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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(247)

第六章 「血と技」(247)

 荒野が酒見粋から身を離すと、すかさず茅が抱きついてきて、荒野の口唇を求めた。そして口唇を重ねたまま、香也の股間に手を伸ばし、まだ破瓜の血に濡れている香也の分身を、自分の中に導こうとする。
 どうやら茅は、荒野が他の女たちと交わるのをみて、嫉妬にかられているらしかった。荒野の口の中をかき回す舌の動きが、いつもよりよほど荒々しい。様々な計算もあって、口では、荒野に他の女を抱くようにいっても、実際に目の前でやられてみると、やはり感情面でいろいろと鬱屈してくるところがあったのだろう。それに、いつもは二人きりで行うことを、人目のある環境で行うことで、興奮しているのかも知れない。
 茅は荒野の口唇を塞ぎながら、下腹部にいれた手で荒野を自分の中に導き、そのまま荒野をベッドの上に押し倒す。荒野の上で、体を出来るだけ密着させながら、結合部を中心としてくねくねと体をゆさぶりはじめた。快楽を得るため、というよりは、香也の存在を茅の全身でうけとめ、確認するための動きのように、荒野には思える。しばらく、そうして蠢いた後、茅はようやく荒野から口を離し、太いため息をついた後、自分の中にいる荒野を確認するような慎重な動きで、腰を上下させはじめた。
 最初のうち、荒野の顔のすぐ上で喘ぎながら動いていた茅は、いくらもしないうちに自分の動きが生み出す快楽に夢中になり、上体を起こして、荒野を味わうことに熱中していく。
「……んっ! はぁっ! んはぁっ!」
 茅は、次第に声を大きくしながら、目を閉じ、胸を反らしながら、自分の体を上下に動かしだした。茅の胸や腹にうっすらと汗が浮き上がり、茅が動く都度に長い髪が複雑な揺れ方をする。こうなつと、もはや、荒野のことはあまり念頭になく、快楽を貪るのに夢中になっているのだろうな、と、荒野はぼんやりと思う。
 あれほど荒野に執着する茅でさえ、実際に行為に及べば、たやすく、こうして肉の楽しみの方に没入してしまう……という事実は、荒野に複雑な気分にさせた。人間というのは……どんなに卓越した存在であっても、基本的な仕様として、単純に作られているらしい。
 そんなことを思いはしても、荒野の性格だと、そのことに対して悲観的な見方をして沈む、ということもない。茅やシルヴィ、酒見姉妹、それに荒野自身など、一般人の基準から見れば、明らかに規格外の存在でさえ、裸になって絡み合っている時は、男であり女であり、ようするに「ただの人間」でしかない……という事実を認識することは、荒野をむしろ安心させる。
 それとは別に、こうしてとっかえひっかえ女たちに荒野の男性だけを使用されると、なんだか自分がヒトではなくモノであるかのうような気分になってくる。もっとありたいにいえば、生きた大人のおもちゃにでもなったような気分になってくる。同時に、「それですべてが丸く収まるののなら」特に不服はない、とも、思っていたが……いずれにせよ、物理的な刺激は受けるものの、心理的には、この時の荒野はかなり醒めており、従って、射精感はいっこうに高ぶらないままに、硬度だけを保っていた。

 荒野の肉を使って一人で盛り上がった茅は、一度昇りつめた余韻もあって、極めて短時間で昇りつめ、すぐにがくりと全身の力を抜いて、荒野の胸板の上に突っ伏する。荒野は反射的に茅の頭に手をおいて、手櫛で適当に茅の髪を梳いていたが、茅の息が収まるまで待つこともなく、シルヴィが茅の体を優しく押し退けて、荒野の上に重なってくる。
「……まだ、足りないのかよ……」
 荒野も、兄弟同然に育ったシルヴィに対しては、遠慮のない口を聞く。
「ウォーミングアップは、すんでいるけど……」
 シルヴィはそういって、荒野の口唇を割って舌を滑り込ませてくる。
 茅が荒野の上で息を切らしている間、休んでいた酒見姉妹が、揃って部屋を出ていった。休憩するのか、シャワーを浴びるのか、それともこのまま帰るのかは、何もいっていなかったから、わからない。だが、姉妹がいたスペースが空いたことは確かで、シルヴィは荒野の首を抱いたまま横に転がり、荒野を上にした上体で、
「コウ……動いて……」
 と、いった。
 さっき結合したときは、茅と同じく騎乗位でシルヴィが動いていたから、今度は荒野が動け、ということらしい。
 荒野は素直にその指示に従って、動きはじめる。
 最初のうち、余裕のある態度で荒野の動きを受け止めていたシルヴィは、すぐに喘ぎ声を上げはじめた。
 ひょっとすると、すぐそばで休んでいる茅の存在を意識しているのかも、知れない……と、荒野は思う。以前に抱いた時のシルヴィは、これほどには感じやすくはなかったように記憶している。茅が他の女性たちの存在を無視できないように、シルヴィも、茅や双子が荒野と交わるのを直に目撃して、それなりに興奮するところがあるらしい。嫉妬混じりの興奮、といったところだろう。
 それにいちいちつき合わされる荒野はたまったものではないが、幸い、体力だけは人並み以上のものを持っている。少々、煩わしいとは思うものの、逆に、この程度のことでご機嫌がとれるのなら、安いものだ……という気もしてくる。
 そんなことを思いながら、シルヴィの中を往復していると、息を吹き返した茅が立ち上がり、荒野の背中にもたれ掛かっている。
「……重いよ、茅……」
 普通にしていれば茅一人分の体重など、どういうこともないのだが、今は激しい運動をしている最中だ。
 しかし、荒野の抗議は、茅が荒野の肩越しに口を重ねてきたことで、すぐに中断させられる。
 しばらかく、茅と口唇を重ねながら動き続けると、下では、シルヴィの声が不自然に大きくなってった。ちらりと視線を下にさげると、茅が片手を延ばしてシルヴィと荒野の結合部周辺を、指先で探っていた。
「……茅も、まだ足りないのか……」
 口を離して茅にそう問いかけると、茅は、答える代わりに、荒野と向き合う形でシルヴィの腹部にまたがり、本格的に荒野の口唇を求めてくる。
 荒野は、シルヴィの上で茅と本格的に抱擁しながら、動き続けた。
 すぐに、いったん部屋の外に出ていた酒見姉妹が帰ってきた気配があり、その二人も荒野の左右にすがりついてきて、茅の口を離して荒野の口を奪おうとする。
 軽いもみ合いが発生し、正面にいる茅が体重をかけてきたことと、それに、荒野がシルヴィの上に体重をかけることを避けたかったため、一度動きを止めて体を後ろに倒す。
 シルヴィも荒野の意志を読みとって、太股を大きく開いたまま、軽く膝をたてて、上体を起こした。荒野とシルヴィは、結合したまま上体を斜めにして向かい合う形になる。荒野の背中を左右から酒見姉妹が支え、斜めになった荒野の上に、茅が乗って、自分の股間を、シルヴィの陰部からはみ出た荒野の陰茎の根元にすりつけながら、荒野の首に腕を回して、口唇を求める。酒見姉妹は、荒野の背中を支えながら、荒野の首や耳に舌を這わせはじめた。
 荒野も、シルヴィに習って軽く膝をたてながら、挿出入を再開する。
 シルヴィが声をあげはじめ、頬にかかる茅の鼻息も、弾んできた。
 荒野といえば……肉体労働よりも、三人の人間に同時に密着されることに辟易し、全身に汗をかきはじめる。周囲を熱源に……それも、火照った人肌に取り囲まれ、密着される……という経験は、荒野にしてみてもはじめてのことだったが、荒野の予想以上に、熱が籠もる状態だった。





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