部分は十分に濡れているのだが、経験が乏しい孫子のそこの肉はまだ硬く、力を抜くと進入を拒むような抵抗が発生している。
「……はっ……」
 それでも、孫子は、腰を沈め続ける。
 孫子自身が分泌した愛液にまみれた香也の肉が、孫子の硬い肉を割って進入してくる。異物感はあるが、快楽は、ない。自分の体に異物が進入してくる感触に戸惑いながら、孫子はさらに「香也」を感じるために、腰を沈める。
 孫子を割って、香也が孫子の中心に入ってくる……感触。
「……はぁ……あっ……」
 香也を完全に飲み込むと、孫子は、長く息を吐いた。
 異物感は相変わらずあるが……自分の奥底まで届いた、という満足感の方が、多い。快楽は、あまり感じない。が……一番奥の部分が、ぼうっ、と熱を持ってくるような感触が、あった。
 全部を挿入しただけで、満足感と安心感があって、力を抜くと、そのまま香也の体の上に倒れこみそうになる。香也の肩の上に手を置いてそれを防ぐと、ちょうど下に寝そべっている香也と、目が合った。
「……あ……あの……」
 急に気恥ずかしさを感じてきた孫子は、口ごもりながら香也にいう。
「その……キスしても……いいですか?」
 今ままであーんなことやこーんなことをしておいて、なおかつ、現在進行形で交合しているというのに、もじもじしながら今更そんなことを聞くというのもなんだが、香也もひじょーに照れくさそうな顔をして、かすかに頷く。
「……では……失礼して……」
 孫子が体を倒して、香也に顔を近づける。
 孫子も香也も顔を赤くして、自分の動悸音がやかましく聞こえるくらい、興奮している。
 お互いの顔がどアップになり、今にも口唇が接触する……というその時。
「……駄目です……」
 楓が、掌を二人の顔の間に差し込み、邪魔をした。
「仲間はずれは……いやです……」
 そういう楓の表情は、意外なほど真剣だった。
 楓は香也に添い寝するような恰好で孫子の額に手を当て、ぐりぐりと力任せに孫子の顔と香也の顔を開いていく。
「香也様は……才賀さんには……」
「だ、だからといって……」
 孫子も、行きがかり上、楓の腕の力に対抗して、体を倒そうと腹筋に力を込める。
「はい、そうですかと……承知できるもんですか……」
 力比べ、のような按配になった。
 二人の力が拮抗し、楓の腕と孫子の上体が、ぶるぶると震えはじめ、二人の肌の表面に、汗が滲みはじめた。

『……なんで、こうなる……』
 その時、恒例のごとくはじまった二人の諍いに取り直した形の香也は、一人でぽつねんとそんなことを考えていた。
『……この二人……こうして張り合っている時の方が……』
 自分といるときよりも、楽しそうだな……と。




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