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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(281)

第六章 「血と技」(281)

 翌朝、荒野が目を覚ますと、パジャマ姿の茅と浅黄に両側から抱きつかれていた。そのため、荒野は、目が覚めてからしばらく身動きがとれず、にじんまりとして過ごした。
 やがて茅が目を醒ます。
 もともと、荒野も茅も、毎日決まった時間に起きる習慣ができている。目覚ましをかけなくともその時間になれば自然に目が覚めるのであった。
「……むぅ……」
 目を覚ました茅が、細目をあけて、小さなうめき声をあげる。
 それから、また目を閉じ、軽く眉間に皺を寄せ、
「……むぅぅうぅぅん……」
 と鼻を鳴らしながら、荒野のパジャマに頬擦りをした。
 茅と荒野は、いつも、裸で寝ている。
 だから、完全に意識が目覚めていない茅は、自分の頬が布地に当たることを、つまり、荒野がパジャマを着ていることを不審に思い、ほぼ反射的に、頬ずりをしていている。
「……茅……」
 ……むぅぅぅぅん……などといいながら、いつまでも目を閉じて荒野の胸元に顔を擦りつけている茅の肩を、とんとん、と指でたたき、茅がとろんとした目で視線をあげると、すーすーと静かな寝息をたてている浅黄を指さす。
 荒野の指先を追って浅黄の横顔をみた茅は、二、三度瞬きをしてから、何故か唐突ににんまりと笑った。
 荒野は……例によっていやな予感を覚えたのだが、浅黄が抱きついて寝ている状態なので、どうすることも出来ない。
 それをいいことに、茅は、ごそごそと布団の中に頭を入れ、なにやら荒野の下腹部をまさぐりはじめる。
「お……おい……」
 荒野は、浅黄を起こさないように、小声で茅を制止しようとする。
 茅は、構わず荒野のパジャマの中に手を入れる。腰回りはゴムで締めてあるだけなので、容易に手が入った。
 茅の指先が、荒野の下着の中に入る感触。
「……おいっ!」
 荒野は、小さく叫んで茅の頭をこんこん、と拳で軽く叩いた。浅黄のことを気遣って、大声を出したり身動きができないのが、つらい。
 などと、声を出せない荒野が考えている間にも、茅の悪戯はエスカレートしていく。
 荒野の下着の中にまで親友下茅の手は、寝起きで半ば勃起していた荒野の陰茎を掴んで明らかに刺激を与えるように、弄りはじめた。荒野の股間の付近の布団が、こんもりと茅の頭で持ち上がり、もぞもぞと蠢いている。
「……あの……茅、さん……」
 横目で浅黄の様子を確認しながら、荒野は小声囁く。
 しかし、すっぽりと布団の中に入っている茅の耳に入っているのかどうかは、かなり疑わしい。
 布団の中の茅は、そのまま荒野のパジャマの下を、下着ごと下にずらしはじめた。
「……こらこら……」
 浅黄をちろちろと横目で気にしながら、荒野が茅の頭を布団越しにぽんぽん軽く叩く。
 にゅるっ、と荒野の分身を生暖かい粘液が包み込む感触。
 どうやら、茅は、そのまま荒野のモノを口に含んだらしい。茅に口に含まれるのははじめてではないし、むしろ、慣れてきていると思うのだが、浅黄がすぐ側にいるこの場の状況こそが荒野にとっては刺激的だった。今でこそ、成り行きで複数の異性と同時に関係している身だが、基本的に荒野は、性的な事柄に関しては、比較的保守的な価値観の持ち主である。
『……こんなところ……浅黄ちゃんに見られたら……』
 などというところが気にかかり、一方の茅はそんなことまるで気にした様子もなく、にいつも以上に大胆な動きで、口にした荒野のモノを前後させる。
 茅の動きにつれて、布団がゆっくりと上下している。
「……んっ……」
 ぱたぱたと掛け布団が動いいていたため、熟睡していた浅黄が小さく呻いて薄めを開けはじめた。
「……ぅわっ!」
 荒野は、慌てて、膝を立てて桃の間で股間にとりついている茅の頭を挟み、浅黄の顔を凝視する。
 浅黄は、むっくりと半身を起こし、どうやら、このマンションに泊まっていたことを、しばらく思い出せないでいたらしく、ゆっくりと周囲を見渡した。
「…………おき、ちゃった……かな?」
 首だけを起こした荒野が、小声で、尋ねる。
「……ふぁっ……」
 浅黄は、おおきなあくびをした。
「……ねこさん、ふはぁー……」
「茅は……その、どこかかな……」
 荒野は視線をあらぬ方向に彷徨わせて、しどろもどろに答える。
 まさか、四歳児の浅黄に、茅は自分の股間をくわえこんでいる……などと正直に答えるわけにもいかない。
「……むー……」
 珍しく、不機嫌そうな顔をした茅が、もぞもぞと掛け布団と荒野の間から、はい出てきた。
「荒野がいきなり動くから……鼻を、ぶつけたの……」
 ……どこに……とは、もちろん、荒野は尋ねない。
「茅が、あんなことをするから……」
 代わりに、茅にだけ聞こえる小声で、素早く文句をいう。それから、眼をこすっている浅黄を指さし、
「……浅黄ちゃん、起きちゃっただろ……。
 浅黄ちゃん……トイレとか、大丈夫かな?」
 と、話題を変えた。
「……おしっこ……したい……」
「茅……頼む」
 荒野は、少し厳しい表情を作って、茅にいった。荒野自身は、茅によって腰の衣服がずり下げられている状態であり、布団から出ることが出来ない。
 茅が浅黄をトイレに連れていってくれれば、荒野も服を直す余裕が出来るのだった。
 茅は、しぶしぶ、といった顔で布団から出て立ち上がり、浅黄の肩に手を置いて、バスルームの中に消えた。
 荒野はその間に素早くパジャマの下と下着を引き上げ、窓の側に行き、カーテンを少し開けて空模様を確認する。

 茅と浅黄がかえってくると、
「……今日も、まだ降っているから……もう少し、寝ていよう。
 どうせ、日曜だし……」
 と、二人に声をかけ、自分も布団の中に潜り込んだ。





[つづき]
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