2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

彼女はくノ一! 第六話 (110)

第六話 春、到来! 出会いと別れは、嵐の如く!!(110)

 シルヴィは梢から、廊下で舎人やテン、ガク、ノリの三人組、それれに楓、孫子と話した内容を聞き出すと、
「その三人は、まだ家にいるのね?」
 と、確認した。
「今、顔を洗っているところだと思います」
 シルヴィの問いに梢はそう答えた。
 もともと、荒野のマンションを訪れるにせよ、早すぎる時間だ。
「……着替えてから、コンビニにいって時間潰しがてら買い物をして、それからマンションにいくとかいってましたけど……」
 梢は先程の会話を思い返しながら、シルヴィに伝える。三人組は、週刊マンガ雑誌がどうとか話していた。
「……今、洗面所にいるのね……」
 シルヴィは立ち上がり、居間を出ようとする。
「どうするんですか?」
 すかさず、梢が尋ねた。
「ついでに、ちょっと買い物をして貰うの。
 ご馳走して貰うばかりではあれだから、今日の朝食くらいはね……」
 シルヴィは軽く肩を竦め、足音も立てずに廊下を歩いて行く。
 そのやりとりの間にも、ホン・ファ、ユイ・リィの二人はてきぱきとした動作で布団を畳みはじめていた。
 梢もそれに倣って布団を片付け、ついで、借り物のパジャマを脱いで、自分の服に着替える。
 三人が身支度を整えた頃、シルヴィが帰ってきた。
「……これ、使っていいって……」
 そういってシルヴィは、タオルと歯磨きセットを三人に配り出した。歯ブラシは、ホテルなどに置いてある、小さな歯磨き粉のチューブが一セットになっているあれだ。
 外泊の際、真理が持ち帰ってくるのだろう。
「……あの……」
 おずおず、といった形で、ホン・ファがシルヴィに語りかける。
「……買い物なら、わたしたちでいってきますけど……」
「そうね」
 シルヴィはあっさり頷いた。
 あるは、この二人は師匠のフー・メイに、世話になるシルヴィのいうことには従うように、程度のことは言い含められているのかも知れない。
「それじゃあ……あの三人と一緒にいってきて貰える?」
 そういってシルヴィは、自分の荷物の中から手帳をとりだし、さらさらとメモを書いてからそのページを破り、財布から紙幣を何枚か取り出して、メモと一緒にホン・ファに手渡した。
「……み、皆さん……」
 いつの間にか、茶碗を乗せた盆を手にした静流が、台所のほうからやってくる。
「ま、まずは、朝の一服を……」
 その声を受けて、シルヴィはホン・ファとユイ・リィにいまだにいびきをかいている酔っぱらい二人を部屋の隅にまとめるよう支持し、自分で炬燵を出しはじめた。
 静流が持参の葉でお茶をいれはじめると、なんともいえないいい香りが居間に漂いはじめる。
「……あっ……」
「……お茶……」
 顔を洗って居間に入ってきたテン、ガク、ノリの三人が、居間に漂う茶の香りに、一瞬、足を止める。
「ま、まだ時間があるようでしたら……」
 静流は、三人に声をかけた。
「……い、一服してから出て行っても……」
 時間的にはむしろ余裕がありすぎるくらいであり、三人組は素直に静流の提案を受けて炬燵に潜り込む。
 シルヴィは一度はホン・ファに渡したメモを取り返して、ホン・ファとユイ・リィには顔を洗ってくるようにいいつけ、先ほどホン・ファに指示した買い物の件を、三人組に改めて説明する。
 ホン・ファとユイ・リィは、三人と入れ替わりに顔を洗いにいった。
「……買ってきた荷物は、あの二人に持たせてくれればいいから……」
「うん。
 わかった……」
 三人を代表してテンが頷いた後、こう続けた。
「あの二人、日本は不案内なんでしょ?
 なんだったら、ボクたちがしばらく案内しようか?
 ボクたちなら、それなりに時間が作れるし……」
 この三人組もボランティア、ハードとソフトを含めた各種開発業務、撮影、鍛錬……などでそれなりに多忙ではあるのだが、学校に通っていない分、融通も、それなりに利く。
「……それも、お願いしたいところだけど……」
 シルヴィは、そう答えて静流がいれたお茶を啜った。
「とりあえず、今日はパス。
 今日は、あの子たちの服とかを揃えたいから……」
 何しろ、ホン・ファとユイ・リィは荷物らしい荷物も持たず、ほとんど着の身着のままでここに来ている。旅暮らしが長かったというから、あの二人にとっては「必要のあるものは現地で調達」というのが自然なのかも知れない。が、二人がこれから日本の生活に溶け込もうとするのなら、着替えや当座の必需品は出来るだけはやいうちに揃えておきたかった。
「そっか……」
 ノリが、もっともらしい表情で頷く。
「……でも、ボクたちの方は、明日以降でもいいし……」
「……日本のこと教えるかわりに、いろいろなこと教えて貰おう」
 そう締めくくったのは、ガクである。
 テン、ガク、ノリも……毎日みているとそうは思えないのだが、この土地に住むようになってから、短期間のうちに多種多様な知識や技術を会得している。完璧な記憶力を持つテンはもとより、ガクやノリにしても、決して頭が悪いわけではない。学習能力、という観点から比較すれば、同年齢の子供たちより遙かに高水準にあるといってよかった。
 それに加えて……。
『……ここの、環境も……』
 一族の中でも一流に近い術者がこれだけ揃って、若年者に技術を伝授している……というだけでも異例なのに……この三人の場合、それに加えて、工場の方で一般人の技術も、かなり深い部分まで、学んでいる最中だった。
 それも座学ではなく、「自分たち専用の装備を作る」という、「実習」で……。
 開発者と被験者、それに使用者が同一である……というのは、開発環境としては、かなり理想的な環境だろう。
 彼女たちの装備は、外見上はそれこそマンガじみているわけが……。
『この子たちが、このまま、完成すれば……』
 これから、どんな怪物が姿を現すのか……シルヴィにしてみても、期待と不安がない交ぜになっている状態だった。



あの頃の若さを取り戻す!!究極のED(勃起不全)革命的商品【ラブアゲイン】

[つづき]
目次

↓作品単位のランキングです。よろしければどうぞ。
HONなび

DMMアダルト 電子書籍の販売
DMMアダルト 同人通販

Comments

Post your comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

このページのトップへ