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彼女はくノ一! 第六話(101)

第六話 春、到来! 出会いと別れは、嵐の如く!!(101)

 それからもイザベラは、荒野や孫子とともに、この土地で現在進行中の状況について、質問を重ねつつ、多面的に分析してみせた。イザベラは、ここで事情について事前に集められるだけの情報を集めて来たらしく、新種たち以外の孫子や楓についても、かなり詳しい知識を持っていた。
 イザベラは父親がかなり巨大な企業グループのトップだとかで大局的な考え方ができるらしく、そうしたイザベラが荒野や孫子と一緒にかなりつっこんだことを話し合いはじめると、そもそも、状況を俯瞰して見て判断を下す、という習慣がない楓は、誰かに意見を求められない限り、自分から発言するということもなく、自発的に聞き役に回ってしまう。ここでも、楓がこれまで一方的に「命令をされる立場」に自分を擬して、統合的な判断力を養おうとしなかったことが足かせになった形だが、楓は、そのことについて、あまり悔しくは思っていない。
 何故なら、すぐとなりに香也が座っており、両手を炬燵蒲団の中につっこんで、所在なげに荒野たちの話しを聞いているから。
 正直にいうと、現在の楓にとっては、多少なりとも想像力を働かせなければ見えてこない、そうした抽象的な議論よりも、香也がすぐそばに居る、という事実がもたらす安心感の方が大事だった。
 楓は、自分でも気づかないうちに隣りの香也の一層、身体を寄せて、炬燵布団の下に隠れているのをいいことに、香也の膝の上に自分の掌を置いている。後者の行動は、無論、意図的なものである。
 イザベラに向かって持っていたスケッチブックを差し出した後、炬燵布団の中に両腕を突っ込んで背を丸めていた香也は、楓の掌が自分の膝の上に乗っかると、少し身体を震わせたが、特にいやがるそぶりも見せず、ただ、恥ずかしそうな曖昧な笑みを顔に浮かべ、顔をうつむけにした。
 香也のそのリアクションを「了解」の意志と解した楓は、さらに大胆に、香也の太股のあたりを掌でゆっくり撫でさする。楓にしてみれば、特にエロティックな意図があったわけではなく、香也の身体のどこかと直接、接触することで、香也との距離を確認したかっただけだが、香也は俯いたまま、少し頬を赤らめた。今までさんざん、楓たちとあーんなことやこーんなことをしてきている。それに、香也は、決して楓を嫌っているわけでもないのだが、目下の所、テレビの前に集まっている精神的お子様組とすぐ目の前で酒盛りしている成人組……といった具合に、居間には多数の人間がひしめいている。
 何より、楓の反対側には、すぐそこ、それこそ楓に匹敵する密着度で、孫子が、「ぺた」っと隙間なく香也の腕に絡みついている。
 人目がありすぎる状況だし、加えて、楓と孫子に左右から密着されている香也には、逃げ場がないのであった。
 いや……風呂とかトイレとか口実を設けて、とりあえず、その場から逃げだそうかな……などと香也が考えはじめるとすぐに、その考えを見透かしたように、孫子が、さわっ、と、炬燵布団に隠れて見えない部分で手を動かし、香也の腿を撫でさすりはじめる。
 一瞬、香也は、また楓への対抗意識を発動したのか……と思ったが、ちらりと確認すると孫子は香也の腕にぐったりと体重をあずけているだけで、特に怒ったり憤ったりといった表情はしていなかった。ただただ、リラックスをした表情で、香也に身を預けている。たまたま、香也のが側にて手持ち不沙汰だったからそうしている……といった態であり……つまり、香也の反対側の腕に密着している楓とまったく同じく、「対抗意識」とかはまるでなく、まったくの自然体でそうしている……ように、見える。
 楓だけではなく、その場にいる香也以外の人間を意識の中から排除しているらしかった。いわゆる、アウト・オブ・眼中。周囲にこれだけの人数がいるのにも関わらず、彼女らは、それぞれ、「自分と香也」のことしか、意識していない。
 あるいは、常時多人数の人間がいることが多いここ最近の香也の境遇に、彼女らが適応しつつあるのかも知れないが……問題なのは、香也の両脇から二人が密着して、さわさわと香也の腿とか腰のあたりをまさぐりはじめたことだった。
 香也は、可能な限り平静な態度を装っていたが、実のところ、先ほどから下半身がきっちりきっかり反応していた。香也だって若い男性である。両脇から柔らかくていい匂いがして服の布地越しにでも感知できる熱い身体に密着されれば、すぐさま反応してジーンズの布地を大きく持ち上げてしまう。一度そうなってしまえば、その反応が収まるまで、これだけの人数が集まっている中、さりげなく居間を退出する……ということも、難しかった。
『……んー……』
 香也は、平静を装いながらも、出来るだけ両脇に密着している楓と孫子の存在を考えないように努めた。
 ……無駄、以外の何物でもなかったが。
 香也が抵抗もしないでかたまっているのをいいことに、楓と孫子の動きはさらに大胆になっていき、密着度もすごいことになっていく。
 今や、楓と孫子は、ぴったりと隙間なく香也の身体に張り付いていた。
 二人にしてみれば、特にエロティックな衝動があってそうしているわけではなく、ごく自然体で香也の存在を感じたいから、そうしているだけだった。その証拠に、二人の呼吸は乱れていなかったし、体温も上がっていない。
 つまり、しばらくは、真ん中にいる香也だけが、困惑してかたまっていて、両脇の楓と孫子はリラックスした状態で「ぴたっ」っと香也の両脇に張り付いている……という状態が続いた。
 真理や羽生、三島を中心とした年長グループと、荒野とイザベラ、ホン・ファのグループは、それぞれの話しに夢中になっていたし、それ以外の子供たちとジュリエッタは、DVDを再生しているテレビに注意を奪われていて、香也の異変に気づいた者はいない。香也自身が、出来るだけいつもと変わらない様子を保持しようとしていたから、当然といえば当然だったが……。
 他の人たちから見えないように、香也の身体をまさぐっていた楓と孫子が、香也が勃起していることに気づくのには、さほど時間がかからなかった。というか、多少なりとも時間がかかったのは、このように人の多い場所では、流石の二人も香也と性的なあれこれをつるつもりはなく、故に、香也の股間までには手を伸ばすことはなかったからだ。
 だが、二人は、すぐに、香也がぎっちりと筋肉に力を込め、何かに耐えるようにして固まっていることに気づき、それから、ようやく香也の股間の布地が持ち上がっていることにも気づき、男性の生理に思い当たる。
 二人がそのことに気づいたのは、やはりほぼ同時だったが……迂闊なことに、二人とも、自分たちが香也に身を擦りつけたりあちこちをさすったりすることで、香也がそういう状態になる……という想像力を欠いていた。
 今までさんざん、あーんなことやこーんなことをやってきている身だが、二人とも、男性の生理現象については、想像力を欠いている傾向がある。
 というか、二人とも、なんとなく、「自分たちが積極的にそうしむけなければ、香也は反応しない」みたいな認識を持ってしまっている。イニシアチブを持っているのは自分たちだ……みたいな。
 ほぼ同時に香也のソコがそういう状態になっているのを知った二人は、香也の両脇から、
「……あっ……」
「……こんなに……」
 とか、小声で囁いて、ほぼ同時に香也の股間に手を差し伸べて、そこのジッパーを下げ、怒張していた中身を外に出し、楽にした。





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