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彼女はくノ一! 第六話(104)

第六話 春、到来! 出会いと別れは、嵐の如く!!(104)

「……ふぅ……」
 香也は個人宅の浴場にあるものにしては広大な湯船の中で手足を伸ばしながら、満足そうな吐息をついた。
 確かに、乱入の心配もなく、こうして入浴を楽しみ、寛ぐことができる、ということは、いいことなのだが……。
『……どうしたんだろうな、これは……』
 先ほど射精したばかりだというのに、お湯の中で、香也の分身は、起立していた。別段、香也が性的な意味で興奮している、というわけではない。
 先ほど、炬燵の中で楓の手によって出された後、確かに一度は萎んで非臨戦態勢に移行したのだが……服を脱いでお湯につかり、孫子の股間に押しつけられ、中にまで侵入していた自分の指先をしげしげと見つめながら、その時の感触を思い返したりしているうちに、またむくむくと力を取り戻しはじめた。
 香也にしてみれば、これまでの何度か経験も、たいていはどさぐさ紛れであり、冷静にそういう感触を確認する機会には恵まれなかったとなぁ……などと他人事のように思っているうちに、股間がそうなってしまった感じで、本人のつもりとしては、特にえっちな興味とかで思い返したつもりもないのだが……。
『……自分も……』
 所詮、若い男だな……と、香也は思う。
 ああいったことには、それなりに興味も意欲もある。
 しかし、同時に、本能に従って、求められるまま、惰性にながされ続けては、いい結果にはならない……とも、理性は告げている。
 自分で望む前に、競うようにして複数の異性から求められる……という現在、自分を取り巻く状況は、何も考えなければ、「理想的」といってもいいのだろうが……この手の関係で、一対多数、という数の不均衡は、社会的な通念からも逸脱しているし……それ以上に、こんなことを長く続ければ、香也自身の心身が持たない。
 事実、短期間のうちに、同居人の少女たちや樋口明日樹と関係を持つようになってからこっち、香也は、それ以前にはそれなりの頻度で行ってきた自慰行為を、ぴたりと停止している。
 欲望が蓄積する前に誰かしらが処理してくれるから、自分で処理をする必要がない、という側面もあったが、それ以上に、香也の意識の底に、性行為に属する事柄全般に対して、軽い嫌悪感のようなものが蓄積しはじめており、少なくとも、自分の意志でそういうことを為そう……という意欲は、ここ最近では、めっきり減退していた。
 めっきり減退していた……筈、なのだが……。
 香也は、そうした表層の意識に反して思いっきりいきり立っている、お湯の中の自分の分身を見る。
『……体は、体か……』
 一種の諦観も混じえて、香也はそんなことを思う。
 そもそも、香也のソコが、香也の意志通りにコントロール出来れば、これまでの不適切な関係の何割かは発生しなかった筈であり……。
 香也は、紛れもなく自身の一部でありながら、自分の意志ではコントロールできないソコをしばらく見つめたあと、こっそりとため息をついて湯船からあがった。
 香也の「自分の意志ではコントロールできないソコ」をしばらく擬っと見つめた後、湯船からあがって体を洗いはじめる。
 ごしごしと体をこすっているうちに、香也の「自分の意志ではコントロールできないソコ」は、自然に力を失ってうなだれた。

「……んー……」
 香也が風呂から上がって居間を覗くと、炬燵は料理や食器を天板の上に乗せたまま部屋の隅にのけられており、その周辺に大勢の人が集まっていた。
「……何、しているの?」
 部屋の隅に集まっていない少数派は、居間の中央で奇妙かつ、ハイレベルなじゃれ合いを行っている……ように、香也には、感じられた。
 各人の動きが早すぎて、香也の目では追いつけないので、イマイチ確信が持てないのだが……。
「おっ。
 来おったか、色男」
 イザベラが、妙に馴れ馴れしい態度で香也を手招きし、新しいグラスを握らせ、そこに一升瓶の中身をとぽとぽと傾けながら、簡単な説明をした。
「なんじゃ、そこの酔っぱらいがぱーっと騒ぎおって、アニメ見終わった二人のチビが絡んで、加納のと二宮のと最強の二番弟子が被害を食い止めておるってところかの」
「……んー……」
 香也がリアクションに困ったまま、グラスに注がれていく透明な液体を見つめている。
「そこからすぐに離れなさい、赤毛」
 と、すぐに孫子が、イザベラの手から一升瓶を引ったくった。
「この家に泊まるのなら泊まるで、さっさと入浴でも済ませてきなさい」
 真理や羽生の手前、かなり抑えた口調ではあったが、それでも孫子の不機嫌さは、しっかりと語気に滲んでいた。
「あー……。
 そう、だね……」
 羽生が、孫子の言葉を引き取る。
「この家、お風呂も広いから、気持ちいいよ。
 用事がないお客さんは、みんなで一緒に入ってくるといい」
「もうこんな時間か……。
 ま、そういうこったな」
 三島が立ち上がり、シルヴィやイザベラの手を取って立ち上がらせ、その他の、現在参戦していない少女たちや静流にも声をかける。
「ほれ、茅や三人娘、それに、そこの現象のお付きも、ついでに一緒に来い」
「茅は、見ている」
 そんな三島に向かって、茅は首を横に振る。
「この家には、泊まらないし」
「……それもそうか」
 三島は、茅の言葉にあっさりと頷いた。
「わたしらは、すぐ隣のマンションに帰るだけだもんな……」
 テン、ガク、ノリの三人は、静流やシルヴィ、イザベラの腕を引いて、居間の外に出て行った。
 香也は、イザベラが注いだグラスには口をつけず、スケッチブックを取りだして広げはじめる。
「描くの?」
 茅が、視線を逸らさずに香也に話しかけた。
「……んー……。
 そう……」
 香也は、早速、鉛筆を走らせながら茅に答える。
「昼間のも、あんまりよく見えなかったし……」
「……ホン・ファとユイ・リィの動きは、同門の師匠譲りですものね……」
 孫子が香也の言葉に頷く。
 ただし、二人とも、師匠のフー・メイほどには、動きに凄みがない。
 二人がかりで、得物を持たないジュリエッタ一人にいいようにあしらわれていた。
 



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