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彼女はくノ一! 第五話(287)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(287)

「……孫子おねーちゃん……。
 この間、売るっていってたソフトの代金、少し前借りできない?
 そろそろ、ボクら専用のマシン調達して、家に置いておきたいんだけど……」
 ガクは、今度は孫子の方に顔を向け、話しかける。
「それは構いませんが……。
 ……映像処理用……というと、かなりハイエンドなものが必要なのではないですか?」
「そうなるね……」
 テンが、頷いた。
「でも……走らせるソフトは自分たちで作るつもりだし、ハードの方も出来るだけ安くあげるように努力するよ……」
「回線を繋いげば、工場のマシンで処理することも可能だが……」
 今度は徳川が口を挟む。
「……もちろん、それもやるけど……たとえ分散処理をするにしても、処理系をこっちでも立ち上げておいた方が、後々、何かと便利でしょ?」
 ノリがそういった。
「……いつまでも、にゅうたんのパソコン借りてばっかじゃ、どうしようもないし……」
「……各自で使用する末端と、ハイスペックのセンター・マシンという構成のがいいか……」
 徳川が、少し考え込む顔になる。
「そうだね。
 LANで繋いで、重い処理は、高性能のマシンに回す方ってが、ロス少ないし……」
 テンが、徳川の思いつきに頷いた。
「……荒野」
 茅が、荒野の方に振り返った。
「うちからも近いし、そのLANに無線で接続できるようにしておけば、後々何かと便利だと思うの……」
「いいけど……」
 荒野は、茅の言葉にあっさりと頷く。反対すべき理由がない。
「……おれたちのマシンだけじゃなくって……楓専用のノートくらい、そろそろ都合つけとくか……」
 荒野は軽い口調で、そう付け加える。
 楓も、学校のマシンを使うか、家ではテンたちと同じく、羽生のマシンを借りている身だ。
「それは、いいですけど……」
 しかし、楓の反応は、はっきりとはしなかった。
「でも……お金が……」
「その程度の金額なら、特に問題はない」
 荒野はそう断言した。
「それよりも、マシンがないという環境のせいで楓が自分の能力を十分に発揮できないとしたら……そっちの機会損失の方が、問題だ……」
「そうなの」
 茅が、荒野の言葉に頷く。
「楓も、遊んでいる暇はないの」
「当面、必要になるのは、ノートパソコン四台と、ハイスペックなメイン・マシンが一台。
 それらをLANで繋ぐ器具一式……」
 孫子が、まとめはじめた。
「費用は、うちの会社の設備費ということで落としますわ。
 その代わり、四人ともそれなりの働きをして貰います……」
「いい、けど……」
 テンは、左右のガクとノリの顔を見渡してから、孫子に頷く。
「ボクたちは、当面、シルバーガールズの作業が優先ね……」
「もちろんです」
 孫子は、即座にテンの言葉を首肯した。
「楓には、うちの会社で使用する、業務管理用のソフトを作ってもらいます。
 ボランティア用に作ったシステムを改良すれば、それなりのものが出来る筈ですから……。
 もちろん、仕事をしてもらう以上、相応の報酬は支払います……」
「……あのシステムの改良ということなら、今日、実際に使ってみた時に……」
 茅が慌てて部屋の隅に置いていたノートパソコンを取りに行こうとしたので、
「……待てよ、茅……」
 荒野が、慌てて止めた。
「そういう細かいことは、また後でやろう。
 今は、みんな揃っているし……それに、シルバーガールズの話題が、まだ終わってない。
 結局……茅は、引き受けるの?」
 荒野のそういわれ、足を止めた茅は、一瞬、目蓋を忙しく開閉し、その後、
「……やるのっ!」
 と力強く答えた。
「……と、いうことだ」
 荒野は、テンたちに向かって、そういった。
「必要な情報は……後で……」
「……今まで撮影した素材を、そっちの末端で見られるように設定しておくのだ……」
 徳川は、そういって頷いた。
「そっちのIPアドレスを教えるのだ」
 撮り溜めた映像素材は、全て徳川の工場にあるサーバに置いてある。
 それらのデータを、特定のIPアドレスのみに解放し、自由に閲覧できるようにすることは、現在の設定に少し手を加えるだけで、簡単に行えた。
 茅と徳川は、そうした設定の変更に必要な情報を教えあい、その後、茅が、
「……二、三日中に、シリーズ構成は仕上げておくの……」
 といった。
 なにげに、言葉に力が入っていた。
 茅たちがそんな話しをする間にも、孫子は、少し離れたところで何カ所かに電話をかけていた。
「……ノートパソコンの方は、明日、手元に届くように手配しました」
 電話をかけ終えた孫子が、再びみなの元に近づいて、そういう。
「うちの会社で使う分は、倉庫に入れておきますが、みんなが使う分は、家の方に届けさせます」
 この頃には、孫子も駐車場や倉庫などを借りあげ、着々と起業の準備を整えていた。現在行われている商店街のイベントが終わり次第、つまり、事務所として使用する予定の店舗が開き次第、稼働できる体制が整いつつある。
 ちょうどその時、
「「……ケーキ、持ってきました……」」
 マンドゴドラのケースを抱えた酒見姉妹が、帰ってきた。





[つづき]
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