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髪長姫は最後に笑う。第五章(29)

第五章 「友と敵」(29)

 茅は観測し、全てを記憶する。特に、荒野の事を。
 荒野の体温を、鼓動を、唾液のぬめりを、自分の肌をまさぐる指先の感触を、そこだけ熱くなって起立する男性器を。
「……茅、明日も学校があるんだよ……」
 いつもは自信に溢れている荒野が、珍しく気弱な声でいう。
 茅の体力を心配して、激しい行為を遠慮しているらしい。
「……大丈夫なの」
 そんな荒野が可愛くなって、茅は、荒野の上に馬乗りになって、舌で、荒野の口の中を蹂躙する。同時に、いきりたつ荒野自身の先を、自分の秘裂に導く。
 夜、夢を……記憶を、自分の意志で整理することを何時間かやめれば……心肺機能や循環器への負担は軽くなる筈だった。今夜はぐっすりと……普通の人間がするように、全てを無意識に任せて、ぐっすりと眠りたい。
 可能かどうか分からなかったが……できれば、夢も見ずに。

 以前、荒野に「本当の年齢」を尋ねられた時に答えたように、茅の最も古い記憶は、まだはいはいをしていた頃のものだった。以来、茅は「全てを」記憶している。観たこと、聞いたこと、嗅いだこと……あるいは、肌や舌で感じたことまで、全てを。
 茅の完璧に過ぎる記憶力は、睡眠中にみる夢の世界でも存分に発揮され、最古の記憶から三年と五ヶ月ほど過ぎたある晩、不意に幼い茅は、「夜みる夢は、自分が昼間経験したことがらを整理するために飛び交うイメージを断片的に観測しているのではないのか」、というアイデアを得た。それから数ヶ月かけて茅は自分の夢を観察し、丁寧に分類し、法則性を見いだし……そしてついには、茅自身の意志で、睡眠中に茅自身の記憶を編纂するコツのようなものを掴んだ。
 恐る恐る、何度か試してみた結果、睡眠中、無意識に任せるよりは、茅自身の意志により恣意的に記憶を編纂する方がよほど記憶情報の圧縮効率が良い、ということと、そうした行為は、茅自身の脳細胞を過剰に稼働させ……結果、稼働する脳細胞に必要な酸素や養分を補給するため、茅自身の体に過度の負担をかける……ということが、分かった。
 寝汗で全身をびっしょりと濡らし、仁明に抱き起こされて目を醒ましたことで、茅は、今の自分の体には負担が多すぎる行為だった……ということに気づかされた。
 結局、その「自分の夢への介入」は、「茅がもっと成長して、体力をつけてからの課題」ということになり、かわりに、茅は、観た夢を片っ端から記憶にとどめた。茅が夢に興味を持ち、少しでも夢見る時間を長くしようとした結果、茅の眠りは常に浅いものになったわけだが、仁明と過ごした数年は廃村から一歩も出ない生活で運動量もたかが知れていたので、特に問題はなかった。
 茅は、この土地に来て、毎朝走るようになって初めて、幼い頃の予定、「自分の夢に積極的に介入し、自分の記憶を自分の意志で整理する」という行為を達成する事が出来た。
 そうした着想を得た幼い頃はともかく、今の茅は、起きている時と寝ている時間に観る夢、その全てを難なく記憶しておける自分、というものの異常さを充分に自覚しており、だから、荒野にも、自分の人間離れした部分を全て明かしているわけではない。荒野自身も、一般人とはかなり異なった生態と性能を持っていたが、茅の異常さはそれを上回る。何ヶ月も寝食を共にし、荒野の性格をかなり把握している今では、多少の事で荒野が茅から離れていくことがない、と、分かってはいたが……そうした予想よりなにより、茅は、万が一、あるいはそれ以上に僅かな可能性であっても、荒野が自分の元を去っていくのを恐れていた。

 例えば茅は、体温や鼓動、体臭などを観測できる距離であれば、他人の感情の推移がある程度性格に推察できる。茅の耳目、それに鼻、が、常人よりも効く、というわけではないが、茅には些細な変化も見逃さない観測力があり、数分前、数十秒前の体温や鼓動、体臭などの記憶を瞬時に検索し、比較することができる。
 このような能力は、茅が多くの人に触れ始めた、この土地に来てから、茅が元々持っていた記憶力、観察力、推論能力……などが結びついた結果、開花した能力で……そんな茅だからこそ、荒野たちが「気配断ち」と呼ぶあの独特な歩法も、一度観ただけでその原理を喝破し、容易に真似することが出来た。
 その事について、荒野はどうも「茅は一度歩法について訓練を受け、その記憶を佐久間の者に封じられている」と思っているようだが……その思いこみを訂正することは、茅の異常性を改めて荒野に意識させることにもなり……だから、茅は荒野の推論を未だに訂正することが出来ないでいる。

 ようするに茅は……荒野と離ればなれになることを、自分でも異常だ、と思えるほどに、恐れるようになっていた。
 もちろん、以前育ててくれた仁明にも、それなりに親しみは感じていたわけだが……仁明に対する感情と、荒野に対する感情とでは、明白な差異がある……と、茅は思っている。
 完璧な記憶力を持つ筈の茅は、少しでも多くの時間を、荒野の側で過ごし……さらに可能ならば、肌と肌と触れあわせて直接体温を感じ、鼻腔を荒野の体臭で見たし、全身の五感で荒野感じたいと思っている。
 何故か荒野は、自分からは茅を求めることが少なく、結局、我慢できなくなった茅が、自分でもはしたないと思いつつも荒野を挑発して、関係が始まることになる。
 どうやら荒野は荒野で、あまり抑制なく求めすぎては茅に嫌われる、と思っているらしく……そうした思い違いは速くに訂正してやりたい気持ちも勿論あるわけだが、毎日のように荒野に求められたら、まず、茅の体力が保たないし、体力が保たないとわかりきっていても、荒野に迫られたら茅には拒みきれる自身がないから……やはり、今のまま、荒野に誤解させたままでいいのかも知れない。
 どうしても我慢できなくなったら、茅のほうからアプローチすればいいのだ。
 今、そうしているように。

 茅は、荒野の上に馬乗りになり、荒野自身を深く導き入れたまま、舌で荒野の口の中を蹂躙しつつ、自分の内部に刺さっている荒野を揺さぶるように、もどかしげに腰を、体全体を、前後させる。荒野を迎え入れた内部だけではなく、恥丘と荒野の陰毛がじょりじょりと擦れてクリトリスを微妙に刺激する。
 自分の鼻息が、かなり粗くなっているのを感じた。
 それまで茅にされるがままだった荒野が、茅の乳首を指で摘み、コリコリと弄ぶ。割と力が入っていて、摘まれた途端、「うっ!」と呻いてしまった。
「悪い? 痛かった?」
 茅が口を離した隙に、荒野が尋ねる。
「痛かったけど……気持ち、いい」
 ぼんやりと、茅が答える。
『もっと、して欲しい……』と続ける前に、荒野が再び茅の乳首を捕らえ、ぎゅうっとつまみ上げた。
「……はっ!」
 と呻いて、茅はさらに乱暴に荒野と繋がった部分を揺さぶり、これ以上恥ずかしい声を荒野に聞かれたくなかったので、再び荒野の口を強引に割って舌を滑り込ませる。

[つづき]
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