第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(333)
「……あっ、あの……」
自分の胸元とか股間とかを懸命に手で隠し、できるだけ香也の下半身、つまり、「下」にとりついているノリから眼をそらしながら、明日樹は香也に話しかける。
「……その……いつも、こんなこと……」
「な、ないっ!」
香也は力一杯否定した。
「こんなこと、滅多に……ここ数日だけのことだからっ!」
「……でも……狩野君、その……楓ちゃんや才賀さんと……それに、今だった、ノリちゃんが……」
「……んー……」
香也は、天井を仰いだ。
「……ぼくが……本気になった彼女たちに、抵抗できるかというと……」
実に説得力がある、しみじみとした口調だった。
「……できないよね……。
普通の人は……」
明日樹が頷こうとした時、
「あっ!
元気になったっ!」
と、ノリが大声をあげたので、明日樹は反射的に視線を下げ、完全に勃起した香也のものと、そこから顔を上げようとしていたノリの顔を、モロに見てしまう。
明日樹は、すぐに顔をそむけて視線を逸らした。
「……あすきーおねーちゃん、やらないの?」
ノリが怪訝そうな表情を浮かべる。
「おねーちゃんがやらないのなら、このままボクが先にやっちゃうけど……。
この前、試してみた時は、ボクのほうがきつきつ過ぎて、まるで入らなかったけど……」
……この前、試してみた時は……って……と、明日樹は、かなりの不信感を覚える。
やはり……この家では、頻繁にこんなことが起こっているのだろうか……。
と。
「……ひっぐっちっさぁーん……」
いぶかしがる明日樹の背中に、汗に濡れた、熱い肌がしなだれかかってくる。
「……だめ……れすよぉ……。
え、えっちしないと……死んじゃうんですよぉ……」
楓だった。
しかも、呂律が回っていない。
「……この子……」
少し離れたところで、ぐったりと明日樹にもたれかかった楓をみた孫子が、呟く。
「この間の時も、ひどく興奮していたけど……薬が効きやすい体質なのかしら……」
孫子が冷静に解説する間にも、楓は「……んっっふっふっふっ……」と含み笑いをしながら、明日樹のそこここを撫で回す。
「……樋口さんの肌……白くてきめ細かくて、さわり心地がいいですぅ……」
「……わっ!
ひゃっ!」
明日樹は、たまらず声をあげた。
「……ちょ、ちょっと……楓ちゃんっ!
そんな……んっ!
やっ! 駄目っ!」
「……えーっ!
なんでれすかぁ……」
楓は背中から手を回して、ふにふにと明日樹の乳房を揉みしだく。
「……んふっ!
樋口さんのおっぱいって、適度な弾力があって気持ちいいですね……。
わたしのなんか、ふにふにでー……。
あっ。
なんか、先っぽが、硬くなってきましたよぉ?
最初のうち、「……ちょっと、楓ちゃん」とか、「駄目だって、本当に」とか、いいつつ、楓にあらがっていた明日樹だが、そのうち、楓を振り払おうとする動きが緩慢になり、すぐに動きを止め、「……あっ! んっ! だ、駄目……」などと口だけの抵抗となる。
「……なるほど……」
テンが、したり顔で頷いた。
「こういうのが、ラリっている、という状態なのか……」
明日樹にセクハラしている楓のことなのか、それとも、楓の愛撫に応じはじめた明日樹のことを指すのか、よくわからない。
おそらく、両方のことをいっているのだろう。
「……あーっ!
おにーちゃんの、また大きくなってるぅっ!」
ノリがまた、無邪気に声をあげた。
すぐ目の前で身近な少女二人がいやらしい絡み合い方をしている以上、年頃の男子としては健全な反応なのだが、ノリに大声で指摘されると、とたんにいたたまれなくなる。香也は当然、その場から逃げ出そうとするのだが、ノリは香也の太股に抱きついてそれを許さない。
楓は楓で、周囲の反応は眼に入らない風で、
「……大丈夫ですよぉ……。
最初は痛いけど、こちらの準備をしておけば、ある程度緩和出来ますからぁ……」
などといいながら、明日樹の股間に手を延ばしている。
「一度、例の薬を服用した以上、すぐに異性と性交しないと死んでしまう」と信じきっている楓にとって、明日樹と香也を交合させようとすることは、立派な救命行為であり、なによりも優先されることなのであった。
明日樹の方も、同性とはいえ、これだけの大勢の目の前で……それも、香也も含んだ大勢の眼の前で、公然と性感を刺激される……という異常な体験により、涙目になりながら、急激に興奮していった。
そもそも、「他人の手で秘処をまさぐられる」などということ自体、明日樹ははじめての経験である。
「……やぁっ……こんな……いやなのに……んんっ!」
荒い息の合間に、途切れ途切れに、そんなことをいうようになるまで、いくらも時間がかからなかった。
「……ボクも、ボクもっ!」
明日樹の反応をみて、面白いと思ったのか、ガクまでもが楓に習って明日樹の体にとりついた。楓は後ろから手を回して明日樹の胸や股間をこねくりまわしていたが、ガクは直接、明日樹の股間の前に陣取り、強引に膝を割る。
「……わぁっ!
あすきーおねーちゃん、下まで滴っているぅっ!」
明日樹の太股を大きく開くと、ガクは大きな声で事実を指摘した。
その言葉通り、明日樹の陰毛と楓の指を伝わって、明日樹の愛液が畳の上に点々と痕をつけている。
「……やっ!
あっ……あっ……」
羞恥で顔を、いや、体中を真っ赤にした明日樹は、弱々しい動作でいやいやをするように、首を振った。
そして、不意に、すぐ目の前にいる香也が、自分の股間をじっと見つめていることに気づき、
「……いやぁっ! 駄目ぇっ! 見ちゃだめぇっ!」
と絶叫し、腿をあわせて自分の股間を香也の眼から隠そうとする。
「……なんで駄目なの?」
しかし、きょとんとした表情で、ガクが明日樹の太股を押さえつけ、明日樹の秘処を香也の眼に晒し続けた。
「ほら……。
おにーちゃんのおちんちんも、おねーちゃのここをみて、あんなに喜んでいるんだし……。
隠す必要、ないよ。隠したら、おにーちゃんしょぼーんとしちゃうよ……」
「……んっっふっふっふっ……」
恍惚とした表情で香也の分身を口で愛撫していたノリが、含み笑いをしながら、そう告げる。
「凄いよ、おにーちゃんの……。
こんなにビンビンに、今にもはじけそうになっちゃって……。
もう、全然、お口の中に入りきらないし……」
[
つづき]
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