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ぼくと彼女の、最後の前の晩 (6)

ぼくと彼女の、最後の前の晩 (6)

「体、冷えるよ」
 しばらく、ぼくの背中に体重をあずけ、嗚咽を漏らしていた彼女に、頃合いをみて、ぼくは声をかける。
「。。そうだね。早くしないと、風邪引くね」
 ぼくらはお互い裸のままで、体に付着していた水滴は半ば乾きつつある。
「ごめん。今拭くから」
 いいながら、彼女は鼻をならし、慌ただしくぼくの体を拭いはじめる。
「ね。ほんとに、今夜が最後だから……」
 ぼくの体にバスタオルを押しつけながら、彼女はいう。
「……このまま、ベッドにいこう」

 二人して、もつれ合うように、ベッドに倒れ込んだ。
「ぜんぜん硬くなってないね。もう、わたしじゃ、勃たない?」
 仰臥したぼくの胸に顔を押しつけながら、彼女はぼくの下半身をまさぐる。
「でも、無理矢理勃たせる。これでも、君のつぼは知っているんだから」
 いいながら、頭を下げて、彼女はぼくを口にくわえた。舌で竿を舐め回しながら、掌で重みを計るように、睾丸をもてあそぶ。ぼくの性器をおもちゃにしながら、彼女はぼくの臑に自分の性器をすりつけている。そこはすでに湿りはじめていて、臑のあたりに彼女の陰毛が擦り付けられる感触とともに、濡れた肌が空気に触れたときの冷たさも感じる。
 白い背中を丸めてぼくの下半身にとりついた彼女は、人間の女性というよりは、貪欲に生きたままぼくを食らいつくすものすごく大きな虫かなにかのように思えて、薄暗い部屋の中でちゅぷちゅぷと響く水音が、そんな不謹慎なぼくの妄想を補強する。
「ん。少しは元気になってきた」
 彼女はぼくの性器から口を離し、口と舌を徐々に上のほうに這わせていく。臍の下、臍、肋、胸部、乳首。彼女は、いつにない丹念さでぼくの肌を舌でたどる。
 その間も、手では、ぼくの性器を刺激することを忘れていない。
 彼女自身の肌をぴったりとぼくの肌に張り付かせ、ぴちゃぴちゃと音をたてて、ぼくの体中を、彼女は味わう。彼女の熱く堅く湿った舌の感触が肌を這うたびに、ぼくの刺激された部位は鳥肌さえたてて、少し体温をあげる。
「ふ」
 今や、彼女の舌はどんどん上の方へとすすみ、ぼくの首にとりついて、執拗にその辺りを舐めながら。彼女は、ぼくの耳に息を吹きかける。彼女の乳房は、ぼくの胸の上で彼女の体とのサンドイッチになって潰れている。
「君の体、だんだん熱くなってきた」
 囁いて、彼女はぼくの耳の後ろをそっと撫でる。
「いいんだよ。もっと感じても」
 彼女が、ぼくの顎を持ち上げ、喉仏のあたりにくらいついて、軽く噛む。
 ん、と、ぼくは軽くうめき声を上げる。
「声、聞かせて。君が、感じている声」
 彼女はぼくの男性器を手でもてあそびながら、口を耳元によせ、耳の中に舌をいれて、まさぐる。耳朶を、甘噛する。
「いつも君にされていたこと、してあげる」
 手櫛でぼくの髪をなでつけ、頬骨、鼻梁、額、瞼、などに軽い口づけを繰り返す。
「こんなに硬くなってきた……」
 彼女はぼくの体に乗りかかっており、ぼくの頭のそこここを刺激しながら、太股でぼくの性器の硬直を確認する。
「いつでも入れられるね。もう、いれちゃおっか、これ?」
 そういう彼女の声も、高揚しで、熱と湿度を帯びている。

[つづき]
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