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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(366)

第六章 「血と技」(366)

 二人してもつれ合うよう玄関に入ると、傘を置くのももどかしい様子で、茅は、性急に荒野の首に両腕を回して口唇を求めてくる。荒野も茅の肩に腕を回し、茅の体を持ち上げるようにして、茅の体を部屋の内部に運んだ。
 その間も、茅は、荒野の口腔内を舌でむさぼることを止めない。茅の舌が唾液を撹拌しながら自分の歯茎を、舌を舐めまわしはいずりまわる感触に、荒野は短時間で高まってしまった。
 もともと、平日のこうした「深い接触」を禁じた荒野にして見ても、けっしてこうした行為が嫌なのではなく、逆に、茅相手だとしごく些細なことがとてつもない悦楽になってしまうからだった。相性がよすぎるというのか、どこかで線引きをしておかないとずぶずぶと際限なく溺れそうな、恐怖にも似た予感さえ覚えていた。
 今では、荒野も何人かの茅以外の女性を相手にしているわけだが、荒野が麻薬にも似た吸引力を感じる存在は茅だけであり、だからこそ荒野は、警戒を怠ればずぶずぶと耽溺し続けて日常生活に支障をきたすことも、ありえる……という、恐怖にも似た感情を抱いていた。
 しかし、どこかで求め合わなくては……定期的にガス抜き的な行為をしなければ、今度は欲求不満によって精神に不調を来すだろう……ということも、二人の間では、暗黙のうちに了解していて、だから、「学校がない日のみ」という現在の取り決めは、現実的な判断力で本能をねじ伏せた妥協案である……ということを、二人ともわきまえていた。

 茅も荒野の口の中をねぶりながら急速に高まって行くのか、荒野の首に回した腕にさらに力を込め、それどころか、スカートの裾が乱れ放題になるのにも構わず、両足まで荒野の腰に回し、ちょうど正面から向き合った状態で荒野が茅を抱っこしているような格好で荒野の口の中を蹂躙し続ける。荒野も茅の両股を手のひらで持ち上げ気味にしながら、寝室として使用している部屋へと移動する。
 二人とも火がついていたので、荒野のそこは固く充血けつしている状態だったし、そこに押し付けられている茅の下腹部も、急速に湿り気を帯びはじめているようだった。荒野が一歩歩くつどに接触しているそこが擦れるのか、熱くなった茅の鼻息が、荒野の歩調に合わせて、荒野の頬を叩いた。
 ベッドの傍らに到着すると、荒野は、二人の体をベッドの上に投げ出した。どうやら自分は、酷く渇えているらしい……と、荒野は、頭の片隅でぼんやりと思考する。たかだか数日間、茅とこうした接触していなかっただけで、茅の肌の感触に対する飢餓感が、予想していた以上に昂進していたことを自覚する。
 それまでの優しい交わり方とは打って変わった乱雑な動作で、荒野は、自分の首に回されていた茅の腕を振り払い、密着していた茅の身体から、身を離した。
 茅は、抗議するような、不満気な鼻声をあげたが、荒野がすぐにスカートをまくり上げて茅の下着に手をかけると、不安と期待の籠もった潤んだ瞳で荒野を見上げた。
「茅を……直接、味わいたい……」
 荒野はかすれた声でそんなことをいいながら、素早く、茅の下着を引き抜いて、股の間に自分の頭を割り込ませ、埋めた。
 そのまま鼻先を茅のくさむらの中に埋め、すでに湿り気を帯びはじめている茅の亀裂の中に舌を割り込ませる。
「……やっ! 駄目っ! 汚いのっ……」
 茅は、荒野の頭に手をついて、荒野の頭部をそこから引きはがそうとした。
 いつもの手順なら、荒野が茅の股間に触れるのは、風呂に入って清潔にしてからだ。
 外から帰ったままの状態で直接、そこに触られることは……ましてや、口や舌で愛撫されることは、茅にしてみれば抵抗がある。
「……あっ……。
 んっ……。
 んっ……」
 しかし、スカートの中にもぐりこんだ荒野の首を茅が両手で引きはがそうとしていたのは、ごく短い時間でしかなかった。
「……やっ!
 あっ! あっ!
 ……んんっ……」
 荒野の頭を引きはがそうと突っ張っていた茅の腕の力は、すぐに弱々しいものになった。
 荒野の舌がそこで動くたびに、茅の身体から力が抜けて行く。
 荒野の頭部が潜り込んでいるそこから、ぴちゃぴちゃと水音が大きく響く。
「……ん、あっ……。
 あっ。
 ……あっ。
 あーっ、あっー、あぁーっ!」
 いつしか、最初のうち、荒野の頭部を押し戻そうとしていた茅の腕から力が失われていた。それどころか、太腿で荒野の頭部をきつく挟みこみ、荒野の頭の上に掌を乗せて、荒野の鼻面を自分の股間に押しつける方向に引き戻そうとさえ、していた。
「……んっ、はぁっ。んっ、はぁっ。んっ、はぁっ……」
 荒野の舌が茅の秘裂をかき分けて内部にまで侵入し、熱を持ちはじめた茅自身の中を嬲りはじめると、茅は首を仰け反らせ、鼻息を荒くした。
 帰宅してからまださほど時間がたっていないのたっていないのにも関わらず、茅は、もうすっかり登りつめはじめている。
「……んっ。んっ。んんっ!」
 ほどなくして、茅は荒野の首を腿に挟んだまま、背筋をピンと反らせた状態で全身を硬直させ、ひときわ大きなせっぱ詰まった声を上げたかと思うと、ぐったりと全身から力を抜いた。
 一度、完全に登りつめてしまったらしい。
「……茅、おれ……」
 茅がベッドの上に身体を投げ出してぐったりしているのを確認すると、荒野はようやく茅の股間から顔を離し、もどかしげにベルトを解きはじめた。
「もう、我慢出来ないよ……」
 そういって荒野は一挙動で下着もろともパンツをずり降ろし、茅のスカートを大きくまくり上げた。
 まだ荒い息をついている茅は、気怠げな表情で荒野を観あげている。汗に濡れ、上気した顔に幾筋か髪がほつれて張り付いており、端正な茅のイメージに似つかわしくない様子が、荒野にしてみれば妙にエロチックに感じられた。
 今は抵抗する気力すらないのか、茅は、荒野が茅の太腿を大きく割って身体を割り込ませても荒い息をついているだけで、特に反応らしい反応を見せない。
「……んっ……」
 いきりたった荒野の分身が膣口の触れると、茅はようやく反応らしい反応をしめした。軽く目を細めて、小さく息を吐く。
「……ああっ。
 荒野……。
 ……今、いつもより敏感になっているから……」
 茅は小さな声でそういって、いやいやをするように、首を振った。



[つづき]
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