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競泳水着の誘惑 (19)

競泳水着の誘惑 (19)

「……はぁ……んんっ……んっ……」
 息を吐き、呻きつつ、ゆっくりと、目を閉じた舞花が、腰を沈めていく。剥き出しになった乳房の表面には、うっすらと汗が浮かび、上気した肌に艶を与えている。
 舞花のプロポーションが生むシュルエットと舞花の厳粛な表情とが相まって、下から見上げている栗田の目には、「美しい」のを通り越して、「神々しい」とさえ、感じた。
「……ふぅ……」
 すっかり腰を降ろし終えた舞花は、大きく息を吐いて、ようやく目を開けた。
「やったぞ……。。……これで、最後まで……」
 舞花の目尻に涙が浮かんでいることを確認すると、栗田は上体を跳ね起こして、舞花の体に抱きついた。
「すげぇーよ、まーねー……舞花! 頑張った!」
「……セイッチ……」
 抱きしめられ、いきなり耳元で名を呼ばれた舞花は目を見開いたが、すぐに小声で付け加えた。
「でも……その……しばらくは、動かないで欲しい……えと……まだ、痛いし……」
「あは。わははは」
「わ、笑うな馬鹿者!」
「いや。悪い……。じゃあ、えと……キスは?」
「……甘えんぼうめ……」
 再び舞花が目を閉じて、顔を下に向ける。身長も座高も舞花のほうが長く、加えて、栗田の腿の上に舞花が乗って繋がっているので、舞花の頭の位置がかなり上になる。
 栗田は、背筋を伸ばすようにして、ようやく舞花と口唇を重ねた。

「って、いい雰囲気になっているのにそんなところを触るな、この助平! 変態!」
 口唇を重ねながら、栗田が舞花の乳房に手を当てて、にぎにぎと揉んだので、舞花はすかさず爆発した。
「いや、つい……って、そんなに暴れると、痛くないか?」
「痛い! でも、それ以上に腹立たしい!」
 舞花は、両手で栗田の両耳を掴み、前後に振った。
「いいか。こんなに痛い思いをして、ようやく一つになったんだからな! これからはもう、絶対ずっと一緒だぞ!」
「あ……ああ……」
 その言葉によって、今更ながら、栗田は「あること」に気づいた。
 ……それって、まーねー……舞花と正式につき合う、っていうことだよなぁ……。
 そのこと自体には、全然問題ない。問題なのは、「学校」という閉鎖社会の中で「飯島舞花」という生徒が占めている位置にあるのであって……。
「どうした。浮かない顔して……」
「……いや、……まーねーと公然とつき合うなると、かなり風当たりがきつくなるかなぁ、と……」
 特に、女子方面。
 舞花は一瞬、きょとんとした表情を浮かべた後、栗田の心配事に思い当たって、声をあげて笑い出した。
「諦めろ。
 わたしなんか、今までずっと、何年間もそういう居心地の悪い思いをしてきたんだ。今度はセイッチが苦労する番だな」
 にやにやと、意地の悪そうな笑いを浮かべている。

 まあ、この人のこういう顔を知っているのも、おれだけなわけだしな、と、栗田は思った。


[つづき]
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