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彼女はくノ一! 第四話 (1)

第四話 夢と希望の、新学期!(1)

 いつも通りの時間に起きると、洗顔と朝食を済ませてから着替えても、登校まで五分ほどの余裕があった。そのことで、冬休み中も意外に規則正しい生活をしていたのだな、と、改めて気がつかされる。長期休暇中の香也は、気が乗っている時はいつまでも、それこそ何十時間も集中して絵を描いて、体力の限界ギリギリまで粘ってから長時間の睡眠をとる、などということを平気でするので、学校に通う必要がない期間の生活は、不規則もいいところだった。
 香也の冬休み期間中の生活を規則的なものにした元凶、もとい、原因である二人の少女は、朝食を終えると一旦自室にひっこみ、学校の制服に着替えて再び姿を現した。彼女らの制服姿を目にするのは初めてではないが、かといって見慣れているわけでもない。普段着以外の服装をしている二人の姿は、やはり新鮮だった。特に松島楓は、才賀孫子と違い、ほとんどスカート姿を見たことがないので、香也の目にはとりわけ新鮮に映った。
『……二人とも、似合っているよな……』
 とか、香也は思う。
 制服が似合っているというより、この二人なら、なにを着せても見栄えがするのではないか? 二人の容姿が平均以上に整っていることを、香也は改めて思い知らされ、登校中とその後の学校での生徒たちの反応を想像して、少し気が重くなる。
『……確実に……騒がれるだろうなあ……』
 三学期から、という中途半端な時期に来た転校生……というだけでも、単調な生活を送り刺激に飢えている学生連中の興味をそそるのは、充分なのである。
 それに加えて、彼女らの容姿……。
 香也が軽い憂鬱を感じていると、以前より少し早めの時間に樋口明日樹が玄関に訪れた。後ろには何故か帽子をかぶってふてくされたような表情をしている明日樹の弟、大樹がいる。
 三人で外に出て樋口兄弟と合流すると、隣りのマンションの入り口あたりに数人の制服姿がすでに集まっていて、こちらに手を振ってくる。加納兄弟と飯島舞花、栗田精一だった。栗田精一は、自転車のハンドルを持って息を切らしていた。
 マンションの入り口までいって彼らと合流すると、栗田は「ちょっと自転車おいてくる」と、マンションの駐輪場の方向に自転車のハンドルを持って去っていった。栗田の家はかなり遠方にあるが、舞花の命令でわざわざ早起きをして、遠回りを承知でこちらに立ち寄ったらしい。学校には自転車通学の生徒のための駐輪場もあるが、そこの使用には登録が必要で、駐輪場未登録の生徒の自転車通学は禁止されている。栗田も、こちらの方に寄らず真っ直ぐ学校にいくのなら、別に自転車のお世話にならずに済んだのだろう。

 ……律儀なことだ……と、香也は思う。

 挨拶合戦が一区切り終わった所で、加納荒野が、
「あれ? 大樹。なに、この帽子?」
 とか軽い口調でいって、素早い挙動で樋口大樹がかぶっていた帽子を片手で掴み取る。
 帽子の下から現れた大樹の頭をみて、全員が息を呑んだ。
「……昨日、未樹ねーに、てきとーに切られちゃってね……」
 樋口明日樹の話しによると、酔って帰った樋口未樹が据わった目つきで大樹に因縁をつけ、「練習だ練習」とかいいながら、大樹の毛髪をまだらに刈り込んだ、らしい。その結果、不規則に長かった短くなったりして凄いことになった大樹の髪型をなんとかみられるものにするのには、全体に短くするより他なかった……というか、全体に、極端に短くするより他なかった……。
「……いいっす。おれ、今年は硬派でいくんで……」
 結果的にほぼスキンヘッドになってしまった樋口大樹は、口を尖らせてそういった。
 大樹以外の全員は、笑いをかみ殺すのに苦労した。
 大樹の姉である明日樹だけが遠慮も容赦もなく、「これがその時の髪型……」とかいいながら、携帯の液晶画面に写した「ほぼスキンヘッドになる前の大樹のすさまじい髪型」の写真をみなに見せてまわった。大樹はそうした明日樹の所行を、みて見ぬふりをしている。

 ……樋口兄弟の上下関係は、確固としたものらしい……と、香也は思った。

 学校までは歩いて十五分ほどの距離である。学校が近づくにつれ、同じ制服を着た生徒の数も増え、香也らの団体を指さしてなにやらこそこそ囁きあったりしている。小声で話しているつもりでも、「猫耳」とか「サンタ」とか「トナカイ」とかいう単語が漏れ聞こえてくる。

 ……年末の商店街での彼らの活躍は、まだ忘却されていないようだ……と、香也は思った。

 愛想良く樋口兄弟とか飯島舞花と栗田精一、などと世間話に興じる加納荒野、その様子を興味深そうにみている加納茅と松島楓、話しの輪には加わらないが、泰然としている才賀孫子……一緒に登校している他の連中をみると、それぞれ自然に振る舞っていて、香也のように学校で騒がれることを心配している者はいないらしい。
 ……そうしたことを心配する自分のほうが、考え過ぎなのかな……。
 とか、思ったところで、ぐい、と、不意に背後から首根っこを掴まれ、ヘッドロック状に頭を抱えられた。
「……か、の、う、くーん……」
 と、路上でいきなり香也にヘッドロックをかまして拘束した生徒は、いった。たしか、クラスメイト。顔は覚えていたが、名前までは覚えていない。
「……あんなちゃんから聞いたよー。
 君、いつのまにやら自宅でハーレムな状態なんだってねー……。あの美少女たちを紹介してくんなんと、このまま頸動脈しめて落としちゃうよー……」
 その生徒は、笑顔でそういう。目は笑ってなかったが。
『……ええ、と……』
 香也は、その生徒の背後に飯島舞花がそっと近づいている事を知らせようと目配せした。首を極められている関係で、声がだせないのだ。が、当然、「顔だけは覚えている」程度の関係では、以心伝心というほどの意思疎通は不可能だった。
 香也にヘッドロックをかましている男子生徒の背後に近づいた飯島舞花は、その生徒の脳天に予告なくチョップを食らわせた。

[つづき]
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