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今は亡き友の妻 (6)
傍らに座る富美子から、正面に座っている響子に向き直ると、響子は少しぎょっとした顔をして、心持ち体を硬直させた。今のおれの気分を忠実に反映させているのなら、今のおれ顔はかなり凶暴な表情を形作っているに相違ないのだ。
「そうですか、響子さん」
その凶暴な気分を隠そうとしないまま、おれは馬鹿丁寧な芝居がかった口調で語りかける。
「そんなにおれに性行為やってほしいのですか、貴女は。それではお言葉に甘えさせて頂きまして、これより貴方をおいしくいただくことにいたしましょう」
言い終えるや否や、おれはテーブルを一足に飛び越え、響子のスカートを盛大にまくり上げる!
が、警戒していた響子の動きもそれなりに早かったので、間一髪、響子の両手は、スカートの上から股間の部分を押さえつけ、かろうじて、下着を露わにすることを防ぐことに成功していた。
とはいえ、ストッキングに包まれたいい形のおみ足は、つま先から太股の根本までばっちり晒されているわけで、見方によってはなにも着ていないよりもかえって扇情的な光景かも知れない。
「小学生か、お前は!」
背後から富美子のつっこみが入る。
「うるせぇ!」と怒鳴りつけてやりたい衝動をぐっとこらえ、肩越しにビデオカメラのレンズを覗き込み、にやり、いや、にたり、と笑って、
「どう? いい画、撮れてる?」
と、確認してやった。どうか「凶暴な笑み」、に撮れていますように、と、祈りながら。
「ああ。響子さん響子さん。人をけしかけておいて、抵抗をするのは、いただけませんねぇ。言行不一致というやつです」
おれは、例によってわざとらしい猫撫声をつくって響子に語りかける。
「大事なところをしっかりと押さえたままでは、これから響子さんと同衾も合体もすることができないではないですか。ささ。その手を除けてくれませんか?」
「や。あ、あの……」
響子はしどろもどろになりながら、それでも、必死に答弁に務めようとしていた。
「そ、それとこれとは話が別です! あの、わたし、普通の羞恥心まで捨てるつもりはありません!」
上等。そうでなくては、こちらも面白くない。
「それでは、このままの状態でも出来るところから、はじめさせていただきます」
慇懃にいって、おれは、剥き出しになった響子のストッキングに覆われた太股に手をあてる。
おれの手が肌に触れた途端、響子は「ひっ!」と小さな悲鳴をあげた。
指先や掌を、接触するかしないか、というほど軽く当てて、しばらく、響子の太股の感覚をストッキング越しに楽しみながら、撫でさする。響子は自分の股間部を両手で押さえながら眉間に皺を寄せていたが、それは別に快感を堪えているわけではなく、ただ単に、持ち前の奥ゆかしさから、嫌悪感や屈辱感などの不快な感情を表面に出さないように努めた結果、なのであろう。
もちろん、そんなケチな試みは、ぜんぜん成功してはいなかったが。
響子がおれの行為に悪感情をもっていることを確認してから、おれは、じゃまなテーブルを脇にどかし、改めて、響子の正面に跪く。そして、スカートが腰まで捲り上がって露出したままの響子の形のいい両脚を、下方から改めて眺める。響子の足は決して太いほうではなく、それどころか、股のあたりのむっちりとした肉のつき具合と足首の細さの対照がひどく印象的で、一言でいえば、均整が取れていた。色も、ストッキング越しにでも確認できるほどに、白い。
響子の踝をしばらく撫でさすり、それから足を両手で包み込み、そっと持ち上げる。そして、軽く、足の甲から踝にかけて、丁寧に何度も、接吻をする。
「え?」
性的な経験が豊富なわけではないはずの響子にしてみれば、こんなことをされたの初めてのはずで、そもそもこうしたフェティシズムに関する感性や知識を持っているとも思えない。だから、おれの行為も当然理解不能なはずで、自分の足になにをされているのか判断もできず、意味もわからず、当惑しきっているのだろう。
そんな響子に構わず、おれは自分の行為をさらにエスカレートさせ、ストッキングに包まれたままの響子の足の指を口に含み、音をたてて盛大に舌でなぶりはじめた。親指からはじめて、順々に、一本づつ指を舐めあげていく。当然、指と指の間も忘れずに、隙間なく、舐めまわす。
「先輩! それ、くすぐったい! だめ! そんなところ! 汚い!」
声だけで響子は抵抗したが、おれが執拗に舐め続けていると、くすぐったい感覚が徐々に別の感覚に転化していったのか、制止する声も次第に少なくなり、代わりに荒い呼吸音に変わっていく。
しばらくして、おれの涎でべとべとになったストッキングを乱暴に引き裂く頃には、響子は抵抗する意志を見せないようになっていた。
[
つづき]
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目次】