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はい(♀)×ろぅ(♂)×ろぅ(♀)  そのじゅういち

そのじゅういち 「千鶴さんの事情」

「……雅史くん……」
 ゆっくりと、椅子に座っている雅史くんの上体に覆い被さり、首に両手を回し、耳元で、千鶴さんが囁く。
「そんなに、あんなちゃんが怖い?」
「あ。あはっ。あははは……」
 雅史くんは乾いた笑い声をあげた。一旦は立ち去るふりをしたあんなちゃんが、たぶん、今頃こっそりと戻ってきて、リビングの壁のすぐ向こうで聞き耳を立てているであろおうことは、二人とも予想するまでもなく、「わかって」いる。良くも悪くも、物心つくかつかないかのころからのつき合いなのである。
 二人とも、性格も行動パターンも、熟知している。
「だから、このままで聞いてね。あ。もうちょっと体重かけていいかな? これでも転ばない? うん。あ。やっぱりすっごく堅くなっているねぇ。恥ずかしがらなくていいのよ。立派立派。うん。ちょっと前にね、おねえさん、大学のほうのつき合いで、何人かでお酒のみにいったの。いいの未成年でも。大学はいったら大人のつき合い、というのがあるの。まあ、おねぇさんがちょといいかな、って思ってた男の子も何人かいたし。うん。でね、何時間か飲んで、お店も何件かかえて、みんなで飲んだり飲み過ぎたりしながら、適当に人数が少なくなっていって、おねぇさんもみんなとはぐれて、この人いいかな、って前々から思っていた先輩とちょっとその、ふたりっきりになってね。先輩、そのときには飲み過ぎたのか、いっていることもよくわからなくなっていて、どっかで休まなけりゃな、っていうことになって、その、ふたりっきりで休憩できるところにはいったのね。うん。そこがどこかは詳しくは教えてあげない。子供はしらなくてよろしい。そしたら、部屋にはいった途端、先輩がおねぇさんに抱きついてきてね。ベッドに押し倒されて、つっごく熱い息を吹きかけながら、服を脱がせられて、キスされて、それどころかあーんなところとかこーんなところも撫でたり揉まれたり嘗められたりして、おねぇさん、もうなにがなにだかわからないくらい気持ちよくなっちゃって、あ、でも誰でもそうなるってことではないよ。その時はたまたま前からよかったな、っておもっていた先輩だからそうなったわけで。で、先輩も服を脱いでふたりで裸で抱き合ったりさわりあったりキスしたりし笑いあったりしたわけね。もう。そんな真っ赤になって恥ずかそうにしないの。雅史くんが説明してっていったから、おねぇさんちゃんと説明しているんだから。でね、いざ、先輩が入れようとしたら、その、すっごく痛くて痛くてね。うん。おねぇさん初めてだったから。先のほうちょっと入っただけでもすっごく痛くなってね。痛い痛いって、大声で叫びながら先輩の体、力一杯はじき飛ばしちゃって、その、そのまま、先輩、頭ぶつけて動かなくなっちゃって。う、うん。息はしていたから、たぶん、大丈夫だとは思うけど。でね、おねえさん、そのまま、怖くなって急いで服を着て逃げてきちゃったの。うん。でね。おねぇさんね、その、男の人のこと全然知らないわけだから、その、雅史くんにね、男の人の体のこと、いろいろ教えてもらえたらなぁ、って……」


[つづき]
迷った人のための、「はい(♀)×ろぅ(♂)×ろぅ(♀)」の【目次】





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