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ぼくと彼女の、最後の前の晩 (8)
ひゃあ、とか、うひゃあ、みたいな音を喉から漏らして、いきなり、彼女が上体をおおきくのけぞらせた。それでもぼくはじゅぼじゅぼと音をたてて彼女の中の指を激しく出し入れさせながら、十分に湿った彼女の陰部を、舌で歯で口唇でたどる。敏感な突起を歯で噛み、襞の間を舌でかき分け、そこから分泌される液体を、じゅるじゅると音をたてて吸い上げる。
しばらく、ぼくが恍惚として彼女の大事な部分を口と舌で味わっていると、それだけで彼女は息も絶え絶えになり、ぼくの体の上に、ぐったりして、突っ伏する。
「なんだよ。自分から誘っておいて」
ぼくはいった。
「満足したんなら、もう終わりにしようか?」
ぼくが体を離そうとすると、彼女はぼくの体によたよたと手をかけて、引き戻そうとする。
「だめ。もっと……」
ぼくの肩にかかった彼女の指には、まるで力を感じなかった。が、ともかく、ぼくを引き戻そうとする意志だけはあるらしく、彼女はなんとか自分の体を引き起こし、ぼくにしなだれかかってくる。
「……最後まで、ちゃんと……これで、最後だから……」
肩で息をしながら、呼吸の合間合間に、しぼりだすように、そういう。
彼女の目に、なんとも形容のしようのない、執念を感じさせる光があった。
ぼくは黙って彼女の体を横たえ、その上に覆い被さる。そのまま、挿入。するり、と、何の抵抗もなく彼女の中に侵入するぼく自身。はふぅ、と、吐息でぼくの挿入に答える彼女。
「動くぞ」
ぼそり、という感じで、彼女の耳元に低く呟き、ぼくは激しく動き始める。どうせ、彼女のほうの準備は、十分すぎるほどに整っているのだし。
「おぉう!」
挿入するとと、彼女は吠えた。
その声は、歓声とか喘ぎ声とかいうよりも、もっと太い声で、動物的な響きを伴っている。ぼくが動く度に、彼女は体をくねらせて、体内のどこかとても深いところから、嗚咽に似た音をくみ出す。彼女が今までにみせたことがないような、反応だった。
おうぅ、おうぅ、おうぅ。
ぼくの動きに鳴動してそう喉をならす彼女。ぼくは楽器を演奏しているような気分になる。二人で、全身と全身で、性器と性器で、かき鳴らす楽器。ただ、その音色はとても精錬されたものとは呼べなくて、かわりに、ぼくの肉体に、彼女の肉体がダイレクトに反応している、そんなようなもっと野蛮な迫力があった。
人間の、もっとも動物的な部分からわき出ていくる音色を奏で、聞くために、ぼくは汗だくになって、全身を使って彼女の中と上とではね回る。
そのl晩のぼくらは、人間の男女というよりも、動物の番いのような交わり方をした。いつ果てるともなく、し続けた。
体力の限界まで、し続けた。
[
つづき]
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