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彼女はくノ一! 第五話 (13)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(13)

 孫子の予備のスコープの中には、顔に落書きをしたガクを置いてきた場所に標準を合わせていた。孫子がここまで移動している間に、荒野、楓、ノリ、テンの四人が集まっている。スコープの中の四人は、しばらくなにやら話しこんでいたが、すぐに荒野が眠ったままのガクを背負って他の三人から離れた。
 荒野が確実に三人に背を向けたのを確認して、孫子はトリガーを引く。
 孫子の予測通り、初弾は三人を散会させるだけに終わった。孫子自身、最初から命中するとは思っていない。三人の反応を確認することが、初弾の主な目的である。
 三人娘のうち、ノリは一度屋根に上がり、テンは地上面を走っているのだろう、家の隙間に隠れて姿が見えない。楓も同じだった。
 孫子は、わざと見通しの良い場所に身をさらしているとしか思えないノリに、次弾を撃ち込む。ノリは一度顔を上げ、スコープ越しに孫子と目を合わせたかのようににやりと笑い、すぐに地上に降りて姿を消した。
『……残りの二人は、最初のよりは単純ではないってわけ……』
 孫子は、次の狙撃場所に移動するため、ライフルを片付けはじめる。
 ヒット・アンド・アウェイは狙撃戦の基本だし、日本の市街地でライフルを剥き出しのまま持ち歩くわけにもいかないのであった。

『……どうしよう、どうしよう、どうしよう……』
 気配を絶ち、路地裏をすり抜けるように走りながら、楓はまだ悩んでいる。
 これから、自分が、これからどうしたいのか、と……。
 ……さっきの様子だと、あの二人が孫子への攻撃を止めることは考えられない……。
 かといって、二人に荷担して、一緒になって孫子を止めようとすることも、なにか違うような気がする……。
 ガクをあのような状態にすることで、孫子は、玉木をかばった三人に対して宣戦布告してしまった。玉木へのお仕置きを欲している、という一点にのみ、楓は孫子に同調する所だが、その玉木は、今では荒野が身柄を確保している。つまり、今では、楓は三人と対立する理由もないし、孫子と対立する理由も、ない……。
 だったら、「無関係だから」といって、この場からこのまま逃げても、いいのだろうか?
 ……いや。
 楓は、少し考えた結果……孫子と残り二人の対立を止めたい、と思った。
 玉木を荒野が取り上げた今、この対立には、意味がない……。
『でも……』
 一体どうしたら、孫子とノリとテンが戦いを停めるのか……楓には、次ぎにうつべき手が思いつかないのであった。
 とりあえず、楓は、先ほどの射撃から予測される、孫子の居場所に足を向けていた。

 テンは、楓よりも先行して孫子に近づいていた。鼻が効くテンは孫子の体臭を記憶しているし、三百メートルくらいの距離に近づけば、なんとかかぎ分けて臭いを追うことも出来る。それにテンは、ノリや楓とは違って、生来、なにかを考えるとか悩む、とかいうことを苦手とする。
『……とりあえず、才賀ねーさんを、動けなくしちゃえばいいんだ……』
 テンは、ガクほど力が強くはないし、ノリほど速くも思慮深くもない。
 だか……。
『……速く走れないのなら、先にスタートすればいい。
 力が強くないのなら、策を用いればいい……』
 テンは、考えるとか悩むとかいうことが、嫌いだ。体を動かすことも、同じくらいに、嫌いだ……。
 だから、もっとも効率的に……楽に目標を達成する方法を思いつくことにかけては、三人の中でも抜きんでた資質を持っていた。
「テン、なにか思いついた?」
 いつの間にか、ノリが併走していた。ノリは、三人の中で一番走るのが速い。遅れてスタートしても、楽にテンに追いつける。二人とも、当座の目的地は孫子のいる場所であり、同じなのだ。追いつかれても不思議ではない。
「ガク……やっぱり薬でやられたみたい……」
 ノリは、簡単に屋根でみつけたもののことをテンに話した。
 テンのいうとおりに動けば、一番ラクができる……ノリとガクは、経験的にそのことを知っている。
 だから、なにかあると、テンに指示を仰ぐ。
「……確実なのと、トリッキーなの思いついたけど……」
 テンが、ノリに答えた。先ほどの、「なにか思いついた?」という質問の答えだ。
「トリッキーなほうで、行こう」
 ノリは即答した。
「孫子ねーちゃん、冷静で常識的な人だから……確実な手は、だいたい防がれると思う」
「……そうだね」
 テンも頷く。二人とも、孫子を過小評価しているわけではない。
「じゃあ。トリッキーなほうの手ね。
 第三勢力を、孫子ねーちゃんにぶつける。そして、混乱した隙に、ボクらが襲う……」
「……第三勢力……」
 ノリは瞼を忙しく開閉させた。
「……どこにいるの? そんなもん?」
「楓おねーちゃん。
 ノリがいったんじゃないか、二人とも絵描きのおにーちゃんにらぶらぶだって……。
 そこをつつけば、簡単に喧嘩するよ、あの二人……」

 荒野は再度うお玉の裏口に入り、眠ったままのガクを玉木に預けた。
 対応にでた玉木は、
「預かるのはいいけど……今、弟と妹がいるから、この顔のガクちゃん預かっていると、さらに悪戯されると思うけど……」
 とかいいながらもガクを背負った荒野を自室に招いた。荒野はガクをフローリングの上に降ろすと、「まだちょっと用事が残っているから。こいつは、すぐに目を醒ますと思う」といって、すぐに出ようとする。
「もう一度、念を押しておくけど……」
 その背中に、玉木はいった。
「あとで、ちゃんと説明してよね……」
「うん……」
 荒野は振り返らずに、答えた後、
「……玉木には、ちゃんと説明しておいたほうが、なにかと面倒がなさそうだしな……」
 とつけ加え、再び何処かへと去っていった。

[つづき]
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