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髪長姫は最後に笑う。 序章 (1)

序章(1)

 なにを思ったか、少年は、わたしの机の上から一本の安ボールペンを取り出し、「これ、貰うよ」といったかと思うと、さりげない動作でサッシの窓を開け、ベランダに一歩踏みだし、スナップを効かせて、そのボールペンを無造作に下に投げる。

「あ。これ? 気にしなくていい。こっちには関係ないことだから。いや、目の隅を目障りなもんが横切ったんでね。ちょっとした悪戯。なんか騒ぎになっているみたいだけど、お隣りが絡んでくるとどうせエスカレートするだろうから、後でみにいってみるといいよ。興味があるなら。
 どうせ、先生、すぐに出勤時間でしょ?
 それでなに、今朝は彼女と初めてあったときの印象を聞きたいって? あー。それは、結構長くなるな。あれは千九百九十×年、おれは、じじいとじじいの雇った連中とともに東南アジアの……。あ? 時間がないから手短に、って。

 ああ。じゃあ、かなり端折っていうけどね、この国にいて普通に暮らしていると実感湧かないだろうけど、世界には、まだまだ人身売買をしている場所もあって、そういうことをしているヤツラは、見た目の良い人間を、家畜同然に飼ったり交配させたりしているんだ。あー。愛玩用。もっとぶっちゃけていうと、セックス専用奴隷として。うん。おれ、そういう世界に足踏み入れたし、人間として教育されてこなかった人間、ってのも結構みてきたけど、そういう、飼われているヤツラの目に似ていたよ、彼女の目。

 第一印象というのなら、その印象が一番かな。
 もちろん、今では、彼女がそれなりに大事にされていたことも、教育も受けていたことも、聞いている。でも、初めてあったときの彼女の目は……。

 あれだ。『魂』ってもんが入ってないような、そんなうつろな目をしていた。
 それが、一番強く印象に残ったよ。

 ところで先生。そろそろ、本業の『ガッコウ』とやらの時間じゃないのか?」

[つづき]
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