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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(415)

第六章 「血と技」(415)

「……話しを、聞こうじゃないか……」
 むっつりと不機嫌そうな顔をした荒野が、対面に座っているイザベラに切り出す。
「……そういう割には、あまり友好的な態度じゃなかな……」
 不満そうな表情を浮かべたイザベラの前に、茅がいれたばかりの紅茶を置いた。
「……シルヴィからいろいろ聞いたぞ。
 あちこち嗅ぎ回っているそうじゃないか……」
 荒野は、まっすぐにイザベラの目を見つめながら、静かな声を出した。
「……嗅ぎ回っているってぇか、面白そうなもん、片っ端から覗いてまわっているだけだけんどな」
 イザベラは、荒野が明らかに不機嫌な顔をしていることも意に介する様子はなく、平然と話しを続ける。
「いやぁ。
 ここは、想像以上に面白かことになっとぉね。
 正直、ここまで楽しそうなことになっとるとは、思わんかったわ……」
「そーかいそーかい……」
 荒野は目をイザベラから逸らした。
「そいつは、よかったな。
 で、肝心の用件はなんなんだ?
 まさかこの夜中に、しかもおれの試験期間中にそんなくだらない世間話をしにきたわけでもないだろう?」
「まあ、話すことは、あるといえばあるんじゃがな……」
 イザベラは目の前に置かれたティーカップを持ち上げ、傾ける。
「あ。
 おいしい」
「それでは、その本題に入る前に……」
 荒野は、イザベラの後ろに突っ立ったままの大男二人組を目線で示した。
「……そこのでかいの、紹介してくんない?」
 黒スーツにサングラスをかけた黒人と白人の二人組。いわゆるMen in Black的な風袋の二人は、緊張した面もちで微動だにせず直立している。
「こいつらは、わしが雇った荷物持ちじゃ」
 イザベラは、澄ました顔で答える。
「本当はボディーガードとして雇ったんやけど、多少鍛えていても一般人じゃからの。
 結局、運転手兼荷物持ち兼いざというときの壁といったところで落ち着いたわけじゃ……」
「……一般人かよ……」
 荒野は、頭を抱えたくなった。
「この人たち、いつもつれて歩いているのか?」
 この狭い町でそんなことをすれば、さぞかし目立ったことだろう……と、荒野は思った。
「おおかたは、のう」
 イザベラは、荒野の問いに頷いた。
「おかげでここにいる一族のもんにようけ揉まれて、すっかり怯えてしもおうたわ」
 さぞかし、盛大に「からかわ」れたのだろう……と、荒野は納得した。
「……あー。
 楽にしてください。
 そちらの椅子にかけて……」
 荒野は、英語に切り替えてイザベラの「荷物持ちたち」に話しかけた。
 この二人には、何も思うところはない。それどころか、イザベラの気まぐれの犠牲者、ということで、シンパシィさえ感じてしまう。
「……ありがとうございます」
 二人のうち、白人の方が緊張した面もちで答えた。
「ですが、こうしているのが、われわれの仕事でして……」
 多少、訛はあるものの、流暢な日本語だった。
「日本語、大丈夫なんですか?」
「ええ」
 今度は黒人の方が、大きく頷いた。
「それが、雇用される際の、最低限の条件でした」
 こちらも、白人と同様、頬の筋肉が強ばっているようにみえた。
「……おかしなヤツに雇われてしまったものですね……」
 荒野は、同情を込めて二人の男に語りかける。
「では、せめてお茶くらいは……。
 茅、お願い」
 荒野の要請を予測していたのか、茅はすぐに立ち上がって、お湯につけて暖めておいた二客のカップを取り出した。
「この部屋に入った以上、おれのお客でもある」
 荒野は、少し強い語調を作ってイザベラにそういった。これまでハイソサエティとか呼ばれる階級の中で生活をした経験がなかったので、荒野は、イザベラのように自分と使用人との間に一線を置く態度を、当然のものとはみなさなった。
 イザベラは無言のまま軽く肩をすくめ、男たちは茅の手からうやうやしい物腰で紅茶のカップとソーサーを受け取りながらも口をつけず、硬直した姿勢でつったったままだった。
「お前……おれのこと、この人たちになんて説明したんだ?」
 荒野は、イザベラに向かって問いかける。
「ここいらにいる一族の親玉じゃ、いうておいたわ」
 イザベラは、実にいい笑顔をして荒野に答えた。
「あながち、間違いでもなかろ?」
「……お前、なぁ……」
 荒野は、これ見よがしに大きなため息をついてみせた。
 この様子だと……この二人は、イザベラに随行していった先々で、ざんざん一族の者たちに脅かされてきたに違いない。その親玉……といわれていれ、それは……緊張もしたくなるだろう。
「まあ、いいや。
 それでお前、なんの話しをしに、ここまで来たんだ?」
 この調子だと、多少小言をいってもあまり効果は望めないだろう……。
 そう悟った荒野は、話題を元に戻す。
「そうじゃ、そうじゃ」
 イザベラは、テーブルの上に両手をついて、身を乗り出してきた。
「一回、詳しいこと聞いておこう思ぉっておったんじゃが、なかなか機会がなくての。
 あの、このマンションの隣の、こーんな目をした男じゃがの、あれはいったいどうなっておるんじゃ?」
 そういってイザベラは、自分の目尻を横に引っ張って、目を細めてみせる。
 どうやら、香也のことを聞きたいらしかった。
「……あん男、特に美形とも女の扱いがうまいとも思わんのだが……なんで、あげに女どもが寄ってくるんじゃ?」
「……あー……」
 荒野は、きっかり三秒間、目を点にしてから、ゆっくりとした口調で確認しておく。
「……お前は、そのことを聞くために、わざわざここに来たのか?」
「おう」
 イザベラは、「当然」といわんばかりに大きく頷いた。
「いろいろ聞いて回ってみたんじゃがの。
 あの家のことに関しては、みな、ようけ口を開かんのじゃ」
 ……当たり前だろう!……と、荒野はイザベラを怒鳴りつけてやりたくなった。
 あの家には、最強の荒神と、その弟子である楓が澄んでいる。加えて、テン、ガク、ノリという三人の新種たちも同居している。
 さらに、一族とはあまり関係はないが、最近会社を興してこの地域に根を張ろうとしている孫子もいる。


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