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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(335)

第六章 「血と技」(335)

「……気になりますか?」
 荒野は、静流の掌に自分の手を重ねて、尋ねてみる。
「き、気になるというか……珍しいのです……」
 静流は、うっすらと頬を染めながら、答えた。
「だ、男性のを……さ、わわるのが……。
 こ、こんなに硬いものなのですね……」
「いつもは、硬くはないんですが……」
 荒野は、苦笑いをしながら答える。
 茅もそうだったが、男性経験のない女性にとって、男性器というものは、かなり好奇心をそそられるものであるらしい。
「……そういう気分になった時、こういう状態になります」
 静流は、布地を持ち上げている荒野の分身を、指先でたどり、感嘆混じりに、こういう。
「……お、おかしな形……しています……」
 荒野は、視覚に障害のある静流にとっては、健常者の女性以上に、そういう情報に触れる機会が少ないのだろうな……と、そんなことを思う。
「直に、触ってみますか?」
 反射的に、荒野は、そんなことを尋ねてみる。
「……え?」
 静流が、顔をあげる。
「こ……これを、ですか?」
 不意をつかれた表情だった。
「ええ」
 荒野は、静流の耳元に口を寄せ、囁く。
「どうせ……これから、もっと過激なこともするつもりですから。
 その、静流さんさえ、よければ……ですけど……」
 首尾よくいけば、荒野のその部分は、これから静流の内部に侵入する筈だった。
 静流は、しばらく顔を伏せたまま黙り込んでいたが、意を決したように顔をあげ、手探りで、荒野のジッパーを降ろした。開けたジッパーの中に指を入れ、下着ごしに指を這わせると、
「……あ、熱く……なってます……。
 それに……こんなに、脈うって……」
 と、呟く。
 そういった時の静流の頬は、明らかに上気していた。
「……静流さん……」
 荒野は、静流の耳元で、再度囁いた。
「サングラス……とっていいですか……」
 その後、「静流さんの素顔がみたい」……といいかけて、荒野は危うく言葉を飲み込む。
 静流の前で、「見える」とか「見たい」みたいな単語は、不用意に使うべきではないだろう。本人は、あまり障害のことを意識していないようだが……。
 静流は、無言のまま、顎を上げて顔を荒野に向ける。
 荒野は、静流のサングラスを外して畳の上に置き、至近距離で静流の顔をまじまじと見つめた後、そのまま口唇を塞ぐ。
 荒野が静流の口唇を割って口の中に舌を入れると、静も不器用な動きで、荒野の舌に舌を絡めて来た。
 荒野は、静流の背中と腰に腕を回し、静流と舌を絡めあったまま、ゆっくりと静流の身体を畳の押し倒す。
 しばらく、荒野は、静流の上に覆いかぶさって、静流と口づけを交わし合っていた。

「……はぁ……」
 ようやく、荒野が口を離すと、静流は、切なそうな、拗ねたような、複雑な表情をしながら、直前にある荒野の顔を、焦点のあっていない目で見据える。
 いや。
 荒野の顔があるあたりに見当をつけて、視線を据えている。
「こ……こんなこと、されたら……。
 か、加納様を、触れないのです……」
 若干上ずった声で、そんなことをいった。
「静流さんは……おれを、触りたいんですか?」
 荒野が落ち着いた口調でいうと、静流は、顔を背ける。
「し、知りません……」
「おれは……静流さんのこと、触りたいです。
 それ以上のことも、したいです……」
 そういって、荒野は静流に脇に寝転ぶ。ちょうど、添い寝をするような格好だ。
「……ほら、さっきの続き……どうぞ……」
 荒野は、静流の手首を持ち、再び、自分の股間に導く。
 そういい終わるや否や、荒野は再び、静流の口唇を奪った。
「……んんっ!」
 と小さなうめき声を上げて、静流は荒野を振りほどこうと身もだえたが、本気で抵抗をするつもりはないらしく、すぐにおとなしくなる。
 しばらく、荒野が静流の口の中を舌でかき回していると、静流は、おずおずと荒野の股間に添えていた自分の指を動かし、荒野の性器の形を指先で確認しはじめた。
「……直に触ってもいいんですよ。
 なんなら、下、脱ぎますか?」
 荒野は、口を離して聞いた見たが、静流は、いやいやをするようにゆっくりと首を左右に振る。
「おれは……遠慮なく、静流さんを見たり触ったり、させてもらいますが……」
 荒野は笑いを含んだ声でそういうと、今度は、静流の首筋に口を這わせる。
「……はぁっ!」
 と、静流が、顔をのけぞらせた。
 荒野は、静流の腹部に手を回し、静流のシャツをずりあげ、パンツから出した裾を捲り上げ、剥き出しにした腹部に掌をあてて、撫でさすった。
「……んふっ!」
 と、静流が、また鼻息を荒くする。
「……ゃあぁ……。
 はぁ……や、優しくしてくれないと……いやですぅ……」
 静流は、かすれた声で、そんなことをいう。
「優しくして、ます」
 荒野の方が経験ある分、余裕があった。
 静流は……この間の荒野の途中までやった時以外、男性とこういう接触をしたことがないらしく、荒野の目には、何をしても過敏に反応しているように見える。また、女性のそういう反応は、荒野にしてみても、新鮮だった。反応が過敏、というのは、茅にも共通する点だったが、最近の茅は快楽に貪欲な印象が強く、静流が示すような羞じらいや躊躇いは、荒野の性欲を昂進させた。
「……静流さんは……おれに、こういうことされるの……嫌いですか?」
 だから、荒野としては、静流が答えづらいことを、あえて聞きたくなってしまう。
「…………そんなこと……聞かないでください……」
 案の定、静流は、かなり長い間黙り込んだ後、蚊が泣くような小さな声で答えた。




[つづき]
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