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彼女はくノ一! 第六話 (112)

第六話 春、到来! 出会いと別れは、嵐の如く!!(112)

 テン、ガク、ノリの三人と一緒にコンビニに行っていたホン・ファとユイ・リィは、三十分ほどで帰ってきた。気配を感知したシルヴィが玄関先に荷物を受け取りに出ると、少し遅れて楓もやってくる。
「……キッチン、使わせて貰っても構わない?」
 この家の住人、ということで、シルヴィは楓に確認する。
「構わない……と、思います。
真理さん、そういうのは、あまり気にしない人ですし……それに、真理さんの家事の負担が減ることは、いいことだと思いますし……」
 楓は、コンビニのロゴが入ったビニール袋を受け取りながら、即答した。
「……お手伝い、しましょうか?」
 これまでにも、三島や舎人が台所を使用していた例があるので、楓も、深く考える必要がなかった。
「……そうね、お願い」
 シルヴィも、あっさり頷く。
「そんなに凝ったものを作るつもりもないけど……」
 ホン・ファとユイ・リィは、三人と一緒に荒野たちのマンションへいくといって、シルヴィや楓に荷物を渡すと、すぐに玄関を出て行く。

「……しかし、まあ……」
 シルヴィと楓が台所で朝食の仕度をしている頃、居間では、舎人と静流、梢が炬燵に入っていた。
「……随分とおかしかことにはなっているよな、ここも……」
 舎人はそういって自分の顎を撫でている。
 つい数週間前の舎人なら、自分が野呂本家の直系とこうして炬燵を囲んでいる光景など、とうてい想像できなかっただろう。
「……いつの間にか、一族の溜まり場みたいなことになっているし……」
 そういって舎人は、梢の顔に視線を向ける。
 ……佐久間の実物をこうして拝める……というのも、この前までは、極めて現実味のない話しだった筈で……。
「……たまたま、前例がなかっただけです……」
 舎人の視線に何か、感じ取ることがあったのか、梢は平静な態度を崩さずに、静流のいれたお茶を啜る。
「……前例がなければ、作ればいいだけです……」
 荒野や楓と同世代である梢は、将来に対してあまり不安を抱いていないらしい。
「……若いってのは、いいねー……」
 そういって、舎人は肩を竦める。
 舎人は、まだ若いといっていい年齢ではあるが、危険な現場を知ってもいるため、まず「うまくいかなかった時のこと」を想定する癖がついていた。
 梢と舎人の心性の差は、年齢よりも現場経験の有無によるところが多い。
「……わ、若たちを、信じるだけです……」
 静かな、しかし、揺るぎのない口調で、静流は断言する。
「……こ、これだけ雑多な人たちが集まって……たいした摩擦もなく、なんとか、やっていけている……というのは……と、とてもいい……ことでは、ないでしょうか?」
 一口に一族、といっても、その内部は決して一様ではなく、混沌としている。
 現在、その多様な一族がこれほど一カ所に密集していながら、微妙な平衡状態を保っているのは、一族内のマジョリティである六主家のうち、ふたつ、二宮と野呂の本家筋がこの地に定住し、結果的に睨みを効かせているような効果を持っているから……でも、ある。
「……まあ、姫様自身が、こうして手ずからお茶も入れてくれますし……」
 さして恐縮もしていない様子で、舎人も答える。
 荒神と静流がいて……結果的に、荒野の方針を容認しているように見える……という事実は、一族の者たちに少なからぬ精神的安定感を与えていた。
「……多少、能力や文化が異なっていても、一族も一般人も、同じ人間です……」
 梢は、そういいきる。
「……時間をかけてお付き合いすれば、分かり合うことは出来ます……」
「悪意がある相手でも、か?」
 舎人は、梢の言葉尻を捉えた。
「一族以上の能力を持った相手が、本気でこっちを潰す気で向かってきても……そういえるのか?」
 平静な口調だったが、思いの外、真剣な目つきをしていた。
「……直接的な戦闘は、佐久間の領分ではありません」
 梢の返答は、ある意味ではとても巧妙だった。
「……さらにいうと、わたしに与えられた任務は現象の監視と暴走制御です。
 舎人さんと違って、与えられた任務以外の仕事を率先して引き受けるつもりもないですし、外敵との交戦に参加する予定もありません」
 同じ任務を与えられながら、現象の教化や教育に力を入れはじめている舎人の方針を、さりげなく皮肉っていた。
「……向こうさんも、攻撃対象を選んでくれるといいんだがね……」
 舎人はのんびりした口調で、梢の想定外のアクシデントが、今後、起こる可能性を示唆する。
「少なくとも荒野は、相手が無差別攻撃してくる可能性を考慮している。おれも、その可能性は、かなり大きいと考えている。
 一族とこの土地に住む一般人との関係に対して、効果的に被害を与えることができる攻撃方法だからだ……」
 時と相手を選ばない無差別攻撃が実際にはじまったとしたら……梢の思惑など関係がない……という指摘でもあった。
「……相手が何者であろうとも、自分の身くらいは、守れます」
 梢の返答は、簡潔なものだった。
「佐久間の技は、相手を選びません」
 その簡潔な口調の中に、静かな自信が満ちている。
「……わ、わたしは、怖いです……」
 静流は、梢とは対照的に、弱々しい声を出した。
「な、何を考えているのか分からない人とは……で、出来るだけ、喧嘩はしたくないです……」
 ……例えば、同じ戦場にこの二人が放り込まれたとしたら……どちらが生き残るのか、といったら、慎重な静流の方だろうな……と、舎人は考える。
 もちろん、そんな考えをそのまま口にするほど短慮でもなかったが。
 何しろ、目下のところ、梢は舎人と同居しているわけで……その同居人との関係を悪化させても、舎人には何の得にもならないのであった。
 ……ま……と、舎人は心中で考える。
 ……何度か挫折を経験すれば、それなりに謙虚な態度が身につくだろう。
 若いうちは、そのくらい鼻息が荒いくらいで、ちょうどいいのかも知れない。
「……今、何か失礼なことを考えませんでしたか?」
 梢が、舎人の顔を軽く睨んだ。
「……いいや。
 別に……」
 舎人は、「……読まれたかな?」と思いつつ、梢から目を逸らす。
 佐久間の者を相手にとぼけても、あまり意味はないのかも知れなかったが。


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