となりの酔いどれロリおねぇさん (脱線メタ番外編)
ぼくは濡れた下着を見せつけるようにしてお尻を振っている三島さんを乗せたまま、上体を起こす。なにせ三島さんは、とても軽いので、床に手をついて少し力をこめれば、さして苦労することもなく、その程度の芸当は容易にできる。
「お? おお」
三島さんにしてみれば、頭を下にして傾斜していく体制になるわけで、こうなるとさすがにのんびりぼくのをくわえているわけにもいかなくなる。
ぼくは、そのまま前転しそうなほど前のめりになった三島さんの両脇に手を差し込んで、ひょい、と、持ち上げた。なにせ三島さんは軽いから以下略。
三島さんの両脇から手を差し込んで、捧げ持つような姿勢のまま立ち上がり、首の後ろを掴んで持ち上げられた猫のごとき姿勢でうなだれている三島さんを、すとん、と床に降ろす。
呆然としている三島さんには構わず、ぼくは三島さんがはだけた下半身を直し、外に出ていた局部も中に納めて、ジッパーをあげる。
「なんだお前なんなんだお前!」
こちらに向き直った三島さんは、猛然とぼくに食ってかかった。
「ここまで来てそこまでつれない態度はないだろう。ここで喰らいつかなくて、それでも男かエロ小説の主人公か!」
咳払いを一つ。
「そういうこというのなら……」
ぼくは、人差し指を、びっしっイっ! と三島さんに突きつけて、指摘した。
「こちらに寄せられた
コメントみてみなさい!
『最近年上が多いのですが、またロリ系書いてもらえないでしょうかー。 』
って、三島さん、あなた、タイトルに『ロリおねぇさん』と冠していながら、ロリキャラとして認識されていないってことじゃないですか!」
三島さんの顔は瞬時に蒼白になり、背景に歪んだレンダリングの「ガがーん!」とという、立体的なロゴが浮かび上がる。番外編だとこういうありがちかつイージーな心理描写も許される……らしい。
「貴女の場合、はっきり言って、体型だとか外見とかのスペックより、奇矯な言動のほうが印象大きいんですよ! これでは、エロというよりギャグです。お笑い系です。エロ小説のヒロイン失格ではないですか!
はっきりって、あなたには『萌え』が足りない!
このままでは色物キャラ街道まっしぐらではないですか!」
ここぞとばかり、ぼくはさらに追い打ちをかける。
「……イロモノ……わたし、イロモノ……」
よほどダメージが大きかったのか、茫然自失の態になった三島さんは、譫言のようにそういいながら、こちらに背を向けて、背中を丸めてうずくまり、床に人差し指でのの字を書き始める。
「……いいんだもん……ロリって設定年齢じゃないんだもん……どうみても中、高校生にしかみえないキャラがでてきても『本作品にでてくる登場人物は全て十八歳以上です』って断り書きが冒頭で出くるんだもん……」
落ち込んだ振りをして、反応する人が限られてくるような微妙なネタを振ってくる。
「いったい何の話をしているんですか!」
「児ポ法とメディ倫の無意味な規制の話し!『女子高生』は『女子校生』、『中学』ないし『高校』は『学園』というふうに、微妙に歪曲して表現しないといけないことになっているのが大人の事情というものよ!」
「そんなしょーもないネタで普段使用しない強調フォントを使わないでください!」
二人して向き合って、怒鳴りあう。我が事ながら、あまり有意義な議論であるとは思えない。
「……意外にテンション高いっすよねぇ、三島さん。出だしは同時進行しているもう
一つの連載と大して変わらないのに、キャスティングが違うだけでここまで別物になるとは……」
「……生徒たちに『みにら先生』と呼ばれ畏れ敬われておるのは伊達ではないわ……」
がるるるる。っと低くうなり声を上げてて、三島さんは威嚇するようにぼくを睨む。
……なるほど……。
「みしまゆりか」との語呂合わせもあるのだろうが、小さな怪獣、なのか……。
そうして三島さんと相対していると、どこからか現れた手がぼくと三島さんの元に小さな紙片を押しつけてきた。
その紙片に書かれた文字列に目を走らせたぼくと三島さんは、ちらり、とお互いの目をのぞき込み、軽く咳払いをして、この作品を今、読んでいるあなたの方向に向き直る。
「えー。ただいま入った情報によりますと、今回の更新分は収拾がつかなくなったので、通常の連載分には含まれない『脱線メタ番外編』として処理し、明日の更新分は、昨日の更新分からの直接的な続きとなるそうです。つまり、今回の更新分は、物語的にはなかったこと、ノー・カウントってことで。
いやー。生放送っていろいろありますねぇ」
いきなりにこやかになった三島さんが、読者であるあなたに向かってカンペに書かれていた内容を伝える。
ってか、「生放送」ってなに?
「それから、『ロリ希望』のコメントをくださった方。今やっている同時連載が終わった後、そのご希望に添いまして、ロリ系ヒロインの連載もってくるそうです。病弱系清楚娘と天然系元気娘が登場予定だそうです。学園物だそうですよ」
営業用の笑顔を浮かべたぼくも、後を続ける。語尾が「だそうです」の連続だけど、カンペの内容を伝えているだけだからしかたがない。
「学園物……また、うちの学校使うのかしら? 脇役使い廻しできるし、そうすると、ヒロインの年齢的にも確実に「ろぅ」のほう(
参照)になっちゃうわけだし。
病弱系清楚娘と天然系元気娘、ってことは、『
はい(♀)×ろぅ(♂)×ろぅ(♀)』みたいにダブルヒロイン? それとも今やっているみたいな、一日二回更新の同時進行連載?」
「同時進行連載なら、片方がシリアス系でもう片方がイロモノ系ですかねぇ?」
「イロモノいうなー!」
「このブログの中の人は、
『いやあ。言われてみればバランス崩れているな、最近。
どうせ次の作品詳細なんかぜんぜん詰めていなかったし、そういうご要望があるのなら、今度はそっち系いきましょか』
とかほざいています。
いい加減というか、行き当たりばったりですねぇ。
なんかご要望とかある方は、遠慮なくコメントとかつけていってみたほうがいいですよ。その場のノリと勢いだけで生きているようなところあるから、うちのブログの中の人」
「行き当たりばったり、っていうのは当たっているかも。
なんでも、一日二回更新だとすぐストックがなくなる、っていってた。今回の更新分も、昼休みにPDAにぱこぱこ打鍵して書いて間に合わせているとか……」
「だから今回、こんなにわやくちゃな内容なんか……。こんな事が何回も続くと、読者逃がすんじゃないかなぁ」
「こういうメタネタ、好きな人は好きだけど、駄目な人も多いもんねぇ……」
「……いや、いくら中の人が酔狂でも、こういうのはそうそう頻繁にはやらないとは思うけど……思いたいけど……」
「それでは今夜はこの辺で」
「ということで、明日の更新は、昨日の
(5)から直接続く(6)をお送りします」
「繰り返しますが、つまり今回の更新は、物語的には『なかったこと』として扱われる、と」
「それではみなさん。さようなら」
「また明晩、お目にかかりましょう」
[明日の*夜*に続く]
【
目次】
↓作品単位のランキングです。よろしかったらどうぞ。
NEWVEL ranking HONなび