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ぼくと彼女の、最後の前の晩 (10)
彼女の反応には構わず、ぼくは彼女を攻め続ける。彼女の中に入れた指を激しく動かしながら、彼女のクリトリスを舌と歯で刺激する。
「あうぅ。あふぅ」
彼女が慟哭に近い喘ぎ声をあげはじめる。
「やぁああ! いあやぁ! いやぁ!」
最後にひときわ大きく叫んだかと思うと、そのままくたりと脱力して、動かなくなった。
汗まみれになって胸を上下させるばかりになった彼女から、体を離そうとすると、彼女の手がぼくのほうに延びてきて、ぼくの手首を、がっちりと握る。
「……駄目……最後だから……最後まで……」
ぼくの手首を掴む手の力は、すぐにでもほどけそうなほど弱々しいものだったが、荒い息の下で、乱れた髪の隙間からぼくを見据えてそういう彼女の声と目の光には、抗いがたい力があった。
「……まだ、できるから……君、まだいってないし……最後まで……お願い、最後まで……」
彼女の懇願に逆らうことができず、再び正常位で彼女の中に挿入すると、彼女の目尻から、うっすらと涙がこぼれた。
「……動いて……」
彼女の上でぼくが蠢きはじめると、ぼくの動きにあわせて、彼女が、息を吐き、吸う。ぼくの律動は徐々に加速し、彼女の呼吸は、動物じみたうめき声に近いものになる。
そのときも、いつものように汗まみれになりながら、ぼくらはお互いの体から快楽を限界まで引き出そうとしていた。
いつもと違っていたのは、これが最後の行為だと二人とも知っていたことだけだ。
やがて、ぼくの動きが限界まで早くなり、彼女の声が「あぁああぁああぁ」という
尾を引くものになると、彼女は再び達したらしく、全身をガクガクと痙攣させてぼくにしがみつき、硬直した。
ぼくのほうも、彼女の硬直が数秒ほど地付いた時点で、彼女の抱擁をふりほどいて彼女の中から自分を引き抜き、彼女の体のおなかの上にに射精する。いつもより多い量の精液が、やけに長々と出ているように感じた。
あたりは、ぼくと彼女の汗の臭いと、彼女とぼくの局部から分泌された体液のむっとするような動物臭に包まれ、ぼくらは、しばらく休んでから、また風呂場にいって体を洗わねばならなかった。
そしてその後は、お互いなにもいわず、服を着たまま寄り添って、翌朝までぐっすりと眠った。
[
つづき]
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