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第六章 「血と技」(414)
それまでのように、その日も夕方に香也が帰宅し、残った沙織と源吉、それに荒野と茅の、総勢四人での夕食となった。今日は食材の在庫に不足はないらしく、茅は酒見姉妹を呼ばなかったらしい。夕食の席での話題は、自然と、昼間、沙織と源吉が見ていたビデオの内容についてのことが多くなった。
「……荒野君の仲間なら、誰でもあんなことが出来るの?」
沙織が、荒野に尋ねる。
源吉はともかく、沙織ははじめて一族の動きを目の当たりにし、動揺しているようでもあり、自然と口数が多くなっていた。
「誰でもってわけではないですけど……」
荒野は、慎重な口振りになる。
「ビデオに映っているのは、荒事……ああいう肉弾戦のたぐいをおれたちは荒事って呼んでいるんですけど、そういうのが得意なやつらもいれば、別の分野が得意なやつらもいる。
ま、おれたちもいろいろ……てぇか、バラバラです」
「そっか……」
沙織、少し考え込む表情になる。
「得手不得手がある……人間だものね。
では、一年の松島さんは、その、荒事っていうのが得意な子なのね?
二刀流の人と戦ってたの、あれ、松島さんでしょ?」
「えっ……ええっ、とぉ……」
荒野は、どこまで詳細な情報を開かしていいものか、数秒考えてから、それなりに正直に答えた。
「そう、ですね……。
楓は、かなり……おれたちの仲間の中でも、かなり上位に来る強さです。
若い者の中でも……いや、一族全体からみても、トップクラスに入ります」
転入したばかりの頃に行われた持ち物検査の件で、楓の正体についてはそれなりに割れている。他の生徒たちは表面上、あまり気かけている様子はないのだが……沙織のような性格と記憶力の持ち主が、そうした過去のこととビデオの映像とを結びつけて考えないわけがないのだ。
くわえて、沙織の後ろには、源吉も控えている。
沙織を必定以上に巻き込まない……という茅の基本方針を認めた上で、荒野は差し障りのない線を模索しながら、出来るだけ正直に答えておこう……と、思った。
「……荒野君は、そういうことで嘘はいわないだろうから……すごい子なのね。見かけによらず」
沙織は、素直に目を丸くしている。
「と、いうことは……荒野君は、松島さんよりもっとすごいんだ?」
「なんでそう思うんです?」
荒野は、沙織の問いには直接答えず、答えをはぐらかした。
「だって……」
沙織は、邪気のない笑みを浮かべた。
「松島さんのこと、説明するとき、荒野君、悔しそうな顔も自慢げな顔もしていなかったし……これは、荒野君が松島さんのことを、過大にも過小にも評価する必要がないってこと。
荒野君、松島さんの上司なんでしょ?
上にいる人が部下より無能だったら、シメシがつかないんじゃない?
荒野君たちの社会って、そういう序列にはうるさそうだし……」
「……ご推察の通り……」
荒野は、しかたがなしに認めた。
……この分だと、荒野が詳しい説明をしなくても、沙織は断片的な情報だけで、かなり正確な事実を把握してしまうのではないか……と、荒野は思った。
「……おれ、楓よりは強いです。まず確実に」
沙織がこの調子だと、適当にぼやかす……ということは、あまり意味がない。
「……ぜんぜん気負わずに、そういいきっちゃうか……」
沙織は、荒野の顔をまじまじと見つめながら、ひとり頷いた。
「……ってことは……荒野君は、本当に、トップクラス中のトップクラス、なのね?」
一応、疑問符にしているけど、実際には、沙織は断定しているようなものだった。
「まさか……その年齢で最強とか?」
「最強は、おれの他にいますよ」
今度の質問には、荒野も遅滞なく答えることができる。
「おれなんかよりも、ずっと強いのが」
「……上には上、かぁ……」
荒野の表情を読んで、どうやら嘘はいっていないらしい……と踏んだのか、沙織は荒野の答えに素直に納得をしている。
沙織の祖父にあたる源吉は、二人のやりとりに口を挟むということはなく、目を細めて見守るだけだった。
「本当に、ありがとうございました」
荒野は、玄関で沙織に向かって、深々と頭を下げる。
こして試験勉強を開始して、まだ三日目だったが点沙織が容赦なく荒野の理解が浅い点、及ばない点を明瞭にし、補強してくれたほかげで、荒野の到達度はかなり底上げされている。少なくとも、荒野自身はそのように自覚している。
だから、荒野が沙織に向かって頭をさげるのも、別に、形だけの社交辞令だけではない。心の底から、荒野が礼を執りたいと思って、それを形にしているだけだった。
「いいの。
そんなの」
沙織は、屈託なく笑う。
「こっちも好きでやっているだけだし……。
それに……いろいろ珍しい情報にも、接することができたし……」
沙織は、背後に影のような源吉を伴って、帰路についた。
「さてっと……風呂の準備でもすっかな……」
沙織の姿がドアの向こうに消えたのを確認し、荒野は後ろ手にドアを閉めて、室内に入ろうとした……が、何故か、ドアが閉まらない。
「……ん?」
不審に思って荒野が振り返ると……。
「……グッドイブニングじゃ、若……」
ドアに中に半分、体を無理にこじいれるような姿勢で、イザベラが立っている。
このままでは、ドアが閉まらないな……と、荒野は考える。
「……いったい何のようだ? 夜中に?」
「い、入れてもらんかのう……。
加納の大将……」
荒野への呼び方が、若から大将になっていた。
イザベラは、明らかに愛想笑いとわかる笑顔を浮かべている。
「……どうしたの?」
食器洗いをしていた茅が、玄関の方に顔を出す。
「招いたおぼえない客だ」
荒野は即答した。
「このままお引き取り願おうと思っている」
「あっ! ひどっ!」
イザベラが、大声をあげる。
「な、に、か……用事があって来たんだよな?」
荒野は、イザベラの方に顔を向けて、確認する。
「でなければ、試験勉強で忙しい学生の家にいきなり訪ねてきたりしないよな?」
「ええっと……それは、その……」
イザベラが、露骨に視線を逸らした。
「あるっていえば、あるっつぅか……」
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