第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(304)
「……あわわ……」
羽生はかなり引き気味になりながら、マンガみたいな狼狽の声をあげる。
一旦、鎮静化にみえた香也への実力行使が、今また解禁……を通り越して、暴走状態になっている。割って入ろうににも、うかつに近づけばまたさっきみたいに羽生自身も巻き込まれかねない。
「……あっ、あのー……。
えっちなのはともかく……む、無理矢理は、いけないと思うぞ……」
弱々しい声で、羽生はひとかたまりになっている香也たちに声をかける。
「えーっ!」
ガクが不平の声をあげた。
「おにーちゃん、いやがってないよー……。
おちんちん、こんなにおっきくしているしぃ……」
「気持ちいいと、大きくなるんだよね、ここ……」
ノリも、ガクの意見に賛同する。
「こんなにビクビクしているし、おにーちゃん、今、いっぱい気持ちいいんだよ……。
きっと。
おにーちゃん、入れるのはまだ無理だったけど、気持ちいいお汁は、いつでもいっぱい出してねー……。
ボクだけ、おにーちゃんのお汁、受け止めたことないから……」
そいいう間にも、香也の局部に左右から二人で顔を近づけて、ぴちゃぴちゃと水音をさせて舐めあげたり指で刺激したりしている。
……半端な知識はあるから、かえって始末に悪いな……と、羽生は、自分の部屋にある書籍類を三人に無制限に解放したことを、はじめて後悔した。
羽生の部屋には、自分で手がけた同人誌の他に、参考資料として、絡みやヌードの写真、既成エロマンガなども大量に蓄えてあった。それらが教育上、良くない、という意見に、羽生自身は与しないが……それでも、三人の場合は、その生い立ちからしても、かなり特殊だ。知識はあっても、経験が不足しているというか……三人にとって香也は、三人を育てた男性に次ぐ、「好意を抱いた、身近な異性」で、あり……そして、ごく狭い環境で育った三人は、その好意と、恋情、恋愛感情、欲情をわけて考えられるほどには、複雑な人間関係に、未だ慣れていない……。
学校にでも通うようになって、同級生たちとつき合うようにでもなれば、また、変わってくるのだろうが……三人は、好意にもいろいろな種類があり、他人との距離の置き方も、当然、まだまだわかっていない節がある……。
そんな、分別のつかない状態の三人に、ああいう性的なファンタジーを何の警戒もせずに見せたのは、明らかに自分の失態だ……と、羽生は後悔した。
この件をやり過ごした後、しっかりと「現実」というものを言い含めておかなければ、ならない……と。
『……三人については、それでいいとしても……』
羽生は、香也の肩にとりついて、左右から自分の体を擦りつけるようにしながら、盛んに香也を愛撫している楓と孫子をみる。
ラリっている……というか……二人とも、明らかに、スイッチが入っている。
香也との行為に淫している、「女」の表情をしていた。
『……三人でやるのが、癖になりつつあるのかな……』
とか、思いもしたが……男性経験のない羽生には、そういう状態、というのが実はよく想像できない。
この間の様子からいっても、かなり手慣れた感じがしたし……三人同時に、というのは、すでに何度か体験しているような印象は、受けていたが……。
『……どちらかというと……ソンシちゃんのが、積極的だな……』
と、羽生は観測する。
普段、あれだけツンケンしているのに……こうしている時の孫子は、一方的に香也に快楽を与えることに、専念している。
今も、香也の指を自分の股間に導いて……細部までは、よく見えないが……おそらく、「孫子の中」にまで、香也の指を導き入れている。それも、恍惚とした表情を浮かべて……。
楓は……羽生の目には、孫子への対抗意識で、後追いで真似をしているようにみえた。
孫子が、「自分の興奮を静めるために、香也に奉仕している」という印象があるのに比べ、楓の方は、「見よう見真似で香也にいろいろしているうちに、自分の体も反応してきている」というように、見える。
いずれにせよ、そうした連鎖がはじまってしまえば、止めなくヒートアップしていく以外にはないわけで……。
「……らぁめぇ、もう、らめぇっ!」
と、身をよじった香也が、女の子みたいな声をあげる。
興奮のためか、呂律が回っていない。
『……やっぱり……』
と、羽生は思った。
先ほど、楓の口の中に一度放った筈だったが……
これだけの刺激を一度に受けていたら、香也でなくとも、そうそう長くは持たないだろう。
……などと、一見、冷静に考えているようにみえる羽生も、実の所、体中が火照っているし、腰に力が入らなくて、立ち上がれない状態だったりするのだが……。
「……いいよっ、おにーちゃんっ!
ボクがお口で受け止めるから、いっぱい出してっ!」
破瓜に失敗した雪辱戦、とうわけか、香也に終わりが近づいたとみるや、ノリが香也の正面に陣取って、香也の分身をぱっくりとくわえ込む。
次の瞬間、香也は「……うわぁっ!」と叫んでビクビクと全身を震わせた。
そのまま、しばらく荒い息をついて硬直した後、香也ががっくりと全身の力を抜き、その場に膝をつく。
その動きに合わせて、香也の股間から顔を離し、香也と向き合う形で座り込んだノリは、「ゴクン」と喉を鳴らして香也が放ったものを飲み込んだ。
「……イガイガしてて……まずい……」
ノリは、ぼんやりとした表情で、そういった後、前のめりになって香也の肩に頭を乗せた。
「でも……おにーちゃんと、少し一つになったって気がする……」
そのまま、香也の体に縋りつこうとするノリの体を……。
「……はいっ!
そこまでーっ!」
テンが、引きはがした。
「今度は、ボクの番っ!」
テンはそういい、向き合った形で香也の膝の上に乗る。
「……んっふっふっふぅ……。
おにーちゃん、まだ硬い……」
テンは自分の性器を、いまだ硬度を保っている香也の硬直にすりすりと接触させた。
「はじめてだから、ノリと同じように、うまく行かないかもしれないけど……。
おにーちゃん……。
今……試させて…ー」
そういってテンは、香也の分身を指で固定し、自分の入り口にあてがった。
香也はぜいぜいと息をつくだけで、テンの返事をする余裕もない有様だ。
「……こんな風になるから……ボクも……どんどん変な気分に……。
んんっ!」
テンは、恐る恐る、といった感じで、腰を沈めていく。
[
つづき]
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