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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(337)

第六章 「血と技」(337)

 荒野と静流は、もはや下着一枚の状態で、自分たちの脱ぎ散らかした衣服の上で汗まみれになって絡まり合い、口唇を貪り合い、もつれ合っている。経験がほとんどない静流も、荒野の時間をかけた入念な愛撫とその後の抱擁によって、これまでに経験したことがないほどの高まりを感じていた。
 荒野ともつれ合いながら、「他人と肌を合わせることは、これほどまでに心地よいことだったのか……」と、静流は思っている。
 荒野の体臭、肌にかかる吐息、体温、汗に湿った肌の感触、二人分の鼓動……先天的に損なわれている視覚以外の四感覚、全てが、荒野に関する情報を、恐ろしい勢いで静流の中に流し込んでいく。体中の感覚が鋭敏になっていることを、静流は感じる。
 熱い……と、静流は思う。荒野の全てが。
 体臭、吐息、体温、汗、肌……今、静流に触れ、感じ取れる荒野は、全て、「熱」を持っていた。
 いや。
 静流自身も、熱を発している。
 荒野と静流、ふたりともが高熱を発し合い、汗だくになって絡み合っている。まだ結合こそしていないが、ペティングの段階で、二人は、お互いの性感をかなり引き出し合っていた。
 半裸になり、全身を汗で濡らした静流は、知らぬ間に喘ぎ声を断続的に漏らしている。
 荒野が、最後に残った下着をはぎ取る時も、静流は、半ば無意識に荒野の動きに合わせて腰を浮かせ、下着を脱がせ易いように動いていた。静流は、どちらかというと羞恥心が強いほうだったが、自身は、ほとんど「視る」という感覚を理解していないため、自分の裸体を晒すことに対する想像力は、欠落している。それよりも、触覚や嗅覚において、至近距離に他人の……ことに、異性に気配を感じることに、静流は堪らない羞恥を感じる性質だった。
 静流自身の父や兄弟同然に育った野呂良太を除けば、ここまで静流に密着した異性は、荒野がはじめてであり……その状態をすでに受け入れている今、静流の羞恥心は、昂揚の中に解けているといっても過言ではなかった。
 荒野は、静流を横向きに寝かせた状態で汗とその他の体液に濡れた最後の衣服を静流の腿から引き抜いて、近くの畳の上に放り投げる。
 そして、静流の太股を、両腕で抱え……その合間に、顔を入れようとした。
「……やぁっ!」
 荒野の意図を察した静流は、反射的に、抗議の声を上げ、身を捩る。
 が、荒野は、静流の抵抗をあらかじめ予想していたのか、がっしりと静流の腿を自分の肩の上に抱え、静流が多少暴れても、逃さないよう、しっかりと押さえつけている。
 そうしながら、荒野は静流の腰を浮かせて、静流の股間に口を近づけた。
 股間の敏感な部分に荒野の吐息がかかると、静流は、泣きながら「恥ずかしいです。そこは、汚いです」と訴え続けた。
 が、荒野は静流の抗議に耳を貸さず、そのまま、静流の未開拓の秘部に、直接、口をつける。
「……うっ、ふぁあぁっ!」
 その瞬間、太股を荒野の両肩に乗せた不安定な姿勢のまま、静流は背を反らせて硬直した。
 これまでの荒野の愛撫が、徐々にヒートアップしていく感じだったの対し……静流の股間に荒野が直接、口をつけた時、静流の全身を貫いたのは、一挙に静流を性感を直撃した。
 静流は、生まれて初めての刺激に、一瞬、何が何だかわからなくなり、その後、荒野が音を立てて静流の秘部を舐めあげはじめると、両手で頭を掻きむしりながら首を左右に振って「……あぁー、あぁー、あぁー……」と、意味を成さない声を張り上げ続ける。
 気持ちがいい……というよりも、もっと深いところで、静流の自我が溶けていくような快楽を感じていた。
 これが……男女の交わり、なのか……と、静流の微かに残っている理性が思考する。
 自慰をした時、あるいは、この前とか、直前まで荒野に触れられていた時……とは比べものにならないほどの快楽を、静流は、今、受け取りつつある。

 荒野は、静流の腿を抱えて静流の襞に舌を這わせた。
 荒野自身も、静流の快楽に奉仕し、反応を引き出すことに夢中になり、恍惚としている。
 そこに荒野が口をつける前から静流のソコからじんわりと愛液が滲んではいたが、荒野が直接口と舌をつけてからは、静流のソコは、もっと端的に液体を染みだしはじめている。
 襞の合わせ目の力も緩んでいるらしく、単純に下から上へと舐めあげているだけの荒野の舌の先が、特に力を入れていないのにも関わらず、するりと襞の中に隠れて静流の中を味わってしまうことがあった。
 そのような時、静流は、より一層大きく身体を震わせ、すすり泣きのような声を上げた。
 荒野の舌に、透明な液体が、どろり、と、さらに絡みつく。

 ひとしきり、静流の陰毛をかき分けて静流の秘裂を表面から舐めあげると、荒野は肩に抱えて持ち上げていた静流の腰を畳の上に置き、今度は襞の中を舌で掬うように動かしてみる。
 すでにかなり緩んでいた静流の秘裂は、荒野の舌の進入をたやすく許した。
 喘ぎ疲れたのか、静流は、もはや声もなく、苦悶の表情をして、嫌嫌をするように、ゆっくりと首を横に振るだけだった。
 ただ、時折、不定期に「あうっ!」とか、「ひゃっ!」とかいう声を、断続的にあげる。
 それらは決して、苦痛を訴える悲鳴ではなく……逆に、隠そうとしても隠しきれない、静流の快楽の深さを証明するものだった。
 荒野は静流の「中」をひとしきり舌でかき回した後、秘裂の上部に位置する小さな突起を、舌の先で、つつく。
 静流が、これまでで一番大きな身動ぎをした。
 強弱をつけて舌先で静流の敏感な突起を攻めると、しばらく、声にもならない掠れ声を上げて身悶えした後、静流は、すぐにぐったりと動かなくなった。
 全身、汗に濡れた身体を畳の上に横たえ、静流は静かに胸を上下させて、目を閉じている。

 どうやら……執拗な荒野の愛撫に、完全に到達したようだった。
 荒野が顔を近づけて静流の顔を覗き込むと、それまで休んでいた静流は不意に荒野の首に腕を回し、強引に荒野の口を塞いだ。
 静流に抱き寄せられる形で、荒野は、静流の上に身体を重ね、そのまま、全身を密着させて、長々と接吻をする。




[つづき]
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