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彼女はくノ一! 第五話(339)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(339)

 香也は、明日樹の上にのっかてビクビク背筋を震わせた後、しばらくそのままの姿勢で荒い息をついていたが、やがて明日樹の横にごろんと寝ころんで、口を大きくあけてあえぎはじめた。孫子とノリに挿入した時も射精にまでは至らなかったため、発射した回数こそ本日これで二度目なのだが、最初の楓が騎乗位で動いてくれたのを除けば、後は香也が一方的に動いていたので、運動量はかなりのものになる。普段の運動不足もたたって、香也は全身を汗まみれにしてもはや指一本動かすのもおっくうなほど、甚大な疲労を感じていた。射精直後の陰茎だけが、元気に半勃ちになっている。
 ぜはぜは空気を吸い込んであいでいると、隣に寝そべっていた明日樹が、すぐに横になったまま香也の首にすがりついてきて、楓、孫子、テン、ガク、ノリの五人もそれに習って寝そべり、香也に身体を寄せてくる。面積的に、それだけの人数が一度に香也に寄り添うことは不可能だから、香也の隣のポジションを争って静かなもみ合いがはじまったりするのだが、香也は疲労の度合いがひどく、そうした闘争に関心を向ける余裕も、もはやない。
 そのまま目を閉じて、新鮮な酸素を血中に取り込むのに忙しかった。

『……またなんかあったかな……』
 そのころ、羽生譲は食材の入ったビニール袋をスーパーカブに満載して、帰路についていた。あたりはすでにどっぷりと日が暮れている。
 普段なら、日中のうちから三人組あたりから、「晩ご飯の支度できているよ」メールがあるのだが、今日に限ってそれがない。
 家事に関しては、普段から羽生は楽をさせて貰っている身なので、まったく用意できてなくてもいいのだが……そんなこと以上に心配なのは、彼女らがまた緊急事態に遭遇している、という可能性だった。
 念の為、三人組と楓、孫子の五人に安否を確認するメールを打っておいたが、そろっていまだに返信がない。
『……何もないと、いいけど……』
 といいながら、羽生はスーパーカブを庭にいれ、ヘルメットと食材の入ったビニール袋を両手に抱え、玄関に回った。
『……なんや、全員、いるやん……』
 玄関に整然と並んでいる靴をざっと一瞥して確認し、羽生は、
「……たっだいまーっすっ!
 今、帰りましたですよぉっ!」
 とか声をかけながら玄関をあがり、廊下を通って、居間へと続く障子を、両手が塞がっていたので足で勢いよく開き……。
 中の光景を見て、硬直した。
 羽生の前の畳に、どさどさとビニール袋とヘルメットが落っこちる。
「……な、な、な……」
 羽生は、素っ裸になって絡み合っている旧知の人たちに向かって、叫んだ。
「……ナニをやっとるんですかっ!
 君たちはっ!」
 いや、周囲に乱雑に脱ぎ散らかっていた衣服と、全員、けだるげに汗に濡れている様子、それに、全員が全裸でかさなりあっていることなどから、「ナニをやっているのか」は一目瞭然なのだが……羽生としては、そう叫ぶよりほか、ない。
 羽生が一括すると、楓、孫子、明日樹はその場でぴょこんと起き上がり、正座をしてビシッと背筋を伸ばし、テン、ガク、ノリの三人も、のろのろと身を起こす。
 その全員の下にいた香也だけが、すっぱだかのまま畳の上に寝ころんで、羽生の方に顔を向けた。羽生に反応したいのだが、気力と体力が尽きかけているので、ヴァージン・キラーなちんこを隠す余裕もない……といった風情だった。
『……ああ』
 香也の様子をみて、どうやら想像通りのことが、起こったらしいな……と、羽生は思う。
 今までの経緯を考えれば、そういうことは十分に興り得る、と思っていたが……明日樹までもがここにいるのが、羽生は不思議だった。
『……詳しいことは、後で聞こう』
「……あすきーちゃん、楓ちゃん、ソンシちゃんは、死にそうに疲れているこーちゃんをお風呂場につれていってきれいにする。その間、えっちなのは禁止っ!
 残りの子たちは、この部屋の空気を入れ換えて、きれいに掃除。その後、ご飯の支度っ! わたしも手伝うから……」
 羽生がそう指示と、誰も逆らわずにテキパキと動き出す。
 居間の中の空気は、冬だというのにむっとするぐらいに暖まっており、同時に、妙に動物臭い男女の体臭が充満している。
 香也が楓たちに抱えられて連れ去られると、手早く服を身につけた三人組が、窓を開けはなち、炬燵を隣の部屋に動かして、本格的な掃除をはじめた。
 羽生も、三人組に混じって手伝いをはじめる。
 こうして身体を動かして、具体的な作業に没頭していれば、よけいなことを考えずにすむ。
『……だけど……』
 この後の事情聴取とその後の対処のことを考えると、羽生は気が重かった。
 ……何で、真理さんが留守の時に限って、こういうことになるのか……。いや、真理さんの目が行き届いていれば、そもそもこんなことは起こらないか……。
 羽生は、彼女らの「お目付け役」としては、自分の貫禄が全然足りないことを、しみじみと実感する。

「……だいたいの経緯は、理解した……」
 後片づけと夕食の準備が終わり、一通り説明を聞いた羽生は、そういった後、盛大にため息をついた。
「しかし、まぁ……他の子はともかくとして……あすきーちゃんまでこーちゃんとやっちゃうとは……」
 明日樹はそれに答えず、箸を休めてうつむいている。耳まで真っ赤で、おそらく、自分がしたことを思い返して、改めて恥ずかしい思いをしているのだろう。
 ……この子も……なんだか、なぁ……と、羽生は思う。
 明日樹の態度をみていれば、以前から香也に気があるのは、みえみえだったわけだが……ここまで思い切ったことができるほど、果断なところがあるとは、羽生は思っていなかった。
「……でも、あの……それは……仕方がない部分もあって……」
 真っ赤になってなにもいわない明日樹に代わって、楓がおずおずと「えっちをしないと死んじゃう薬」について説明し、「たまたま冷蔵庫に入っていたチョコにその薬が入っていて、それを明日樹や楓が食べたため」香也というこう事をしなければならなかったのだ、と、真面目な顔をして、羽生に説明する。
「……あの……楓、ちゃん……」
 羽生はしげしげと楓の顔を見ながら、楓に素朴な疑問をぶつけてみた。
「……えっちをしなければ、死んじゃう……って、今の人類の科学で、そんな微妙な条件付きのお薬、作れるもんなの?
 水虫の特効薬ひとつ、ろくに作れないのに……」
「……え?」
 ここで初めて、楓は、「その薬」について、深く考える。
 えっちしたら、解毒されるって……どういう機序で、そうなるんだろう?
 ……そもそも……えっちしている状態と、していない状態……を、薬は、どうやって判別するのか……。
 性的興奮によって、体温の上昇やホルモンの変化はあるのだろうが……本番した場合とそうでない場合、つまり、自慰や挿入なしの愛撫で興奮した場合とを、体内の変化だけで見分けることは……果たして、可能、なのだろうか……。
 今まで、楓は深く考えていなかったが……いわれてみれば、「えっちをしなければ死んじゃう」という条件は、どっからどうみても、不自然だった……。
「……ああ。
 あれ……」
 楓が硬直して顔色をなくしていると、孫子は、しれっとした顔をして、こうのたもうた。
「……そんなもの、嘘に決まっていますわ。
 わたくしが調達してきたのは、強力な媚薬……服用者を、強制的に性的興奮状態にするお薬です……」
 楓と明日樹が、孫子の顔をみつめる。




[つづき]
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