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彼女はくノ一! 第六話 (90)

第六話 春、到来! 出会いと別れは、嵐の如く!!(90)

「……この辺に、ゴミで埋まっている、倉庫がある。かなり、大きい。
 所有者が誰かとかはわからないけど、使われていないことは、確か。
 有働さんなら、詳しくしっていると思う……」
 香也は、そういって液晶画面の地図を指さす。
「……あっ。
 あそこ……」
 楓も、香也が指さした場所に、心当たりがあった。香也が以前、スケッチをしに出ていった場所の一つだ。徳川の工場からも近い位置にある。
「でも、あそこ……確か、権利関係で揉めてて、それで長いこと使われずに放置されているって聞きましたけど……」
 楓は、そんな話しも披露した。もっとも、噂を小耳に挟んだ程度だから、真偽のほどまでは保証はできない、とも、いい添えたが。
「……つまり、何らかの理由で、長いこと使用されていない倉庫がある、ということですわね……」
 孫子は、少し思案顔をした後、すぐに晴れやかな表情になった。
「こちらの方でも、調べてみましょう。
 今まで放置されていた、何らかの理由さえクリアできれば、現在の所有者との交渉も可能でしょうし……」
 孫子は、腕のいい法律屋にもコネがあったし、それに、そこいらの組関係に怯むような人格でもない。第一、そこいらのちんぴらややっさんよりは、孫子自身の方が効果的に暴力を行使することができる。もちろん、その気になりさえすれば……という条件付きではあるが。
 だから、不動産関係のトラブル、ということであれば、どうにでも解決できる自信があった。
「……首尾よくそこを確保できたら……そこのゴミの撤去をすることで、ボランティアの予行練習とマニュアルづくりをしても、いいですしね……」
 香也たちに向かってそんなことを呟きながら、孫子は、「ちょっと失礼」と席を立って、何カ所かに電話をかける。
 はきはきした声で、用件だけを要領よく、的確に伝えたため、孫子が実際に通話をしていた時間はごく短かくてすんだ。
 香也と楓は、せいぜい十分程度、待たされただけだった。
「……法務とか民事の専門家たちに、そこの事情の調査と問題の解決を指示しておきました」
 香也たちの前に帰ってきた孫子は、ことなげにそういった。
「多少、お金はかかりますが……この手のことに慣れているプロですから……数日中には、結果が出るでしょう……」
 本当に必要な経費はけちらない……というのが、孫子のモットーでもある。
 一回だけの手数料で必要な不動産を割安に確保できるのなら、対費用効果的なことを考えても、十分に割が合うのであった。
「……そちらの方は、解決するのも時間の問題ですので……今度は、新しい配送ルートを……。
 いいえ。
 それよりも、せっかく、この場に香也様が、この場にいらっしゃるわけですから……。
 今度の春休みに行う、商店街のシャッターの塗装の件ですが……あれに塗料とか必要な道具一式、うちの会社に負担させていただけませんでしょうか?」
 香也と楓は、思わず顔を見合わせる。
 香也に、商店街のシャッターを塗装し直して貰う……そういう話しが出てきたのは、もとはといえば、玉木からであった。
「ご存じの通り……うちの会社は、地域密着型を指向していますし、特に商店街の方々は、大事な取引相手です。
 その程度の貢献をさせて貰ったとしても……企業イメージ的な面からみましても、長い目でみれば、十分に、元がとれます……」
 そういってから孫子は、
「……もっとも、実際に描くのは、香也様なわけですが……」
 と、付け加える。
 孫子は、この会社で必要以上に利潤を追求するつもりはない。いや、利益率を極限まで高めることに対しては、孫子も、人一倍貪欲なくらいだが、そうして得た利益は、できるだけ地元に循環させてたいとも思っている。
 荒野とも話し合ったことがあったが、この会社の目的には、有事に備えて、優位な人材を傭うための、文字通り軍資金の確保、意外に……孫子自身を含めた、一般人とは異なる人々が、この地域社会に溶け込みやすいような基盤を整備すること……にも、比重をおいている。むしろ、後者の目的を達成するためにも、高収益のシステムを構築しなければならない、と、孫子は思っていた。
 だから、ボランティアや香也の活動に便宜を払い、資金面その他でそこそこの援助をするのも、筋道としては、決しておかしなことではない。
 もっとも……今回に限り、あくまで、孫子個人の希望という理由が、かなり大きかったのだが……。
「……んー……。
 ぼくの方は、別に……それでも、いいけど……」
 香也にしてみれば、異議を唱えるべき根拠など、どこにもない。
「ただ、玉木さんには、話しを通しておいた方がいいような……」
「そちらの方は、わたくしから、話しておきます。
 かかるべき費用をこちら持ちで……といえば、玉木が反対するとも思えませんが……」
 確かに……発案者である玉木の側にとっても、都合のよい話しではある。

『……なんだか……』
 凄いな……と、一連のやりとりをみていた楓は、孫子に対して、気後れを感じていた。
 孫子は……世慣れしていて、周囲の状況を見極め、自分の意志が通りやすいように、環境の方を変化させていく……。
 計画性や行動力も、それに、電話一つで専門家を動かせるコネクションも、十分に凄いと思ったが……それ以上に、自分の欲求を一方的にゴリ押しするのではなく、周囲の利益も考慮しながら、出来るだけ大勢の人が満足できるように配慮することも忘れない……という細やかさに、楓は感歎する。
 とても、真似できない……とも、思う。
 孫子と楓では……やはり、そのスタートラインというかバックグラウンドからして、残酷なほどに格差がある……と、心底、思い知らされた気分だった。
 孫子にあって楓にはないもの。
 それは……こうした、強引なまでの積極性、自分の都合に合わせて周囲を変えていこうとする、アクティブさ……だろう……と、楓は、思う。
 楓自身は……そんな大それた事を、そもそも考えたりもしない。
 自分の周囲さえ、いい雰囲気であったら、それでいい。
 長期的な、とか、広範な視野には、あまり拘泥しない、こぢんまりとした範囲内に自分を収めてしまおう……とういう小市民的な価値観が、自分の中に抜きがたく刷り込まれていることを、楓は実感した。




[つづき]
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