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彼女はくノ一! 第五話 (246)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(246)

 香也は、なにやら体をまさぐられる気配を感じて目を覚ました。
「……んっ……
 ……んんっ!」
 と、低く呻くと、自分の上に覆い被さった、何かいい匂いのする熱い塊がピクリと震える。
 ……「自分の上に覆い被さった、何かいい匂いのする熱い塊」?
 …………何、それ?
 寝起きで朦朧としたまま起きあがろうとすると、
「しっ! お静かに!」
 と、誰かに口を手で塞がれ、再び布団の中に押した倒される。その誰かは、抱きついてきて、体を押しつけるように香也の体を押し倒したので、結果として香也の体にその人の乳房がぐにゃりと押しつけられ、押しつぶされる感触がした。その人の体は、熱くて、いい匂いがして……、って!
「……才賀……さん?」
 ようやく、自分を押し倒した人物の正体に気づいた香也は、小声で尋ねる。気づけば、自分はパジャマの前をはだけており、パジャマの下も、下着ごと膝下までずらされ、性器を丸だしにした半裸、その上、香也の膝を割るようにして、何故か一糸も纏わぬ孫子が、香也に抱きついて、口を塞いでいる……。
 目線を落とした拍子に孫子の真っ白い肌と、対照的に黒々とした茂みが目に入り、香也は、慌てて視線を天井に逸らした。
「……騒がないでください……」
 間近で、孫子の声が聞こえた。吐息が頬にかかってくるくらいだから、孫子は、すっごく「間近」にいることになる。
「……いや、あの、その……」
 香也は、予想外の事態におののき、慌てている。
「……んー……。
 その……なんで?」
 万感の思いを込めて、シンプルにそう尋ねた。
 香也にしてみれば、まるで訳がわからない……。
「……香也様が、いけないのです……」
 孫子は、ボソボソと小声でいった。
「あの子ばかり、贔屓するから……」
 そういって、孫子は、香也にますます体を密着させてくる。
 孫子の体温と体臭をことさらに意識した香也は、くらくらっと自制心が揺らぐのを感じた。
「……いや、でも……その……」
 香也は、懸命に孫子の「感触」を意識の外に追い払おうと努めながら、懸命に言葉を紡ぐ。
「……なんで?
 こういうの……よくいえないけど、あまり、よくないと思う……」
 寝起きということと、それにひどく動揺していたこともあり、その時の香也にいえたのは、それが精一杯だった。
「わかってます。わかっているのです、わたくしも……」
 孫子は、俯いて、囁くように答える。
「でも……その……堪えられませんでした。
 香也様の寝顔を見ていたら、ずるずるとこうなってしまって……香也様が、いけないのです……わ、わたくしを、こんな気持ちにさせるから……」
 ……孫子の方も、一見冷静にみえて、これでかなり興奮しているようだ。いいていることが、支離滅裂。しかも、さりげに、責任転換。
 しかし、そういった孫子の、俯いた頬が、真っ赤だった。……それと……耳も。
「……んー……」
 気分を落ち着かせようとして、香也は、いつもより長くうなった。とはいっても、落ち着こうとすればするほど、自分に密着している熱くていい匂いのする塊を意識してしまう……。
「……あっ……」
 孫子が、小さな声を発して、顔をあげた。
「今……ピクっと、動きました……」
 ……なんで彼女は、自分のモノを握りしめているのだろう……と、香也はぼんやりと考える。
「男の方って……その、いやらしいことを考えたり感じたりすると、ここが反応するのですよね?」
 どこか悪戯っ子めいた表情を浮かべて、孫子は香也の目を至近距離からまともにのぞき込んだ。
「……それって……わたくしのことを意識して、反応してくれた、ということなのですの?」
 ……天然か? 天然で、裸で抱きついておいて、そういうこと聞くのか?!
 と、香也は心中で絶叫する。
 が、そんなことを口にできる性分でもなく、実際に口にしたのは、例の、
「……んー……」
 という、芸のないうめきだった。
 それをどう誤解したのか、孫子は再び顔を下に向ける。
「わたくし……そんなに、女としての魅力がありませんか……」
 がっくりと肩を落とし、雰囲気を出してそんなことをいうものだから、香也は、慌てて孫子の肩に手を置き、
「……そ、そんなこと……」
 ない……っと、いおうとしたら、孫子ががっしりと抱きついてきて、再び、香也の体を押し倒した。
「……え?
 な、何を……」
 少し間を置いて、香也がそんなことを呟く間にも、孫子は香也の上に完全に体を乗せ、のしかかっている。
「……こうまでしても……何も、してくださりませんの……」
 ねっとりと湿った声を出して、孫子は香也の胸板に、顔をつけた。
「……こんなに……ドキドキしていますのに……。
 それと、わたくし……香也様になら、なにをされても……いいえっ! むしろ、何でもしてくださって……」
 孫子らしくもなく、熱を帯びて混乱した口調でそういって、ずりずりと香也の上に密着したまま、這いあがってくる。孫子の乳房と陰毛が、自分の腹や胸の上を通過していく感触。
「……わたくし……」
 孫子がそういった時、孫子の顔は、香也の顔の直前にあった。三センチも、離れていない。
「……わたくしも……もう、こんなになっていますのに……」
 熱い息を吹きかけるようにして、囁きながら、孫子は、自分の陰毛がある場所に、香也の手を導く。
「……んんっ!」
 さらに、香也の指で自分の陰毛をかき分け、湿った感触のある部分にまで、到達させた。
「……ほら、動かして、ください……。
 わたくしの、もう……香也様のせいで……こんなに、なっているのですから……」
 孫子の裂け目にそって、香也の指をゆっくりと動かす。最初のうちは、孫子が香也の指を動かしていたが、その触れている部分が湿潤になる頃には、香也が自分の意志で指を動かしていた。
 ……女性のこの部分は……こう、なっているのか……と、香也は実感する。
 香也の指が孫子のそこを探るようになると、孫子は、香也のいきりたっている部分に手を伸ばす。
「……こんなに、硬くなさって……」
 香也自身を握りしめた孫子がそういうと、香也がまさぐっている孫子の部分が、じわり、と、一層湿潤になる。
 香也の上にのしかかっている孫子の柔らかい体が、一層熱を帯びたように感じた。
「……香也様……」
 孫子は、ねっとりとした声を出す。
「……もっと、好きに、なさって……。もっと乱暴に動かしても……んんっ!」
 孫子の声に即され、香也が孫子に当たっている指を動かすと、孫子は、体全体を震わせて声をあげそうになる。その声を慌てて無理に呑み込み、深呼吸をして気をおちつかせてから、
「……いえ、そのまま……。
 その……わたくし、どうも……少し乱暴なくらいの方が、好きなようですから……香也様の、やりたいようになさってくださって……」
 頬を染めながら、自分の性癖を告白する。
 その後、
「あの……もし、よろしければ……キスしても……」
 孫子がいいおわる前に、香也は下から腕を回し、孫子の首を乱暴にかき抱いた。
 流石に、ここまでされると……香也の理性も保たなかった。




[つづき]
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