2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

彼女はくノ一! 第二話 (5)

第二話 ライバルはゴスロリ・スナイパー!?(5)

 加納涼治が狩野家の居間に入った時、猫耳装備の加納茅はいかにも幸福そうな、蕩けるような顔をして、この日、五個目か六個目のケーキをパクついている最中だった。三島百合香はデジカムハンディカムを片手に茅の撮影を行っており、どてら姿の羽生譲は、三島百合香の側でなぜか奇妙な踊り(らしきもの)を踊っていた。加納荒野は、それらの騒ぎには一切関知しないものと決意しているらしく、背を丸め、目を細めて炬燵に手足を突っ込んで、ひたすらぬくもりを堪能している。
「お楽しみのようですな。三島先生、おひさしぶりです。そちらの女性の方はお初にお目にかかります。荒野と茅の祖父、加納涼治です。松島楓の保護者でもあります」
 加納涼治は、そうした居間の風景を目の当たりにしても、片方の眉をぴくりと一回だけ動かしただけで、平然とそう挨拶をし、深々と頭を下げた。

『……流石だよ! 流石、謎のニンジャ集団の大首領だよ! こんな騒ぎに遭遇しても全然動じてないよ!』
 と、奇妙な踊り(らしきもの)のポーズを取ったまま凍り付いていたまま、羽生譲は、思った。
『……貫禄だなあ……』
 初めてみる加納涼治は、以前、三島百合香がいっていた通り「ダンディなじいさん」で、オートクチュールの三つ揃いを役者かなにかのようにぴっちりと着こなしている。顔つきと細身の体つきに、やはりなんとなく荒野との類似を感じさせた。
「おお。茅、髪を切ったのか。その髪型も似合っているな。しばらく見ないうちに少し背が伸びたんじゃないのか?」
 そういいながら目を細める加納涼治に、お客様用の座布団を持ってきた狩野真理は、炬燵に入るようにすすめた。

 椅子に座った姿勢のままピクリとも動けない才賀孫子の目前で、服をはだけた狩野香也と松島楓は、抱擁し合ったまま床に転がり、本格的に愛撫し合いはじめた。当所こそその辺を見るまい見るまいとしていた才賀孫子だが、松島楓が本格的に鼻にかかった嬌声を上げはじめるとついつい視線を下げてしまい、そして、視界に入ってきた二人の狂態にドギマギして、慌てて視線を上に外す、ということを繰り返している。時間が経過するにつれ、才賀孫子が視線を下げる頻度と、視線を二人に固定させている時間が徐々に長くなっていく。

 今まさに、松島楓は、いきり立った香也のものを掴み、自分の股間に押し当て、導こうとしている最中だった。見るまい、見るまい、と理性では思っていても、才賀孫子の視線は、吸い付けられるようにそこから外せなくなってしまった。
『……すご……こんな……』
 男性経験のない才賀孫子にとって、このシュチュエーションは刺激が強すぎた。もちろん才賀孫子は、このような性交の光景どころか、男性の性器自体、間近にみるのは初めてだった。
『……あ……あんな……大きいのが……入る、の?』
 そこから視線を外せないでいた才賀孫子のほうを、ふと、松島楓が見上げ……目が、合った。
 松島楓は、なにか得意げな、勝ち誇ったような笑みを薄く浮かべ、才賀孫子に見せつけるように大仰な動作で狩野香也の上に跨り、香也を自身の中に深く導き入て、「はぁ……ぁん」という悩ましげ吐息を、深くついた。

 性的な興奮よりも、屈辱感よりも、その時の松島楓の得意げな表情が目に焼きつき、才賀孫子の癪に障った。
 恥辱で、かっ、と全身が熱くなり、才賀孫子は、この瞬間、まだ名前も知らない松島楓という少女を、『敵』として認定する。
『……この体が自由になったら、……その時は、憶えていらっしゃい!……』
 身動きできないまま、メラメラと楓に対する敵意を燃やし始めた才賀孫子の心中などには構わず、楓と香也は本格的に動き出し、お互いの性感を高め合いはじめていた。
 淫らな、押し殺した声が、プレハブ内に響きはじめる。

「……これでっと……」
 三島百合香は、ハンディカムと今にあったテレビをケーブルに繋ぎ、今しがた撮影したばかりの加納茅の姿を、加納涼治に披露しようとしていた。当然、撮影された茅自身も、初めて「自分がケーキを食べる時の表情の変化」を、目にすることになる。
「……おし。れっつプレイ」
 テレビの画面に、猫耳黒髪ロング、おすまし顔の茅の顔が大写しになる。いきなり自分の顔がテレビに映り、びくん、と茅は体を震わせた。テレビの中の無表情な茅は、フォークでケーキの欠片を口に入れた途端、『にまー』っという擬音がしてきそうなほどに相好を崩し、目を細める。

 テレビを見ていた茅は、初めて自分の『その時の変化』を目の当たりにし、顔を真っ赤にしてぱたぱたと手と振り、きょときょとと首も振ってあたりを見回し、覿面に狼狽した。
 そして、ハンディカムを片手ににまにま笑っている三島百合香に飛びつき、ハンディカムとテレビを繋ぐケーブルを、力任せに引っこ抜く。
「おっ」
 三島百合香は、突進してきた茅から辛くも身をかわし、ハンディカム死守することに成功した。ひょい、と、ちょうどその場に立っていた狩野真理の背後へと、回る。
「茅ちゃーん」
 その狩野真理は、決して小さくはない箱を、持っていた。
「今ねー。茅ちゃんのおじいさまが、おいしーいケーキを買ってきてくださったのよう。
『マンドコドラ』っていうお店のケーキでねえ、この辺のお店の中では、いっちばん、おいしいの」
『いっちばん』の部分に、特に力を込める。
「どれくらいおいしいかっていうとねえ、ここのケーキ食べたら、もう、量産の、工場製のケーキでは満足できない、っていわれているほど、おいっしいの。
 茅ちゃん。、まだ、ケーキ欲しいわよねー」
 真理は、邪気のないにこにこ笑顔で、茅にそう諭した。今の茅にとっては、悪魔の囁きにも等しい。
「……うーっ……」
 茅は立ちすくみ、真っ赤な顔をして、内心のジレンマと闘いはじめる。

 さっき、テレビに映ったような自分の顔は、もう見せたくない。
 でも、「マンドゴドラ」のケーキは、是非、食べてみたい。

 真っ赤な顔をして立ちすくみ、うーうー唸って本気で悩みはじめた茅のそばで、荒野がぽつりといった。
「……おれ、茅が『恥ずかしがっている』ところ、初めてみた……」

 一連の茅の動きを見た羽生譲は、「死ぬ。もう、萌え死ぬる」とかなんとかいいながら、ごろごろ畳の上を転げ回っていた。

[つづき]
目次

↓作品単位のランキングです。よろしければどうぞ。
newvel ranking HONなび


↓このblogはこんなランキングにも参加しています。 [そのに]
熱湯 ALL ADULT GUIDE Hサーチ アダルトガイド Link od Link 大人のナイトメディア「アダルトタイムズ」 アダルトサーチYasamsam アダルトトレイン ちょらりんく18禁 週刊!ブログランキングくつろぐ

↓このblogはこんなランキングにも参加しています。 [そのさん]
アダルトランキング エロブロ・センター 夜のおかずドットコム アダルトブログいいよ☆いいなランキング 教えてエロい人! SWSアダルトサーチ エログ ホット ランキング MEGURI-NET 官能小説ネット ねこさ~ち

Comments

Post your comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

このページのトップへ