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彼女はくノ一! 第六話(25)

第六話 春、到来! 出会いと別れは嵐の如く!!(25)

 香也は現在、左右から楓と孫子に、胴体の上に腕を乗せられた格好になっている。
 まずは試しに、そっと身体を浮かせて、そろりそろりと頭の方向に逃げてみることにした。二人分の腕の重みは感じるが、身体が乗りかかっていないだけ、ましだとは思ったが。
 香也は、二人の腕を胸に乗せたまま、二人を起こさないように、そろーっと身体を動かして、布団から脱出しようとした。
 まず、左手で掛け布団を僅かに持ち上げ、孫子の腕を、自分の腰方向に、そろそろと少し、ずらす。それから、楓の腕も、同様に、下にずらす。そいしておいてから、腕を下にずらした分だけ、身体を頭の方向にずらして、布団から抜いていく。

 ずいぶんとゆっくりとした、慎重な動きだった。なによりも、「二人を起こさないで、その場から離れる」ことが、一番の優先事項なのである。一気に二人の腕を動かす、とかいう大胆な動きは、リスクが大きすぎた。
 また、外気の冷たさに反応して二人が目を醒ます可能性が増大するので、動きの邪魔になるからといって、掛け布団を剥がすことも出来ない。
 香也にしてみれば、可能な限り二人に刺激を与えないように心がけながら、慎重に慎重を期して、布団の中からの脱出を敢行しようとしているわけで……その証拠に、この肌寒い冬の朝に、香也の額にはうっすらと汗が浮かんでいる。

 香也が掛け布団の下からみぞおちあためりまでを抜いても、二人は、幸い、目覚める様子がなかった。
 ……ここまでは、よし、と……香也は思う。
 ここからが、正念場だ……と、香也は気を引き締める。
 最初のうち、香也の胸の上にあった二人の腕は、今や、香也の腹部と布団とに挟まれている。
 ここから、二人に気づかれないまま、二人の腕の下から、自分の身体を抜く……予定、だった。
 言葉にすると簡単だが、香也にとっては難易度が高く、いつ二人のうちどちらかが、あるいは、両方が起き出して騒ぎだすかと、気が気ではない。
 実際の作業よりも、そうした精神的プレッシャーが香也の上にのしかかっており、香也の腕は小刻みに震えていた。
 これ以上、二人の腕を下にずらすと、二人の腕は、香也の股間の、ちょう微妙な部分に乗ることになる。
 だから、ここが正念場だ。
 二人は……これから、腕の下に、香也の身体がなくなっても……目を醒まさないで、いてくれるだろうか……。
 香也は、固唾を飲んで、二人のパジャマの裾を指で掴んで持ち上げ、そろそろと、残る下半身を布団から抜きにかかる。
 慎重に慎重を期したのので、香也は、そもまま太股のあたりまで、敷き布団の下から抜くことに成功した。

 ……よしっ! よしっ!
 と、香也は、声をあげるわけにはいかないので、心の中でガッツポーズをとる。
 このまま二人が起きなければ……香也は、無事この窮地から、脱出することが出来る。
 あと、もう少し……後は、膝から下を抜くだけ……っと、香也が思った時だった。

「……ふぅんっ……」
 孫子が、寝返りをうって布団からでかかったいた香也の膝のあたりに抱きついてきた。孫子はそのまま、香也のパジャマの裾を、ぎゅっと掴んでしまう。
「……んんっ……」
 とかいいながら、楓も、香也の臑に乗りかかってきた。
 豊かな楓のバストが、むにゅ、っと香也の臑に押しつけられるが、香也はその感触を楽しむ余裕はない。
 ……二人とも……本当は、起きて、からかっているんじゃないだろうか……と、香也は思った。
 そうは思っても、香也がズボンの裾を孫子に捕まれ、臑のあたりを楓に抱きつかれている、という現状に変わりはない。
 幸い……といっていいのか、よくはわからないが……二人とも、寝返りを打って、香也の方に近づいてきていることは確かだ。
 そこで香也は、前以上の慎重さを持って、二人を自分から引き剥がしにかかる。
 まず、ぎゅっと香也のパジャマの生地を握りしめている孫子の指で掴み、剥がそうと試みる。
 ……孫子は、香也の力ではどうしよもないくらい強く、香也のパジャマを掴んでいた。……本当に、寝ているのかな……と、香也は何度目かの疑問を思い浮かべ、それから……数秒間、考えて、パジャマの下を脱ぎはじめた。
 なんで、こんな情けない格好を……などと考えながら、パジャマの下を膝下まで降ろし、そこで、いよいよ臑に抱きついている楓を引き離しにかかる。
 楓の肩に手をかけて、香也の臑の上に覆い被さっている楓の身体を、少し、持ち上げる。楓は香也の臑の上に乗りかかっていただけなので、特に抵抗はなかったのだが、肩を持ち上げると寝ていても違和感を感じたのか、
「……んんーんっ……ふぅ……」
 などと鼻を鳴らす。
 香也は、楓が眼を醒ますと思って、慌てて楓の下から臑を引き抜いた。そして、素早く楓の身体を降ろす。
 楓は、むにゃむちゃいいながら、孫子の身体に腕を回して、抱く。
 香也は、下のパジャマだけを脱いだ情けない格好でがっくりと肩を落とし、畳の上にへたり込んで、そっとため息をついた。
 ……ようやく、抜け出せた……。
 しかし……なんで、朝、起きるだけでこんな苦労しなければならないのか……。
 などと思っているところに、背後の襖ががらりと開く。
「……おーい、こーちゃん……。
 起きてるぅ?
 真理さんが、朝ご飯できたって……いった……けど……けど……」
 襖を開けた羽生は、視線を落として下半身をむき出しにしている香也を見、香也の布団にくるまって、抱き合って寝ている楓と孫子に視線を落とし、段々と声を小さくしていく。
「……こりゃまた失礼しましたぁっ!」
 きびすを返して去ろうとする羽生の足に、
「ちょっ! 羽生さんっ!
 誤解しているっ!
 絶対っ! なんか誤解しているっ!」
 すね毛を丸出しにした香也がすがりつく。
 その叫び声は、結果としてそれまでの香也の努力を無にした。
 楓と孫子が、もぞもぞと起き出してきた。




[つづき]
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