2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

はい(♀)×ろぅ(♂)×ろぅ(♀)  そのじゅうに

そのじゅうに 「あんなちゃんの逆襲」

「で、返事は?」
「返事って?」
「だからぁ、雅史くんは、おねちゃんに協力してくれるのかなぁ、って。
 んー。ここまで説明してまだ決心がつかないようだったら……こうしちゃおっ」
 千鶴さんが、もともと密着していた上体をさらに雅史に押しつけ、両手でがっりしと雅史くんの頬をつかみ、目を閉じて、ゆっくりと顔を近づけてくる……。
 あう。あう。あう。
 ちょっと暖かいし柔らかいしすっげぇーいい匂いがするんですけど特に胸のあたりとかの程良い弾力とボリュームをもつ固まりがこれでもかと押しつけられる感触はブラ越し服ごしでももうたまりません。アップになると千鶴さん肌がきめ細かくて張りがあるのよくわかるなーってこんなほのかに上気してほどよく血の気がさした顔色がとてもきれいですうぁ気づいたらもうこんな近くにわわわ。あ。千鶴さんちょっと震えているかわいい。あ。つく。もうほんのちょいとで口唇が。あかい。あとほんの数ミリ。吐息。熱い。あ。あ。あ。
 などなどと、雅史くんがなにもいえずにパニくっていると、
 あー!!!
 と、辺り憚らぬとんでもない大声を出して、あんなちゃんが乱入してきた。かと思うと、雅史くんに覆い被さっていた千鶴さんを乱暴に引き剥がし、雅史くんの体をものすごい勢いで抱き起きしたかと思うと、そのままがっしり両手で雅史くんの体を抱きしめ、全身全霊をこめて両手でがっきりと抱きすくめる。
 あんなちゃんは、叫んだ。
 駄目よダメだめ。まぁくんはわたしのなの! まぁくんだけはたちえおねぇちゃんでも死んでも渡さないんだから。
 うんぬん。
 ただ残念なことには、勢い余ってあんなちゃんもろとも横転している最中の雅史くんには、あまりにもストレートなあんなちゃんのカミングアウトも、がたん、という音をたてて、それまで座っていた椅子が倒れる音も、あまり気にならなかった──というよりは、耳に入ってきても意味を解釈するだけの精神的余裕を欠いていたことだ。
 直後、あんなちゃんの体重をもろに受け止める格好で床にぶつかった衝撃のほとんどは、下敷きになった雅史くん自身の体で吸収するはめになった。
 雅史くんは、ぐぇ、と、あまり上品ではないうめきをあげ、肺の中の空気を残らず放りだす。一瞬、雅史くんの頭がくくらくらっときて、気が遠くなった。


[つづき]
迷った人のための、「はい(♀)×ろぅ(♂)×ろぅ(♀)」の【目次】






Comments

Post your comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

このページのトップへ