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彼女はくノ一! 第五話 (3)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(3)

 三人の子供たちは、荒野が少し声を高くすると、面白いようにその指示に従う。
『……なんだか……』
 引率の先生と生徒みたいだ、と、楓は思った。
『……第一……』
 子供たちは、荒野と茅、それに自分を含めてた三人を倒すこと……が、目的らしい。少なくとも、そう自称している。
 にもかかわらず、荒野が主導権を握って場の進行をコントロールしている現在の状況というのは……。
『……かなり……変……』
 そう思いながらも楓は、荒野の指示に従って六角や手裏剣、くないなどの投擲武器を鞄からごそごそ取りだし、いつでも使用可能な状態にする。
 ……数日後、学校で抜き打ち持ち物検査をされた際、いろいろと物偽を醸したりすることになる、通学時の楓の標準装備類だったが……その持ち物検査うんぬんというのは、また別の話。
 三人も各々の武器を取り出して、構える。その構えをみて、楓は表情を引き締めた。
 姿勢や構えをみれば、ある程度は、相手の実力も見極めがつく。
 油断できない……と、楓は判断した。

 荒野が、楓に弾幕を張ることを命じた。荒野自身も、指弾でパチンコ玉を多数、同時に弾く。
 パチンコ玉自体はたいした質量でもないのだが、荒野の指に弾かれれれば拳銃弾以上の速度を得る。五メートルと離れていないこの距離で命中すれば、確実に骨肉に食い込む。それが何十発と同時放たれる。
 楓からも、荒野のパチンコ玉ほどには連射はできないが、代わりに重い六角が幾つも投擲される。
『……荒神様なら、下忍の戦法だと笑うだろうな……』
 楓は冷静に、荒野の指示について、そんな感想を持つ。
 荒神は投擲武器の多用を「下策」と位置づけているが、弟子である荒野はそうは思っていないようだ。
 もっとも、荒神の仮想的は専ら一族でもある程度以上の技量を持つ者たちであり、荒野が今までに相手にしてきた「敵」はあまり場数を踏んでいない一般人である……という違いがあるので、どちらの方法論が正しい、とは、一概にいえないのだろう。
 荒神が敵として前提にしているのは、投擲武器など難なく回避できる能力の持ち主であり……事実、三人は、棒状に連結したままの六節棍で、楓と荒野の攻撃を全て弾いた。弾いたが、三人に攻撃のいとまを与えず、こちらのペースにつき合わせる、牽制の役割は十分に果たしているわけで……。
「次は、足止め!」
 いうが早いか、荒野は今まで以上にパチンコ玉をばらまき、三人のほうに突進する。
 早い。
 荒野の意図を察知した楓が、六角を八方手裏剣に持ち帰る間に、荒野は三人の目前に立っていた。
 楓が、三人の動きを牽制するために、足元を狙って、八方手裏剣を打つ。
 扁平な形状をしている関係で、棒手裏剣に比べると貫通力が弱くなるが、八方手裏剣は、その分連射がきく。この場合、重要なのは、単位時間あたりにどれだけの数を打てるか、ということだった。
 長い得物を持った三人の中に素手で、単身、荒野が躍り込んだ……という形だが、楓の牽制も功を奏し、荒野は……あっという間に、三人を、無力化した。

 三人の目前に荒野が迫る。
 三人は、持っていた六節棍を槍のように荒野に突き入れる。
 突き出された三本の六節棍を、荒野は、まとめて掴み、自分のほうに引き寄せる。
 勢い余った三人はバランスを崩し、前方へと倒れ込みそうになる。楓が足元に向かって手裏剣で弾幕を張っているので、地を蹴って姿勢を持ち直したり、踏ん張ることも出来ない。
 姿勢を低くしたまま、荒野は三人の足元に自分の体を潜り込ませ……そのまま、足腰のバネを使って……跳ね上げた。

 三人の体が、高々と、空中に放り出される。

 どさり、と、三人の体が地面に落ちると、
「……まだ、やるかい?」
 荒野は、微笑みながら、三人の手からもぎ取った六節棍の切っ先を、三人の目前につきつけた。

 地面に寝そべったまま、三人は、返事をできなかった。

「……その年にしては、訓練されているとは思うけど……」
 つまらなそうな顔をして三本の六節棍を地面に放り出した荒野は、三人に向かって滔々と解説しはじめた。
「お前らのやりかたってのは、根本的なところで実践的じゃないのな。
 忍相手に正々堂々と果たし合い申し込んでどうするって……。そんなんじゃ、勝てるもんも勝てないだろう。そんなことしたら、みすみす相手につけいる隙をつくってやるようなもんだよ……」
 荒野の言い分は、楓にはよくわかった。「自分たちを倒す」と公言する割には……三人のやり方は、全般に、杜撰すぎる。
 あれだけの弾幕を全て弾いた反応速度は確かに凄いとは思うが……自分たち忍同士の戦いは、公正なルールの下で行われるスポーツとは、根本的なところで違うのだ。
 正直、楓には……三人が、いや、三人に、「荒野たちを倒せ」と指令した何者かの思惑が、まるで想像できなかった。本気で目的を達成するつもりなら……なんで、この三人だけでこの場に当たらせたのだろう?
 これだけの身体能力を持つ者が、的確な判断能力を持った指令のもとに動いていたら……かなり、脅威なのだが……。

「ふん。不服そうな顔をしているな、お前ら……」
 楓がそんなことを考えているうちにも、荒野は三人へ、何事か話し続けている。
「実力を発揮する暇もなかった……とでも、いいたいのか? こっちがその気なら、全員死んでいるところだぞ?
 まあいい。今後もつきまとわれるのもうざいしなぁ……。
 ……楓。
 ちょっと、こいつらの相手をしてやれ。
 素手のお前一人と、武器を持ったこいつら三人で、ちょうど釣り合いが取れるぐらいだろう……」
 荒野は、そんなとんでもないことをいいだして、楓に向かってウインクしてみせた。

[つづき]
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