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髪長姫は最後に笑う。第四章(47)

第四章 「叔父と義姉」(47)

「……いや、だからね。おれらゲイじゃなくて……」
 加納荒野はひきつった顔をしならがら狩野香也の同級生たちに説明をする。
「……親類だよーん……」
 しかし、その背中に二宮浩司が張り付いて頬をすりすりしているので、説得力はまるでない。
「荒野、らぶらぶなの」
 その横で、猫耳メイド服の茅までがそう請け負ったりするのをみて、荒野の説明を拝聴していた聴衆は生暖かい目つきをしてうんうんと頷いた。
「リーマン×美少年ね……」
「年上眼鏡はポイント高いっす」
「プラチナ・ブロンドの美少年もね……」
 などと囁きあっている女生徒たちもいる。本人たちは小さな声で話しているつもりかも知れないが、荒野の聴力は常人よりよほどいいから、丸聞こえだった。
「……今度は、教師×生徒本で……」
「……どっちが攻めでどっちが受けっすか?」
 荒野には良く理解できない内容が漏れ聞こえてきたが、なにやらすっげー厭な予感だけは、ひしひしと感じていた……。

「……えーと……まとめると、こちらのおねーさんが……」
 少し離れた所では、男子生が狩野家を取り巻く人々の関係についてまとめている。
「居候、第一号っす。自称順也先生の弟子」
 羽生譲が片手を上げる。
「んで、こちらのお嬢さん方が……」
「居候、第二号です」
 と、松島楓。
 この時、羽生譲が、
「技の一号力の二号と呼んでくれぃ!」
 といったが、モトネタが古すぎたのか誰も突っ込まずにスルーされた。
「故あって、こちらに下宿させていただいてます」
 と、才賀孫子。
「はいはーい! 下宿人第四号の二宮浩司でぇーす。学校では先生と呼びたまえ!」
 荒野の背にしがみついたまま、荒神が手を振った。
「……それで、こっちのケーキ屋の白猫君と黒猫ちゃんが兄弟で、隣りに住んでいて……」
 と、荒野と茅を指さして確認すると、
「はい。わたしん家も同じマンション。あと、三島先生も住んでる……」
「ミニラ先生まで……」
 三島先生の名前が飯島舞花の口から出ると、何故かその生徒は、若干背をのけぞらせた。
「…………つくづく、凄い環境に住んでいるなあ、一年の狩野君は……」
 その生徒の説明を輪になって聞いていた他の生徒たちが、うんうんと首を縦に振った。

 その「一年の狩野君」こと狩野香也は少し離れた場所で、堺雅史と一緒になにやら話し込んではスケッチブックに鉛筆を走らせている。
「……って、こっちのいうこと聞いてないし!」
「……んー……なにかいった?」
 どうやら自分の事が話題になっているらしい、と気づいた香也は、顔を上げて問い返した。
「……いや、特に用らしい用ってのもないっすけど……あのー君ら、さっきからなにやってるんすか?」
 香也と堺雅史が顔を見合わせる。
『話してもいいのか?』と確認を求めるように香也が首を傾げたので、堺が、
「……うーん……ぼくらが作っているフリーのゲームの絵を、狩野君に描いて貰っている所なんだけど……」
「エロいやつ? エロゲ?」
「違う違う! 普通のアドベンチャーだよ。ミステリとかサスペンス風の……」
 ビニールシートの端の方に並んで据わっていた二人の周りに、人が集まってくる。
 堺と香也は、資料の紙の束やスケッチをめくりながら作りかけのゲームの内容をその場にいる人々に説明しなければならなかった……。

「いや、あんたの名前が姉っていうのを知った時から、いつかこういう事になるんじゃないかとは予測してたけどな……」
 荒野たちがのんびりと午後のひとときを過ごしている頃……。
「こんなに早くこうなるとは思ってもみなかった……。
 お前らが接触しようが摩擦しようが潰し合おうが、わたしの知ったこっちゃないがな……。
 わたし、お前らの主治医じゃないんだから、いちいち呼び出すなよ……一応、こっちはまだ勤務時間中だったんだぞ……」
 シルヴィ・姉に呼び出され、早退することを余儀なくされた三島百合香は、怪我人の山を目前にして指で目頭を押さえた。
「……だってぇ……」
 シルヴィ・姉は三島に向かって甘えた声を出した。
「長老に相談したら、この近くの信用できるお医者さん、三島先生だっていわれたわけだしぃ……」
「……いや、わたしノンケだから。同性に甘えられても少しも嬉しくないし……。
 それに、いったいどうしたらこうなるのか想像できんのだが……このおっさんら、ほとんど捻挫や骨折な。足を挫いたの、捻ったの、あと、肋いっちゃってたのも多かった……。
 一人だけ、さっき運んでいったヤツだけが妙に重傷だったけど……」
 最下部で下敷きになっていた居合いの銀二の症状を一瞥しただけで、三島は「一刻も早く病院連れてけ!」と一喝した。
「……それ以外は、まあ、軽傷だな……医者よりも骨接ぎとかカイロプラティクの領分だ……」
「……ええ、ええ。
 それさえ分かれば、あとはこちらで手配いたしますので……」
 三島が請け負ったので、姉は殊勝に頷いてみせた。
「さて……っと……。
 こっちはそっちの要求を呑んで一肌脱いだんだ。ちょっと答えて貰おうか?
 率直に聞くがな、姉崎さん、あんた、荒野たちの味方なのか? 敵なのか? ん?」
「わたしが? わたしはコウの味方に決まっています!」
 三島の問いに、シルヴィ・姉は昂然と胸を張って答えた。
「それに、女系の姉は、母性をないがしろにするような姫の計画を支持しません!」

[つづき]
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