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彼女はくノ一! 第五話 (39)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(39)

 三人組に引っ張られてるようにして連れて行かれた子供用プールには少児とか児童とか学童とかに区分される子供たちが大勢たむろしており、それはそれで別に問題はないのだが、そういった低年齢のお子さま方には大抵母親かなんかが付き添いで来ているわけで、当然のことながら、子供の年齢が低ければえして母親の年齢も若くなる傾向がある。従って、香也は騒がしい子供の群と水着姿の若い女性の群に向かってたわけで、プールの近くに来てその場を目の当たりにして初めて自分がどういう場所に近づいているのか気づいた香也は、かなりうろたえた。
 大方の母親同士はご近所さんなのかそれとも常連同士なのか、数人ずつグループを形成してプールサイドにたむろしており、プールで騒いでいる子供たちに負けぞおとらず熱心に世間話に興じていた。
 そして、カラフルな水着に身を包んだ三人組、その三人に手を引かれている香也、さらにその後をちょこちょことついてくる浅黄、という奇妙な取り合わせに気づくといかにもうさんくさそうな目つきで香也の顔をみつめる。
 あまり人付き合いが得意ではない香也は、陽気に挨拶して二、三の会話でも交わせばそれなりに疑念も晴らせる、ということいも思い当たらず、その視線に負けて「あう、あう」とか不明瞭な発声を口の中で反芻しながら、疚しいことなど何一つしていないのにも関わらず、ただひたすらいたたまれないような気分になってくる。
 香也たちの集団に楓と孫子、という単独でも人目を引く少女二人が追いついていきなり香也の腕を左右からとったりするものだから、香也に注目していた母親たちの視線は一層険しくなり、チラチラこちらを盗み見ながら声を潜めてごしょごしょ内緒話をしはじめる。
 香也とは別の意味で人なれていない三人組は周囲のそうした雰囲気に気づいているのかいないのか、普段通り三人同士と浅黄を含んだ四人でプールに入ってはしゃいでいる。

 楓と孫子のうち、そうした他人の視線に敏感なのは孫子のほうだった。
 孫子は、周囲の若い母親たいの態度に気づくと、香也の腕を自分の胸に押しつけるように抱きしめて、
「……このおにいちゃん、泳ぐのもとてもうまいのですのよ……」
 とことさら大きな声で、プールで泳いでいる三人に告げる。
 泳ごう、おにいちゃん一緒に泳ごう、などといいながら三人は香也を半ば無理矢理プールに引きずりこみ、香也に水をかけたりどさぐさに紛れて抱きついたりする。すうと楓もすばやくプールに入って香也に抱きついたものを引き剥がしたりするのだが、ないせ相手は三人、多勢に無勢というか、一人引き剥がしている隙にもう一人が香也に抱きつく、といった感じで、しかも浅黄も理由も意味も理解していないままにそのゲームに加わったりする。孫子も楓に加勢して香也に抱きつく子供たちを引き剥がそうとするのだが、その頃には周囲から見知らぬ子供たちがこのゲームに参入しはじめており……。
 なんのことはない。香也は、成り行きで水中人間棒倒しの棒、になったようなものだった。

 最初、香也のことを如何にもうさんさいものを見る目で見てひそひそ囁きかわしていた母親たちは予想外の事態の推移に目を丸くしてあっけにとられている。
 プールの監視員が「プール内での悪ふざけはあぶないからやめてください!」とかなんとか拡声器で叫びながら近づいてきて、その声にようやく我に返って、呆然とみているだけだった母親たちは、自分の子供の名前を呼びながら、「○○ちゃん、やめない!」とようやく制止に入るのだった。

 数分後、子供たちが香也に迷惑をかけたのが決まり悪かったのか、三人組の真似をして香也に抱きついてきた子供たちは、母親に手を引かれて帰っていき、結果として、子供用プールの人口密度は一時的に激減した。
 そのことを無邪気に喜んだのは、三人組と浅黄だった。
 四人は、いきなり空いたプールの中で思う存分に泳いだりじゃれ合ったりして、香也、孫子、楓の三人は時折水に入ってそれにつき合いながらも、基本的にはプールサイドに腰掛けたり子供たちの様子を見守ったりしながら過ごした。
 やがって、定期的にとることになっている休憩時間になり、全員で南に面したベンチに移る。室内プールの南側は、一面ガラス張りになっており、天気が良ければ日差しがよく差し込む。今日は、雲は多少あったが、よく晴れていて、日差しも、冬とは思えないほどに強かった。
 ベンチで休んでいると、浅黄が眠そうに目を擦りはじめる。年齢が年齢で体力もないし、はしゃぎすぎたのだろう。香也がうとうとしはじめた浅黄の体を支えていると、大人用のプールで泳いでいた同行者たちが近寄ってきた。羽生譲が浅黄の様子を確認すると、
「ああ。浅黄ちゃんは……おねむか……。
 しゃあないな。
 わたしも疲れたから、一足お先に一緒に車に戻って一緒に休ませて貰うよ……」
 といってくれ、浅黄をやさしく起こして、更衣室のほうに連れていった。浅黄は、羽生譲に肩をおされ、目を擦りながらもとことこと歩いていく。

 三人と茅、それに水泳部所属の飯島舞花、栗田精一、柏あんなはまだ泳ぎ足りないと思っているのか、もう一時間泳いでいく、という。茅がいるのなら香也も、あんなが残るのなら堺雅史も残るに決まっている。そんなわけで香也たちも残ることになった。今更いうまでもないことだが、香也が残れば楓や孫子も残る。
 みんなで固まってベンチで休んでいると、
「舞花おねーちゃん、おっぱいどーんどーん!」
 とか、三人組が騒ぎはじめ、その辺の話題にはナーバスな反応を見せる柏あんなの顔をひきつらせたり、その柏あんなが孫子の水着姿をしげしげと見たあげく、
「……同士」
 などと手を差し伸べて、今度は孫子の顔を引きつらせたりした。
 確かに孫子は、舞花や楓には及ばないものの、あんなよりは、確実に、「あった」。
 あんなは、どちらかというと、三人組に近いレベルなのであったりするのたが、その事を正面から指摘する命知らずは皆無だった。柏あんなは幼少時から空手の道場に継続して通い続けており、普段はもちろんおとなしいのだが、一度キレた時の攻撃力に関しては、学校内で定評があるほどだった。
 あんなの幼なじみである堺雅史は、話題があんなにとって微妙な方向にいきつつあるこおを察知して、少しあんなから距離をとり、香也と共同制作中のゲームのことを話し始める。

 そんな感じで休憩時間が終わると、一同はまた大人用プール組と子供用プール組に別れた。その区分というのはようするに、「香也を離そうとしない三人組と、香也から離れようとしない楓、孫子」という香也を中心としたグループと、それ以外、ということなのだが。
 例によって、別れ際に、飯島舞花が、
「相変わらず……モテなぁ……」
 などと評したが、それだけ大勢の異性に取り囲まれた香也を羨ましがる者は、同行者の中にはいなかった。
 荒野、堺雅史、栗田精一などの男性陣にはすでに決まった異性がいた、ということもあったが……そういった要素がなくても……彼らの香也を見る「同情に満ちたまなざし」に、変化があるうのかどうか……。

 そんな感じでもう小一時間ほど泳いだ後、着替えて帰り支度をしはじめる。
 香也たちは駐車場で待っている羽生譲と浅黄のほうに合流し、自転車で来た他の四人は一足先に出て、狩野家へと向かった。

[つづき]
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