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そのきゅう 「あんなちゃん逆上」
そのときのあんなちゃんは、もしこれが荒木マンガであったなら背後に「……ゴゴゴゴ……」という擬音が描かれるのではないのか、と思うほどの迫力に充ち満ちていた。
「あ、あんなちゃん、こわい……」
思わず、雅史くんの背後から密着して首に抱きつく千鶴さん。
(やばいよ。このじょうきょうマジすっごくやばいよ)
生地の薄いワンピースのサマードレス越しに千鶴さんの感触を否が応でも感じながら、雅史くんの心中と進退は複雑な反応をみせていた。下半身の一部がズボンの中でこれでもかとばかりに硬直していたのは、若さ故の過ちというか自分の意志では制御しかねる生理的な反応であるから、しかたがない面もある。頭の中では、目前のあんなちゃんの態度を鑑みて、非常警報を発令している。できれば脱兎のごとくその場から逃げだして、しばらくほとぼりをさまし、それからゆっくりと時間をかけて対策を練りたいところだが、びっしりと必要以上に密着している千鶴さんの存在がそれも許してくれそうにない。
とりあえず、引きつった顔になんとか微笑らしきものを浮かべて、あんなちゃんの手からこわごわと替えのTシャツを受け取る。
「あんなちゃん」
不意に、背後から緊張した様子の千鶴さんの声が聞こえた。
「雅史くんが嫌がっているのなら逆レイプかもしれないけど、嫌がっていないのら、それは合意の上での行為よねぇ……」
いったいナニをいいだすのか、と、思わず雅史くんが振り返ると、その顔にいきなり、ぶちゅ、と、柔らかくていい香りのするなにかが押しつけられる。どあっぷになった千鶴さんの顔。初めて経験する、唇に密着した唇の感触。それが割れて、割られて、熱く堅いぬめりとした舌が、雅史くんの口内に進入する。犯す。歯と、歯ぐきの間をまさぐり、舌全体が、舌全体をたどる。からみつく。唾液が交換される。
「ほら……」
初めての経験に、頬を上気させ、ぼうっとした雅史くんの頭の中に、千鶴さんの声が聞こえた。
「雅史くんの、ここ、こんなに喜んでいるし……」
そして、これでもかといわんばかりにぱんぱんになっている、雅史くんのジーパンのファスナーの辺りを、あんなちゃんに見せつけるようにして、さすり上げる。
「……おねぇちゃんの……」
そのとき、うつむき気味だったあんなちゃんが顔をあげ、雅史くんははじめて、あんなちゃんが涙ぐんていることをしった。
「ばかぁ!!!」
ぱしぃぃぃん! と、小気味良い音をたてたのは、雅史くんのほっぺただ。そのまま、たたた、と軽い足音をたてて去っていくあんなちゃんを押し縋ろうとする雅史くんを、千鶴さんはしっかりホールドして放さない。
「だぁめ。雅史くんは、これから、おねえさんと気持ちいいお勉強をするの……」
[
つづく]
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