第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(54)
しばらく、飯島舞花と栗田精一は折り重なってぐったりとしていた。
が、すぐにのそのそと胸郭を大きく波打たせながら起き上がり、どちらともなく身を寄せ合い、お互いの口唇を求め合う。そうして膝立ちになっている限り、舞花の目線の位置が栗田のそれより若干高い程度で、身長差はあまり気にならない。
汗に光る肩を抱き合って、口唇をむさぼあって、お互いの体をまさぐりあう。や舞花の手が栗田の下腹部に伸び、相変わらず起立したままの逸物をまさぐり、逆手にしっかりと握りしめる。
「……これ……」
舞花は潤んだ瞳を伏し目がちにして、栗田の耳元に口を寄せ、掠れた声で囁いた。
「……欲しい……」
そういって栗田の体を仰向けに転がし、その上に馬乗りになった。
栗田の上に馬乗りになった舞花は、「んんっ!」と小さく呻きながら、下着の湿った部分を栗田の硬直になすりつける。
栗田が舞花の最後に残った下着に手をかけて降ろそうとすると、舞花は「駄目……恥ずかしい……」といって、その手を払いのけた。
まだ、見学者である孫子の視線のことが、意識の片隅に残っていたらしい。
「わたしが、……挿れるから……」
舞花はそういって、少し腰を浮かせ、栗田自身を掴み、自分の下着を横にずらして、栗田の先端部を赤く充血した自分の陰唇にあてがう。濡れた陰毛の中にちらりとみえた舞花のあそこは、朱色にてらてらと輝いていて、そうしたものをみなれていない孫子の目にはとてもいやらしく思えた。
栗田の先端を自分にあてがった舞花は、少し腰を沈めると「っふ! んふっ!」っと、なんだかとても艶のある鼻声を上げる。
栗田の先太りの先端部が完全に舞花の中に飲み込まれると、舞花は「……はぁあぁ……」と満足そうな吐息をついて、ゆっくりと腰を最後まで降ろして、完全に栗田を飲み込んだ。
舞花は、そのまま上体を降ろして栗田の顔を左右から両手で挟み込むようにして固定し、栗田の口唇を吸いながら、自分の中に入っている栗田の感触を確かめ、楽しむかのように、ゆっくりと腰を上下にスライドさせはじめる。
舞花に口や舌を吸われながらも、栗田は手を強引に体の間に割り込ませて、舞花の豊かな乳房を揉みはじめた。
舞花の腰の動きが激しくなり、栗田が執拗に舞花の乳首をつまみ上げる。
すぐに舞花は「……はぁあ!」と息を吐いて上体を起こし、深く結合したまま、栗田の上で踊り始める。栗田は、舞花の胸を下から鷲掴みにして体重を支え、舞花の動きを助ける。
栗田の上に馬乗りになった体勢のまま、舞花が髪を振り乱して激しく動き出したので、孫子は、舞花に飲み込まれた栗田自身が舞花の動きに合わせて二人の陰毛の間に見えかくれする様子を子細に目撃することができた。舞花が動くたびに見えかくれする栗田のそれ、それに、二人の陰毛自体も、すっかり舞花が分泌した透明な淫液に濡れている……。
舞花の撥ねるような律動も、やがて終わる。
二人はほぼ同時に「うっ!」とか「うわっ!」とかうめき声を重ね、舞花が栗田の上に倒れ込み、そのままピクピクと痙攣したような動きをみせる。
どうやら、二人同時に絶頂を向かえたらしい……が……孫子は、栗田が舞花の中に直に射精したのかどうかが、気になった。
ぴったりと密着して寄り添って体を休めている二人は、もちろん、結合を解いた様子もない。また、体を密着させているため、股間の結合部周辺にあふれ出た白濁液を確認することもできなかった。
二人は、しばらくそうして密着して軽くついばむように口唇を合わせあったり、顔を間近に近づけて親密そうな笑顔を浮かべてほほえみあったりしていたが、呼吸が整ってくると舞花が身を起こして立ち上がり、真っすぐに孫子の目をみて、
「……どう? 参考になった?」
と、尋ねた。
股間から透明な液体と白い液体とがしたたり落ちていたが、そうしたことが奇異に思えないほどに柔和な表情を、舞花は浮かべている。
「え……ええ……」
孫子は、半ば気圧されていた。
その笑顔から見て取れる舞花の自信……「栗田に」愛されている、と信じきっているところからくる、揺るぎようがない舞花の自負が……そうした相手を盛ったことがない孫子には、眩しくも怖くも感じられる。
「でも、それ……」
目を伏せて孫子が舞花の股間からフローリングの床にしたたり落ちた液体を指さすと、舞花は、孫子がなにをいいたいのか察し、
「ああ……これ?
大丈夫、大丈夫。今日は、大丈夫な日だから……」
そういって舞花は、床にぐったりしたままの栗田の腕を取って、助け起こした。
「……さあ、セイッチ……シャワーでも浴びよう……」
それを機に、孫子は別れの挨拶をして、そのマンションを辞した。
なんだか、いろいろな事を学んだ……ような、気がする。
狩野家に帰ると、そろそろ夕方といっても良い時刻だったが夕食にはまだ間がある、という半端な時刻だった。
真里は台所で夕食の支度をしており、孫子も手伝おうかと思ったが、「いいのよ。もうすぐ羽生さんが帰ってくるし……」とやんわりと断られた。
孫子は自分の部屋に戻り、勉強机にしている座卓の前に座る、
シルヴィから貰った小瓶を取り出して、それを掌で玩ぶ。
……確かに絶大な効果がある、ということは分かった……。
が、それが、一体何になるというのだろう? こんなものを使ったからといって……孫子と香也が、柏あんなと堺雅史の、あるいは、飯島舞花と栗田精一のような……お互いに気を許しあった、親密な関係になれる、という保証は、ないのだ……。
いや。
孫子はすでに、楓と香也が関係している現場を、目撃している。
その上で、香也は、現在、楓とも、適度な距離を置いている……ということから考えれば……無理に肉体関係を結んでも、香也との関係に進展がある、とは、思えない……。
他の男性一般はどうか知らないが……少なくとも香也は、無理やりにそういう関係に持ち込んだからといっても……あまり、意に介さないタイプらしい……。
第一、それで進展があると考えるのなら……孫子の力は、香也がよりも、よほど強い。とっくの昔に、二人きりになる機会を作って、強引に香也に迫っている……。
今日、二組のカップルの行為を実際に目の当たりにして、孫子は、シルヴィのこのクスリを使う意味について、考え込んでしまった。
シルヴィがいうように、このクスリを使うのが、果たして、正しいのかどうか……。
それと……本当のところ、孫子は……香也と、どういう関係になりたいのか……。
孫子は香也の顔を、思い浮かべる。
不思議な少年だ……と、そう思う。
非力といえば、あまりにも、非力だ。
絵を描くこと以外の能力は、同年代の男子の平均値を下回るだろう。
それに、興味を持つものの幅が、極端に狭くて……いわゆる、「専門バカ」とかいわれるような人種で、容姿だって特にパッとしたものではなく、なにかというと「……んー……」とか唸って言葉を濁すし、決して弁が立つわけでもなく、物静かで……。
本当……取り柄らしい取り柄、といえば、絵を描くことくらいしかないのに……なんで、あんなのの存在が……こんなにも、気になるのだろう……。
そんなことをぼんやりと考えているうちに、右手が、スカートの中に入りかけているのに気づいて、孫子は、はっとする。
今日、見聞して来た内容が、孫子自身の欲望を刺激し……孫子の奥底で燠火のようにくすぶり続けているのを、孫子は自覚した。
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つづき]
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