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彼女はくノ一! 第五話 (31)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(31)

 朝食が終わり、香也、楓、孫子が学校に行くのを見送ると、とりあえず真理の家事を手伝うことにする。狩野家は古い平屋が個人宅としては敷地が広く、部屋数が多い。なんでも、この家を建てた羽生譲の祖父にあたる人が、人を使う仕事をやっていたとかで、その当時は従業員の家族なども同居していたそうだ。
 その、広く部屋数が多い家を隅から隅まで掃除や手入れしようと思えばそれなりに手がかかり、それまでは香也に手伝わせて週末や学校の長期休暇の時などに大がかりな掃除や手入れなどを行っていたが、新しい住人たちは率先して炊事や洗濯などを手伝ってくれるので、主婦である真理は、以前に比べるとかなり楽になった。
 孫子なども年末の留守中に大掃除をやってくれたし、今度来た三人も、香也たちが学校に行っている間は暇なのか、真理が止めるまで競い合うようにして働いてくれる。
「掃除や洗濯は前にいた島でも交代でしていた」とのことだが、掃除機や洗濯機などの家電品を使って家事をすることは初めてであるらしく、最初に一通り使い方を教えると、三人は毎朝、掃除機の奪い合いを演じるようになった。
 洗濯機に汚れ物を放り込んで廻すと、次は三人で恒例の掃除機の奪い合いがはじまる。
 ちなみに、当然のことながら、住人の増加に比例して日々の洗濯物の量も増えている。最近では一回につき二度から三度、洗濯機を廻す。
 掃除機の奪い合いは、結局は口論とかじゃんけんで決着がつくのだが、奪い合いに破れた二人は、廊下や板の間のモップがけやぞうきんがけ、食器洗いなどを分担して行う。前述の通り、狩野家は個人宅としてはかなり広いから、そうしたモップがけやぞうきんがけなども真理一人で行うとなると重労働だし時間もかかるのだが、なにしろ三人は元気がいいし、疲れ知れずなので、二時間も要せずに家の隅から隅までを綺麗にしてくれる。
 その後、昼食の前か後に買い物に出るのだが、最近では人数が増えた分、食材の減りも早いので、だいたい毎日のように車ででている。特に三人組は、体はまだまだ小さかったが、実によく食べる。成人男性の平均以上は、平気で食べるのではないか? 例えば、今では、一回の食事につき十合ほどのご飯を炊いているのだが、それでほとんど余ることがない。炊飯器の中に少しでもご飯が残っていると、三人のうちの誰かがお代わりしてきれいに平らげてくれる。
 そんなわけで、安売り品は見逃さず、特に「先着○名様まで」とか「お一人様○個まで」とかいう商品に関しては、三人全員を車に乗せて、おっとり刀で買いにいく。涼治経由で十分以上の生活費と謝礼を頂いているので、家計のほうは以前よりよほど楽になったくらいだが、そこは主婦の習性というものである。コストダウンした分、おかずを一品でも増やしたいと真理は思っている。
 買い物に出る先は、はやり近場の商店街とかショッピングセンターになるわけだが、三人を伴って出かける時は、帰りにちょっと寄り道してなにか細かいものを食べさせることにしている。三人ともよく働いてくれるし、買い食いなどをされるよりは、真理と同伴で食べさせる方がいい。ショッピングセンターに行った昨日はアイスクリーム、商店街に行った今日はマンドゴドラ。どちらも、三人の口にあったようで、実においしそうな顔をして食べてくれる。
 三人が来てまだ三日目だが、こんな感じで、真理と三人は、かなりうまくやっていた。

 真理の手伝いは、そんな感じでだいたい昼前後には終わってしまう。その後、三人はほぼ完全に手が空いてしまう。
 昨日、バイトが遅番だった羽生譲は、自室の配線を片付け、掃除をしてから出勤していった。その時、手伝った三人のうち、ノリは羽生の膨大な蔵書に、テンはデスクトップのコンピュータに興味を示し、羽生に使用、閲覧の許可を求め、羽生は快諾した。そのどちらにも興味を示さなかったガクは、結果として暇を持てあまし、楓が帰宅するまでふて寝をしていた。
 今日は、そんな昨日とは少し様子が違い、午前中のうちに真理の用事を済ませ、お昼を食べて一休みしてから、自分からなにか提案するということが滅多にないテンが、「今日、これから、図書館というところに行こうと思うんだけど……二人とも、一緒に来る?」と尋ねて来た。
「いきなり、どうして?」
 ガクはいった。
「図書館」なるものがこの世に存在し、当然この近辺にもある、ということは容易に想像できたが……このテンの提案は、いかにも唐突だった。
「昨日、ネットでいろいろと見て回ったんだけど……」
 テンはいった。
「……感触として、ネットの情報は量的には膨大だけど、イマイチ信憑性にかける。ボクとしては、もう少ししっかりしたソースで知識を得たい」
 普段はぼーっとして反応が薄い印象のあるテンが、いきなりはきはきとした口調でそういいだしたので、ノリとガクは顔を見合わせた。
「知識って……テン、なにを、調べているの?」
 ノリが、首を傾げながらテンに聞いた。
「調べている、というよりは、とにかく何でもかんでも知りたいって気持ちが強いんだけど……」
 テンは、早口にそういう。
「……とりわけ知りたいのは、やっぱりボクたちのことだね。
 もうじっちゃんもいないし、ここは島ではない。せっかく、知ろうと思えば、どんなことだって調べられる環境にあるんだ。それを、活用しない手はないだろう?
 もちろん、かのうこうやにだって聞くべきこと、問いただすことはいくらでもあるけど……その前に、ボクらはボクらで、調べられることを一通り調べておくべきだと思う。知っての通り……」
 ……ボクらが育てられた環境は、異常だ。
 何故、ボクらがそんな育てられ方をしなければならなかったのか、ボクは、知りたい……。
 テンは真顔でそういい、ノリとガクはぽかんとした顔をして、そんなテンを見つめた。

 ノリとガクは、そんなことを今まで疑問に思ったことすらなかった。

 それでもテンについて図書館まで足を運んだのは、テンと同じ事に興味があったから、ではなく、ノリとガクそれぞれに思惑があったためだ。それに、今まで三人一緒に行動してきた、という習慣も、多少の心理的な慣性として働いたこともあったが。
 ノリは、「図書館に行けば、大判の画集がある」と思った。昨日、羽生の蔵書を数時間漁り、夜、香也に簡単な絵の手ほどきを受けたノリは、「人間がなにを描いてきたか」という知識を得たいと思っていた。島にあった書籍類では、その分野はあまりにも貧弱だった。
 ガクは、ノリとテンがそれぞれに「興味の対象」をみつけ、そのために動き出したことを感じ、少し寂しく思い始めていた。ガク自身は、まだ「そういうもの」を見つけ出していない。「図書館にいけば、なにか自分にでも興味が持てるものがみつかるのかな?」と思っていた。しかし、正直、あまり期待はしておらず、「他の二人につき合って、ついでに」という気持ちが強かった。

 しかし、ガクはその日、図書館で、のめり込むべき対象を見つけた。

[つづき]
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