2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

彼女はくノ一! 第三話 (57)

第三話 激闘! 年末年始!!(57)

 帰宅後、香也は松島楓、才賀孫子らの同居人とも番号とアドレスの交換をした。
 同じ家に住んでいるの彼女らとはメールでやりとりすることはそんなにはないだろう、と、当初香也は思っていたが、その日の夕方、いつものように庭のプレハブに籠もっていた所に
ご飯できましたv(^^)

 というメールを楓から貰ったのを皮切りに、孫子からも寝る間際に、
おやすみなさいませ。
明日があなたにとって佳き日でありますように。

 などというメールが来るようになる。

 以後、「二人で示し合わせているんじゃないのか?」と思うくらい、同居人の少女二名は競うようにして日に何通かのメールを香也に送信するようになり、それに対応するために、香也はマニュアルを開いて何種類かの汎用性のある返信用のテンプレート文章を考案し、登録しなければならなかった。
「同居しているんだから、なにか用事あったら直接いってくれればいいのに……」
 というのが香也の感覚だったが、香也の性格だと、面と向かって二人にそういうのも心苦しいのだった。
 翌日、二人が教科書を貰いに学校に出向いて留守の際、ちょうどいい具合に堺雅史からメールが着信したので、他に相談する相手ももたない香也は「ちょっと、電話でいいかな?」と確認してから、しかじかと電話で事情を説明し、相談をしてみた。知り合ったばかりの堺にこうしたことを相談するのも何だが、極端に人付き合いが悪い香也は、同性異性を問わず、こうした時に会話する相手に不足している。
『……ええっと、つまり……。
 その女の子たち二人からのメール攻勢、なんとかならないかってこと?』
「……う、うん……二人から日に何度も来るようになると、こっちも集中力が……」
『……あ。ちょっと待って。あんなちゃんがなんか言いたいことあるって』
 香也はイヤな予感がした。
『……ちょっと狩野君!』
 案の定、柏あんなは電話口に出た途端、挨拶もぬきで香也に荒い口調でまくし立てる。
『そばで聞いていれば一番悪いのははっきりしない狩野君のほうでしょ? あんな綺麗な子たちから好意を持たれるなんて滅多にないことだよ。観念してすっぱりどちらかに決めちゃえば済むことじゃない。それとも狩野君、誰か他に好きな人とかいるわけ?』
 うんぬん、と柏あんなは感情的な物言いで言い募る。
 香也は、「なんでみんなそっちのほうに解釈するのだろう……」と内心で思いながらも、しどろもどろに「今のところ、二人を恋愛対象としては見ていない」こと、「そのことは二人とも知っている筈であること」などを説明する。
 大晦日の夜、酔っぱらった樋口明日樹の詰問がきっかけとなって、楓と孫子が変に自分を意識し始めた、ということは、香也も肌で感じている。しかし、自分のことをいろいろな意味で「未熟者」と認識している香也は、今の時点で特定の女性とつき合う、という決断をする勇気は持ち合わせていなかった。
 堺と同様、つき合いが浅く、かつ、大晦日の夜、現場にいあわせなかった柏あんなに、そうした細かいニュアンスを説明するのは、香也の語彙では至難の業だったが、それでも香也は、しどろもどろになりながらも、必死になって柏あんなにぐだぐだと説明をし続ける……。
『……わかった。
 ようするに狩野君、人付き合いに対して、圧倒的に自信がないってことね……』
 柏あんなも、ようやく納得してくれたようで、かなり低い声でそう呟いてくれた。
 香也は安堵のため息をつきながら、
「……そうそう。ぼく、人とつき合ったこと、ほとんどないから……」
 と、続けようとすると、
『うん。それじゃあ、話しは簡単だ。
 狩野君のほうが、人に慣れればいいのよ……』
 などと、とんでもないことを言いだす。
『ちゃんとクラスのみんなに狩野君とお友達になるようにって連絡し廻しておくから、新学期から、覚悟するように……』
 柏あんなはそういいって、一方的に通話を切る。

 香也はプレハブの中で、手の中の買ったばかりの携帯電話を、いつまでも眺め続けた。

「ブラボぉー! いやぁ、素晴らしい!」
 いつの間にプレハブに入り込んだのか、着流し姿の三七分け黒縁眼鏡の青年が、呆然と立ちつくす香也に向かって拍手を送っていた。
「せーしゅんだねぇー。いや、この家に来て正解。こんなに面白い場所だとは、思っていなかった……」
 二、三日前からこの家に住み始めたばかりの新しい同居人、二宮浩司はそういって、なれなれしく香也の肩に手を置く。
「さー。少年。このぼくにも、もっと詳しい説明をしてみたまえ。
 ようするに、あれかね?
 才賀の小娘とぼくの可愛い雑種ちゃんとが、君を狙っているってことでOK?」
 香也は「……この人もなんかややこしそうな人だな……」とか「可愛い雑種ちゃん、って、楓ちゃんのこと?」とか思いつつ、返答に窮していると、
「……狩野くーん。こっちいる?」
 と、樋口明日樹がプレハブの中に入ってきて、それとほぼ同時に、香也の携帯からメールの着信を告げるメロディが流れた。
 プレハブ中に入った明日樹は、着流し姿の二宮浩司に会釈する。明日樹は、三日の餅つきの時に「今度学校に赴任し来てくる先生」として、二宮浩司を紹介されていた。
「あ。狩野君、携帯買ったんだ」
 二宮浩司と樋口明日樹が見守る中、香也が着信したメールを確認する。楓と孫子から、「今から帰ります」という旨の、文面は異なるがほぼ内容のメールが二通、届いていた。
「……じゃあ。狩野君の番号とメアド教えてもらえるかな?」
 当然のことながら、現在香也が置かれている状況についてなんの予備知識ももたない明日樹が自分の携帯を取り出してそういうと、香也は流石にげんなりとした顔をした。
 傍らに立っていた二宮浩司は、なにが面白いのかしばらく大声を上げて豪快に呵々大笑している。

 それから十分も立たないうちに、制服姿の松島楓、才賀孫子、それにスーツ姿の三島百合香がどやどやとプレハブの中に入ってくる。しばらく遅れて、ティーセットを抱えた加納兄弟もやってきた。
 このうち、荒野だけが二宮の姿を認めてぎょっとした顔をしたが、今日は餅つきの時のように、二宮が荒野に抱きつく、という珍事は発生せず、全員で、狩野家の居間に移動する。

 メイド服はクリーニングに出したまま、まだ引き取りにいっていたなかったので、制服のままだった茅は、みんなに紅茶をいれてくれた。

[つづき]
目次

有名ブログランキング

↓作品単位のランキングです。よろしければどうぞ。
newvel ranking  HONなび


↓このblogはこんなランキングにも参加しています。 [そのきゅう]
アダルト検索ピーチナビ FC2ブログランキング アダルト検索風俗検索 アダルトなび2 アダルトサーチSa'gasuzo アダルト検索 ASS N@VI 満鉄総本部 ERO-RANK.COM アダルトのソムリエ アダルト簡単ナビ 0's ADULTちゃんねる

Comments

Post your comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

このページのトップへ