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彼女はくノ一! 第五話(328)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(328)

 明日樹が一つめのチョコを食べると、こちらをじっと見ていたガクと目があった。
「……これで、あすきーおねーちゃんも、僕たちといっしょだね……」
 ガクが、あくまで無邪気な笑顔を見せる。
「おにーちゃんとえっちしないと、みんな死んじゃうんだ……」
 そのすぐ横では、相変わらず楓、孫子、香也の三人がお互いの服を脱がし合い、盛大にいちゃついている。楓が、時折、「……はやくしてくれないとぉ……死んじゃいますぅ……」と鼻にかかった声で香也に訴えている。その口調が、自然な媚態を含んでいるようで、その声を聞くたびに明日樹は、かなり落ち着かない気分になった。香也は、抵抗するのにももはや疲れたのか、ぐったりと二人のなすがままになっている。それをいいことに楓と孫子の二人は、手慣れた手つきでほぼ全裸になった香也の体に手を這わせたり、交互に香也の口を吸ったりしている。
「……いつも……こんなこと、やっているの?」
 一度は三人の様子を確認した明日樹は、あられもない様子にすぐに目を逸らして、三人の方に顔を向け直した。
 香也や、普段親しくしている楓や孫子が「そんなこと」を……それも、すぐそこで、かなり慣れた様子でしている……ということを意識するのは、明日樹にとっては刺激が強すぎた。
 自然と、明日樹の頬が、熱くなる。
「ボクたちは、全然。
 でも、あの三人は、時々やってるみたい……」
「……なにいってんだよっ!
 ガクも、この間お風呂で、最後までやって貰ってたじゃんっ!」
 ガクとテンが、無邪気な口調を崩さずにそんなことを言い合っている。ノリは、そのやりとりに加わらず、ポリポリとチョコを食べ続けている。
『……この子たちに、とっては……』
 こうした性的な事柄と他の遊びとの区別が、あまりついていないのかな?
 ……と、明日樹は思った。
 この場合、「最後まで」というのは、香也との行為、ということなのだろう。そのことについて、自分があまりショックを受けていないことに、明日樹は気づいた。すぐそこで、現在進行形で「そういうこと」をやられているわけで、今更、という気持ちが強いのだろうか……とかも、思ったが……どうやら、それだけではなく、香也の意志によらず、無理矢理そういうことをしなければならないハメに陥っている……ということ「らしい」ので、落ち着いていられるのかも、しれない。
 いや。それ以上に、やはり、今現在の状況があまりにも非現実的なので、当たり前の感受性が、一時的に麻痺しているのだろう……と、明日樹は思った。
「あすきーおねーちゃん、顔、真っ赤っか……」
 ノリが、指摘する。そういうノリも、耳まで真っ赤になっている。
 確かに、先ほどから明日樹の顔は、熱を発している。それだけではなく、体中がぽかぽかと暖かい。
 昨日、明日樹は、薬の効果について、シルヴィから「飲むと、性的に興奮してくる」と聞かされている。その効果について、明日樹は半信半疑だったが、いかにもあやしげだったので、自分が作ったチョコには混入していない。しかし、こうしてチョコを口にしてみると、確かに、全身の血の巡りが良くなって、自分は、興奮してきているようが……と、明日樹は他人事のように、自分の身に起きた変化を観察した。
『……そういえば……』
 楓と孫子は、シルヴィが提供した薬物に関して、「体内に摂取したら、えっちをしないと死ぬ薬」であるということを、繰り返し口にしていて、テンとガクも、その情報を疑うことなく信じ込んでいる。
 明日樹が聞かされた説明と、その説明の差は、一体、どこから来ているのか……。
 などということを、ぼーっと考えている明日樹の横で、三人が服を脱ぎはじめる。そのことに気づいた明日樹は、「ちょ、ちょっとっ!」と、慌てて声を上げた。
「何……脱いでるのっ!」
「……えーっ!」
 ガクが、不満そうな声をあげた。
「だって、裸にならないと、おにーちゃんとえっちなこと、できないじゃん……」
「そうそう」
 下着ごと一気にハーフパンツを脱ぎ降ろしたテンも、ガクの言葉に頷く。
「ほら、おにーちゃんたち……もう、はじまっちゃっているし……」
 下半身を剥き出しにしたガクが指さした方向に反射的に目をやり、明日樹は「うひゃぁあっ!」と叫び声をあげた。
『……は、はじまっちゃってるぅ……』
 素っ裸になった楓が、香也の上に馬乗りになって、リズミカルに自分の体を上下に揺すっている。行為に夢中になっている楓は、もはや、周囲のことなど眼中に入っていないようで、頬を薔薇色に染めてしまりのない表情をし、体が上下するたびに「はうぅ、はうぅ」と甘い吐息を漏らし、豊かな乳房がたゆゆんたゆゆんと弾んでいる。孫子は孫子で、やはり全裸になった状態で、香也の顔にとりつき、「んふっ。んふふふふふっ」とか含み笑いをしながら、執拗に香也の口とか顎のあたりに舌を這わせている。孫子が覆い被さっているため、香也の表情は確認できない。だけど、楓と孫子は、明らかに興奮して、忘我の状態にある。
「……うわぁぁあぁ……」
 明日樹は、細く吐息を漏らした。
 もちろん、他人の性行為を間近にみるなど、明日樹にとっては、初めての経験である。どちらかというと奥手な明日樹は、AVやポルノなどの「関連情報」にも苦手意識があり、自分の意識で遠ざけてきた。ので、十分な予備知識もないままに、いきなり「本番」、それも過激な複数プレイを間近に見たことになる。
「……あすきーおねーちゃーん……」
 首のすぐ後でノリの声がして、その次の瞬間には、背中から回された腕で、むぎゅ、と、抱きすくめられた。
「……駄目だよぉ……脱がないとぉ……」
 明日樹を背中から抱きすくめたノリが、むぎゅむぎゅと明日樹の乳房を揉む。耳にかかるノリの吐息とともに、その「揉まれる感触」が、明日樹に背筋に電撃のような快感をもたらし、明日樹は反射的に「……うひゃんっ!」と小さい叫び声を上げてしまっている。
「……あっ……やっ……やめっ……」
 明日樹は、身をよじってノリの腕から逃れようとするが、制止を訴える自分の声が、ひどく甘い響きを持っていることを、明日樹は自覚した。
「……本当に、やめちゃって……いいの?」
 明日樹を抱きすくめているノリの吐息も、熱かった。
「おねーちゃんの、乳首……こんなに、硬くなっているけど……」
 ノリが、服の上からでも明らかに勃起していることが確認できる明日樹の乳首を、人差し指と親指で抓みあげると、明日樹は、「ひゅんっ!」と、大きく息を吸い込んで、背を大きく仰け反らせた。
「……あーはーはー。
 あすーきーおねーちゃん、感じやすいんだー。
 かわいー……」
 どこか遠いところから、ノリの声が聞こえる。
 同時に、自分の服を脱がそうとする複数の手の感触を感じたが、明日樹の意識は霞がかかっていて、もはや抵抗しようとする気力も湧いてこなかった。




[つづき]
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