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髪長姫は最後に笑う。 第一章(19)

第一章 「行為と好意」(19)

「……おれも、未樹さんのを舐めてみたい……」
 いうが早いが、荒野は、ひざまずくような姿勢で荒野のものを咥えていた未樹の体を軽々と持ち上げ、ベッドの上に置き、膝を割ってその間に頭を入れた。
「え? ……ちょっ、ちょっと! 恥ずかしいし、汚いよ、それ! 洗ってないし!」
 荒野の動きが素早かったので、未樹は、抵抗する間もなかった。
『汚いっていうのなら……』
 荒野は思った。
『……未樹さんだって、洗ってないおれの、舐めているじゃん』
 未樹の股間に顔を突っ込み、荒野は、未樹の襞をかき分けて、内部の壁面に舌を這わせはじめた。そこはじっとりと濡れていて、微かに未樹の体臭がする。鼻につんとつくようなアンモニア臭ではなく、汗の臭いを少し濃くしたような臭いだった。少しむっとしているように感じたが、決して、不快な感じではない。
 荒野が夢中になってそこに舌を這わせていると、最初のうちこそ、荒野の動きに対抗して、未樹も必死に荒野の男根を咥えていたが、段々と受ける感覚が増してきたのか、次第に未樹は、荒野のそこから口を放すことが多くなった。
 そして、荒い息をついて眉をひそめ、なにかに耐えるような表情をつくっているか、小さな喘ぎ声を出すような事が多くなっていく。
「……はぁ……ん……ん……はぁ」
 終いには、未樹は荒野の腰にしがみつき、ただただ喘いで快楽を受け止めているだけになった。
 そうなる頃には、荒野が舐めている未樹の部分の奥から、汗や尿とは全然違う透明な液体が夥しく沁みだしてくるようになって、荒野は、その透明な液体を、じゅるじゅると音をたてて啜りはじめた。
「いやぁ。駄目ぇ。やめてぇ」
 と、未樹は、切なげな声で懇願しはじめる。
 そして背を反らせ、痙攣したかと思うと、ぱたりと全身から力を抜いて、ぐったりとベッドの上に寝そべった。
「……もう……荒野君の、意地悪……」
 しばらく休んでから、荒い息の下、薄めを開けて、未樹はそう囁く。
「それに、巧すぎ……もう……こっちがリードするつもりだったのに……」
『先にいっちゃったじゃない』という部分は、恥ずかしくて言語化できない。

「……おれ、そろそろ、未樹さんの中に入れたい……」
「……いいよ……来て……待ってね。今……ゴム、着けてあげる……」
 未樹はそういって、避妊具を手に、力なく手招きをした。
 寄ってきた荒野の腰に顔を近づけて、逞しく起立した荒野の男性に、封を開けたコンドームをかぶせはじめる。
『……うまくできるかなぁ……今までは、男に着けさせてたもんなぁ……』
 そんな事を思いながらも、見よう見まねでやってみると、サイズ的にかなりキツそうだったが、なんとか、装着することができた。
「……大きいよねぇ、荒野君の……」
「……そう……なのかな? でかくなっている所、他人と比べたことがないから、なんとも……」
 それはそうか、と、未樹は納得する。でも、未樹が今までに体験してきた男性器の中では、ダントツに大きい気がした。
『……こんな大きいのが、今から……』
 そう思うと、期待よりも不安のほうを、より多く、感じる。
 でも、動揺しているのは、荒野には、悟られたくはなかった。

「……来て……」
 あえて大胆に、荒野に見せつけるように腿を開き、自分の肝心な部分を指で押し広げ、中身の粘膜が見えるようにする。
「……ここ、だから……入れるの……」
 近づいてきた荒野自身を手で掴み、先端を、自分の入り口に押し当てる。
 荒野が腰を落とすと、するん、という感じで、スムースに、全部、飲み込んでしまった。
「……はぁん!」
 全部呑み込んだ瞬間、反射的に小さな叫びを上げて、荒野の肩にしがみつく。
「だ、大丈夫? 未樹さん?」
 その時未樹が上げた声をどう誤解したのか、荒野が尋ねてくる。
「……いいから……動いて……荒野君、気持ちいい?」
 未樹は、薄目を開け、とろんとした目つきで、荒野にいう。もうそろそろ、自分でもなにをいっているのか分からなくなってきている。
「うん。気持ちいい。暖かくて、ぬるぬると包み込んでいて……動きます」
 まだ要領のわかっていない荒野が、乱雑かつ大ざっぱな動きをしはじめる。すでにかなり敏感になっていた未樹は、たびたび予測してない部分を擦られ、刺激されて、また、荒野の動き自体にも手加減がなく、ダイナミックなものだったので、たちまち上り詰める。
 上から、未樹に覆い被さるような姿勢で腰を使い始めた荒野の体に手足を絡め、口唇をきつく結んで、こみ上げてくる歓喜の声を必死の思いでかみ殺していた。
『このままの状態がずっと続けばいい』という陶酔と、『早く、もっと早く動いて、終わらせて。家の中なのに、大きな声がでちゃう』という切実な、相反した思いとが、未樹の中でせめぎ合ううちに、時間の感覚がなくなっていく。
 だから、
「未樹さん、もう駄目。気持ちよすぎ!」
 という荒野の声が聞こえた時も、未樹は『ようやく解放される』という思いと、『もう終わっちゃうの』という正反対の感慨を持った。挿入からその時まで、どれほどの時間が経過したのか、まったく分からない。すぐに、だったような気もするし、長時間、突かれていたような気もする。
「来て! このまま、来て!」
 未樹が、必死の思いで声を抑えて、荒野の耳元でそう囁くのと、荒野が、うっ、と呻くのとは、ほとんど同時だった。
 未樹の中で荒野はうちふるえ、ゴム越しでもそれと分かるほど、大量の、熱い精液を、長々と未樹の中にぶちまけた。

 白々とした、空白があった。
「どう? ご感想は?」
 空白の中から、未樹の声が聞こえる。前髪を、優しく嬲られる、感触。
「いやぁ……もう、……最高! っす」
 荒野は目を開けて、間近にある未樹の顔を、目をみて、にんまりと笑って答える。
「……このぅ……」
 未樹は、荒野の頬の肉を、両手でむにっ、と、掴んだ。
「スケベ! いやらしー笑い方、しちゃって……」
 そして、ケラケラと笑い声をあげた。
 そうした未樹の様子は性交中の女性を感じさせる姿態とは全然違う雰囲気で、その普通さに、荒野は何故か救われたような気分になり、屈託なく笑った、自分の胸元に未樹の頭を抱き込んで、抱きしめた。
「……ありがとうございます。未樹さん」
「……馬鹿……」
 そして、小声で、そんなことをいいあった。

 いそいそと服を着て、すでに就寝している様子の、未樹の家の人々を起こさないようにして、外に出る。幸い、そうした隠密行動は、荒野の最も得意とする所だった。
 外に出てから携帯の液晶で時刻を確認すると、すでに日付が変わっていた。
 そんなに長く未樹と睦み合っていたのか、と愕然とし、少しして、自分が体験したことを思い起こし、人気のない路上で一人赤面する。
 荒野は、ゆっくりとあるいて、未樹の家から徒歩で五分ほどの自分のマンションへ帰っていった。

 そして、マンションのドアを開けた瞬間、荒野は、ひっ、と小さく息を吸い込んだ。
 証明も着けず、そこに茅が立ちすくんでいた。ただ立っているだけでも、その時の茅からは、得体の知れない気配が立ち上がっているような気がした。
 幾多の修羅場をくぐり抜け、百戦錬磨といってもいい、荒野を戦慄させるような気配が、その時の茅にはあった。
 立ちすくんでいる荒野を一瞥し、茅は、ぽつりと、いった。
「……荒野から、あの女の臭いがするの……」
 そしてぷい、と荒野に背を向けて、すたすたと自室に入って、荒野を拒絶するように、ドアを閉めた。

『加納茅は、勘がいい』
『加納茅は、鼻が効く』
『加納茅は、嫉妬深い』
 その茅の行動から得られた所見を機械的に脳裏にかき込みながら、荒野は、背筋を這いのぼる悪寒をどうしようもなく感じつつ、「なんでこんなに罪悪感を感じなければならないのだ」という理不尽さも、同時に、感じていた。

 加納茅はそれから数日間、加納荒野と口をきこうとはしなかった。

   [第一章・了]

[つづき]
目次

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