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彼女はくノ一! 第六話(15)

第六話 春、到来! 出会いと別れは嵐の如く!!(15)

 予想外のこととはいえ、せっかくテンに連れてきてもらった展望のいい場所だ。幸い、眼下には、確かにゴミで埋まった隘路が一望に出来、それ以外にもかなり遠くまで見通せる視界の良さ。遠景を描く予定ではなかったが、香也は、スケッチブックを開いて早速、シャープペンを走らせる。ゴミ置き場を間近にみる機会はこれからいくらでもあろうが、ここからの展望をスケッチする機会は、この先、何度も訪れるとは思えない。
「……おにーちゃん、寒くない?」
 香也がスケッチブックの中に意識を没入させていくと、テンが香也の背に乗りかかり、肩に腕を回してくる。
 すでに描きかけの絵の方に意識を集中しはじめている香也は、テンの温もりを背中に感じながらも、
「……んー……」
 と生返事をするだけだった。
 香也が絵に夢中になりはじめている、と、感じ取ったテンは、香也の肩に顎を乗せ、スムースに迷う間もなく動く香也の手元をみている。
 香也は、目の前の風景をスケッチブックの大きさを目一杯に利用して描く、ということはせず、広げたページの四分の一ほどの大きさの四角い枠を、縦に三つほど並べて線描きし、その中に建物の輪郭などをさらさらと書き込んでいく。枠の外に、数字やアルファベットをメモ描きしていて、そのメモ描きとスケッチの各所が線で結ばれている。テンは、それは何だろうかとしばらく考えてみて、どうやら、アルファベットは絵の具の色の略号、そして、数字は、だいたいの配合比らしい……と、ようやく思い当たる。確かに、この場に絵の具はなく、だいたいの色合いをメモするのには、合理的な方法ではあったが……絵の具についてかなり詳細な、体験に基づいた知識がある香也でこそ、実用出来るメモ法だろう……とは、思った。
 完璧な記憶力を持つテンでさえ、過去の、香也が絵を描いている時の光景を思い返し、その映像の手元を参照し、記憶の中にある、絵の具のチューブに印刷された色名を確認するまで、そのメモ書きの意味がよそくできなかった。香也にとって、こうした野外のスケッチは、単純な下書きとかではなく、もっと具体的な「将来、本格的に仕上げる時のための、設計図」なのだと、テンは納得する。だいたいの構図と色の設定をスケッチの段階で決めておき、後で、ゆっくりと仕上げる、というのが、香也のやり方らしかった。
 テンがそうした推論を自分の中で構築し終える頃には、香也はスケッチブックのページを変えて、新しいスケッチを描きはじめていた。構図は前のスケッチとほぼ同じだが、色指定が異なる。
「……ふぅわぁあぁ……」
 香也の手元から、ふと視線をあげて、テンは感嘆の声をあげた。
 周囲が、夕日で茜色に染まりはじめていた。
 香也は、ほぼ同じ構図で色だけが異なるスケッチを、何枚分か素早く描き上げた時点で、完全に日が落ちて手元が見えなくなり、事実上、それ以上のスケッチが不可能になる。テンには、刻一刻と色合いが変わる夕暮れの一幕を描く香也の連作が、想像できるように思えた。
 時間の、グラデーションだな……と、スケッチから香也の制作意図を読みとったテンは、そう納得する。
 
「……そろそろ、帰ろうか?」
 完全に日が落ちると、香也は帰り支度をしながら、背中にもたれ掛かっているテンに、そういう。帰り支度、といっても、スケッチブックを閉じて、シャーペンをポケットに納め、起きあがろうとしただけだったが。
「……あっ。
 う、うん……もう、真っ暗で、何もみえないよね……」
 テンは、生返事をしながら、いったん、香也の背中から離れ……それから、今度は、香也の前に回り、香也の首にぶら下がった。
「……おっ。おっ……」
 テンの重量を支えきれなくなった香也が、前のめりに姿勢を崩す。
「ねえ……。
 せっかく、ここまで来たんだから……もう少し、ここにいよ?」
 テンは、香也の胴体に両足を回して抱きつきながら、香也の顔に吐息をかけるように、囁く。
「……んー……」
 一度、前のめりになった香也は、よろよろとした足取りでたたらを踏み、結果、へなへなと膝を追って、その場に尻餅をついた。
 これを幸いと、テンは、香也の身体に回した腕に力を込め、ぎゅっと身体の全面を密着させる。
「ごめんね……。
 胸、ぺたんこで……」
 香也に頬ずりをせんばかりに顔を寄せて、耳元に、テンはそんなことを囁く。
「……んー。んー……」
 思わぬ展開に、香也は唸り声をあげながら、内心で冷や汗をかいた。
「でも……。
 せめて、おにーちゃんを暖かくするね……」
 香也が固まっているのをいいことに、テンが、ことさらにぐりぐりと身体をおしつけてくる。
「こ、こんなとこで……」
 ようやく香也は、かすれた声で意味の取れる言葉を吐いた。
「こんなところだから、じゃないかぁ……」
 そういって、テンは、ぺろりと香也の首筋に舌を這わせる。
「おにーちゃんのここ、膨らんできたし……本当は、期待しているんでしょ?」
 テンはそういって、制服の上から香也の股間を指先でつつつ、とたどった。正面からテンに密着されてから、急速に二人きりであることを意識し、香也のそこはテンのいうとおり、布地を持ち上げはじめている。
 すりすり、と、香也の膨らみを撫でながら、テンは上目遣いで香也の目をみて、続ける。
「……今なら、二人っきりだし……。
 おにーちゃんさえよければ……ここで、今朝の続きをしよっか……」
 香也が返事をするのも待たず、テンはがばりと香也に向かって体重をかけ、強引に口唇を奪う。
 不意をつかれた香也は、テンに押し倒される形になった。
 寝そべった香也の口を貪りながら、テンは、手さぐりで香也の股間のジッパーを降ろす。
「……はっ!
 おにーちゃん、もう、こんなにしちゃって……。
 ぼくみたいなちっさい子に無理矢理押し倒されて感じてるなんて……おにーちゃんの、変態……」
 一度口を離したテンは、そういいながらジッパーの中に手をいれ、下着の中から香也の分身を取り出して、直接指で弄びはじめた。
 そして、香也が身をよじって抵抗しようとするのにも構わず、再び香也の口をふさぎ、舌で香也の口の中をかき回しながら、指で香也の肉茎をしごきはじめる。
「……これ……先の方から、なにかではじめている……」
「んっ……。
 ピクピクしてる……」
「硬いし……これ、気持ちよくなると、硬くなるんだよね?」
 テンは、香也の口を蹂躙しながら、時折口を離しては、香也の耳元でそんなことを囁く。
 香也を刺激しながら、テンは、ベルトを緩めて香也の手を自分の下半身に導いている。
「……ほら……。
 おにーちゃんも、好きに……少しくらい、乱暴にしても、いいよ……んんっ!
 ボクは、もう全部、おにーちゃんのモノなんだから
……。
 はやく……ボクを、おにーちゃんのモノにして……。
 ボクだけ、仲間外れは、いや……」 




[つづき]
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