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彼女はくノ一! 第五話 (66)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(66)

 翌朝、三人がランニングから帰ってくると、朝食の支度をしていた真理に、居間にあるカレンダーを破いてくれ、と頼まれた。壁にかけてあるカレンダーの前に集まった三人は、顔を見合わせる。
 暦やカレンダーも、島にはなかったものの一つだった。
「そういうものがある」という知識はじっちゃんから伝えられていた。が、そもそも、島では、先々の予定をたてる必要があまりないから、「何月何日に~」などと考える必要もほとんどない。
 ジャンケンに勝ったノリが、カレンダーの一月の紙を破いた。

「寒っ……」
 飯島舞花は自分の肘を抱くような恰好をした。
「もう二月、かぁ……寒さも本格的だぁ……」
「……気温は、昨日の朝もほぼ同じだったの……」
 珍しく、茅が突っ込む。
「まーねー、寒がりだから……」
 栗田精一が突っ込んだ茅に補足説明する。
「……おれがいる週末なんて、外に出たくないから、おれだけ外に買い物に行かせるし……」
 補足説明筈が、後半はいつの間にか愚痴になっている。
「歩く湯たんぽが、そーゆーことゆーなー……」
 舞花が、後ろから精一の首に両手を巻き付ける。
 この二人が公然とじゃれ合うのはいつものことなので、周囲の連中は見て見ぬふりをしている。
「……ようやく二月か……」
 加納荒野がぼつりと呟いた。
 ……三学期が開始してから、まだ丸一月だっていない……。荒野にとっては、時間の進み方がやけに遅い気がした……
「こぉぉぉやくぅぅんはぁ……」
 突如、完璧に気配を消して荒野の背後に近寄った二宮荒神が、背後から荒野に抱きついた。
「……心配性で、気苦労が多いからねぇ……」
 予告もなく突然現れたように見えた「二宮先生」の存在に、飯島舞花や樋口明日樹が「うわぁ!」とか「ひゃっ!」とか、小さい悲鳴を上げる。他の生徒たちも、声はあげないにしても、棒立ちになって驚いている。
「……先生……今日は、おれたちと一緒に学校にいくんですか?」
 荒野の後頭部に頬ずりをしていた荒神に、ようやく樋口大樹が声をかける。声をかけなければ、荒神は、いつまでも荒野に抱きついていそうだった。
「今朝は、珍しく、なんの用事もなかったからねぇ……」
 荒神は、「二宮先生」の口調でのんびりと答えた。
 先ほどから茅が、荒神の腕や胴体に手をかけて荒野から引き離そうと試みていたが、まるで効果はなかった。

 そんな感じで学校へ向け、ぞろぞろと歩いていると、途中から玉木珠美が合流してくる。玉木も、荒神の姿が珍しかったのか、挨拶の後、
「あれ? 今日は先生もいっしょっすか?」
 と問いかけてきた。
 二宮浩司先生が狩野家に下宿していることは周知の事実だったが、二宮浩司先生が狩野家に出入りしているところとか登下校する風景は、滅多に目撃されることがない。
「……ちょうどよかった。
 二宮先生、今度うちらでボランティア活動を大々的にやろうっていうことになりまして……」
 玉木は荒神の答えを待たず、滔々とかねてからの懸案である「ボランティア」うんぬんに説明し、「先生もお一つ……」と誘いをかける。
 誰かしら教員を巻き込んで、怪しいことはしていない、という証人に仕立て上げることは、荒野もちらりと考えていたので、荒野も止めはしなかった。
 が、荒神のほうは、
「……ぼくみたいな、いつ消えるのか分からない臨時雇いが協力しても……」
 と、やんわりと断ってきた。
「……でも、そういうことを、自主的にやろうとするのは、いい心がけだね……。
 教員の中で、そういう話しに乗ってきそうなのは……」
 荒野たちの担任である大清水先生と、香也たちの担任である岩崎先生だ、と続けた。
「え?
 岩崎先生、は、わかりますけど……」
 経験が浅い岩崎先生は、ともすると、実際的な面よりも理念的な面から「学校教育」というものを理解しようとする傾向がある。玉木も、教員の中では「一番騙しやすそうな先生だ」と目星をつけていたところだった。
 だが、もう一人、荒神が名をあげた、大清水先生の方は……「何事につけて、厳しい」と、生徒たちの受けは、非常に良くなかった……。
「……そう?
 話してみると、結構面白い人なんだけど……あれで苦労しているし、人助けのための活動なら、積極的に関わってくれると思うけど……」
 荒神は、大清水先生について「家庭の事情で苦学して大学を卒業して、教員の資格を取った人」、「一回り年の離れた美人の奥さんと、去年産まれたばかりのお子さんがいて、家族の話しをしだすと止まらないこと」などの情報を提供してくれた。
「……前のは初耳だったけど……後者のは、結構有名ですよね……」
 舞花が荒神の情報を補足した。
 大清水先生は舞花や栗田精一が所属する水泳部の顧問でもあり、その関係で、他の生徒たちよりは大清水先生に接する機会が多い。
 うっかり家族の話題を振ったため、携帯の画面を見せながら大清水先生が延々と「自分の妻子自慢」をし続けるのにつき合わされた水泳部員は、かなりの数に昇った。
「……奥さん、たしかに美人だけど……一歳未満の子供の写真なんて、身内以外にはほとんどサルだよ……」
 とは、栗田精一の体験談である。
「……なぁなぁ……こっちのほうのこーや君……」
 そっちの話題が一段落すると、玉木は、ちょいちょいと狩野香也を呼びつけた。玉木が、荒野、ではなく、香也のほうに用事があるのは、珍しい……。
 そんなことを思いつつ、香也が玉木の傍によっていくと、
「……そのボランティア活動の、校内向けのポスター描いてくれないか?」
 と言われた。
 校内向けの広報には、流石に商店街とか美容室とのタイアップ素材を使うのははばかりがあって……ということらしい。
 香也は、
「……んー……」
 と呻っただけで、
「……別に、いいけど……」
 と快諾した。
 内容などについては、放課後、玉木が美術室に立ち寄って打ち合わせをする、ということになった。

[つづき]
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