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彼女はくノ一! 第五話 (47)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(47)

 シルヴィが用意する薬剤の効果が確かなことは、例の即効性睡眠薬で確認済みでもあった。問題は、そうした薬剤の力まで借りて強引に香也と関係を持つことで、孫子の自尊心がいたく傷つけられる、ということだった。
 誇り高い孫子は、時間さえかければ、姑息な手段を弄せずとも香也をものにできると思っている。孫子の性格だと、むしろ、そうした香也をの主体性を無視した手段に訴えることにには、強い反発心すら、覚えた。
「……でもぉ……」
 シルヴィは孫子の耳元で囁く。
「……カエデは、もうあの子とやっちゃっているんでしょ?」
 それは事実だった。
 孫子が楓や香也と初めてあったその日に、確認している。もっとも孫子は、前後の状況からして、楓のほうから強引に迫って関係を持ったもの、と、見ており、その後現在に至るまでの香也の態度から見ても、楓と香也の現在の関係は、せいぜい、「仲の良い友人」程度のものだと認識している。
 孫子と香也の関係も似たようなレベルである、というのが、かなり不本意ではあったが……。
「……だったら、多少の無理をしてでも、同じ立場に立たないと……時間がたつにつれて、不利になる一方よ……」
 悪魔の、囁きだった。
 孫子は「とても」負けず嫌いであり、なおかつ、楓の存在を、香也と同じくらいに重視している。同年配の同性で、孫子と互角に渡り合うことが出来るのは、今のところ、楓だけなのだ。
 何事につけけ、孫子は楓にだけは遅れをとりたくないと常々思っており、同時に、孫子は、目的のためになら、手段を選ばない一面も持ち合わせていた。
「……その媚薬、使わせていただきます……」
 結局、孫子はそういって、シルヴィから小瓶を受け取る。
 孫子の中で、プライドよりも実益が先行した結果だった。

 シルヴィは、その薬について、幾つかの細々とした注意事項を孫子に説明する。
 ごく少量でも効果がある。
 大量に摂取しても毒にはならない。が、体内に多く取り込めば取り込むほど、効果が持続する時間が長くなる。
 服用してから五分ほどで効果が現れはじめる。
 効果は絶大で、身の回りに異性がいなければ同性に、同性もいなければ動物に、動物もいなければ無生物に遮二無二むしゃぶりつくほどで、事実上、効果が持続する間は、理性など吹き飛ぶほど性的な欲求に突き動かされる。
 薬の効果は男女問わずに発現する。
 男性が服用した時は、効果が持続する間中、立ちっぱなしになること……などなどを、シルヴィは説明した。
「……本当に、毒性はないのね……」
 孫子はそう確認する。最終的には、香也に使用するつもりなのだから、慎重すぎるくらいでちょうど良い。
「その辺は、何百年も使用されてきて、実証済み。
 むしろ……毒性がないのをいいことに、使い過ぎて、ヤリ過ぎて過労死する例のが、多い……。
 中高年には、ヤリ過ぎのほうが毒よね……」

 勿論、得体の知れない薬剤を即座に使用するつもりはなかった。別にシルヴィの言葉を疑う訳ではないが、適量などは、自分自身で確かめたかった。バレンタインまでにはまだ二週間ほどあったし、つまり、時間的に余裕があるわけだし、実際の効果をこの目で確認する意味でも、実験は必要に思えた。
 孫子は、その薬の効果を実験する対象を、頭の中でリストアップする。
 ……ふっ、と、昨日、みんなの前で、堂々と回数を競い合っていた、飯島舞花と柏あんなの顔が思い浮かぶ。
 彼女たちなら試す相手がすでにいるわけだし、しかじかの薬がある、と耳打ちするだけで、実験に協力してくれそうだった。
 孫子は、事前に実験をして効果を試してみるつもりだ、と、シルヴィに明言し、薬を分けるための適当な小瓶を借りることにした。シルヴィのほうは、弟子が提供された情報を鵜呑みにするのではなく、自分で確かめてみる程度の慎重さを持っていることを喜び、孫子が着衣を整えている間に、適当な香水の空き瓶を持ってきてくれた。

 シルヴィのマンションを後にしてから、孫子は、飯島舞花と柏あんなに、思わせ振りな文面で、「しかじかの効能を持つ薬を入手した。試してみないか」といった内容のメールを送る。
「実家のツテで入手したもので、出所はしっかりしている。いわゆる麻薬、合法ドラッグ、覚醒剤の類いではない。毒性も慣習性ない」ということも、追記した。
 いくらも間をおかず、「興味がある」、というような返事がくる。ほかならぬ孫子からの提供された、という点に、二人は信用を置いた。これが例えば、他の同級生から同じような誘いを受けたら、多分、警戒して、二人とも「ノー・サンキュー」と返したことだろう。
 生まれからいっても、性格からいっても、おおよそ才賀孫子ほど、その手のヤバ気なドラッグから遠い存在はない。

 飯島舞花はどうせ家の隣りのマンションに住んでいるわけで、帰りによって届けることにし、柏あんなの分は、「今、暇だからこっち来ちゃえば。ちょうど、まぁくんもいるし……」とのことで、道順を教えてもらって、駅から二十分ほどの柏あんなの家まで出向くことになった。

 表札を確認してからインターフォンのボタンを押すと、すぐに柏あんなが玄関先に顔を出した。ジーンズにコットンシャツという軽装だった。
 あんなに招かれるままに、二階にあるあんなの部屋に上がる。孫子が室内に入ると、
「あれ?」
 といって、先に来ていた堺雅史が怪訝な表情を浮かべて目を丸くする。
「……才賀先輩……なんで、ここに……」
 どうやら、あんなは孫子が来るのを話していなかったらしい。と、いうことは、おそらく薬のことも、堺には話していないのだろう。
「……少し、柏さんとお話がありまして……」
 そう推測した孫子は、堺に向けてにっこりと微笑んだ。
 堺とあんなは、孫子にとって重要なモルモットである。
「えー! そんな、ゆっくりしていってくださいよぉ!」
 柏あんなが大仰に声を張り上げた。
「でも……わたくし、お邪魔じゃなのではなくて?」
「そんなことないです!」
 柏あんなは平手をたてて、ぱたぱたと顔の前で左右に振る。
「ほら、わたしとまぁくんは、昔っからの付き合いだし、いつでも会えるし……あ。今お茶、用意しますから、ゆっくりしていってください!」
 そういって、柏あんなは部屋の外に出ようとした。
「そう……それでは、ご馳走になってばかりもなんですし、わたくしもお手伝いしますわね……」
 そういって、孫子はさりげなく柏あんなの後を追って部屋を出た。
「……先輩、例のブツの話し、本当なんでしょうね?」
 階段を降り、柏家のキッチンに入ると、柏あんなが声を顰めて孫子に確認してきた。先ほどの丁寧な口調ではなく、刑事ドラマかなにかの真似だろうか、わざと低い声を出していた。
「例のブツ、とやらを提供してくださった人によると、それはもう、凄い効き目らしいわよ……」
 孫子は何食わぬ顔をして、シルヴィから聞かされた説明を反復した。
「……本当に、毒でもヤバいクスリでもないんですよね?」
「それについては、保証します。
 使い過ぎた場合、特に殿方のほうは、負担が大きいようですが……」
「なんで……わたしに声をかけてきたんですか?」
「他にも、飯島さんにもお話ししているのですが……いずれにせよ、わたくしには、使う相手もいませんから……」
「……ひょっとして……わたしたち、実験台、ですか?」
「そのような言い方も、どうかと……。
 珍しいものが手に入ったので、使える境遇にある方に、お分けしているだけですわ……」
 孫子がことさらおっとりとした口調でそういうと、柏あんなはしきりに頷いてみせた。
 その程度の裏があると知って、かえって安心したようだ。
 孫子と楓、それに香也の関係については、玉木たち放送部の活躍もあって、最近の学校関係者の間ではほぼ常識と化している。加えて、あんなは楓や香也と同じクラスであり、同じ部の舞花からもいろいろな噂が漏れ聞こえてくる。
「才賀先輩……ハーブティなんか、お好きですか?」
「ええ。独特の香りがする、珍しいものなんか、都合がいいですわねぇ……」
 薬を混合をしても堺雅史に飲ませるのに都合が良い、という意味だった。
 女二人は、キッチンで声を押し殺して、笑い合う。

[つづき]
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