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彼女はくノ一! 第四話 (2)

第四話 夢と希望の、新学期!(2)

「……飯島……とりあえず、初対面の下級生と道端でプロレスごっこもなにかと思うよ……」
 香也にヘッドロックをかました男子生徒にさらにヘッドロックをかましている飯島舞花に、樋口明日樹は冷静にツッコミを入れた。栗田精一は、舞花の背後から「もっといってやってもっといってやって」と小声で明日樹に声援を送っている。
「……ただでさえ、注目浴びているのに……」
 樋口明日樹は周囲を見渡す。
 プラチナブ・ロンドでハーフ顔の加納荒野、黒髪ロン毛の加納茅、手足が長くすらりとした体型の才賀孫子、背こそ低めだがトランジスタ・グラマーな松島楓……という、見慣れない美形が制服姿で団体作っているだけでも充分に注視を浴びるに足る。
 加えて、傍らには飯島舞花と名前を知らない男子生徒と狩野荒野が三連ヘッドロック状態で固まっており、スキンヘッドの樋口大樹と栗田精一、樋口明日樹も一緒にいる……という状態である。
 ……狩野香也がとっつかまっていなかったら……樋口明日樹はその場から全力疾走で逃走していただろう。
「……ああ、っと……」
 樋口明日樹にそう指摘され、飯島舞花もきょろきょろと周囲を見渡す。
「……そ、そうだなぁ……」
 上擦った声で「ははは」と笑いながら、首を極めていた下級生の体を路上に叩きつけ、
「……じゃ、いこうか」
 と、なにもなかったかのように、同行していた者たちを即して立ち去ろうとする。
「ちょっと待て!」
 舞花に路上に投げ出された少年が、体をはたきながら起きあがり、怒気を含んだ声で舞花を呼び止めた。そして、ツカツカと一人だけ戻ってきた舞花の姿をみて、呼び止めたことをすぐさま後悔した。
「なに? まだなんか用?」
 一人戻ってきた舞花は、少年のすぐ側まで近づいて立ち止まった。
 飯島舞花の身長は百八十を越える。対して、少年のほうは百六十そこそこである。三十センチくらいの近距離になると、少年が舞花の顔をみようとすると、仰ぎ見る恰好になる……。
『……でけぇ……』
 胸も、背も……。
 直前まで迫ると、いっそう迫力があった。
「……君が狩野君にちょっかいださなければ、わたしも君になにもしなかったんだからな……」
 舞花がそういうと、少年はコクコクと頷いた。後ろで栗田が「嘘つけ。楽しんでいた癖に……」と小声でいったのにも気づかず、ただただ舞花の迫力に呑まれている。
「じゃあ、そういうことで。
 君も早く来ないと遅刻するぞ」
 少年が頷いたのを確認した舞花は、そのままきびすを返し大股で立ち去った。その後をちょこちょこと舞花の分の鞄も持った栗田精一がついてく。
『……カッコいい……』
 少年は登校するのも忘れ、しばらく飯島舞花の背中に見入った。

「……ねー。今の子、誰?」
「……んー……多分、クラスメイト……」
「……多分、ってことは、名前覚えてない?」
「……んー……」
 先行集団の中で、樋口明日樹と狩野香也はそんな会話をしているうちに、飯島舞花と栗田精一が追いついてくる。
「なに? 今の軽そうな子、狩野君のクラスの子?」
「みたい。名前は知らないみたいだけど……」
「……んー……顔は、見覚えある……」
 明日樹、舞花、香也がそんな会話をしていると、
「今のすかしたのは、柊誠二。女子に片っ端から声かけまくっているナンパ野郎」
 と、樋口大樹が横合いから助け船を出した。
「……その割には、うまくいったって話しは聞いたことねーけど……」
「……ああ。転校してきた別嬪さんたちが目当てかぁ……」
 飯島舞花はうんうんと頷いた。
「……これから、狩野君も大変だなあ……ああいう手合い、これからうじゃうじゃ湧いてくるぞ……」
「…………んー?」
「だって、ほら。
 柏が君ん家の状態について、噂広めているって話しだろ?」
「……んー……」
 冬だというのに、香也の額にじわりと汗が滲みはじめた。
 その香也の袖を、松島楓がつんつんと引っ張る。
「……お守りするのです」
 楓がそういうと、香也と楓の二人の方に顔を向け、才賀孫子が一瞬香也の顔をなんともいえない表情で、一瞥しだ。
『それ……逆効果……だと、思うけど……』
 内心でそう思いつつ、口では「……んー……」と不明瞭なうなり声しかあげられない狩野香也だった。
「そういや、狩野って柏と同じクラスなんだろ?」
 香也の顔色をみて、割と察しのいい栗田精一がさりげなく話題をそらす。栗田は、柏あんなとは同じ水泳部で、香也と知り合う前から面識があった。
「……んー……一のA……」
 明らかにほっとした表情で、香也は栗田の誘導に乗る。
「え? 一のA?」
 松島楓は驚きの声を上げて、加納茅と顔を見合わせる。そして片手を上げて、
「……わたしたちも、一年A組だっていわれているんですけど……」
「同じクラスになるの」
 楓の言葉を、茅が裏付けた。
「へー。もう編入するクラスまでわかっているんだ……」
「うん。この間、教科書とりに来た時に……」
 加納荒野も片手をあげて、頷く。
「おれと才賀は、二年B組だって……」
「二のB……じゃあ、樋口のクラスじゃないか……」
「……そう、みたいね……」
 荒野の言葉に、舞花と明日樹が顔を見合わせて頷きあう。

 その周囲を遠巻きにして聞き耳を立てていた生徒たちが、慌てて携帯電話を取り出し、メールで転入生たちの編入クラスを友人たちに送信しはじめる。
 香也たちの団体はその様子に気づいてはいたが、暗黙裏に「とりあえず無視する」ということにして、先を急いだ。

 そんなことをいいあっているうちに学校に到着し、玄関口で「職員室に寄るように言われている」という転入組は職員室へ、在校生たちはそれぞれの教室へと別れた。

[つづき]
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