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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(311)

第六章 「血と技」(311)

「……変な匂いが、します」
 荒野のジッパーを下げた途端、静流が軽く鼻に皺を寄せる。
「……ああっ、と……それ、おれの臭いです……」
 荒野が、反射的に、申し訳のなさそうな声を上げている。
 野呂の者には、五感が鋭敏な者が多い……静流の嗅覚が、とかいう話しは聞いたことがなかったが、それでも、視覚の不備を補完する意味で、他の感覚が鋭敏になっている可能性は、否定できなかった。
「……か、加納様の……」
 静流は、自分の指でジッパーの中から荒野のモノをとりだし、指で輪郭を探ったり、顔を近づけて、臭いを嗅いだりしている。
「ここれが……だ、男性の……」
 どうやら、ソコの臭いに不快感を持っているわけではなく、一時的に違和感を覚え、その後、好奇心が勝っているだけのようだ……と、荒野は思い、少しほっとする。
「ど、動物みたいな、臭いがします……。
 に、人間も、動物の一部ですから、あ、当たり前ですよね……」
 ……荒野は、「静流の中の世界」をチラリと想像して、軽い目眩を感じた。
『……おれ……嵐呼と同列に見られているのかな……』
「まあ、人間も、動物ですから……」
 荒野は内心の動揺を押し隠して、静流の下着の中に入れた指を、静流の秘裂に添って、軽く動かす。
「……んぅ、ふっ……」
 と、静流が軽く鼻息を漏らした。
 静流のそこは、十分に湿っていて、陰毛と荒野の指を濡らしていた。だから、痛みはないだろう……と、荒野は判断すし、十分に濡れて滑りがよくなった静流の恥丘に指をすりつけるように、前後させる。
「……あっ。はっ。はっ……」
 すぐに、静流は息を荒くして、荒野の肩にもたれ掛かってきた。
 むき出しの静流の乳房が、荒野の制服に押しつけられ、ひしゃげている。
「静流さん……感じやすいんですね……」
 荒野が素直な感想を口にすると、静流は、
「……やっ!」
 といって、よりいっそう、荒野に体重をかけてすがりついて、首を振り、「……はぁ、はぁ……」と荒い息をつく。
 ……本当に、初めてで、こんなに……と、荒野は一瞬、不審に思い、それからすぐに、あることに気づいて、素直にその疑問を口にしてみた。
「……そっか……。
 静流さん……結構、一人でやってて……刺激に慣れているんだ……」
 静流は、荒野にしがみつき、口唇をきつく閉じながら、「んんっ、んんっ」と、激しく左右に首を振って、回答を拒否する。
 少し、想像すれば……容易に、想像できることだった。
 静流は、その障害故に、一人で家に籠もっている時間が、普通よりも長い。だから、自然と自慰をする機会も増えただろうし、そうなれば、性感も、自然と開発される……。
 静流は半裸のまま荒野にしがみついていたが、荒野は構わず静流の股間にあてた手を、動かし続ける。
 ぐちょぐちょという水音が大きくなり、口のきつく閉じながらも、静流の喉からくぐもった声が漏れた。
 ……このまま、一度、行くところまで行かせた方が、いいかな……と、荒野は、判断する。
 ここで中断して破瓜の痛みを与えるよりは、一度、静流を到達させ、快楽を覚えさせた方が、いいように思えた。
 荒野は、静流の「男性経験がない」という言葉を、疑っていない。荒野は別に処女性に幻想を抱いているわけではないが、静流がそんな嘘をつかなければならない必然性、というのが、荒野には、思いつかなかった。
 荒野は指の動きを激しくし、しばらくすると、静流は、
「……んっ! はぁっ!」
 と、大きく息を吐いて、背中をのけぞらせた。
 荒野は、静流が倒れ込む前に、腰に回した腕に力を込めて支え、ゆっくりと静流の上体を畳の上に倒して、仰臥させた。
 静流の全身から、ぐったりと力が抜けている。
 それをいいことに、荒野は、静流のジーンズと下着を、静流の下肢から抜いた。静流は、もはや覚悟を決めたのか、荒野の動きにあわせて、軽く腰を浮かせたりして、荒野が静流を丸裸にする動きに協力する。
 やがて、荒野の目に、静流の裸体が現れた。
 脱ぎ散らかした衣服の中に、白磁の肌が、横たわっている。白い肌のところどころが、ピンクに染まって、うっすらと汗を浮かせており、胸郭が、忙しく上下している。
 まだ、静流の呼吸は整っておらず、呼吸は速かった。
「……静流さん……」
 細身だが、胸と腰回りは肉付きがよく、ほぼ理想的なプロポーションだ……と、荒野は思った。
「……きれいだ……」
 荒野の本心からきた、言葉だった。
「そ、その……き、きれいっていうの……わ、わたし……わからないのです……。
 わ、わたし……みんなとは、違いますから……」
 静流は一瞬、泣きそうな顔になり……しかし、すぐに微笑んでみせる。
 ……静流さんは……と、荒野は思った……あのサングラスをかけていると、隠れるけど……あれがないと、随分、表情豊かな人なんだな……と。
「……か、加納様も……」
 息を整えながら、静流が、囁く。
「じょ……女性の身体の扱い方、知りすぎです……」
「いや……茅とかに、鍛えられてるし……」
 反射的に荒野が返答すると、静流は、荒野の太股を指で摘んで、つねりあげた。
 思わず、荒野は、太股の肉をつまみ上げている静流の手の上に、掌を重ねる。
「……痛いよ、静流さん……」
 荒野が、情けない声を出した。
「……こ、こうしている時に、他の女性の名前をだすのは……ま、マナー違反です……」
 そういわれてしまえば「……それも、そうか……」と、納得してしまう荒野だった。
 若年で、経験に乏しい荒野は……そうした機微には、どちらかというと疎い方だろう。
「すいません。
 思慮が足りませんでした……」
 荒野は、素直に頭をさげた。
「……い、いいです」
 とかいいながらも、全裸で寝そべっている静流は、荒野から顔を背けている。ひょっとすると、恥ずかしいから、そうしているのかも、知れないが……。
「それより……か、加納様も、もう、脱いでください……。
 わ、わたしだけが、こ、こんな恥ずかしい格好、しているの……ふ、不公平です……」
 静流は、荒野の制服の、股のあたりの布地を指で摘んで、そういった。
 荒野は、「不公平」という静流のいいように、一瞬、吹き出しかけけたが、あやういところで自制して、
「……わかりました」
 と、真面目な口調で、頷く。
 荒野は、寝そべったままの静流から少し離れ、ざっと見渡したところ、ハンガーも見あたらなかったので、着ていたものをすべて脱いで、丁寧に折り畳んで、部屋の隅に置いた。
「蒲団、敷きますか?」
 全裸になった荒野は、静流に近づいて、そう尋ねる。
「こ、このままで、いいです……」
 静流は、そういって、顔を荒野の方に向ける。声のする方に、振り向いたのだろう。
「そ、それよりも……は、早く、そばにきて……か、加納様を、感じさせてください……」




[つづき]
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