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彼女はくノ一! 第五話(299)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(299)

『……これが、男の人の……こーちゃん、の……』
 羽生は香也の逸物を目前に、恍惚とした表情を浮かべている。写真や映像でみたことはあるが、「実物」を間近……文字通り、「眼と鼻の先」に……みるのは、これが初めてのことだった。
 香也の、人体の一部とは思えない、血管が浮き、ごつごつした見た面のその器官は……。
『……へんな、匂い……』
 香也は一度、楓の口に放っていたので、股間からかすかに男の精の匂いが漂っている。
 羽生にとって異質なのの「匂い」を間近に嗅いだことで、羽生は香也の「男性」をことさらに実感した。

「……ほら。
 にゅうたん……」 
「一緒に、お口で……」
 テンとガクは、羽生の両脇で肩を組み、まるでスクラムを組んでいるような体勢で、三つの頭を密着させ、香也の股間に顔を埋めている。
 すぐそば……というより、羽生の両方のほっぺたに、二人のほっぺたが密着している状態で、鼻息すらいちいち顔にかかる状態だった。
 羽生の両側に頬を密着させたテンとガクが、グロテスクな香也の逸物に舌を延ばす。両肩を押さえられている関係で、羽生はその様子を至近距離で目撃することになる。
『……あっ……』
 テンが口を香也の「そこ」に近づける。根本に舌の先をつけて、そこから先端部に向かって、舌の先を滑らせていく。
 最後に包皮がまくれあがり、露出した亀頭部を丹念に舐め上げ、鈴口に沿って何度か入念に舌の先を往復させる……。
 ……いったい、どこで覚えたのか、実に繊細で丹念な動きだった。
「……つぎっ! ボクもっ!」
 テンがそこから口を離すと、今度はガクがそこに口をつける。
 ガクは、テンのような繊細さはなく、いきなり香也の先端を口の中に含んだ。
「……うっ!」
 という香也のうめき声が、頭上で聞こえる。
 香也の先端を口に含んだガクは、表面上、軽く頭を上下させる以外の動きを、しばらくみせなかった。香也の先端を口で愛撫しているだけでもそれなりに感じるところはあるらしく、ガクは耳まで真っ赤にして、「……んっ……んふっ……」などと鼻息を荒くしている。
「……はぁ……。
 おにーちゃん、まだいかない?」
 じゅばじゅばと水音をさせ、しばらく香也をくわえ込んでいたガクは、ようやく荒い息をして顔をあげた。
「今、出したばっかりだし、無理だよ……」
 すかさず、テンがツッコミを入れる。
「お口だと、刺激が弱いか……」
 ガクが、もっともらしい口調で答えた。
「まだ、本番は駄目だからね。
 にゅうたん、お口でやってないし……」
 テンがそういってガクを諫める。
 ……どうやら彼女たちの中では、「順番にやる」ということが、既成事実になっているらしい……と、羽生は思う。
 そして、
『……えっ、と……本当に、やるの?』
 とか思って、肝心の香也の顔を見上げると……。
『……あっ……』
 香也は、テンやガクが口で下半身に奉仕している間、左右の肩と腕を楓と孫子にがっちりと捉えられ、交互に口づけをされたり、頬や耳に口による愛撫を受けたりしている。
 香也にしてみれば、他に逃げ場がなく、しかたがなくそうしているのかも知れないが……上目遣いに見上げた感じでは、両手に花状態というか、三人でいちゃいちゃしているようにしか、見えない……。
『……これは、これで……なんか、ムカつくよな……』
 ……いっそここと、ここに噛みついちゃろか……とか思いながら、羽生は憤然として香也の分身をくわえこんで、軽く歯をたてた。
 頭上で、香也の「ううっ!」という声が聞こえる。
『……ふんっ!』
 羽生は喉の奥まで香也をくわえこむ。とはいえ、すぐにえづいたので、あまり大きくくわえることはできなかったが……。
 見た感じより、固くて太い物体だ……と、羽生は、口にした香也の分身を評価した。その癖、軽く噛むと、硬いゴムのような感触がある。口蓋のかなり奥の方に、香也の先端が当たっている感触があった。舌が亀頭に直接ついていないせいか、味はほとんど感じない。
 テンがしていたように舌を使うことも、ガクがしていたように上下に動かすこともしなかったが、羽生は、一度くわえ込んだ適度に弾力がある香也自身を、はむはむと少し強めに、しかし、歯形がつかない程度に、噛み続ける。擬音で表現すれば、「はむはむ」という感じだった。
 いくらもしないうちに、香也が体を振るわせはじめる。
 歯の感触というよりも、羽生が今までになく深い部分にまで香也をくわえこんだことが、香也には新鮮だったようだ。
 そこに受ける感触、ということでいえば、今羽生がしているように、深くまでくわえ込んだ状態が、膣に挿入している状態に近いわけで……。
「……ぷはぁっ!」
 不意に、羽生が香也の股間から顔を上げる。 
 あんまり奥まで飲み込みすぎて、息がしづらくなっていた。
 顔をあげた羽生の背後に、いつの間にかノリが近づいている。
「……はい、にゅうたん、交替ぃ-……」
 そういいながら、ノリは、羽生のお尻に……もっといえば、股間の部分の、敏感な秘裂に、すっ、と指を這わせる。
 突然の刺激に、香也の前に膝をついて四つん這いになっていた羽生が、「……ひゃんっ!」と悲鳴をあげて飛び起きた。
 ノリは、羽生が身を起こしたことでできた、香也直前の空間に、すっとすばやく割り込む。
「……んっ、ふっふっふぅ……。
 おにーちゃーん……」
 ノリは、すっかりその気になっている表情で香也の胸元にしなだれかかった。
「……今日は、これで……おにーちゃんので、最後まで、やって貰うんだからぁ……」
 香也の首に抱きついたノリは、片手を下に延ばし、いきり立った香也のモノに指先を這わせる。
「すごい、ね……。
 こんなに大きくて、どくどくいっているのが……これから、ボクの中に入っていくんだ……」
 ノリはそういいながら、香也自身を軽く指で掴んで固定し、その先を、自分の入り口に当てがう。
「……ええっと、このへん……だと、思うけど……」
 ノリが、香也の亀頭で自分の秘裂を探り、無理にでもそこに入れようとしていると……。
「あ、あの……ノリ、ちゃん……」
 香也が、か細い声で抗議しはじめた。
「こ、こういうことは……もっと、ちゃんとしないと……。
 ノリちゃん……その、はじめてなんでしょ?」
 香也は、遠慮がちな口調ながら、そういう。
「……おにーちゃん……」
 顔をあげたノリの顔をみて、香也はギョッとした表情になった。
「おにーちゃん……ボクがいない間に……おねーちゃんたちと、いろいろやっているんでしょっ!
 なんでおねーちゃんたちがよくって、ボクは駄目なのっ!」
 ノリは、涙目になっていた。




[つづき]
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