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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(244)

第六章 「血と技」(244)

 途中、一度抵抗の強い箇所があったが、荒野は構わず最後まで挿入した。
「……ふぎぃっ!」
 と、荒野の下になった酒見が、艶っぽくない声をあげた。
「その」酒見の中は、とても、狭い。入り口付近はそうでもなかったが、途中からとてもきつくなった。「締め付けてくる」というより、「侵入を拒んでいる」といって方がしっくりくる感触。
 当然、荒野は、気持ち良い筈もない。
「……痛いか?」
 荒野は、すぐ目の前にある酒見の目をまともに見つめながら、指で軽く前髪を弾いた。荒野が組み敷いている酒見は、涙目になって頷く。
『……どうみても……』
 快楽を得ている表情ではないな……と、荒野は思った。
「中」の感触からいっても、痛みしか感じしかいないだろう。
 それに……荒野にしてみても……。
『……見分けがつかない女の子を……』
 本気で抱けやしないよなぁ……と、荒野は思う。
 少し前から感じていた違和感……自分の内部にわだかまる気持ちの悪さが、ここに来ていきなり明瞭になった気がすた。
「……なぁ、酒見……」
 荒野は、目の前にいる酒見に告白した。
「こうなってから、なんだけど……フェアじゃないと思うので、告白しておく。
 おれ……お前がどっちの酒見が、これだけ間近でみても、見分けがつかないんだ……」
 荒野に貫かれている酒見は、目を見開いた。
「その様子じゃあ、お前もはじめてだろ?
 最後までやっておいて、なんだけど……今、このまま続けても、お前、痛いだけだろ?
 それに、おれも……もっとお前……お前らとしっかりと向き合ってから、改めて、続きをしたい」
 荒野はここで、一度言葉を切った。
「こういうの……その場の勢いで、っていうの、良くないと思うし……それ以上に、えっちは、二人とも気持ちよくないと駄目だろ?
 だから、一旦……離れるぞ……」
 荒野は、酒見の反応も待たずに体を離す。荒野の下にいた酒見は、残念そうなほっとしたような、複雑な表情をしている。
 荒野が分身を引き抜くと、そこから一筋の血がしたたっていた。
 やはりな……と、荒野は思った。
「……そこの……もう一人の酒見も、聞いておけ。
 こうなった以上、お前たちとおれたちは、一蓮托生だ。そういうのが、望みだったんだろう?
 だから……もう、無理をしなくてもいい……」
 フルチンでこんなことをいっても決まらないよな……と思いながら、荒野は組み敷いていた酒見から離れて、続ける。
「「……若様……」」
 テーブルの上から立ち上がった酒見と、もう一人の酒見が、左右から荒野に対して声をかけた。
「「……それは……あまりにも……」」
 酒見姉妹は、顔を伏せて声と肩を震わせている。
「「……屈辱ですっ!」」
 荒野は、左右から平手打ちを食らった。
「「バチンッ!」」と、とてもいい音がした。

「……今のは、コウが悪い……」
 その後の軽い一騒動の後、シルヴィは腕を組んでジト目で荒野を見下ろした。
「……損得勘定とオトメゴゴロを混同するとは、ナニゴトですか……」
 いつまでもキッチンで、それに全裸で……というのも何なので、順番にシャワーを軽く浴び、体や腰にバスタオル巻き付けて、ベッドルームにしている部屋に移動した。
 荒野はベッドに腰掛け、その荒野の肩に茅がもたれかかり、シルヴィを中心にして酒見姉妹が、二人を見下ろしている。
「……ごめんなさいなの」
 茅が、頭を下げた。
「荒野……他のことはともかく、特に女性の扱い方は不器用で、鈍感なの」
「……お、おれ……そこまで、駄目か?」
 茅にまでそういわれて、荒野は……かなり肩身が狭かった。
「……まぁ……コウだもんね……。
 あんまり器用に立ち回られても、コウらしくないし……」
 シルヴィは、大仰に肩を竦めて天井を見上げる。
「……ヴィまでっ!
 フォローしているようで追い打ちかけているしっ!」
 抗議しようとした荒野は、シルヴィの両脇にいた酒見姉妹にギロリと睨まれて、慌てて口を噤む。
「……と、いうことでぇー……」
 シルヴィが、ざがっと「何か」を、体の前に突き出す。
「……これから、男性としてのコウを鍛えたいと思いマースっ!」
 シルヴィがつきだしたのは、「例の」チョコが入った箱だった。
「……まだやるのかよっ!」
 つっこみを入れる荒野。
「……えー……」
「「……いえーっ!」」
 露骨に嫌な顔をする茅と、歓声をあげる酒見姉妹。
「……Off course! モチロンッ!」
 シルヴィは、がばっと自分のバスタオルをはぎ取って、形の良い乳房を荒野につきつける。箱の手を突っ込み、がばっと一つかみのチョコを自分の口にざらざらっと落とし込んで、箱を酒見姉妹に手渡し、荒野に抱きつく。荒野の肩にもたれかかっていた茅ごと、荒野をベッドの上に押し倒し、口移しで、荒野の口の中にチョコを送り込んだ。
 酒見姉妹は顔を見合わせて頷き合い、いくつものチョコを立て続けに口の中に放り込み、飲み込んだ。
「「……いえーっ!」」
 そして、すでにもみくちゃ状態になっている三人の上にダイブする。

 後はもう……乱交状態に、なった。




[つづき]
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