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2005-09

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競泳水着の誘惑 (4)

競泳水着の誘惑 (4)

 栗田を引きずるようにして、大柄な舞花がずんずん進んでいく。
「ど、どこに?」
「女子更衣室。これでも次期部長でな。鍵は預かっている」
「……プール掃除は?」
「大清水先生の奥さんが予定よりも早く産気づいたとかでな。今日は中止だ。すでに教室を出ていたお前と柏にだけ、連絡が遅れた」
 あいかわらずぶっきらぼうな口調で、舞花は後ろの栗田をみようともせず、一気にまくしたてる。口調そのもは淡々とした感じだったが、後ろから見える横顔の舞花の頬に、うっするらと赤みがさしている。
「よろこべ。やっと、ようやく、二人きりになれるぞ」
 いわれて初めて、
 ……あ……。
 と、栗田は思った。一瞬、さっき部室の中で絡み合っていた柏と堺の姿が脳裏に浮かぶ。「二人きり」ということは、やはりそういうことなのだろうか……。
 舞花は、栗田の体を押し込むようにプールの女子更衣室に押し込むと、栗田に向き直り、
「これで、ようやく、二人きりになれたな」
 と同じ事をいい、栗田の顔に浮かんだ微笑に気づいて、すこしムッとした顔になる。
「なんだ、なにがおかしい?」
「いや、なんか、変わってないな、と思って」
「そうだ。体が育った以外は、あまり変わっていないぞ」
 と胸を反らす。と、大きな胸がぶるんと震えて、栗田は目のやり場に困る。なにせ、三十センチちかくも身長差があるから、まともに向き合うと、舞花の胸はちょうど栗田の視界に入りやすい位置になる。というか、正面間近にそんな刺激的な物体が位置すると、自然、そこから視線はそこから離れてくれなくなる。
 年頃の男の子としては健全な反応である。
「グラビアアイドル並」と噂されるプロボーションの体が、ぴっちぴちの競泳用水着に包まれて、真っ正面の目と鼻の先にあるわけで、血気盛んな年頃の栗田としては、結構困ったことになる。
「……セイッチも、体が育った以外は、あまり変わらないようだな……」
 しばらく栗田の反応がないのに舞花はふと怪訝そうな顔をしたが、すぐに栗田の視線の先を悟る。
 そして、迅速に栗田のバックをとり、
「そんなに、この胸が、気になるかー!」
 といいながら、背後から素早く腕を栗田の首に回し、二の腕で動脈を押さえるようにして、締める。なんとか、というプロレス技(の、粗悪な模造品)だったが、首の動脈を押さえられ、すぐに頭に酸素が行き渡らなくなった栗田には、咄嗟に技の名前が思い浮かばない。しばらくじたばたしたあげく、掠れた声で「チョークチョーク」というと、ようやく離れてくれた。
「いいか。男にはわからないだろうがなぁ、こんなもの大きくなっても、いいことなんかひとっつもないんだぞ。肩は凝るし、じろじろ見られるし、痴漢にはあうし……」
「痴漢!」
 栗田は小さく叫んだ。
「さわられたの?」
「……うん? なんだ。おまえもさわりたいのか? セイッチ」
 とってもイヤな笑い方をして、飯島先輩、もとい、「まーねー」がにじり寄ってくる。
 ……しまった!
 と、栗田は思った。
 ……対応を、誤ったらしい。

 栗田は、「まーねー」に頬をつままれて、「そういういやらしいことをいう口はこの口かこの口か」と力任せに引っ張られた。
「痛い痛い痛い! 子供ですかあなたは」
「逃げないか? 逃げない逆らわないなんでもいうことを聞く、と約束するのなら、放す」
「聞きます! なんでも聞きます! 本当に、痛い痛い痛い! んだから!」
「よーしいったな。なんでもいうこと聞くんだぞ。今から鍵をかけてくるからな」
 栗田が抓られて赤くなった頬に手を当て、さすりさすりつつ呆然としていると、舞花は神速ともいえるほどの身のこなしで素早く戸締まりをし、一分もかけずに、すぐに栗田の前に戻ってきた。
「これでもう逃げられはしないぞ、セイッチ。
 ……誰も助けにこれないし」
 ぼとりとなに気に物騒なことをいい、にたり、と肉食獣を連想させる笑みを浮かべ、
「さあ、これから、今までの数年間分の空白を埋めて、旧交を暖めようじゃないか」
 と、いった。
 栗田は「この人、外見以外は全然かわってねーよ」と、内心で思いつつ、これからなにをされのかと、かなーり不安に思った。とりあえず、「誰も助けにこれないし」というあたりの発言に、ものごっつぅ不穏なものを感じるんですが。


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競泳水着の誘惑 (3)

競泳水着の誘惑 (3)

「柏のやつ、堺のを扱い慣れているな」
 飯島舞花はわりと真面目な声でかなり不謹慎な内容を、栗田の背後から囁く。
「あ。握りながらキスした。堺も、スカートの中に手を入れてる」
「いちいち実況中継しないでください。
 悪趣味ですよ。そろそろ離れましょうよ」
「うん。堺の、意外に立派そうだな」
 一応頷きはするのだが、栗田の言葉を聞いていないように、舞花は実況中継を続けている。ただ単に、目が離せないでいるのかも知れない。
「栗田のも、あのくらいにはなるのか?」
「……な……」
「こんなに大きくなっているじゃないか、栗田のも」
 舞花が、大きなバストを栗田の背中に密着させるようにして押しつけ、背中から手を回し、水着の上から栗田の股間を撫でる。
「ちょっ……先輩……」
「栗田も興奮しているんだな。平然としているように見えたから。よかった。わたしだけがどきどきしているのかと思った。
 背はあんまり伸びなかったが、ここはだいぶ育ったな、セイッチ」
『セイッチ』と呼ばれて、初めて栗田は違和感をおぼえる。栗田精一のことを、こう呼ぶ人間は限られている。というか、小学校に上がる前にか、そう呼ばれた事がない。
「……あー……えーと、……ひょっとして……。
 先輩、……まーねー?」
「ようやく思い出したか」
 舞花は、後ろから栗田の肩に顎をのせ、自分の頬と栗田の頬をすりすりと密着させる。
「わたしは、この学校で再会したときから、一目でわかったぞ。なのにセイッチは、四月から今まで約半年も無視をして……。
 小さいときあれだけ遊んでやったのに、薄情なやつだ」
『いや、まーねーのアレは、あれは遊んで、というよりは、いぢめられて、の間違いなのでは……』といおうとして、栗田は、はっとする。
 このわざとらしい拗ね方。なにかというと抱きついてきたり、体を密着させる癖……。
 栗田の中で、幼稚園の頃、引っ越していったまま、別れた近所の女の子と、今目の前の先輩とが、急速に重なる。同じ団地に、同じような年齢の子供が少なくて、ひとつ上のまーねーとは、まーねーが引っ越すまで毎日のように遊んでいた。というか、ほぼ一方的に栗田のほうがオモチャにされていた。
 あの頃のまーねーは棒みたいな手足の痩せこけた女の子で、今目の前にいる、成熟した体を持つ先輩とは、あまりにもイメージのギャップがありすぎる。
 ただ、「舞花」の表情の読みにくいポーカーフェースは、たしかに「まーねー」に、よく似てはいた。それにしても……。
「……育ったな、まーねー……」
 主として胸元をみて、いう。
 栗田の口調も、先輩に対するものから、昔の遊び仲間に対するものに変わっていく。まーねーなら、そうしないと怒る。気づかなかったとはいえ、今まで他人行儀にしていたことで、かなり気分を害している。はず、である。
 ……めぐるましく、栗田の頭は、現在自分の置かれた状況を分析している。一歩対応を間違えると、ボディプレスもしくはバックドロップの刑、というのが往年のまーねーの流儀だった。現在の舞花のウェイトでボディプレスなどまともにくらったら、無事でいられる自信はなかった。
「セイッチの背は、あんまり伸びていないな」
 そうだ。この男っぽい口調。長距離トラックの運ちゃんをやっている親父さんと二人暮らしだったまーねーの口調そのものではないか。外見があまりにも違っていたので今まで気づかなかったが、「中身」に関していうのなら、栗田の知る限り、言動といい性格といい、「飯島先輩」と「まーねー」の間には、たしかに、あまり差異はなかった。
「一緒にお風呂に入ったころと比べて、ここはだいぶ大きくなったようだが」
「む、昔の、子供の頃のことでしょう。それに、セクハラだよ、それは。わ、わざと誤解を招くようないいかたしてるでしょ?」
「なんだ。いっちょまえに恥ずかしがっているのか? わたしなら気にしないぞ。父ので見慣れているし」
 そーいえばまーねーの親父さんは、風呂上がりに素っ裸で台所までビールをとりにくるような、豪快かつデリカシーに欠ける人だった。

 部室の中では、柏と堺が会議用テーブルの上で半裸のままおり重なって蠢いていて、すっかり盛り上がっているようだった。柏の、押し殺そうとして押し殺しきれていない喘ぎ声が、かすかに聞こえてくる。

「そろそろ離れるか」
 舞花はそういって、手に持っていたA4版のルーズリーフの用紙を半分に折りたたむ。半分に畳んだ紙を部室の戸に挟むようにして、音を立てないように、そっと戸を閉める。
 そして、栗田の手首をしっかりと握り、
「いくぞ」
 とだけいって、ずんずんと部室を離れた。ついさっきまでとはうってかわって、柏と堺と、二人が現在進行中で行っている行為には、もともとあまり興味はなかった、とでもいいたげな素っ気なさだった。
 栗田としては、後をついて行くしかない。


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競泳水着の誘惑 (2)

競泳水着の誘惑 (2)

「みてみろ。今、堺が柏のスカートをめくりあげたぞ」
 このときになって栗田は、どうやら、飯島舞花先輩は自分を責めたり告発したりする気はないようだ、ということに、気づいた。
 いわれた通りにわずかな隙間から部室の中を覗くと、学校指定のワイシャツの前ボタンを全部はずし、胸元をはだけ、下着をさらしてテーブルの上に浅く座っている柏あんなの股間に、堺雅史が頭を埋めていた。ぴちゃぴちゃという水音が、ここまで聞こえてくる。
「舐めているのかなぁ、あれは」
 飯島舞花先輩が、栗田の背中に自分の胸を押しつけるようにして、栗田の耳元に口を寄せ、囁く。
「舐めているんでしょう。あれは」
 しかたなく、といった感じで、栗田も小声で答える。実際に触れてこそいないが、体温が感じられるほど近くに、こんな薄着の女性がいる、ということさえ初めての経験で、かなりどぎまぎしている。
 二人とも、「なにを」という指示語を、意図的に省略していた。
「しかし、二人とも慣れたもんだなあ。夏休み中にいよいよ本格的にくっついた、という噂は、本当だったのか」
 栗田の心情に気づいた様子もなく、舞花先輩は平静な声でいった。柏と堺は家が隣同士とかで、かなり仲がよいことは入学当時からしられていた。堺はさほど目立つ生徒ではないが、柏のほうはルックスの良さから周囲のチェックが厳しい存在だったし、部活がある時以外は柏のたいてい一緒に登下校する堺も顔も、自然に周囲に知れ渡るようになる。
「なあ、栗田。栗田は、ああいうふうに舐めたり舐められたりしたこと、あるか?」
「な、……」
 思わず大声を上げそうになった栗田の口を、舞花先輩の手のひらが素早くふさぐ。
「だから、大声を出すなと。
 中の二人にばれたら、ばつが悪いだろう、お互い」
「じゃあ、移動しましょうよ」
「いや、もうちょっと。こういうのは、はじめてみるから」
 飯島舞花先輩は、胸だけではなく身長も大きい。まだ二年生なのに百八十センチ近くもある。それでいてプロポーションも均整がとれていて、出るところは「かなり」でていて、引き締まるべき部分はきゅっとしまっている。
 言動もどこかぶっきらぼうで男性的な部分があるから、実は男子よりも女子のほうに人気があったりする。ボーイッシュな雰囲気がありながら、スレンダーな体型で、どちらかといえば小柄な柏あんなとは好対照で、明らかにファン層が異なっていた。
 その大柄な女性の体が、背の順に並べばたいてい前のほう、まだ一年生とはいえ、百五十センチに満たない小柄な栗田の肩をがっしりと掴んで、上から体重をかけて押さえつけている。
「それとも栗田は、こんなのは見飽きているのか?」
「見飽きているわけ、ないじゃないですか。みる機会なんてありませんよ、普通」
 栗田にしてみれば、少なくとも、「実物」を目の当たりにするのは初めての経験だ。AVなら何度かみたことがあるが、そんなことを、馬鹿正直に申告するつもりはない。
「興味、ないか?」
「……あ、あります……」
「じゃあ、いいじゃないか。もうしばらく、な」
「……はい」
 堺雅史が、ようやく顔を上げた。堺は、栗田がここにきたときにはすでに半袖のワイシャツのボタンを全部はずし前をはだけていたが、今度はじれったそうにそれを脱ぎ、完全に上半身裸になる。
「堺は、結構着やせするタイプだな。細いようでいて、意外に男の体をしている」
「な、なに詳しく解説しているですか」
「いいから。ほら、抱き合うぞ」
 舞花の言葉通り、部室内の二人は抱き合って上半身の肌を密着させ、ながなかとキスをし始めた。抱擁しながらも、お互いの衣服を脱がしあっている。堺が柏の背中に手を回してブラのホックをはずし、柏が手探りで堺の下半身に手をのばし、手探りでベルトをはずし、チャックを降ろす。
「……先輩、そろそろ離れないと、しゃれにならないと思うんですけど、……」
「しっ。今いいところなんだから。ほら、柏が堺のパンツに手を入れた」


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競泳水着の誘惑 (1)

競泳水着の誘惑 (1)

「よう栗田。なにを覗いているのか?」
 後になって振り返ってみれば、すべて仕組まれていたのだと思う。しかしそのときは、栗田に精神的余裕などあるはずもなかった。
「うん? おお、柏と堺じゃないか。あの二人、夏休みにとうとうくっついた噂、本当だったんだな」
 言葉遣いこそ男みたいだったが、栗田精一の肩を叩いて、そう声をかけたのは紛れもなく女生徒で、栗田の一年先輩にあたる、飯島舞花だった。同じ水泳部に所属していて、夏場になれば毎日のように顔を合わせているが、部活という先輩後輩の区別が厳しい場所でしか接点がなかったから、栗田とはそう親しいというわけでもない。
 いきなり声をかけられ、勢いよく振り返る。と、舞花の年齢不相応に突き出たバストに鼻先をつっこみそうになる。舞花がタイミング良く栗田の両肩に手をかけ、ぐいと力任せに押し下げたので、接触事故は避けられた。
「騒ぐなよ、栗田。わたしはあの二人が学校内でどこまでやるのか、この目でみてみたい」
 豊満な体を無理矢理に競泳水着に押し込めたような舞花先輩が、しゃがんでいる栗田の体を上から抑えつけるようにして、動きを封じている。こうして間近にみると、たしかに、「飯島舞花のおかげで、去年、男子水泳部の入部者が倍増した」という噂が容易に信じられるほど、見事なプロポーションだった。
「栗田は、あの二人がやっていることに興味がないか? わたしは、あるぞ」
 そういって、部室の中を示す。プールに隣接したプレハブの部室の扉はかすかに開いていて、その中では、柏あんなと境雅史が、声を押し殺して、あきらかに不純異性交遊とおとぼしき行為をやっている最中だった。

 学校のプールの清掃は、水を入れ替えるときに、使用する機会の多い水泳部員が行うことになっている。この週末も、水泳部によるプール清掃が予定されていたので、午前中の授業が終わると同時に栗田はプールに向かい、さっさと着替えて、弁当をもって部室に向かった。水泳部員の中でも、プール掃除とかの雑用はヒエラルキー的に下位にいる一年坊主が率先してやるような雰囲気があったので(「暗黙の了解」というやつである)、雰囲気的にもさぼれない。九月に入ったとはいえ、日中はまだまだ暑い。蒸し風呂のような教室を脱出して、さっさと水につかりたい一心から先を急いだわけだったが、プレハブの部室には、栗田と同学年の柏と堺というカップルの先客が居て、入り口のサッシの引き戸に隙間が開いているのにも気づいた様子はなく、服を脱がしあっているところだった。老朽化した部室の入り口は立て付けが悪く、締まりが悪い。
 部室の入り口を開けようと手をかけたところで、中の気配に気づき、栗田はその場で固まった。
 男の堺のほうは、同学年ではあってもクラスが違うので顔くらいしか知らない。が、女生徒の柏のほうは同じ部員なのでよく知っている。
「柏あんなのおかげで今年の男子水泳部員の入部者が増えた」というのは、たぶん、本当だろう。「倍増」でないのは、去年、「飯島舞花」という女生徒の存在のせいで、例年の倍の近い男子生徒が入部していて、増加率という点では例年に比べてほぼ同じ、だったからである。結果、目下の所、水泳部の男子と女子の人口比は、現在極端な偏重傾向にあり、「プール掃除」などという雑用は、主として人数に勝っている男子の仕事、という事になっていた。
「暗黙の了解」というやつである。
 その「水泳部男子」のなかでさらに最下部としてい認識されているのが、栗田精一の所属する「一年坊主」で、その栗田精一は、前に行為中の柏あんな、すぐ後ろに競泳水着の飯島舞花、という水泳部、いや、学校でも一、二を争う人気のある女生徒に挟まれて、弁当片手に水着姿でしゃがんで固まっている、という状況なわけである。

「覗きの現場を取り押さえられた」ということさえなければ、かなりラッキーな状況、ではあるのだが……。


[つづき]
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競泳水着の誘惑 目次

今は亡き友の妻 (最終回)

今は亡き友の妻 (最終回)

 帰路、助手席で、夢をみた。全部を覚えているわけではない。けど、昔のおれ自身と、良樹とに出会った。ガキの、病院暮らしの頃の、青白い顔をした痩せこけたおれ。高校卒業前後の、どうにか奨学金受給の審査をパスした頃の、生意気盛りのおれ。それに、知り合った当時とほとんど変わらない、良樹。その夢の中で、あいかわらず丸っこい体型の良樹に、おれはいった。
「なあ、良樹。いろいろあって響子ちゃん抱いちまったよ、おれ」
「まったく気にならないっていえば嘘になるけどさ」
 生前のときとまったく変わらない様子の夢の中の良樹は、いかにも「奴ならいいそうなこと」を、いった。
「君が冨美子に逆らえないのは今にはじまったことではないし、それに、響子だって、そろそろ自分の人生を生きないと。響子、ぼくと知り合う前は生まれた家に、ぼくと知り合ってからはぼくに盲目的に従うことで、精神的な安定を得るタイプの女性だからさ。ぼくが一緒に居てあげられればどうにでもしてあげられるんだけど、もうそういう訳にもいかないし。もうそろそろ彼女も、自分自身の人生に向き合っていい頃だと思う。リスクも込みでね」

 まったく、死んでからも嫌みなぐらいに出来過ぎた奴だよ。お前さんは。

「目、さめた?」
 運転席の冨美子がいう。
「なんかいい夢でもみた。顔が笑ってた」
「ちょっと、昔のことをね」
「もうすぐ着くわよ」
「ん」
 おれは煙草に火をつける。
「良樹にあった。響子を抱いた、といった」
「なに? 夢のはなし?」
「ん」
「馬鹿正直ねぇ、あんたも」
 もっとも、上着のポケットの中に、いつの間にか入っていないはずのないメモが入っていた事は、良樹にも冨美子にも告げていない。メモには、響子の字で携帯の番号とめアドが記されていて、トイレで内容を確認したおれは、その内容を携帯に登録して、メモはトイレに流した。
 だって、浮気や不倫はこそこそやるスリルがいいんだし。それに、あれだ。そろそろ響子も自分自身の人生を生きていかなけりゃならないわけだし。リスク込みで。

「やぁねぇ。いやらしい顔しちゃって。今日のこと思い出してたんでしょ。すけべ」
 冨美子がなんか見当違いのことをいっているが、なに、いわせておけばいい。
「それよりもかえったら、今日、響子ちゃんにしてくれたこと以上のこと、してくれないと怒るわよ」
「をい!!」
 思わず、おれは叫んだ。
「おれを過労死させるつもりですか君は!」
「うーん。この場合、過労死というよりも腹上死のが近いと思うけど……」
 なお、悪い。
「今日のあれ、みてたらかなり興奮してきちゃったし、わたしも。それに、……」
 冨美子は、この女らしい笑顔を浮かべる。おれは、この顔に弱い。というより、逆らえない。逆らえたためしがない。
「わたしたちもそろそろ、子供欲しくない?」

 そうかそうくるか。


[おしまい]
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「萌え系テンプレート」の登場ですよ! 奥さん!

さて、本「悪場所の小径」も利用させて貰っているFC2 Blogさんですが、この都度、追加されたBlogテンプレートのデザインが、結構凄いことになっているようです。

百聞は一見にしかず、下記の見本をご覧下さい。

月夜の悪魔っ娘Ver.
白昼の天使っ娘Ver.
同テンプレートについての詳細な説明はこちら

これで大きなお友達系ユーザーのハートもばっちり掴んだな、FC2 Blogさん!
いや、個人的には大変に受けたわけだけど、こういうあざといぐらいの旺盛なサービス精神は、嫌いじゃないです。

なお、当「悪場所の小径」では、使用させていただいているテンプレートに、いろいろゴタゴタと手を加えている関係上、当分、別のテンプレートに差し替える予定はございません。
作業が面倒くさいし、使用目的からしても、「テキストさえ見やすければ、それでいい」、というBlogですから。うちは。

今は亡き友の妻 (24)

今は亡き友の妻 (24)

 しばらく時間を置くと、響子の様子が少し落ち着いてきたので、冨美子が響子の肩を抱くようにして、バスルームへと連れていく。
 一人残されたおれは煙草を取り出し、深々と吸い込んだ。
「おつかれー」
 一人だけ帰ってきた文子は、ぺちん、と裸のままのおれの肩をはたく。
「……本当に、疲れたわ」
 おれの声は、乾いてかすれていた。
「もうこんな疲れる真似、させるな」
「あんた、響子ちゃん、嫌いでしょう」
「響子個人は嫌いじゃない。
 恵まれた境遇にいるのにも関わらず、そのことに無頓着な連中が、一律に好きになれないだけ」
「らしいね。じゃあ、これ。おみやげ」
 紙袋を、おれの膝に投げだす。
「なに、これ?」
「抗鬱剤とか睡眠誘導剤とか、そっち系のお薬」
 冨美子はいった。
「さっき、ベッドルームにおもちゃ探しに行ったとき、見つけた。普通、そんなにいっぺんに処方されるもんじゃないけど、あの娘、飲まずにためておいたのね。いっぺんに飲んでも体が受け付けないし吐き出すだけなんだけど、お酒とかと一緒に飲んで長時間放置したりすると、万が一ってこともありうるから」
 ──そういうのが手元にあると、ふと寂しくなったとき、のみすぎちゃったりするのよね、と、付け加える。さすがは元リストカッター。その辺の機微には詳しい。
「……帰る途中で、どっかに捨てよう……」
「うん。疲れているだろうから、帰りはわたしが運転するわ」
「頼む」
 深く紫煙を吸い込んで、
「なあ。さっき撮っていたビデオ、どうするんだ?」
「ああ。あの娘のずりネタ」
 悪戯っぽい笑みを浮かべながら、冨美子が答える。
「良樹とかあんたが男の基準になっちゃえば、なかなか次のが見つからないでしょ? その間、寂しくないように」
 なにを考えておるのだ、こいつは!
 つきあい始めてから何百回目になるんだか、の疑問を心中に浮かべながらも、おれは、目の前の笑顔をまじまじと見つめる。
 ……これからも振り回され続けるんだろうなあ、こいつに……。
 などと思うと、諦め混じりの苦笑いが、自然に浮かんでくる。
「なによ。へんな顔して」
 怪訝な顔をしておれを見た冨美子には答えず、素っ裸のまま、おれは堪えきれずに笑い声を漏らす。一度漏れた笑いはとどまることなく、ついには嘲笑になり、ソファの上で背を反らし、大声を上げて笑いだす。
 ……しかし、まあ……。

 ……なにやってんだろうな、おれたち……。


[つづく]
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紹介 「エッチな写真」 美しい人の綺麗な裸コレクション blog

blog エッチな写真

「美しい人の綺麗な裸コレクション」
ということで、綺麗系外人さんの写真を集めているブログです。

この手のblogにありがちな、
「写真をクリックするとランキングや広告にとばされる」
という罠がないあたりは、良心的なのではないでしょうか?

写真も、かならず脱いでいるわけではないし、絡みのないので、エロスという面から見ればかなりソフトな内容ですが、モデルのルックスやプロポーションが平均的に上等ので、特に不満は感じません。

まだ開設して間もないためにアーカーブの量的には少し見劣りしますが、このセンスと方針を維持したまま内容が充実していくと、かなり見応えがあるものになるのではないかな。





今は亡き友の妻 (23)

今は亡き友の妻 (23)

 ソファの上に横臥した響子の腰に手をあてて、自分自身を抜こうとすると、腰にあてたおれの手のひらの上に、響子が自分の手のひらを重ねた。
「……まだ、……抜くかないで……このままで……」
 荒い息の中から、切れ切れに、言葉を紡ぐ。
「こんなに……長い時間、……入ったままなの。。初めてなんです……」
 響子はなんともいえない複雑な泣き笑いの表情を浮かべ、「あの人、早かったんですね」と、付け加えた。
「抜くのが駄目なら、動くけど、いいかな?」
 形ばかりは疑問形を使ったが、その言葉が終わるか終わらないかのうちに、おれは動き始めている。横臥した響子の後ろから入れる形で、下になっている右足の太股の上に乗り、左の股を心持ち折り曲げて、突ききったときの密着度を多くした。
「はぅ! そんな! まだ! ああ! 大きい!」
 一突きするごとに、響子が鳴きだした。
「こんな! はぁ! 奥まで! 駄目! いやぁ!」
「いやらしいなあ、響子ちゃんは」
 わざと平静な声を装って、おれはいった。
「イヤだとかいいながら、後ろから突かれると、こんなに声を上げて。
 そんなに感じるのか?」
 感じるの、感じるの、駄目なの駄目なの、もう駄目! とか叫びながら、響子はまたすぐに上り詰め、がくりと全身の力を抜いた後、瘧にかかったかのようにがくがくと全身を震わせた。
「あーあ。またいっちゃったのか。。」
 おれは白目を剥いている響子の上体を起こし、繋がったままで向きを変え、いわゆる体面座位に近い形にする。
「おれはまだまだなんだから、もうちょっとつき合ってもらおうかな、っと」
 そして、だらんと力が抜けたままの響子の両腕を自分の首に巻き付け、両腕を響子の尻の下に廻し、自分の下股の力で、響子の体重を支え、「よっ」と小さなかけ声をかけて、持ち上げる。響子の中心にはいったまんまのおれ自身はまだ力を失っておらず、硬直したまま響子を貫いている。
 その体勢で、脱力した響子の体を、腕の力で少し上に持ち上げたところで、腕の力を抜く。すると、重力に引かれてがくんと響子の体が落ちる。が、すぐにまた腕に力を込め、響子の体が落下するのを遮る。響子は白目を剥いたまま全身から力を抜いていたが、急激な動きを感じると、また、
「はぅう!」
 と、鳴き始めた。
「先輩! もう、本当に駄目! 怖いの! この格好怖いの! イヤ! いやいやいや!」
「怖くても、こんなに感じているんじゃないか」
 がくんがくんがくん、と、響子の体を上下に荒々しく動かしながら、おれはいった。
「響子ちゃんの下、こんなに締め付けているし、べちょべちょに垂らしているよ」
 実際、結合部から分泌された響子の体液が大量におれの足を伝わり、滴れ落ちていく感触があった。
「いわないで!」
「こんなに垂らすぐらいいいんだろう? 感じているんだろう?」
 おれは、響子にどなるようにいった。
「良樹とやったときとどっちがいい? 良樹はこれよりももっとよかったかぁ?」
「せ、せんぱいのがいいです。初めてです。こんなのは!」
 響子も、叫んだ。
「あ。また。駄目。感じるの感じすぎるの。いや。いやいやいや。あ。あああああぁあ!」
 何度目かの絶頂を迎えた響子の体を目の前のソファの上に放り出し、おれは、歓喜の声を上げる響子の顔に自分自身の先をむけ、自分でも驚くほど大量に白濁した液を射精し、響子の全身にふりかけた。あたりに、生臭い動物臭が満ちる。
 おれの精液を全身に浴びた響子は、半眼の、焦点のあっていない視線を空中に据え、
「あなた、ごめんなさい。。」
 と、低く、呟いた。
「……わたし、あなた以外の人で、生まれて初めて、いっちゃいました……あなたとは、いけなかったのに……」
 そして突っ伏して、静かにすすり泣きはじめた。

[つづき]
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今は亡き友の妻 (22)

今は亡き友の妻 (22)

 腰を使いながら横目でテレビの画像をうかがうと、そこにはソファの上で長い足を強調するかのように大きく股を広げた響子の上に、汗だくになったおれの背中がのっかって蠢いている。響子は白い喉をみせるように仰け反りながら、両腕をしっかりとおれの首に巻きけ、自分の胸におれの体をのめり込ませるような力で抱いている。断続的な響子の鳴き声を聞きながら、おれは、冨美子に向かって、
「よう。もっと面白い絵、撮らせてやろうか?」
 と、声をかけ、動きをとめ、首に絡みついた響子の腕を無理に引き剥がし、上体を響子から離した。響子が「っんんんっ」と不満そうな鼻息を吐いたが、相手にせず、未だに乳首に張りつけられたままだったローターを、テープごと乱雑な動作でひっぺがす。きゃ、っと、響子が短い悲鳴をあげた。
「動きを止められて、不満か?」
 おれは響子のなかに入っていたおれ自身を一気に引き抜き、どすん、乱暴に響子の隣に腰掛けた。
「じゃあ、今度は、自分でおれのうえに乗ってみな。ここに腰掛けて、自分で入れるんだ」
 と、響子の愛液にまみれ、湯気をたてている、起立したままのおれ自身を指さす、
「上になると深くはいるし、自分で好きに動けるぜ」
 そう、つけ加えた。
 響子は、「なにをいわれているのかわからない」、という表情で数十秒間ぽかんと口を開けていた。この女には似つかわしくない、おれがはじめてみる、間の抜けた表情だった。
「……ええっと……そ、その……」
 しばらく考えて、ようやく意味を理解したのか、もともと高揚して朱がさしていた顔をさらに真っ赤にして、しどろもどろに響子がいった。
「そんな、男性の上に女性が座る、なんて、そんな格好で、繋がれるものなのですか?」
 今度はおれが呆気にとられる番だ。
 ……おい良樹さんよ。お前さん、いったいどんな「おとなしい」夫婦生活送っていたんだ? 今時正常位でしかやってなかった、とか?
 響子さん、あんたAVもまともみたことないのかよ……。
 軽い目眩を感じながらも、
「構造的には、可能でしょう」
 落ち着いた、精々真面目な口調をとり繕い、おれは響子に、響子に丁寧にいい含める口調で答えた。
「そういうの、経験がないのなら、試してみるいい機会だとはおもいませんか?」
 視界の隅では、冨美子が懸命に吹き出すのをこらえている。

 さらに数十秒間、響子は思案顔で俯いていたが、意を決したようにおれの前にきて、不器用な動作で尻をつきだした。不完全燃焼な状態のまま、急遽引き抜きぬかれたのも効いているだろうし、好奇心もあったのだと思う。
「はいはい。もうちょい前、もうちょい右。先がここにあるから、ちゃんと下をみて。そうそう。そこ。そこで腰を降ろして」
 意を決したといっても、初めての体位を試みる響子の動きは、けっしてなめらかなものではない。が、おれのがにゅるんと再びにゅるんと侵入していくと、「はぁあぁ」と、満足げな声をあげ、しばらく動かなくなった。
「どうです。この格好は」
「顔が見えないのが、不安です。でも、中でぴったりと密着しているし、深いところまで入っている気がします」
「テレビをみてください。結合部分が丸見えですよ」
 おれが指摘すると、響子は「あっ」と声を上げて驚いたが、間をおかず、おれは響子の股と尻を両腕抱え、上下に動かす。結合したままの股間部を晒すように股を大きく開いた響子は、おれの上ですぐに嬌声上げはじめた。
 響子が、自分から腰を動かすようになるまで、さほど時間はかからなかった。
「いいかい? 感じているかい?」
「いいです! 感じてます!」
 いつの間にか、おれのわざといやらしい質問をぶつけても、間髪入れずに答えるようになっている。
「良樹とやってたときよりも、いいだろう!」
「いいんです! いいんです!」
 テレビの中の響子は、髪を振り乱し、乳房を弾ませ、口の端から涎を垂らしながら、なにかを吹っ切るように絶叫しはじめた。
「いいのいいのごめんなさいあなたあなたのよりもいいの感じるの感じるのああああ奥にそんなに奥に突かないでもう駄目なのいっちゃうのいっちゃうのあ。は。は。」
 しばらくぶっちゃぶっちゃぶっちゃと水音をたてながら響子は、自分の身体を上下に激しくバウンドさせていたが、「ああああああああああぁっ」絶叫すると同時に、ぴん、と全身を硬直させ、その後、糸がきれたように、くたり、と、背後のおれに体重を預けるように、全身を弛緩させた。
「またいっちゃったのか。おれはまだなのに。響子は、こらえ性がないなあ」
 おれの言葉に応える余裕もないのか、響子はほつれた髪がまとわりつく汗まみれのうなじをおれにみせながら、肩で息をしているばかりだった。


[つづき]
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書評 「東京少女」

『雲をつかむようなおはなし』

内容説明
夏のある日、巨大掲示板に書き込まれた短い文章。クリスマスイブ、渋谷の街、デートクラブの美少女とモテナイ男。それは、3か月にわたって綴られてゆく、切ない純愛ストーリーのはじまりにすぎなかった…。

 という、オフィシャルな説明は結構ウソかと思う。
 なんというか、一見形はきれいに整っているように見えて、読み終えてみると、実になんにも残らないけったいなお話なのでした。この本の元になった「ぼくとヲタとお姫様」というログを某所で読んだのはかなり前だと記憶しているけど、そのときの印象も「ぜんぜんリアリティがないな、これ」という感じで、とくに感銘を受けた、ということはなかった。
(この某所も、いろいろな意味で興味深い観察対象ではあるのだ。このブログで定期的に面白いログをピックアップして紹介してみるかなぁ……。どうせここ、「悪場所」と自称しているわけだしな)

オンライン書店ビーケーワン:東京少女

 今回書店の店頭で「東京少女」という本を開いて拾い読みしたら、これがどっかで読んだことがある内容で、よくよくみてみたら「電車男」以来一種の流行みたいになっている「ネット発」の単行本化、という触れ込みにぶちあたって、「なるほど、あれが本になってたわけね」と納得したんだけど、これ、本当に商業ベースに乗せるほどの出来なのかなぁ? という思いは残る。わたしには、この作品に身銭を切るような読者層、というのが容易に想像できないけど、版元さんにはそれなりの見込みがあったから、商品化したのでしょう。

「クリスマスの夜、デート嬢を買った」という「ぼく」。で、なぜか商売をこえてかなり仲良くなったデート嬢「お姫様」は、背後になにやら「秘密」を抱えているらしい。友人の「オタ」に頼んでいろいろと調べてもらうと、なんか知らないけどお姫様は国際的なアンダーグラウンドでかなりやばい橋渡ろうとしているらしい。でも、詳しいことまでは全然わからないし、ぼくにはなにもできない。できなかった。

 要約すると、こんだけのおはなし。「その先」とか「結末」というのがないの。あとはどうでもいいようなディテールでごたごたと粉飾しているだけで、そのディテールも、よく読むと、実はかなりいい加減にぼやかして「雰囲気」でごまかしていることがわかる。
 例えば、大規模な国際的なアンダーグラウンドの組織から狙われている「お姫様」が、なんで渋谷でデート嬢なんて暢気なことやってんだよ! 作中で、

>おまえは物知りだな。オタ。

とかいわれる「オタ」は、いったいなんのオタクなの? 右から左へ集めた情報流しているだけで、やっている事に「専門性」とか「技術的な素養」全然感じないんだけど……。
 とか、根本的な突っ込みどころは満載。

 全体的な印象としては、石田衣良あたりを思いっきり薄めたような感じなんだけど、この内容で「純愛」とか言われると、「うっそでぇ」といいたくなる。
 リアルさを志向する物語ではなく、一種のファンタジー、寓話だとしても、「ぼく」、「お姫様」、「オタ」、などの人物像や輪郭が、読んでいてどうにも全然想像できない、どういう人なのかよくわからない、というのはいったいどういうことだろうか? 主人公やヒロインの「人となり」がいつまでも模糊蒙昧としたままでは、物語自体に魅力を感じたり感情移入したり、は、正直きついと思うけど……。
 あと、この主人公の「ぼく」ちゃん、見事になんにもしない人で、終始延々と感傷に浸って、友人のオタに一方的に頼っているだけで、目の前の状況に自分から全然アクティブにコミットしていかないからね。これでは主役失格である。
「主人公」というよりは「傍観者」にすぎない役回りで、実は、ヒロインとの「お姫様」とも、短期間ちょっとおつき合いしていた、っていう以外の関係ではないのね。「お姫様」の側からみたら、現代日本の平和ボケなのーてんきな行きずりの男のそのいち、にすぎないと思うけど、それを「ぼく」側の一人称で思い入れたっぷりに書かれているんで、純真な読者はそのへんに誤魔化される、もとい、引きずられるんでしょうねえ……。

 まあ、この物語を支持する方々とわたしとでは、「リアル」に関する認識の地平に、かなり「ずれ」があると思いますので、これ以上は言いませんけど。

 書籍版では、最後のシーンにネット版にはない「加筆」があるようですが(っつか、書店で確認したら、たしかにあった)、でも、その「書き下ろし」も、あったから作品がぐっとよくなった、とか、印象が違ってきた、とか、いうものではなし。わたしはその部分を読んでも、「だからどうだってぇの?」とか思いませんでしたが、なにか?
 これ、正しく「蛇足」ってもんなんじゃぁ……。

 多少なりとも興味のある方は、とりあえずネット版で内容を確認して、それからご購入を検討することをお勧めいたします。


今は亡き友の妻 (21)

今は亡き友の妻 (21)

 おれは「……ん……ふ……ふ……」という響子の吐息を聞きながら、時間をかけて響子の中に自身を埋め込んでいった。響子の入り口は狭く、かなり締め付けがきつかったが、そこを抜けた内部は広く、しっとりと湿って、おれを包み込み、受け入れた。
 おれのすべてが入りきると響子は、両脚をおれの腰に絡ませ、おれの腕を引っ張って自分のほうに抱き寄せ、上半身をぴったりと密着した状態した。
「……せんぱい……」
 響子は、おれの耳元で囁いた。
「気持ちいいんです、わたし……良樹さん、以外の人に、されているのに……」
 涙声だった。

 ……なあ、良樹よ。おまえさん、なんでこんなにいい女遺して、勝手にくたばっちまったんだ?

 なにも言い返すことができず、おれは、荒々しく腰を引き抜く。
「ひぃっ!」という悲鳴に近い声が聞こえたが、構わず、間髪を入れず、渾身の力を込めて、打ちつける。「ぐがっ」という音だして、響子が肺腑から空気を絞り出した。抑制も手加減もなしに、何度か腰を打ちつけると、最初は悲鳴に近かった響子の声が、湿っぽい、鼻にかかったものになっていく。
「いいか? 気持ちいいのか?」
「いいの! 気持ちいいの!」
 おれが問えば、目を瞑って、快感に身を任せるままになっている響子が答える。
 チープなAVじみた光景で、傍目には滑稽にさえ写ったかも知れない。だが、おれたちは真剣だった。
 おれたち、おれと響子は、たぶん、同時に良樹のことを思い浮かべながら、抱き、抱かれていた。「性行による弔い」という言葉が、ふと頭に浮かぶ。が、そうした理屈をつけたがる自分の性向が、不意に、馬鹿げたものにも思えた。
 所詮、ファックはファック。皮膚と粘膜の摩擦。それ以上でもそれ以下でもない。
 目の間にある、おれの動きに会わせて乳首を上下に振って喘いでいる響子の感触、体臭、反応……そうしたものに高揚することに、なんの理由がいるというのか。
「あ。あ。あ。あ。」
 と短くあえぎながら、急速に響子は上り詰めているようだ。このように、響子は、間違いなくおれで感じている。おれも、射精までにはまだまだ余裕があるとはいえ、響子の中の感覚と、響子の反応を楽しんでいる。
 響子がおれを感じ、おれが響子を感じる。
 そこで行われている行為は、いってしまえばただそれだけのもの。今ここに居ない良樹も、おれのすぐ後ろでベストアングルを捜してうろうろしている冨美子も、関係ない。今この時点でおれと響子の二人、それだけの人間の中で完結している行為、ただそれだけのことだろう、ファックなんてのは。

 徐々に間隔が短くなっていく響子の喘ぎ声に合わせて、おれは自分の動きを加速させ、すぶすぶと行為に没頭していく。

[つづき]
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世の中、えろえろでいろいろ

blog 「18歳、奈美の恥じらい女子校日記。」のご紹介

「奈美 18歳」さんからコメントとトラックバックをいただいたので、アドレスが残っていたブログを観に行きました。まだ全部は観ていませんが、同ブログ内のトラックバックをたどると、船倉奈美の正体というブログにいきつきました。

「業者さんもいろいろなプロモーション考えて大変だなあ」とか、「夢を壊すような告発ブログって野暮だよなあ」とか、思いました。



今は亡き友の妻 (20)

今は亡き友の妻 (20)

 おれは、響子の恥骨を両腕で掴み、じゅるじゅる音をたてて秘処を舐めていた。この体勢だと、股間から響子の体を仰ぎみる形になる。目の直前に、濡れた下着越しにうっすらとみえる陰毛。その先に、腹部のなだらかな腹部の曲線と、臍のくぼみ。さらにその先に、肋骨の形がわかるほどに痩せているのにもかかわらず、そこだけはくっきりと盛り上がっている形の良い乳房。その双丘の谷間からは、なにかに耐えるような表情の響子の顔が覗いている。頭髪がほつれて、汗まみれの顔に幾筋かかかっている様子が、苦悶に似た表情とあいまって、ひどく扇情的に思えた。
「やっぱりきれいな体してるよね、響子ちゃん。スタイルいいし」
 耳のすぐ後ろで、冨美子の声がした。いつの間にか、おれの顔のすぐ横に、カメラを構えている。
 ……そういや、こいつもいたんだっけか……。
 それから、冨美子は、おれにしか聞こえないような小声で、
「わたしとやるときは、こんな手間かけないよね。もっとサービス悪いし」
 と、ぼそり、と、呟く。
 ……………………後が怖い、かも知れない。
 いや、学生時代まで含めればぼちぼち十年以上のつき合いになるわけで、それだけ続いている割には仲がいいほうだと思いますよ、うちら夫婦は。今でも週に何度かやっているし。
 そもそもそんなアクロバッティックな体位がそんな長時間続くわけもなく、適当なところで、おれは肩に抱えていた響子の太股をおろし、代わりに、響子の下着とストッキングを一緒くたに引きずり降ろす。ここまでくると、もはや響子も抵抗するということはなく、腰を浮かせておれが脱がすのに協力さえした。
 ようやく一糸も纏わぬ裸になった響子を、側面から足と背中の下に両腕を差し込んで持ち上げ、ソファの上に座らせる。響子の膝を割り、そこに自分の体を割り込ませ、いきり立った自分のものを秘処にあて、少し体重をかけて摺り合わせる。
「んっふ。んっふ。んっふ」
 それまで肩で息をしているだけだった響子が、おれの動きに会わせて鼻息を荒くしだした。
「なあ。響子」
 おれはいった。自分でも意外に思えるほど、真剣な声だった。
「本当にいいのか? 挿れても」
 半眼のまま、響子は口をぱくぱくと開いたが、なぜかそれは具体的な言葉にはならず、その後、響子はぶんぶんと頷く仕草を繰り返した。
「うん。覚悟ができているんなら、このまま挿れるけど……。響子がよかったら、その印に自分で入り口を開けてくれよ」
 響子はひどく真剣な表情でおれの目をまともに見据え、一度大きくうなずいてから、自分の股間に両手を伸ばし、そこの襞を、自分の指で左右に大きく開いて、きれいな色の中身を露出させた。
「挿れるよ」
 おれは、とりあえず、亀頭の部分だけを、そこに埋没させる。響子のそこは予想以上にきつかったが、すっかり濡れていたので、思いの外簡単に入れることができた。
 ふと目をそらすと、液晶テレビの大画面に、結合部がどアップになって映し出されている。それをみながらおれは、しずしずと腰を沈めいった。
 おれが埋没していくにつれて、響子の口から、「ふっ……ぁっ……ぁっ……ぁっ……」という、声にならない息が、長く、漏れだした。


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今は亡き友の妻 (19)

今は亡き友の妻 (19)

 響子の中はじっとりと濡れていて、内側の襞はきつく、おれの指に絡みついてくる。
「中はきついな。まるで処女じゃないか」
 おれは顔を響子の耳元に近づけて、囁く。
「良樹も、喜んでいたろう」
 わざと良樹の名前を出すと、響子は顔を伏せて、肩を震わせはじめる。
「ん? 良樹に申し訳ないってか? この家でおれとこんなことして」
 おれは冷然といいはなった。
「でも、感じてるんだよな? ここ、こんなに濡れてるし、すっかり熱くなっているじゃないか」
 おれが響子のなかにいれた中指をぶちゅぶちゅと音をたてて前後に動かすと、響子は、たまりかねたように「んはぁ」と息を吐いた。
 おれは、「どうだ。感じるんだろう?」といいながら、じゃ、じゃ、じゃ、じゃ、指の動きを加速する。
 響子は、ん、ん、ん、と、息を詰め、おれの肩にしがみつく。
「感じるんだろう? 感じないのか? 感じないのなら止めるか? 止めようか?」
「いや!」
「いやなのか。いやならやめるか? やめるぞ」
「やめないで!」
「感じてるんだな?」
「……」
「やめていいのか?」
「……か、感じます」
「どこが、感じてるんだ?」
「……」
「誰が、感じているんだ?」
「……」
 響子は羞恥と悦楽に背中を朱に染めて、口を閉ざしたまま、おれの肩にしがみついて、ぷるぷるとふるえ続けた。プライドを快感を秤にかけて、どうにか沈黙を守っている形だ。響子のように育ちの良い女は、冨美子という第三者の居る場で、ビデオに痴態を納められながら性行為に及ぼうとしているだけでも、かなり耐え難い屈辱に違いないのだ。その上、自分の口から卑猥な言葉をはく、というのは、よほど耐え難いことなのだろう。
 おれはしばらく、ぶちゅ、ぶちゅ、ぶちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と、響子の性器に指をつっこみ、盛大に音と泡をたてていたが、響子の口から、あ、あ、あ、あ、あ、という喘ぎが途切れなくでるようになったのを見計らって、唐突に指を引き抜き、響子から体を離した。

「え?」
 目を閉じて快楽に身を任せていた響子が、不意に自分から離れたおれを、不思議そうに見上げる。
「やめた」
 響子に、おれはいった。
「やっぱ、良樹に悪いもんな。響子ちゃんも乗り気ではないようだし」
 そういって、両手を肩の上にあげ、今やぎんぎんの臨戦態勢になっている自分のものを響子に誇示するように腰をつきだし、「うーん」とわざとらしく背を伸ばした。
 響子は、薄目をあけて、おれの「その部分」を擬死している。
「それでなくても、無理矢理ってのは、後味悪いし。おれの趣味じゃあないし。
 響子ちゃんが、具体的になにをしてほしいのか口にしてくれたら、やってもいいけど」
 ゆっくりと響子に背を向けてその場から二、三歩離れると、響子が、背後からおれの腰のあたりに抱きついて、すがりついてきた。
「だめ! やめないで!」
 かかった。
「なにが欲しい? 具体的にいってみな」
「これが、……これを……入れて! 入れてください!」
 響子は後ろから手を回し、おれの竿をしっかりと握って、いった。
「今掴んでるの欲しいんだね。それはなんていうの?」
「……お、……おちんちん……」
 清楚な響子のイメージと、幼児的な響きをもつ「おちんちん」という単語の組み合わせに滑稽さを感じないわけにはいかない。が、なんとか吹き出さずにすんだ。
「おれのちんちんをどうしたいの?」
「……入れて……」
「どこに?」
「おまんこ!」
 自分の口から「おちんちん」という単語を出したことでなにか吹っ切れたのか、響子は叫ぶように大きな声で、いった。
「響子の、おまんこに、この、おちんちん、挿れてください……」
 堕たな、と、思いながら、一挙同で響子の方に向き直ったおれは床の上に響子を押し倒し、ふくらはぎを両手で掴んで高々とかかげ、響子の脚を大きく開く。そして、股の間に顔をつっこんで埋めて、じゅるじゅると音をたてて、響子の中心を舌で責めはじめた。響子の腿を両肩にかつぐ格好で支え、響子の腰を空中に持ち上げ、響子の下着を鼻と顎でかきわけ、響子の中心のさらに奥深くまで、舌をのばして思う様に撹拌する。
「んはぁ。んはぁ。んはぁ」
 響子が、盛大に嬌声を上げはじめた。


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写真集 キミニ、アイタイ

オンライン書店ビーケーワン:キミニ、アイタイ
書店に平積みされていたのをフト手にとっって、ぱらぱらとめくってみた。
よくあるグラビア写真、程度に考えていたのだが、乳首もヘアもださないソフトヌードであるにもかかわらず、匂い立つようなエロス。
いや、エロスよりも、モデルたちの「若さ」と「表情」、存在感がすっごく出ていて、ほんの少し圧倒された。
どのモデルも、一枚だけ、顔を大写しにして「にっ」と笑っているショットが挿入されているのだが、その表情がすっごく生き生きしている。
表紙をみかえして、「しのやま きしん撮影」の文字が、「篠山紀信」と結びつくのに、しばらく時間が要った。
……やはり、名を馳せた人は、それなりの仕事をしているんだなぁ……。

今は亡き友の妻 (18)

今は亡き友の妻 (18)

「そうか、欲しいのか」
 おれは響子の肩に手をかけて少し体を離し、強引に響子の股を開いて、わざと荒々しい動作でまだまとわりついているストッキングを力任せに引き裂いた。
「なんだ。すっかり濡れているじゃないか。いやらしい」
 冨美子がおれの肩越しにカメラをむけ、下着の濡れて色が違っている部分に焦点を合わせた。
「ほら。テレビみてみな。響子のここ、すっかり濡れている部分が大写しになっているから」
「いや!」
 言葉では否定していたが、響子は魅入られたように、テレビに大写しになっている自分の股間から目を離せないでいる。
「今からここを直にいじくってやるかな。しっかりみていろよ」
「え? え?」
「いやか。いやならここまでだ。やめるぞ」
「あ。いや。あ……や、やめないでください」
 響子は羞恥に頬を染めて、本当に恥ずかしそうに顔を伏せた。
「いじってほしんだな?」
 おれは濡れた下着越しに濡れた響子の裂け目に指の先を這わせる。
「じゃあ、ちゃんとお願いしてみろよ。それから、これからしばらくはテレビから目を反らさないこと」
 軽く下着に触れていた指先が、裂け目の上部にある固い突起にあたると、それだけで響子は体を震わせた。
「それとも、ここでやめるか?」
「……さ、さわってください……」
「どこを? 直接、触ってほしいの?」
「……ちょ、ちょくせつ……」
「直接、どこをいじくってもらいたいんだ?」
「わ、わたしの……」
「響子のどこ? やめてもいいのか?」
「きょ、響子のあそこをさわってください!」
「だから、あそこってどこだよ!」
 しばらく弄っていた突起を親指と人差し指で、軽く摘むと、響子が「きゅぅ」と息を吸い込んで、軽くのけぞった。
「ここか?」
 構わず、おれは指を下のほうにもっていき、すっかり湿った溝を指の腹で押しながら、さする。
「それともここか?」
「だ、だめぇ……」
「だめなのか? やめてほしいのか? やめるか?」
「や、やめないで! 続けて!」
「だから、どこを弄ってほしい? ちゃんといえよ」
 響子は上目遣いにおれを睨みながら、「……いじわる……」と呟いて、
「……響子の、性器をいじってください……」
 と、蚊の鳴くような声で懇願した。本当はもっと直接的で下品な語彙を吐いてもらうと気分がでるのだが、響子相手ではここいらが限界か。
 おれは無言のまま響子の下着を横にずらし、響子のスリットを白日の元にさらした。富美子もこころえたもので、すかさずその部分をどアップにする。
「ほら、みてごらん。響子のおまんこがあんなに大きく写っているよ」
 おれがテレビのある方を頭の動きでしめすと、響子は反射的に脚を閉じようとした。
 が、そんなことをおれが許すはずもなく、響子の臑を両手でつかんで肩の上におき、自分の頭を響子の膝の間に割り込ませる。
「駄目だよ。脚閉じちゃあ。これから響子ちゃんのおまんこを、いっぱいいじくり倒すんだから」
 いって、おれは響子の下着をずらす。さらに響子の襞に指をかけて、ゆっくりと押し広げ、ピンクに濡れた内部を露出させた。
「うん。響子のなか、きれいな色をしているね。響子ちゃん、自分の中身みたこと、ある?」
 そして、押し広げた襞の奥に、中指をゆっくりと突っ込む。
「ちゃんと、テレビをみているんだよ。そうでないとやめちゃうからね」
 おれの指がじゅぶじゅぶと音をたてて行き来しはじめると、響子は、あ、あ、あ、あ、あ、と小さくうめきはじめた。


[つづき]
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はい(♀)×ろぅ(♂)×ろぅ(♀)」  完結記念アンケート 第二回結果報告

はい(♀)×ろぅ(♂)×ろぅ(♀)」 完結記念アンケート
二回目の集計結果をご報告いたします。

ちなみに、こちらが
前回の集計結果

 アンケートにご協力くださった方々に感謝を。

Q1.本作品の登場するキャラクターの中で、お気に入りの人物はいますか?(幾つでも)
 1.千鶴さん
   8票
 2.あんなちゃん
   11票
 3.雅史くん
   3票

Q2.ここ作品の中で一番の加害者は誰だと思いますか?(1つだけ選択)
 1.千鶴さん
   13票
 2.あんなちゃん
   3票
 3.雅史くん
   0票

Q3.ここ作品の中で一番の被害者は誰だと思いますか?(1つだけ選択)
 1.千鶴さん
   1票
 2.あんなちゃん
   6票
 3.雅史くん
   9票

Q4.この作品がシリーズ化されるとしたら、どのような形が望ましいと思いますか?(いくつでも)
 雅史くんとあんなちゃんが、いろいろなロケーションやシュチュエーションでやりまくる、一話完結式の連作短編集。
   13票
 千鶴さん、あんなちゃん、雅史くんがどろどろの三角関係を演じる、メロエロドラマ。
   7票
 千鶴さんの、意中の先輩を「手段を選ばず」籠絡するまでの奮戦記。
   2票
 突如帰国した雅史くんのお父さんが次々に養子縁組をして、雅史くんに十人の義理の姉と十二人の義理の妹ができちゃった! という設定のハーレムタイプのエロコメ。
   2票
 雅史くんの目前で突如現れた悪の秘密結社に殺害される千鶴さんとあんなちゃん。雅史くんは復讐を誓い、長く孤独な旅に出る。
   1票
 続編なんんかいらない。
   0票  

Q5.今後、「悪場所の小径」で扱って欲しいものをお答えください。(幾つでも)
 ロリ        5票
 女子高生      10票
 女子大生      9票
 ばぁにぃがーるだ! 2票
 メイドさん     8票
 ふたなり      1票
 人妻        7票
 こすぷれもん    2票
 女教師       7票
 女社長       2票
 近親相姦      4票
 レイプ       1票
 逆レイプ      1票
 ひたすら、らぶらぶ&いちゃいちゃ
           12票
 乱交        5票
 獣姦        0票
 触手        1票

以下、管理人の感想。

ここみきてだいぶ票数にばらつきがでてきたようっすねぇ。
まあ、「統計」というには依然としてサンプル数が少なすぎるんで、あてにしすぎるのもなんですが、当blogのビジターさんの大まかな性向や傾向は(かなり大ざっぱに)わかると思います。

よーするに、若くてきれいな女の子といちゃいちゃ&らぶらぶをご所望、と。
いや、ベタですがノーマルで健康的な傾向なんじゃないでしょうか(笑)。

っつうか、エロ小説読みに来て、あんま深刻すぎるのとか辛気くさいのよみたくねーよ、というのはよく共感できますので、基本的にはそっちの路線をメインでいくつもりですが、わたしも。
(実はそういうベタなもののほうが、書くのはラクだしぃ)

「Q4.この作品がシリーズ化されるとしたら、どのような形が望ましいと思いますか?(いくつでも) 」
の回答では、ここにきてかなり格差がついたので、

「雅史くんとあんなちゃんが、いろいろなロケーションやシュチュエーションでやりまくる、一話完結式の連作短編集。 」

これ、通常の毎晩連載枠とは別に、「不定期連載」という形でやってみましょう。
キャラの説明無しでいきなりやりまくり、という形、実は結構ラクなんですよね、書くのも(笑)。

ちょっと時間的な都合もありますので、現実にアップするのはもう少し先になると思いますが、今しばらくお待ちください。

今は亡き友の妻 (17)

今は亡き友の妻 (17)

 響子は今、おれに抱きついておれの下半身の衣服をもどかしげにはぎ取っている。そんな様子をみた富美子は、
「……まあ、結果としては響子ちゃん、いよいよ本格的に火が着いちゃったみたいだから、これはこれで」
 とか訳の分からない誤魔化し方をして、カメラを構えなおした。
「あとはあんたの領分だわね。はーい、響子ちゃーん、いい絵撮れていますよー」
 富美子の言葉に反応してすっかり恍惚とした表情をした響子は、相変わらずおれの口唇を塞ぎながら、半勃ち状態のおれの竿をしごきつつ、チラリと横目で部屋の向こうにある大型液晶テレビに映った自分の姿を見ていた。
 そこには当然、辛うじて下着一枚と破れたストッキングのみを着けた響子が、強制的に裸にしたおれにのし掛かり性器を弄んでいる様子が大写しになっているわけで、そうした映像を目の当たりにすることで、響子はさらにヒートアップするらしく、おれのイチモツを握る手に力がこもり、動きが忙しなくなった。
 ……おれは今、いったいどんな表情をしているのだろうか? この場に鏡があるわけではないし、テレビに映っているのは、おれを押し倒した響子の姿が大部分なので、直に確認したわけではないが、憮然と呆然を合体させて撹拌し半分に割ったような表情を浮かべているのに違いない。
「──あのなぁ……」
 ようやく響子の肩に手をかけて顔の上から引き剥がし、おれは富美子にいった。
「不倫とか浮気なんてぇのはこっそりばれないようにやるから、風情があるしスリルを楽しめるのだ。こんなおおっぴらに『はいぞうぞ』とばかりに差し出されたら、いくら旨そうな据え膳だって遠慮したくなるって」
「……先輩……」
 だが、おれの言葉に真っ先に反応したのは、富美子ではなく、響子だ。
「……わたしぃ、そんなにダメですか? 魅力ないですか? でも、先輩のここはそういってませんよねー」
 上気した頬に淫蕩な笑みを浮かべ、おれの上に馬乗りになった響子は、おれのすでに硬直しきったおれのナニを楽しそうに弄びながら、そういった。この角度からだと、響子の胸の大きさが強調される感じで、「あ。こいつ着やせするたちなんだな」とか思う。
 ……ってぇか、まだ乳首に張り付いたローター、びぃびぃびぃびぃとやかましく動いているし……。
「……せんぱぁーい……」
 どさり、と、響子はおれの上に身体を投げ出して、ぴったりと身体を密着させた。
「せんぱい、お腹出てませんねぇ。あの人、お腹でてたから、こうして抱きついてもここまで隙間なくぴったりくっつけなかったんですよー。こうしてひっつくと、全身で体温が感じられて、安心できますよねー」
 響子は、うりうりと言わんばかりに、ローターつきの乳房をおれの胸板にこすりつけ、両手でおれの顔をホールドし、ぴちゃぴちゃと音を立てておれの顔や耳や口のなかを舌でなぶりはじめた。
「これまではわたしがきもちよくしてもらったから、こんどはわたしがきもちよくさせてあげるばんですぅ」
 舌ったらずな口調になった響子は、そういいながら、おれの上で身体をうねらせる。
「せんぱいのー、すっごくかたくなってるー」
 響子はおれの硬直の上に自分の秘裂の部分を置き、ふ、ふ、ふ、と、鼻息を荒くしながら前後にスライドしはじめた。おれは響子の尻と腰に手をあて(うおぉお! ウェスト細ぇえ!)、その動きをさらに加速させる。
「ここここうしていると……」
 動きながら、響子はいった。
「あああのああああのひととしているときのここここと、おもいだします。ああああのひとおおおもいから、わわわたし、わたしが、が、うううえになるほうがが、お、お、お、おおおおかった、ん、んんんんん」
 おれが力を込めて揺すぶると、それだけでも感じすぎるのか、響子の上体がぶれて予測不能な動きをし始める。そんな響子に手をのばし、おれは予告なく豊かな胸を下から鷲づかみにして、ぎゅうぅっと、渾身の力をこめて握りつぶした。響子は「ぐはぁ!」っという奇声をあげてガクンと頭を後ろのほうに倒し、おれの手の中では、響子の乳首に貼り付けられたままのローターの作動音がくぐもって小さくなる。そのまま広報に倒れようとした響子の上体を、腰に両腕を回して支え、かわりに、響子が倒れ込みそうになった反動を利用して自分の上体を起こす。のけぞった真っ白い響子の喉元にかぶりつき、音を立てて吸ってから、おれは響子の上体を両腕でがっちりと捕らえなおし、耳元に、囁いた。
「響子! おれが欲しいか!」
「頂戴! 頂戴! ちょうだい!」
 おれの胴体に両腕と両脚を巻き付け、渾身の力を込めて抱きつきながら、響子は叫んだ。
「せんぱいの、かたいの、あついの、ほしいの!」


[つづく]
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今は亡き友の妻 (16)

今は亡き友の妻 (16)

 おれのみている前で、片手にビデオカメラ、もう一方の手にまがまがしいまでの大きい真っ黒い例の道具をもった富美子は、そろそろと足音を忍ばせ、おれと抱き合っている響子の背中側からこちらに近づいてきた。おれは歯をむき出して威嚇して富美子の動きを牽制しようとするのだが(静かに嗚咽を漏らし続ける響子と密着した状態では、その程度のことしかできっこない)、そんなこけおどしが通用する相手でもなく、富美子はおれたちのすぐそばで立ち止まり、カメラアングルを調整してから、手にした大人のオモチャを振りかざし、響子の尾てい骨のあたりにそれが触れるか触れないかという所でスイッチをいれ、びゅいんびゅいんびゅいんとやかましいばかりの作動音をたてはじめたそれを響子の臀部に押しつけた。
 予期せぬ刺激を与えられた響子は、「うひゃぁ!」とか叫んで文字通り飛び上がり、富美子のほうに向き直って、「い、いったいなにを……」と誰何しようとする。富美子はその響子の胸元に自分の身を投げ出し、ふさがっている両手を響子のうなじにまわして身動きが取れないようにしてから口唇を奪い、ねっとりとディープな口づけを延々と続けた。
 最初のうちこそ「ん。ん。ん」と音にならないうめきをあげて富美子の抱擁をほどこうと試みていた響子だが、二分、三分、それ以上とその状態が続くにつれて抵抗も弱まっていき、それからさらにしばらくすると、今度は、響子の方から、富美子の首に自分の腕を絡めはじめた。
 その様子を間の抜けた顔をしながら見守っていたおれは、「……帰ろうかな……」とか「……実はおれ、この場に必要ないんじゃねぇの……」とか、忸怩たる思いもちらりほらりと脳裏に駆けめぐったりしたわけだが、あきれかえってその場から去ろうとすると、めざとくおれの制動をチェックしていた富美子に手で制されたので、しかたなくソファのうえに身体を投げ出して休憩することにした。
 やがて、そのながーいキスも、体力負けした響子が、おれのすぐ横のソファの上にくたりと身体を投げ出す、という形で決着がつき、おれはといえば火をつけ損なった煙草を弄びつつ、ジト目で富美子を睨みつけるのだった。
「はい。またさっき程度には暖めておいたから、気にせず続きをどうぞ」
 にたにたと笑っておれに言い放った富美子は、気のせいか、さっきよりも肌の色艶が良くなっているような気がする。
「そんな拗ねた顔しないの。これから先は体力仕事なんだからぁ、男性のお仕事」
 おれのジト目を意に介した様子もなく、富美子は平然と言い放ち、それでもおれが動こうとしないのをみると、「じゃあ、おねぇさんが出血大サービス!」とかいいながら、ピンクローター二つをとりだして、それを医療用の固定テープで響子の乳首に固定し、容赦なくスイッチを入れる。
 びぃびぃびぃびぃびぃびぃびぃ……、という振動音が響くと、ぐったりとしていた響子は「いやぁ!」といいながらソファから半身を起こしたが、富美子はその目前におれの身体を押しやり、つまり、なにかに縋り付きたい状態になった響子の直前におれがいることになり、おれは大人のオモチャの振動によって半ば強制的に性的な刺激を与えられて興奮状態にある響子に抱きすくめられる形になった。響子は髪を振り乱しながらおれに縋り、抱きつき、いやぁ、だめぇ、ダメなの、もうダメ、などと叫びつつ、遮二無二に自分の身体のそこここをおれの裸の上半身に押しつけ、やがて、形の良い乳房をおれの胸板に押しつけてこすりつけるような感じで少し静かにしていたかと思うと、「ぁぁぁあぁぁ!」と、首をのけぞらして細く尾を引く叫びを上げ、また、くたりと全身から力を抜いてソファの上にぶっ倒れた。
「ありゃ。また、逝っちゃったかな? 響子ちゃん、ほんと、感度良すぎ」
「っつか、無茶しすぎだろ。これは」
 流石に限度を弁えてないと、と判断したおれは、ぺちり、と平手で富美子の頭をはたいた。
「みてみろ、響子ちゃんの今の状態」
 口は半開きのままで、目の焦点もあってない。当然、よだれは口の端から垂れ流しの状態で、両腕は虚空に差し出され、掌はなにもない空間を掴もうとゆっくっりと開閉していた。
「いやなんか、二人で雰囲気だしているのみたら、なんかちょっと悔しくなって、つい……」
 おれにはたかれた後頭部をぽりぽりと掻きながら、すこしばかり悄然とした様子を見せて富美子がいった。おれがそれに返答しようと口を開きかけたとき、ぐいいっ、と、下の方から凄い力で引っ張られた。なんの気構えもない状態でいきなり引っ張られたおれは体勢を崩し、よろけてなにか弾力のある温かい物のうえに倒れ込む。そのなにか弾力のある温かい物が、おれの首を強引にねじ曲げ、おれの口唇を塞いだ。ねっとりとした硬い舌が強引に差し込まれ、おれの口内を掻き回す。同時に、誰かの手がおれの下半身に伸び、ちちちち、と社会の窓のファスナーを開け、ベルトをはずし始めた。

 ──せんぱぁいぃ……。
 長々と口唇を塞がれ、それから解放された直後、おれの耳元に、いつもよりずっと甘ったるい感じになっている響子の声が聞こえた。


[つづき]
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今は亡き友の妻 (15)

今は亡き友の妻 (15)

 どうやら、後ろで縛めていたネクタイはいつの間にか緩んでいたらしい。響子は両腕でおれの首にしがみつきながら、ねっとりと熱くなった身体を密着させている。それだけでは飽きたらず、両脚でおれの胴体を締め付け、身体全体でおれを求めていることを主張していた。響子の身体全体が、熱く火照っている。
「お。響子ちゃん、火が着きました」
 背後で、冨美子が、無責任にそう呟くのが聞こえた。
 おれは二人分の体重を支えきれず、どさり、と、ソファの上に身を投げ出した。高級なソファなので、この程度の衝撃はなんなく吸収する。
「あの人がいなくなっても、とても寂しい思いをしても、……」
 相変わらず火照った手足をおれに巻き付けたまま、それでも響子は一旦、おれの口唇から自分の口唇をはなし、耳元で囁くようにいった。
「……それでも、お腹は空くんです。男の人が欲しくなることも時々あるし、自分で刺激すれば興奮します」
 ──そんな自分が、時折、ひどく浅ましく思えるんです。
 と、響子は、熱い吐息をおれの耳に吹き付けるようにして、囁いた。その目は、たぶん、性的な興奮のためだけではなく、潤んでいて、言葉の切れ目に、嗚咽にも似た吐息がまざる。
 ……だぁから、そういう湿っぽいの、趣味じゃないんだってば。
 そう思ったおれは、そっとため息をついて、
「富美子。おれは服を脱いだほうがいいのか?」
 と、背後にいる、今回のことを仕組んだ女に聞いた。富美子は「勝手にすれば」と、どこかふてくされたような口調で答えた。背後にいるのでその姿は見えないわけだが、素知らぬ顔をして明後日の方にでも視線を向けているのだろう。わざとらしく。
 ……このアマは……。
 おれは響子の肩に手を置いて、そっと響子の身体を引き離し、上着を脱いで、それを富美子に手渡す。ワイシャツと肌着も脱いで、これはソファの背もたれのうえに適当に置いた。剥き出しになったおれの上半身を間近にみて、響子は息をのんだ。
 ──この傷ねえ。たしかに、外目にはたいしたもんだとおもうけど、何分、今は全然痛まないし、ガキの頃に負ったもんだし、本当に痛い頃のことは全然覚えてないのよ。むしろ、何回かの手術とか、その後のリハビリとかで苦労したこと、とか、義務教育の時期に何年かブランクが空いちゃったことのほうが辛かったなあ。ほら、あれ、今でこそそうでもないけど、ガキの頃は、おれ、病院暮らしの強弱体質だったし。あとね、その後の、親類とか施設とかたらい回しにされた時期のほうの苦労のが、まだしも強く記憶に残っている。そういう経済的な苦労というのは、まあ、響子ちゃんには分からないだろうから、説明せんけどな。定時制の高校出た後、なんとか奨学金貰える資格クリアできたんで大学いって、そこで良樹とか富美子とか君に会った。
 なるべく軽快な口調で語ることを心がけたが、成功したかどうかは、分からない。響子の表情は、硬った。
 ──おれ、この傷を負ったときに両親も亡くしたわけだけど、そのときのこと、両親のこと、ほとんど覚えていないんだ。でも、それでいいと思っている。これは病院暮らししていたときに聞いたはなしだけど、人間の身体の細胞なんてなは、新陳代謝とかで、特殊な部位を除けば、せいぜい、数ヶ月で全身の細胞が入れかわっちまうそうだよ。人間なんて、変わらないようでいて、せいぜい数ヶ月でほとんどまったく新しい物質に入れ替わる。だから、おれが両親のこととか、この傷のこととか、そういうのを覚えてないとしたら、覚えていないことのほうが都合いいんだ、とか、病院の人に言われた。今にして思えば、たぶん、カウンセラーの人だったのかな。ようするに、いつまでも過去を引きづるなってことなんだと思うけど……。
 しきりに喉が渇く。煙草が吸いたい。そんなことを思いながら、なおも、おれは言葉を継いだ。
 ──だから、その、忘れろ、とは言わない。言わないけど、過去のことは過去のこととして、その、もうすこし、今、それにこれからのことに、ちゃんと向き合ってもいいんじゃいかな、きみは……。
 ぽん、ぽん、と、響子の頭に手をのせる。それだけの事を告げるのに、とても労力を使った気がする。こういう役割は、おれの柄ではない。
 おれの長々とした説明を聞きながら、響子は、あっけにとられた顔をして、おれの胸に縦横に走っている幾筋もの縫合痕を指先でたどっていた。
 ──おれが、大学の同期の人たちより何年分か年をくっていたのは、まあ、そういうわけで、バイト先でも一緒だったこともあるけど、そのおれとタメ付き合ってたほとんど唯一の男が良樹で、大学以前でも、どこでも、おれは異分子だったから、良樹ほど仲良く慣れた人間はいなかったし、おれの裸みてなにも言わずに受け入れた初めての女が富美子で……。
 ああ。くそ。こんなに長くしゃべるのは滅多にないことだから、どんどん、話しの内容が支離滅裂になっていく。どう締めようか、誰でもいいから話しを止めるきっかけを作ってくれないかと思い始めたとき、
「先輩」
 と、響子が潤んだ瞳でおれの目をまともに見上げて、いった。
「そうですね。過去は、過去にしないといけないんですよね」
 やれやれ。
 でも、湿っぽいのは苦手だから、泣き出すんじゃないぞ、と心中で祈っていると、案の定、響子は、おれにそっと抱きついて、危惧した通りに静かに嗚咽を漏らしはじめる。だが、まあ、話しの流れから言ったらら、これもしかたがないか……。
 と、響子の肩をあやすように叩きながら、ふと視線を上げたら、富美子が、抱き合っているおれたちを、ビデオカメラで撮影しているのが目に入った。
 ……おれは、そのレンズに無言のまま中指を突き出してみせる。

 本当に、やれやれ、だ。


[つづき]
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ブログ紹介 「美しいもの」

「美しいもの」

淡々とヌードとか半脱ぎとかお尻とかの写真を張り続けているだけのブログ。
言語による説明はほとんど無し、という潔さ。

顔が映っている写真で確認すると、どうも同一の被写体に拘っているらしいのですが、わたしはこのモデルの名前は知らない。
(わたし、ゲーノー人とかセレブとかに興味ないし、テレビもほとんど見ない人間なもので)

写真なんかみてると、光源とかしっかりと設計された物が多いから、たぶん、プロが撮ったものがほとんど。
つまり、収拾した写真を勝手に貼っているだけ、の可能性が大なわけだけど(著作権とか肖像権とか的には、ばれると結構やばい)、モデルさんはきれいでスタイルはいいし、この手のブログにありがちな「騒がしさ」を感じさせない構成が好感度大。

「ネットでみれる写真集」として、静かに鑑賞するのが吉、かと。

今は亡き友の妻 (14)

今は亡き友の妻 (14)

 このようなとき、素に戻るととても気恥ずかしいというのはよく分かる。しかし、手足を丸めて(いや、正確にいうと手は後ろでネクタイ縛りされたまんま、なのだが)、可能な限り縮こまってソファの上でおれに背中を向けて、全身で恥ずがっていることを表現している響子は、なんというかどうにも子供っぽくて可愛らしく、こういうシュチュエーションでなければ頭のひとつも撫でてやりたい気持ちにさせられた。
 かわりにおれは持っていたビデオカメラを再び三脚に据え直し、出しっぱなしになっていた半勃ちになったモチモノもスラックスの中に収納して、煙草に火をつけて一服することにした。紫煙を吸い込みながら、ビデオカメラの液晶ファインダーを見ると、背を丸めた響子の身体がちょこんとソファに乗っかっていて、あまりエロチックとはいえないものの、これはこれで絵になる構図だよな、とか、漠然と思う。
 そんな休憩時間をしばし満喫していると、
「はーい! あったあったありました。夫婦の寝室のベッドの下、という非常にベタで分かりやすい場所に!」
 とか喚きながら、どたどたと騒がしく冨美子が居間に駆け込んでくる。その冨美子の声が聞こえた途端、丸まったままの響子の背中に、震えが走った。
「夫婦のお宝、ゲットだぜ!」
 冨美子の掌には、ピンク・ローター、おれのの一・五倍はあるのではないかと思われる黒光りする巨大なヴァイブレーター、チューブ入りのナニか(媚薬? ローション?)などのアダルトグッズがてんこ盛りになっていて……。
 内心、
 ──おいおい。良樹ちゃんよ、お宅らいったいどういう夫婦生活送ってたんだよ……。
 とか、思わないでもなかったり。
「すごいね。響子ちゃん。こんなのわたしでも入らないよ。これ入れてるの?」
 固まっているおれと響子には構わず、冨美子は持っていたグッズ類をざらざらとテーブルの上に持ち上げ、その中でもひときわ大きい、黒塗りの巨大なヴァイブレーターを取り出し、弄びながら、感心したように声を上げた。
「あ。スイッチ入った。わ! 凄い振動」
 興味津々、といった感じで、きゃいきゃい騒いでいる。
「さて、せっかく持ってきたんだから、使ってみましょうかね」
 わざと、おれはのんびりとした口調を作って、グッズの山の中から適当にローターを取り出し、コードが伸びている楕円形のそれを握りながら、もう一方の手でスイッチを入れてみた。
 む。たしかに、凄い振動。
 ぶぶぶぶぶ、と、鈍い音を立てて振動する物体のコードを持ってそれを垂らし、相変わらず背を丸めておれたちの視線を避けている響子のうなじに辺りに降ろしていく。耳の後ろあたりにその物体が当たると、響子の身体は、大仰なほど、震えた。
「やっぱり響子ちゃん、敏感」
 一方、冨美子は、遠慮する性格でもタマでもないとばかりに、手に持っていた巨大黒ヴァイブを、響子の背筋にあてて、後ろから、ふーっ、と、わざとらしく、響子の耳に息を吹きかけた。
 おれたちが二人がかりで振動グッズを使い、響子の敏感そうな部分のそこここを責め立てていくと、やがて我慢しきれなくなったのか、響子は身を起こし、
「もう! いい加減、やめて……」
 と、叫びかけたが、その言葉は、途中で容赦なく塞がれた。
 ……冨美子が身を起こした響子の胸に飛び込み、強引に、自分の口唇で、響子の口唇を、塞いだのだ……。わが妻ながら、頭が痛い。
 なんでおれはこんなのと籍をいれたのだろう?
 冨美子は響子の口内を自分の舌で犯しながら、持っていたヴァイブレーターを使うことも忘れず、それを響子の乳首とか腹とかもっと下の部分とかに押し当て続ける。目で合図して、おれにもそうしろと、即す。
 響子の抵抗はすぐに弱まり、ほとんど冨美子のなすがままになってきたこともあって、おれは持っていたローター響子の肌に押し当てて、冨美子に協力することにした。
 冨美子が響子を犯していたのは、実際には多分、一分もしないくらいの短い時間だったと思うのだが、そばで見ていたおれにはかなり濃密に感じられたもんだ。いや、自分の嫁さんが旧知の同性の知人を襲う現場に居合わせた男も、かなりレアだと思うし。とにかく、その、一分にも満たない時間に、冨美子は持っていた巨大黒ヴァイブを、響子の股間に押し当てていた。
 そこまでくれば、もはや響子にも抵抗するだけの心理的余裕は残されていないわけで、というか、もう、冨美子が口唇を放して身を起こしても、響子は、何ともいえない切なそうな表情をして、いやいやをするように首を横にふることくらいしかできなかった。たぶん、強制的に送られてくる性的な刺激を耐えるのに、精一杯だったんだと思う。
「はいはい。もっとひっついて」
 響子から少し距離をとった冨美子は、ピンクローターを響子の乳首に押し当てていたおれの肩をどやしつけるようにして、響子の方に押し出す。
「これからは、あんたとあんたの肉棒が必要になるんだから、ちゃんと働きなさいよ」
 などと、身も蓋もない言い方をする。冨美子に押されて姿勢を崩したおれは、ソファの背もたれに手をついて、響子の上に覆い被さるような恰好になっている。
 しばらくは誰もなにもいわず、無言の室内に、ぶぶぶぶぶ、びゅいんびゅいんびゅいん、というアダルトグッズの作動音だけが、響く。

 もうだめぇ、と、いいながら、響子が、おれの首に自分の腕を巻き付けて、おれの口唇を塞いだのは、それからしばらくしてからだった。


[つづき]
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  ↓↓ 響子さんも使っています! 安心のアダルトグッズ ↓↓
ばなー

今は亡き友の妻 (13)

今は亡き友の妻 (13)

 響子はおれのものを口に含んで前後させたが、口に含んで動かしているだけ、という感じで、力の加減を知らないのか、恐る恐る、といった感じで、緩く閉じた口唇だけで刺激を受けても、少しも気持ちよくない。響子は、舌や歯を使うことも知らないようだったし、動き自体が不器用でぎこちなく、全然洗練されたものではなかった。年中仕事仕事で飛び回っていた良樹しか男を知らない、というのは、たぶん、本当のことだろう。
 それでも、響子のような女が自分から咥えてくれている、という事実だけは、おれにとっては充分に刺激的であったわけだが……。
「響子ちゃん、本当にヘタねぇ」
 しかし、冨美子は横合いから口を出す。
「そんなんじゃ、ちっとも気持ちよくならないわよ。良樹で練習しなかったの?」
 ぷはぁ、という感じで、響子はいったんおれのものから口を放す。
「……良樹さん、あんまりこういうの好きじゃなかったから……」
 そして、ビデオのレンズ越しに上目使いにおれの目をのぞき込み、
「先輩、これじゃあ気持ちよくないですか?」
 と、首を傾げてみせる。
 一瞬、液晶モニタ越しに観た、その響子の挙動にくらくらっと来たが、おれは精一杯平静を装いつつ、
「あー。もっと強く噛んでもいいよ。強すぎると痛いけど、適度な刺激はかえっていい」
「強弱をつけたり、竿とか鈴口とか、部分的に責めるのもありだな」
 とか、適当にご託を並べてみる。
 すると、
「……こう……ふぉうですか?」
 と、響子は、言われた通りのそのままのことをそのまま試しておれの反応を伺う。その素直さに感じ入ったのか、冨美子も、
「もっと舌を使って」
「たまには玉とかを口に含んでみるのもいいかも?」
 とか口を挟みはじめ、どうした加減か、おれたち夫婦で響子に「実践フェラチオ講座」をやっているような案配になった。

 ……っつうか、マジで、なんでこういうノリになる??

 そんなこんなで、それから二十~三十分くらい、おれたち夫婦になんだかんだいわれながら、響子はおれのナニを練習台にして頑張っていたのだが、そのうちに段々と疲れが溜まってきたらしく、
「ふわぁ」
 と、ついにおれのイチモツから口をはなし、どさり、と、自分の身体を後ろに倒し、ソファのクッションに体重を預け、いった。
「すいません。わたし、口が疲れました」
「イヤイヤイヤ。ご苦労さん。でも、最後のほうは結構いい線いってたよ。うん」
「あとは練習あるのみ、ね。しっかし、響子ちゃん、本当に経験なさそうねぇ。良樹、本当にほったらかしにしていたんだ……」
「……あの人……」
 横になりながら、響子はいった。
「あまり帰ってこなかったし、帰ってきても疲れてて、すぐ寝ちゃう事が多かったし……」
 ……やばい……少し涙声になってきている。
 こんな場面で湿っぽくなるのはイヤだぞおれ、と、思い、冨美子のほうをチラリと観ると、ちょうど目があって、微かに頷いた冨美子は、ソファの上に仰向けに横になっている響子にしなだれかかるように寄り添い、耳元に囁くように、
「その割には、感じやすいじゃない。響子ちゃん」
 といいつつ、響子の乳首のほうに手を伸ばした。
 冨美子の指先が少し触れただけで、響子の身体が、びくん、と、震える。なるほど、感じやすい。
「良樹にあまり相手にされなかった響子ちゃんの身体が、こんなに開発されているのは何故かなぁー」
 とかいいつつ、冨美子は乳首だけにとどまらず、もっといろいろなところを触りはじめる。響子はといえば、おれが後ろ手にネクタイで両手首を縛めたまま仰向けに寝そべっているわけで、その状態ではろくな抵抗もできるはずもなく、なすがまま、弄られるがままで、細い声を上げたり身体を震わせたりしている。
 ……ひょっとして……。
「自分でやってた、とか?」
 冨美子の一方的な愛撫をビデオに収めながら、おれは容易に思いつく可能性を指摘すると、
「もう! デリカシーのない野郎はこれだから。女の子に面と向かってそういうこと言わない!」
 と、冨美子が即座に反応する。その年齢で「女の子」は少し図々しいんじゃないか?
「でも、響子ちゃん、自分自身でやってたんでしょう?」
 さらに問いつめるし。しかも責める手を休ませてないし。
 当の響子は、見ていて可哀想になるくらい全身を朱に染めて、「あうぅぅぅ」、とか可愛い声を上げて返答を避けている。まあ、実際に休む間もなく続けられる冨美子の愛撫に、感じまくっている、というのもあるだろうが。なにせ同性同士だから、感じるポイントわきまえているわけだし。
 ……後で、いま収録しているこのビデオをダビングして持ち帰って、今後の夫婦生活の参考にしようかな、とか、半ば本気で思いながら、ふと思いついて、
「あれ、良樹のことだからさ、『ボクのいない間、どうしても寂しいときは、これつかって』とかいって、道具渡してたりして……」
 と、ぽつりといったら、
「ありうる!」
 大声で賛同し、それどころかガバリと身を起こして、
「優しくて、用意周到で、気配りもそれなりにするけど、時折その方向性をとんでもない方に勘違いさせる良樹の性格! そう考えると、絶対にあるはず!」
 冨美子は叫んで、「ちょっと後退。証拠、探してくる」と、怒濤の勢いで去っていった。

 おれが覗き込んでいるビデオカメラの液晶の中で響子は、ソファの上で真っ赤になってほぼ全裸の身体を一生懸命小さくしようと、もぞもぞ藻掻いていた。
 ……どうやら、かなり、恥ずかしがっているらしい。

 図星、なのか?


[つづき]
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今は亡き友の妻 (12)

今は亡き友の妻 (12)

「結構大きいでしょ。どう? 良樹のと比べて?」
 富美子はいった。良樹の名前がでると、響子は一瞬冷静になったのか、少し真剣になった顔をした。
「こいつ、スロースターターだけど、一度勢いがつくと持続力結構凄いし。試してみない」
 ──いや、一回貸すだけで、あげないけどね、これ。
 と、おれの肩を叩いてつけ加え、富美子はチロリと舌をだした。
 ……このようなとき、おれは夫としてどのように反応すれば良いのか?
「響子ちゃんのここは、すっかり欲しがっているようですけどねー」
 といいながら、富美子は、おれの背中側でくちゃくちゃと水音をたてはじめる。そちらのほうはおれの背後になるので視界に入らないが、響子が、また、「う。あ。う。う。う」と声をあげはじめている。富美子がまた、響子自身を直接刺激しはじめたのだろう。
 おれがその様子を確認するため、液晶テレビのあるほうに向き直ろうとすると、
「あ。ちょっと待ってね。その前に、……」
 と、富美子は一旦、響子から身を離す。
 おれの股下にある響子の顔は、さすがに疲労を隠せない様子だったが、顔の血色もとてもよく、今日、久々に響子の顔を見たときに感じた、どこか蔭のある感じは、確かに払拭されているようにみえる。
「はい。これからはあんたが撮って」
 富美子は、肩越しに三脚から取り外したビデオカメラを、おれに渡す。
「響子ちゃん。恥ずかしかったらなにもいわなくていいけど、欲しくなったら遠慮なく、今あなたの目の前にあるものを取り出して使ってね」
 響子は目を閉じて息を整えていたが、しばらくして、意を決したように自分から首を起こし、
「……せん、ぱい……」
 と、掠れた声で、ぽつり、と、い呟いた。
「ごめんなさい。わ、わたし、もう、我慢できない。これ、……」
 いって、おれの股間部のファスナーにとりつき、それを口で降ろしはじめる。
 おれが除くビデオカメラの中では、恍惚とした表情を浮かべた響子が、ジジジジ、と、音をたててファスナーを降ろしていく。
「これ」
 口でおれのファスナーをすっかり降ろし終えた響子は、陶然と呟いて、自分の鼻面を、開いたおれの股間部につっこむ。
「これ、この匂い……欲しかった……いろいろされているうちに、あの人としているときこと、すっかり思い出して……」
 鼻と顎と舌でおれの下着をかき分けて、おれの性器を露出させると、「あなた、ごめんなさい」といって、ぎゅっと目を瞑り、すっかり怒張しきったたおれのものを口に含む。


[つづき]
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今は亡き友の妻 (11)

今は亡き友の妻 (11)

「……ん……すごい。
 響子ちゃん……どんどん溢れてくる……」
 響子の股間に顔の下半分を埋めながら、富美子は、不明瞭な発音でいった。
「い、いやぁ。いやぁ。いやぁ」
 響子は、おれと富美子に同時に責められながら、急速に上り詰めているようだった。全身をガクガク震わせながらセミロングの髪を振り乱して首を激しく左右に振っている。おれは、片手で予測のつかない動きをする響子の体を支え、もう一方の手の指で響子の内側の襞を掻き分けている。おれの中指が、内壁の上の部分の窪みに触れたとたん、響子の体がひときわ大きく、びくん、と、跳ね上がった。
「ここか? 響子ちゃん、ここなのか?」
 いいながらおれは、響子を一番反応させた箇所を執拗に責めはじめた。
 響子は口の端から涎がとどめなく流れているのにも気づいた様子はなく、「あ。あ。あ。あ」と、虚ろな目をして、それからまたびくんと体を跳ね上げてから、自分の秘処に舌を這わせている富美子の頭を両足でしっかりと抱え込み、背を反らして、しばらく硬直する。
「……っちゃった? かな?」
 ぽつり、と、富美子がいった。
 富美子の頭を太股でしっかり挟み、おれの頭を脇に抱えたまま背をピンと反らせて硬直しているため、響子の体はソファの上空で、棒を呑んだように不自然に固まっている。
 そんな無理な姿勢がいつまでもいつまでも持続するわけもなく、一分もしないうちに響子の体から力が抜け、どさり、と、ソファの上に響子の体が投げ出された。響子に、頭をがっちりと捕まったままだったので、おれも、半ば響子の下敷き、半ば添い寝するような形で、響子とともにソファの上に横になる。おれの目線からは、ちょう横から響子の身体をみる形になり、大きく上下する胸郭が、よく確認できた。横になっても平たくならない形のいい乳房はすっかり汗に濡れて、てらてらと光っている。
 その、目前にある濡れた素肌に、ぺろん、と舌を這わせると、響子は「うはぁ」と声を上げた。そういう反応を可愛いと思い、もっと観たかったので、おれは響子の胸を鷲掴みにし、わざと盛大にぴちゃぴちゃと音をたてて、響子の乳首を舐めはじめる。
「あー。わたしもやるー」
 おれの行為を観ていた富美子は、一見無邪気そうな声をあげ、響子のもう一方の乳首に吸い付いた。
 最初のうちは消え入りそうな弱々しい声で「……だめ……もう、だめなの……いやぁ……」と力無く呟いていた響子も、おれたち夫婦が両方の乳房にとりついて盛大にしゃぶりはじめると、すぐに大きく声をあげはじめ、「だめぇ! 本当に! これ以上! はぁ! はぁ! はぁ! いやぁ!」と喚きはじめる。
 しかし富美子は、
「響子ちゃんのおっぱいおいしー」
 と、響子の乳房を弄ぶことをやめない。おれもそれに習う。
 ときおり冨美子が、隣で同じように響子の乳房にとりついているおれの首を強引に自分のほうに向け、ねっとりとキスをしたり、おれの股間に指を這わせて、おれの硬直を指で確認したりするが、基本的には富美子自身がこの場ではおれの相手をするつもりはないらしく、冨美子の注意と興味ははもっぱら響子のほうに向いているようだった。
「響子ちゃん」
 響子が再び十分に高まりはじめたのを確認してから、富美子は、響子の体から少し距離を開けて、いった。自分だけではなく、おれの体も響子から引き離し、響子は、ちょうど暖まってきたところで、態のいい「お預け」をくらった形になる。
「そろそろ、これ、欲しくらなない?」
 そういって富美子はおれの腰を後ろから押し、服越しにでも十分に確認できる状態になっているおれ剛直を、響子の目前につきだした。響子の首のあたりに、おれがまたがっている恰好だ。

 そのとき、半眼になって霞がかかっているような響子の瞳に一瞬強い光が現れ、響子の喉が固唾をのむ形に動くのを、おれは見逃さなかった。


[つづく]
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今は亡き友の妻 (10)

今は亡き友の妻 (10)

 おれは言葉で響子を攻めながら、同時に、響子の秘処に挿入した指を忙しなく往復させる。響子の中はとても狭く、しかし同時に、中からとどめなく蜜が分泌されはじめており、締め付けのきつさにも関わらず、動きをどんどん激しくしていくことには、なんの支障もなかった。響子の股間はおれの指が動くたびに、じゅっ、じゅっ、と、音を立てて下着を濡らすようになっている。響子の上体も断続的に震え、うっすらと汗をかき、真っ白い肌の表面に光沢を与えはじめていた。時折やけに荒い息のつきかたをするのは、たぶん、ともすれば自分が上げそうになる歓声を懸命に押さえようとした結果だろう。
 つまり、響子の身体は充分に反応しはじめていたが、響子の意志はそれを否定し、抑制しようとしているのが、現在の状態だった。
「ねえ」
 いつの間にか取り出した三脚で持っていたビデオカメラを固定しながら、冨美子がいった。
「響子ちゃんの身体、きれいでおいしそう。ちょっと味わってもいいかな?」
 冨美子の言葉は、文法的には質問の形をとっていたが、文脈的には宣言文に等しい。実際、冨美子はその言葉に響子が反応する間を与えずにすたすたとこちらに歩み寄り、響子の両肩に手をそえて頭を少しさげると、こり、と、歯で響子の乳首を甘噛みしはじめる。
「っんっひゃ!」
 と、初めて、響子が鳴いた。
「いい? それとも、痛かった?」
 冨美子はいったん響子の乳首から手を放し、頭を上げて響子の耳元に囁く。
「わたし、女性を責めるの初めてだから、加減がちょっと分からないのよね」
 冨美子は、「感じるポイントはだいたい分かるけど」、と、付け加えると、そのまま響子の耳の穴の中に尖らせた舌を突っ込み、ねぶる。
 液晶の中の響子は、蒼白な顔をして下唇を噛み、なにごとかに堪え忍ぶ表情をしていたが、冨美子が責めはじめるのと同時におれが指の動きを激しくし始めたので、段々、「あっ。あっ。あっ」という低い呟きを漏らすようになっていた。
「響子ちゃん」
 下半身を激しく責め立てながら、おれは響子の耳元に囁いた。意図的に、敬称もそれまでの「さん」付けから「ちゃん」付けに変えた。
 ちょうど、おれたちが出会った頃、学生時代にそう呼んでいたように。
「良樹がいるときなら、これは浮気だろう。でも、もう、良樹はいないんだ。どこにも。操を守る、なんて今時はやらないし、良樹も、響子ちゃんが家に閉じこもっている状態は、悦ばないと思う」
 言い終えて、さらに指の動きを速くし、響子のうなじを丹念に舐める。
 それまで抑えがちだった響子の声が、堰を切ったように大きくなりはじめた。
 冨美子は、しばらく響子の乳房を手と口で弄んでいたが、徐々に頭を下のほうに下げていく。
「おいおい」
 冨美子が舌で響子の臍あたりを責めるようになった頃、おれは冨美子に声をかけた。
「そんなに下がったら、おれの手と当たっちゃうじゃないか」
「だったらあんたがその手をどかしなさいよ」
 わたしは響子ちゃん自身を味わいたいのー、と、冨美子は、拗ねたような声でいった。
「でも、だんだん良くなってきたところで指抜いちゃうと、響子ちゃんに悪いだろ」
「だったらこうしましょう」
 冨美子は、それまで開くまいと力を込めてい閉じていた響子の膝をあっさりと開き、片足の脛を自分の肩にのせる。
「この体勢なら、背中側からも、腰の下から手を入れられるでしょ」
 名案だったので、おれはいったん響子の中に入れていた指を抜き、お尻の側から響子の濡れて重くなった下着をかき分けて再度指を侵入させた。充分迅速に動いたつもりだったが、おれが指を抜いたとき、響子は、明らかに不満げなため息をもらした。
 おれの指が下から響子の襞をかき分けて濡れた内部を掻き回し、その上の敏感な突起を下着の上から冨美子が舐めはじめると、もやは響子には受け続ける快感を隠す術も余裕もなく、おれの頭を脇に抱えて凄い力で締め付けながら背筋をそらし、断続的に全身をふるわせながら、「あー。あー。あー。」と、喚きはじめた。
 おそらく、響子自身はすでに忘我の境地にあり、自分の狂態を自覚していないに違いない。
 響子の絶頂は、すぐそこに近づいているようだった。


[つづき]
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今は亡き友の妻 (9)

今は亡き友の妻 (9)

 壁際の大型液晶に、衣服をほとんどはぎ取られ、あられもない恰好をした響子が映っていた。響子は剥き出しになった乳房を隠そうとはせず、むしろ胸を張って誇示するかのように背筋を伸ばし、両膝を揃えておれの膝の上に座っている。その張りのある肌とボディラインとは、成熟した、そして、加齢によりこれから少しづつ衰えていくはずのぎりぎりの時点の、あやうさを伴った緊張を孕んで、響子という女性の「現在の」美しさを主張している。
 おれは、背中から廻した掌で、その、ほどよい大きさの乳房を下から持ち上げるように包み込み、じっとりとした肌触りと重さを愉しんだ。意外に着やせするタチなのか、下から掌で包み込んんでもその膨らみの半分も包めない。それほどの大きさの双丘が、重力に逆らってピンとその尖端を上に向けている。見事なフォルムだった。乳首は色が薄く、乳輪も小さく、そこには、そろそろ三十に手が届こうかという響子の年齢を感じさせる要因はなかった。服を脱いでも、やはり響子は、実際の年齢よりもずっと若く見える。
 おれは、おれ自身が背後から手を回し、たっぷりとした胸の膨らみの感触を愉しんでいる映像を、少し離れた場所にある液晶の中の映像でリアルタイムに観ながら、行為に没頭している。大型液晶テレビは、おれと響子が座っている場所からはちょうど正面に位置していて、そこに自分たちの姿が映っているという感覚は、なかなか不思議な感じがした。おれはその映像を観ながら、自分の手や指の位置を調整し、力を込めすぎないように細心の注意を払いながら、響子の身体の表面を、そっとまさぐり続ける。
「こうして自分の裸を映像で観るのは初めてですか?」
「初めてです」
「愛撫される様子をビデオに撮られるのは初めてですか?」
「初めてです」
「良樹以外の男性に肌を触れさせたのは初めてですか?」
「初めてです」
 響子は、たぶん緊張で、多少強ばった表情をしていたものの、それでも比較的冷静に現在の屈辱的な境遇を受け入れているように見えた。頬に赤みが差してはいるものの、それ以外の感情を外に出すまい、と、努めているようにみえる。
 だが、その表面上の冷静さも、おれの言葉が響子の触れられたくない部分にまで浸食していくまでのことだった。
「良樹が不在の間に、自分で自分を慰めたことがありますが?」
「……答えたくありません!」
 響子の言葉が激したのと同時に、おれは爪をたて、少し力を入れて響子の乳首をつまみ上げた。「ひっ!」と、響子が小さく息を吸い込む音がした。
「こうして、良樹以外の男に乱暴に扱われることを想像したことはありませんか?」
「答えたくありません!」
「貴女は、この家に良樹が泊まったのはたった九十七日、といいました。そのうち、良樹が貴女を抱いたのは、何日ですか?」
「答えたくありません!」
「半分ですか? 三分の二? それとも、三分の一以下?」
「答えたくありません!」
「ひょっとして、響子さんは、生前から良樹との性行為に不満をお持ちだったのではないですか?」
「答えたくありません!」
「これからわたしは貴女を抱くわけですが、荒々しく抱かれるのと優しく抱かれるのとどちらが良いですか?」
「答えたく……あ。や。いえ。できれば、やさしく……ひぃっ!」
 後半の悲鳴は、おれが予告なく響子の下着に手を突っ込み、響子自身の感触を指先で確かめたために起こったものだ。
 そこは、じっとりと湿りはじめていた。
「響子さんのあそこが湿りはじめていますねぇ」
 響子は、深呼吸をして気を静めようとしているが、おれの言葉には応えない。
「さっきはあんなに乾いていたのに、今は湿っています。なにかいやらしいことを想像したんですか?
 それとも、響子さんは、あの程度の軽いお触りでこんなに濡れるほど、感じやすいんですか?」
 おれは響子の裂け目に浅く指の先を突き立て、わざとくちゅくちゅと音がたつように、そこを掻き回す。
「最後に良樹をここで感じたのは、どれくらい前ですか?」
 言いながらおれが指をさらに深い部分につっこむと、じゅん、と音をたてて、響子の中から液体がしみ出してきた。
「響子さんのここは、おれの愛撫を歓迎しているようです。ほら、こんなに濡れてきた」
 おれは、液晶画面にアップになった響子の股間部分を示しながら、強固の耳の後ろから囁きかける。
「ほら、響子さんの下着の色、もう、ごまかしようがないくらいに、湿った色に変わってきています」
 ふん、と響子の荒く息をついた。
 その吐息は、響子が自分の興奮を悟られまいとしているようにも、取れた。


[つづく]
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今は亡き友の妻 (8)

今は亡き友の妻 (8)

 おれは、自分の股の直前にある薄布に包まれている双丘を、両手の掌を使ってゆっくりと撫でさすり、しばし感触を楽しんでから、「カメラさん」、と、富美子に声をかけた。
「そのビデオ、そこのテレビに繋いで、画面がみれるようにしてくれ」
「はいはい」
 富美子は、相変わらずなにを考えているのかは不明だったが、おれのこの指示には嬉々として従い、さほど時間もかけず、50インチ以上はある薄型液晶ハイビジョンテレビとビデオカメラをケーブルで繋ぐ。あられもない姿の響子の上に馬乗りになっているおれ自身の姿が、大写しになると、おれと富美子は「おー」とか、声を揃えて歓声をあげ、
「大画面だと、やっぱきれいねー」
「なんか、本当にハメ撮りっぽくなってきた」
 などといいあった。
「はい。カメラさん、寄って寄って」
 おれは富美子を手招きし、薄っぺらい布きれでかろうじて覆われているだけの響子の臀部を示す。その部分が大画面液晶テレビに大写しになったのを確認してから、響子のお尻の割れ目の部分に、つつつ、と指を走らせた。
 びくん、と、響子の背中が震えた。
「響子さーん」
 おれは訊ねた。
「もう感じてますか? まだですか?」
「か、感じてなんか、いません。こ、こんな恥ずかしいことされて……」
「はいはい。そうですね。まだ全然濡れていませんね、ここも。触ってみれば、よくわかります」
 と、いいつつ、指をさらに下の、布越しにでも茂みの感触を感じることができる部分にもっていく。おれの言葉の通り、そこは、全然濡れても湿ってもいあなかった。
「響子さんは、見かけによらず陰毛が濃いんですね」
 下着越しに、陰毛の感触を確かめるように、じょりじょりと指を動かす。背後を振り返って確認すると、響子は、屈辱に顔を真っ赤にして押し黙っていた。
「響子さんは、自分のここをまじまじとみたことはありますか?」
 かまわず、おれはさらに侮蔑的な質問を重ねた。
「……な、ないです!」
 叫ぶように、響子が答える。
「それでは、今日はいい機会ですね。これから響子さんあそこが、そこのテレビにどアップで写ります。録画もされているから、あとでじっくり観ることでますよー」
 おれがそういうと、響子はさすがにたまりかねたのか、「やめてやめて」と喚きながら、身体を激しく揺り動かして自分の上に乗っているおれをどかそうと試みる。
 体重差からいっても無駄な努力なのだが、響子に自分の立場をわきまえさせるために、おれは、自分がしていたネクタイをはずす。
 響子の両手を背中に回したままで、ネクタイで手首をきつく縛った。
「はい。これでいくら暴れてもいいですよー」
 おれは響子の両脇に後ろから手を入れて、一旦身体を起こし、まず自分がどっかとソファーに座ってから、その上に半裸になった響子の体を乗せる。
 テレビには、おれの膝のに上に座った恰好の、半裸の響子の全身が映し出されている。
 度重なる抵抗のために髪は乱れ、ブラウスは胸まではだけ、ブラはかろうじてまとわりついているものの、下半身は破れたストッキングと下着のみ、という姿で、テレビのなかの響子は、この女らしくもない反抗的な目つきなをして、キッと強い視線でこちらを睨みつけている。
「こ、こんなことして……」
「こんなことしてください、と、冨美子を通じておれに頼んだのは、ほかならぬ響子さんのほうでしょう?」
 にやにや笑いを浮かべながら、おれはいった。
「それとも、自分が体をさしだせば、誰でも、おれでも、にやさがってはいつくばって感謝するとでも思ったんですか?」
 そういうと、響子は急に何かに気づいたような表情になり、少し狼狽した世様子をみせた。この辺の素直さや感情の動きのわかりやすさは、はやり育ちの良さに寄るところが大きいと思う。
「はい。響子さんは、とてもきれいな体をしていますね。とてもきれいだから。もっときちんと写して、記念に残しておきましょう。邪魔なもんは取っちゃいましょうねぇ」
 おれがさらに言葉を続けると、やはり抵抗しようと藻掻くわけで、でも。後ろ手に縛られた状態で、くわえて、おれに膝の上という不安定な場所に座らせられているおかげで、多少暴れても大した影響はない。
 おれは、なんなくかろうじて響子の上半身に残っていたブラをはぎ取り、ブラウスのボタンもはずし、ほぼ完全にはだけさせることに成功した。響子はあいかわらず後ろ手に縛られたままだったので、ボタンをすべてとられたブラウスは縛られたままの腕のほうに落ち、完全に脱げたわけではない。
 が、響子の上半身のほとんどの部分は、露出した形になる。
 年齢のわりには重力に抗して、つん、と上を向いている色の薄い乳首をみて、富美子が思わず、という感じで「きれい!」と声を上げた。

 おれも、まったく同感だった。


[つづき]
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